東京大学前期【地学】解答例

東京大学前期【地学】解答例 第 1 問 問 1 ⑴ 連星間の距離は, 0.4×3×10! ×10!! ×0.01
= 3.8×10! ≒ 4×10! km 3.1
⑵ この連星のそれぞれのブラックホールの質量は, !
3.8×10! ×10!
1
2×10!!
× = 3.0×10 ≒ 3×10 𝑀⊙ !
2
0.01
!
3×10
⑶ 銀河系のハローで,球状星団を構成する種族Ⅱの恒星が進化したものと考え
られる。 ⑷ 𝑎 𝑡! = 𝐶 1 − 𝐴𝑡!
𝑎 𝑡! = 𝐶 1 − 𝐴𝑡!
!
!
!
!
!
= 0 より 𝑡! = ! = 𝑎! より 𝑡! =
𝐶 − 𝑎!!
𝐴
𝑎!!
よって 𝑡! − 𝑡! = 𝐴
⑸ 現在の宇宙の年齢は 138 億年≒4.1×10!" s であり, 𝑎!!
!"
!"
= 𝐴 𝑡! − 𝑡! ≦ 3×10 ×4.1×10
𝑎! ≦
!
𝐶 − 𝑎!!
= 1.23×10 より 𝑡! =
𝐴
!"
123×10!" ≒ 3×10!" よって 𝑎!"# = 3×10!" m これは地球半径の約 5000 倍,太陽半径の約 50 倍であり,巨星の半径に近い。 問 2 ⑴ 3 つの惑星の半径はそれぞれ 𝑅! の, !.!"
≒ 2倍,
!.!"
!!
⑵ 𝑎!"# = !!
!"#
!.!"
= 5倍,
!.!"
! !!!
!
!"
!.!"
!.!"
≒ 4倍である。 ⑶ 求める恒星の質量を 𝑚 𝑀⊙ とすると, 𝑚
3×10!
=
より 𝑚! = 33 よって 𝑚 = 3 𝑀⊙ 𝑚! 100×10!
⑷ 土星の衛星エンケラドゥスの大気には水蒸気が観測されており,質量の大き
な土星の潮汐力などが熱源となって,氷の表面の下に液体の水が存在すると
考えられるため。 第 2 問 問 1 ⑴ 温室効果 ⑵ ア + 9 + 12 + 57 = 100 より, ア = 22 イ + 102 + 30 = 57 + 95 より, イ = 20 ウ + 95 = 114 + 30 より, ウ = 49 したがって,地球のアルベドは, 9 + 22
= 3.1×10!! 100
⑶ 放射によって大気が失うエネルギーの大きさは, 340×
95 + 57 − 20 + 102
= 1.02×10! ≒ 1.0×10! W/m! 100
⑷ 1 日あたりの大気の気温低下率は, 1.02×10! ×8.6×10!
= 8.77×10!! = 8.8×10!! ℃ 1.0×10! ×10!
×1.0×10!
10
⑸ 蒸発による熱輸送の大きさは, 1.0×10! ×10!! ×1.0×10! ×2.5×10!
= 7.81×10 W/m! !
3.2×10
よって,短波放射エネルギーに対する相対値は, 7.81×10
×100 = 2.29×10 ≒ 2.3×10 % 340
また,蒸発による熱輸送の大きさは,熱伝導による熱輸送の 2.29×10
= 3.22 ≒ 3.2 倍 30 − 2.29×10
問 2 ⑴ 高緯度側では海面水温が低く,大気に供給される水蒸気量が少ないから。 赤道付近では転向力が小さく,熱帯低気圧の渦ができにくいから。 ⑵ 𝛼+𝛽 =1
!
!
より, α = ! ,𝛽 = ! −2β = −1
また, !
!
𝑉 = 0.40× 2.5×10! ! ×10! = 2.0×10 m/s ⑶ 台風のまわりには反時計回りに風が吹き,風の方向に対して右向きに転向力
がはたらくため,海洋には台風の中心から外向きの流れが生じ,台風の中心
付近では海水が湧昇するため,水温が低下する。その結果,台風は弱まると
考えられる。 ⑷ 求める水位の上昇は, 1013 − 950 ×10!
= 6.3×10!! m 1.0×10! ×10
⑸ 台風の進行方向前方を吹く風が湾口から湾奥に向かって海水を吹き寄せる力
が働き,水位は湾奥で高くなり,水位の高い方から低い方へはたらく圧力傾
度力とつりあう。 第 3 問 問 1 ⑴ 観測点 1 までの距離は, 6.4×4.0
× 25.000 − 19.375 = 6.0×10 km 6.4 − 4.0
観測点 2 までの距離は, 6.4×4.0
× 30.000 − 22.500 = 8.0×10 km 6.4 − 4.0
⑵ 𝑥! ! + 𝑦! ! = 60! より, 100 − 𝑥! ! + 𝑦! ! = 80!
𝑥! ,𝑦! = 36,48 また,P波が隕石衝突地点から観測点 1 に到達するまでの時間は, 60
= 9.375 秒 6.4
よって,隕石衝突時刻は,3 時 00 分 10 秒 ⑶ ⒝ ⑷ −90° < φ < 90° のとき,⒝ −180° < φ < −90° , 90° < φ < 180° のとき,⒞ ⑸ 初動の向きが⑶の⒝または⒞なら,衝突地点が 0° < θ < 90° であり,初動の
向きが⑶の⒜または⒟なら,衝突地点が−90° < θ < 0° であると特定できる。 問 2 ⑴ ア 花こう イ カリウム-アルゴン ウ 珪線石 エ 紅柱石 オ 接触 ⑵ 開放ニコルで観察したとき,黒雲母には多色性があるが,長石には多色性が
ない。 直交ニコルで観察したとき,黒雲母は赤,黄,青など色鮮やかな干渉色を示
すが,長石の干渉色は白や黒,灰色である。 ⑶ 3000 m より深部での地殻熱流量は, 600 − 350
×2.6 = 1.3 W/m! 3500 − 3000
3000 m より深部の地下増温率は,深成岩体の貫入の影響で平均的な大陸地殻
の地下増温率よりも高いため,本地域の地殻熱流量は,平均的な大陸地殻の
地下増温率よりも高い。 ⑷ 本地熱地域における地震下限深度での温度は 400℃であるから,標準的な内
陸地震発生の下限深度は, 400 − 20
= 1.26×10 ≒ 1.3×10 km 30
⑸ 海嶺直下では,高温のマントル物質が上昇し,圧力の低下によって玄武岩質
マグマが発生しているため,その上の深部では温度が深度とともに直線的に
増加するが,玄武岩質マグマが急冷してできた海洋地殻の浅部では亀裂が生
じて海水が浸透して熱水活動が起こるため,浅部では水の沸騰曲線に近い温
度構造となる。