自転車王国の復活!? 上海駐在員事務所 舛本 誉人 「ニーハオ!」 ご紹介します。 今回はここ上海で移動手段として、最近急増している「シェア自転車」について かつての中国の移動手段と言えば、溢れかえるほどに路上を行き交う自転車を連想される方も多いと思 いますが、今まさにそんな光景がここ中国の都市部においてお洒落に復活しようとしています。 上海をはじめとする都市部では、バスや地下鉄といった公共交通機関や、ここ 10 年間で 3 倍の 2 億台 弱(2016 年中国公安部交通管理局発表:中国全土自動車保有台数)にまで急増した自動車により、都市 民の足は随分と便利且つ豊かになりました。そして今、こうした移動手段へ更にアクセントを加える形で、 巷では自転車が再流行しつつあります。 この再流行している自転車、これは個人が各々で保有する自転 車というものでは無く、徒歩以上タクシー未満のちょっとした 距離を移動したい時などに、路上に放置されている自転車を 拾って乗るというスタイルの「シェア自転車」であります。 「シェア自転車」の人気を支える秘密は、その使い勝手の良さ と 利用料金の安さにあります。簡単に概要を説明すると、利用 方法は最初にスマートフォンの専用アプリにユーザー登録を行 う 必要がありますが、あとは単純に放置されているシェア自転 車を拾い、自転車に貼り付けられているQRコードにスマートフ ォンをかざせば解錠し直ぐに利用可能となります。また周囲を見 渡して「シェア自転車」が見つからない時は、アプリマップで放 置されている位置を探索し、取りに行くまでの一定時間を予約す ることもでき、いちいち路上を探し回る手間は不要です。利用料 金は登録時にデポジットを支払う必要はありますが、1回あたり (最低利用料金)0.5 元(8 円)程度と、より多くの人が気軽に 利用できる価格設定になっています。 中国は深刻な交通渋滞と大気汚染の問題を抱えており、その 原因の 1 つとして挙げられるのが、タクシーやマイカーの近距離 利用であります。中国政府はこの解決策として自転車の再流行を 大いに歓迎し、かつて自転車王国と言われた時代に整備が行われ ている3つの道路(歩道と車道、自転車用レーン)を、今後更に 再整備、拡張していくとしています。 「シェア自転車」の普及は、 政府と民間が一体となって進める、まさに「国家プロジェクト」 へと盛り上がりを見せようとしています。 駐輪スペースに放置されているシェア自転車 筆者撮影 主要道路に整備されている自転車専用レーン 筆者撮影 先日、休日を利用して上海市内を「シェア自転車」に乗り、気ままにサイクリングをしてみました。 ただやはりその時に感じることは、この国の空気の汚さであります。行く先が汚染された空気で霞むほ どのサイクリング風景は、一刻も早い大気汚染対策の必要性を訴える警告ランプに見えます。「シェア 自転車」の普及とその他の環境汚染対策の実現を切に願うばかりです。 2903 広告審査済
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