第4次大淀町総合計画 序 論 第1部 基本構想 第2部 前期基本計画 ( 素案 ) 平成29年 3月 目 次 序 論 1 第1章 計画策定の概要 2 1 計画策定の趣旨 2 2 計画策定における留意事項 2 第2章 計画の構成と期間 3 第3章 大淀町の概要と特性 4 1 大淀町の概要 4 2 町民ニーズの動向 9 3 大淀町の特性と地域資源 18 第4章 新たな時代潮流 21 第5章 大淀町の課題 24 第6章 計画策定の流れ 27 第1部 基本構想 第1章 大淀町の将来像 29 30 1 まちづくりの基本理念・将来像 30 2 まちづくりの基本目標 31 3 将来人口の見通し 33 第2章 地域形成の方向 34 1 土地利用の基本構成 34 2 地域形成の骨組み 37 第3章 施策の体系及び施策の大綱 43 1 施策の体系 43 2 計画の推進のために 44 3 施策の大綱 46 序 論 序 論 1 序 論 第1章 計画策定の概要 1 計画策定の趣旨 総合計画とは、より良いまちづくりを総合的かつ計画的に推進するための町 政の基本方針としての役割と性格をもつものです。町の最上位計画であり、こ の基本方針にのっとりまちづくりを行っていくこととします。 本町では、平成 19 年に第 3 次大淀町総合計画を策定し、この中で掲げた 将来像である「ひともまちも輝く大淀町~安全で住み良い活力あるまちをめざ して~」の実現のために、平成 28 年度を目標年次として計画的にまちづくり を進めてきました。 昭和 50 年代初めから住宅開発が進められ、ベッドタウンとして発展してき た本町も、国勢調査において平成 12 年をピークに、それ以降、人口減少局面 へと突入しました。長期的なビジョンをもってまちづくりを進めていくことの 重要性があらためて認識されるとともに、国と地方公共団体が危機感をもち、 人口減少克服と地方創生に取り組むことが求められています。 このような状況をふまえ、本町では第 3 次大淀町総合計画の計画期間の満 了にともない、町民と行政が一体となってまちづくりに取り組み、大淀町に生 まれてよかった、住んでよかった、そしてこれからも住み続けたいと誰もが感 じられるまちにするため、今後 10 年間の指針となる「第 4 次大淀町総合計 画」をここに策定するものです。 2 計画策定における留意事項 本計画は、住民アンケート調査、まちづくり住民会議、策定審議会、パブリ ックコメント等を通じて、町民視点での意見をひろいあげながら、町民参画・ 協働での策定を行い、みんなで作り上げる総合計画として内容の充実をめざし ました。 また、前計画における達成状況を確認する視点も取り入れ、町職員全員によ る計画策定の検討、立案を行い本計画に反映するとともに、町としてどのよう な理念でまちづくりを進めていき、まちづくりの主な課題にどのような方針で 取り組むのか検討しながら、本計画を策定しました。 2 序 論 第2章 計画の構成と期間 本計画は、「基本構想」と「基本計画」の2部で構成します。その内容と計 画期間は、次のとおりです。 ■ 基本構想 基本構想は、町のめざすべき将来像とそれを実現するための基本方針や施策 の大綱等を示すものです。 計画期間は、平成 29 年度から平成 38 年度までの 10 年間とします。 ■ 基本計画 基本計画は、基本構想に基づき、その実現を図るために必要な施策等を体系 的に示すものです。 基本計画期間は、比較的見通しの立ちやすい5年間を推進期間として、財政 事情なども勘案し、具体的な実効性のある計画として定めるものとし、このう ち前期基本計画は平成 29 年度を初年度とし、平成 33 年度を目標年度としま す。 また、基本計画には施策ごとに成果指標(ベンチマーク)を定め、定期的な 点検を行い、常に時代の流れや町民の意向、施策の進捗状況度合等に応じてマ ネジメントできる仕組みの確立を図ります。 第4次大淀町総合計画の構成と期間 平成 29 30 (2017) 31 32 33 基本構想 基本計画 34 35 36 37 10 年間 前期5年間 後期5年間 前期5年間の評価 3 後期5年間の見直し 38 年度 (2026) 序 論 第3章 大淀町の概要と特性 (※以下は平成 22 年までの国勢調査の結果に基 1 大淀町の概要 づいて記載。平成 27 年の国勢調査の結果が公表 され次第、平成 27 年の数値に差し替え予定。 ) (1) 人口の推移 本町の総人口の推移を見ると、平成 12 年に総人口のピークを迎えました。 昭和 55 年以降、急激な増加を示していましたが、平成 12 年以降は減少に転 じています。平成 22 年の国勢調査の結果によると、19,176 人でしたが、 これは人口がピークに達した平成 12 年と比べて、約 5.9%の減少となってい ます。 また、年齢3区分別人口の推移を見ると、生産年齢人口(15~64 歳)は 平成 12 年まで増加傾向にありました。平成7年から平成 12 年までは、 13,000 人以上となっていましたが、平成 17 年以降は再び減少傾向に転じ、 平成 22 年には 11,924 人と、ピークであった平成 12 年から約 10.1%の減 少となりました。年少人口(15 歳未満)については、昭和 60 年をピークと して減少傾向にあります。平成 22 年には 2,459 人となっており、昭和 60 年と比べて約 33.5%の減少となっています。 これに対して、老年人口(65 歳以上)は一貫して増加傾向にあります。平 成 12 年には老年人口が年少人口を上回り、平成 22 年には、老年人口が年少 人口の約 1.9 倍となっています。また、高齢化率も年々上昇し、平成 22 年 には 24.6%となっています。 総人口の推移 (人) 21,000 20,000 20,015 20,376 20,070 19,000 19,176 18,630 18,000 17,000 16,000 17,453 16,510 15,000 昭和55年 昭和60年 平成2年 平成7年 平成12年 平成17年 平成22年 資料:国勢調査 4 序 論 年齢3区分別人口の推移 (単位:人) 昭和55年 昭和60年 平成2年 平成7年 平成12年 平成17年 平成22年 総人口(年齢不詳を含む) 16,510 17,453 18,630 20,015 20,376 20,070 19,176 3,683 3,698 3,588 3,527 3,179 2,832 2,459 (15歳未満) (22.3%) (21.2%) (19.3%) (17.6%) (15.6%) (14.1%) (12.9%) 生産年齢人口 10,857 11,452 12,312 13,178 13,267 12,831 11,924 (15~64歳) (65.8%) (65.6%) (66.1%) (65.9%) (65.2%) (63.9%) (62.5%) 1,970 2,303 2,730 3,305 3,901 4,407 4,691 (65歳以上) (11.9%) (13.2%) (14.7%) (16.5%) (19.2%) (22.0%) (24.6%) 年齢不詳人口 0 0 0 5 29 0 102 年少人口 老年人口 注:端数処理を四捨五入で行っている関係上、百分率(%)表示の合計が 100 にならない場合があります。 (人) 24,000 20,015 20,376 3,305 3,901 20,070 18,000 17,453 16,510 1,970 総人口 19,176 18,630 2,730 4,407 4,691 2,303 老年人口 (65歳以上) 生産年齢人口 (15~64歳) 12,000 10,857 11,452 12,312 13,178 13,267 12,831 年少人口 (15歳未満) 11,924 年齢不詳人口 6,000 3,683 0 3,698 3,588 3,527 3,179 2,832 2,459 0 0 0 5 29 0 102 昭和55年 昭和60年 平成2年 平成7年 平成12年 平成17年 平成22年 資料:国勢調査 5 序 論 (2) 地理・交通 本町は、竜門山地の西よりに位置し、西は御所市・五條市、北は高取町、南 は下市町、東は吉野町に接しており、面積は 38.1km2、東西約 11km、南北 約 5km となっています。地形的には全体として北東部で標高が高く約 600 mの起伏の大きな山地が連なっています。中央部では標高 220m~260m前 後の台地の地形となっており、南西や南に向かって標高が低下して標高約 130mの吉野川(紀の川)河谷に連なっています。丘陵地や台地の一部では、 宅地造成やゴルフ場開発などによる地形改変が行われており、これらの土地は、 造成により尾根・谷を切土・盛土され平坦地化されています。 道路網は、国道 169 号、309 号、370 号及び7路線の県道が広域的幹線 として町と周辺地域を結び、町道が町内を結んでいます。都市計画道路は 12 路線ですが、うち5路線は未整備です。 鉄道は、近鉄吉野線が町内を通り、薬水駅、福神駅、大阿太駅、下市口駅、 越部駅、六田駅の6つの駅があり、町の中心は下市口駅です。近鉄吉野線は大 阪阿部野橋駅に直通し、橿原神宮前駅で奈良・京都方面に連絡しています。ま た、吉野口駅ではJR和歌山線に連絡し、和歌 山、高田、王寺方面に連絡しています。 路線バスは、黒滝村や天川村への中継地点と もなる下市口駅及び大淀バスセンターから、町 内各地域及び周辺市町村を結ぶ路線が発着して います。また、平成 14 年度から運行していた 福祉バス(ふれあいバス)を再編し、平成 28 年度よりコミュニティバス(よどりバス)と、 デマンド型交通(よどりタクシー)として、運 行しています。 大淀町概略図 6 序 論 (3) 産業 本町の農業は、稲作・果樹・野菜の3本柱から構成されますが、特に果樹(日 本梨)が主力農産物となっており、全経営体数(販売農家)の約3分の1を占 めます。都市圏への近さを利用して、消費者への直接販売や観光農園を手がけ る農家が目立つのが特徴です。梨以外にも、古くから伝わるお茶の栽培も行わ れています。また、農地の有効活用や、農業生産の合理化・効率化のために集 落営農組織を立ち上げるグループも出てくるなど、新たな取り組みが進められ ています。平成 13 年にオープンした道の駅・吉野路大淀iセンターは、吉野 地域の情報発信拠点としての役割をもつ一方で、野菜をはじめとする地場産物 などを販売しており、多くの来訪者に情報と特産品などを提供し好評を得てい ます。 林業を取り巻く環境は厳しく、木材需要の低迷、林業経費の高謄、労働力の 劣弱化などに起因して、林業生産意欲と活動が停滞しています。このような中、 伐採、造林、保育などの施業が滞りがちになり、放置同然の森林の増加への対 応が大きな課題になっています。また、林業後継者が育たない現実も林業の低 迷に拍車をかけています。森林整備の遅れは、経済的な価値の低下のみならず、 森林の荒廃をも招く恐れもあることから、重視すべき機能の発揮を考慮した適 正な森林整備が急務となっています。このような状況の中、平成 27 年に木材 由来の資源「木質バイオマス」による発電所が本町で稼働を開始しました。発 電能力は 6,500kw で、およそ12,000 世帯分の電力を供給できます。燃料 は間伐材や未利用木材が 50%を占め、製材する際に出る端材やダム流木も利 用されます。 商業は、町内に大型店等が進出し、吉野地域の商業の中心地としての一面を みせていますが、商店街等の機能低下が著しくなっています。平成 26 年の商 業統計調査の結果によると、事業所数は 172 事業所、従業者数は 1,081 人、 年間商品販売額は約 213 億円となっており、近年、事業所数と従業者数はと もに減少傾向にありますが、年間商品販売額はやや回復の兆しが見えています。 町内の小売業・卸売業の推移 事業所数 従業者数 年間商品販売額 (事業所) (人) (億円) 平成 16 年 273 1,436 274 平成 19 年 265 1,485 280 平成 24 年 200 1,169 188 平成 26 年 172 1,081 213 資料:商業統計調査 7 序 論 工業は、林業との関連が深い「木材・木製品製造業」と「家具・装備品製造 業」の木材に関連する産業が主要なものとなっています。平成 26 年の工業統 計調査の結果によると、事業所数は 36 事業所、従業者数は 685 人、製造品 出荷額等は約 120 億円となっています。近年、事業所数は減少傾向にありま すが、従業者数、製造品出荷額等はともに微増傾向にあります。 町内の製造業の推移 事業所数 従業者数 製造品出荷額等 (事業所) (人) (億円) 平成 19 年 44 767 118 平成 20 年 45 689 118 平成 21 年 39 641 102 平成 22 年 35 615 86 平成 23 年 46 679 83 平成 24 年 42 668 116 平成 25 年 41 697 118 平成 26 年 36 685 120 資料:工業統計調査 観光は、特産品の梨狩りをはじめ、世尊寺や泉徳寺、桧垣本八幡神社といっ た寺社仏閣や古墳めぐり、ハイキングなどにより町外からの誘客を図っていま す。道の駅・吉野路大淀iセンターは、食事休憩などでマイカーや観光バスで 訪れる方をはじめとする大勢の観光客等に利用されています。その他、本格的 なゴルフコースが3箇所あるほか、吉野川を望む景観やお茶の産地である中増 地区などで、心癒される里山風景が広がり、これらも観光・レクリエーション 資源としてあげられます。 8 序 論 2 町民ニーズの動向 本計画の策定にあたって、平成 27 年9月に満 19 歳以上の町民の中から無 作為に抽出した 2,000 人を対象にアンケート調査を実施しました。有効回答 985 票、有効回収率 49.3%でした。 また、これからの大淀町を背負っていく中学生と高校生を対象として、同様 に意識やニーズ動向についてのアンケート調査もあわせて行いました。これら の結果からまちの現状評価や今後期待するまちづくりの方向性など、新たなま ちづくりに向けた町民ニーズをまとめると次のとおりです。 (1) 町民のまちへの愛着度と今後の定住意向について 大淀町に愛着を「大いに感じている」と「どちらかといえば感じている」を あわせた“愛着を感じている”と回答した町民はおよそ 65%、大淀町に今後 も「住み続けたい」と「どちらかといえば住み続けたい」をあわせた“住み続 けたい”と回答した町民はおよそ 67%となりました。また、高校生では“愛 着を感じている”が 55.2%、 “住み続けたい”が 36.1%で、中学生では“愛 着を感じている”が 55.1%、 “住み続けたい”が 37.9%となっており、町民 全体の愛着度、定住意向も高いとは言えない中、これからの大淀町を担う若者 世代ではより低い結果となっています。 これらのことから、人口流出を食い止め、定住を促すためにも愛着度や定住 意向を高めるための施策が必要とされています。 9 序 論 まちへの愛着度 24.3 40.8 (402) (239) 0% 10% 20% 30% 40% 大いに感じている どちらともいえない まったく感じていない 50% 60% 70% 19.4 8.8 3.4 3.4 (191) (87) (33)(33) 80% どちらかといえば感じている どちらかといえば感じていない 無回答 90% 100% 有効回答数 = 985 今後の定住意向 42.2 (416) 0% 10% 20% 住み続けたい どちらともいえない 住みたくない 24.7 (243) 30% 40% 50% 60% 70% どちらかといえば住み続けたい どちらかといえば住みたくない 無回答 17.6 (173) 80% 8.5 2.5 4.5 (84) (25) (44) 90% 有効回答数 = 985 注:カッコ内は回答数 10 100% 序 論 (2) まちの各環境に関する満足度 まちの各環境について、現在どの程度満足しているかを把握するため、まち の基盤づくり、安全・安心・快適な暮らしづくり、人間性豊かな暮らしづくり、 活力のある暮らしづくり、すこやかな暮らしづくりの5分野 42 項目を設定し、 項目ごとに「満足している」、 「どちらかといえば満足している」、 「どちらとも いえない・わからない」 、 「どちらかといえば不満である」、 「不満である」の5 段階で評価してもらい、加重平均値による数量化で評価点(満足度:最高点 10 点、中間点0点、最低点-10 点)を算出しました。 その結果、満足度が高い上位 10 項目と、満足度が低い下位 10 項目を一覧 にすると下表のとおりでした。満足度が低い項目を見ると、上位 3 位は共通 して“土地利用”が課題となっていることがわかり、さらに“交通”、 “産業振 興”に対しての満足度が低くなっています。いずれも行政だけでは解決するこ とのできない課題であり、町民や関係団体、企業等を含めた総合的な取り組み が課題となっていることがうかがえます。 ● 満足度が最も高い項目は「上水道の整備状況」。次いで「消防・救急体制 の状況」、 「廃棄物の収集、処理状況」の順。 ● 満足度が最も低い項目は「都市拠点の整備状況」。次いで「公園・緑地の 整備・維持管理状況」、 「土地利用の状況」の順。 満足度が高い上位 10 項目 満足度が低い下位 10 項目 上水道の整備状況 都市拠点の整備状況 消防・救急体制の状況 公園・緑地の整備・維持管理状況 廃棄物の収集、処理状況 土地利用の状況 下水道の整備状況 交通ネットワークの整備状況 斎場・墓地の整備・維持管理状況 雇用対策への取り組み 保健サービスの提供体制の状況 新しい産業振興の取り組み 人権尊重のまちづくりの取り組み 商業・サービス業振興の取り組み 文化・芸術活動振興の取り組み状況 観光振興の取り組み 就学前教育環境の整備状況 工業振興の取り組み 歴史文化遺産の保存、活用の状況 医療体制の整備状況 11 序 論 まちの各環境に関する満足度 (単位:評価点) 満足 不満 全体 -5 1 まちの基盤づくり -4 -3 -2 -1 3 -0.41 0.13 住宅・市街地整備の状況 -0.17 景観保全・緑化の取り組み -1.61 公園・緑地の整備・維持管理状況 3.64 上水道の整備状況 2.19 下水道の整備状況 2.32 廃棄物の収集、処理状況 1.61 斎場・墓地の整備・維持管理状況 2.48 消防・救急体制の状況 0.23 防災体制の状況 -0.23 防犯体制の整備状況 -0.07 交通安全対策への取り組み -0.53 新エネルギー導入の状況 3 人間性豊かな暮らし づくり 0.98 人権尊重のまちづくりの取り組み 0.53 男女共同参画への取り組み 0.66 就学前教育環境の整備状況 0.53 学校教育環境の整備状況 0.26 生涯学習環境の整備状況 -0.05 生涯スポーツ環境の整備状況 -0.33 国内外での交流活動の取り組み状況 0.65 歴史文化遺産の保存、活用の状況 0.81 文化・芸術活動振興の取り組み状況 0.53 文化活動拠点の改善への取り組み 4 活力のある暮らし づくり -0.09 農業振興の取り組み -0.60 林業振興の取り組み -0.89 工業振興の取り組み 商業・サービス業振興の取り組み -0.99 観光振興の取り組み -0.97 -1.16 新しい産業振興の取り組み 5 すこやかな暮らし づくり 4 -1.37 土地利用の状況 安全・安心・快適な 暮らしづくり 2 -3.29 環境保全と環境美化への取り組み 2 1 -0.10 情報化社会への対応 都市拠点の整備状況 0 -1.35 交通ネットワークの整備状況 -0.01 保健・医療・福祉ネットワークの整備状況 1.23 保健サービスの提供体制の状況 -0.82 医療体制の整備状況 -0.44 子育て支援体制の整備状況 0.02 高齢者支援体制の整備状況 -0.18 障がい者(児)支援体制の状況 -0.46 バリアフリー化への取り組み -1.24 雇用対策への取り組み -0.43 消費者対策の取り組み 12 5 序 論 (3) まちの各環境に関する重要度 まちの各環境について、今後どの程度重視しているかを把握するため、満足 度と同じ5分野 42 項目について、 「重視している」、 「やや重視している」、 「ど ちらともいえない・わからない」、 「あまり重視していない」 、 「重視していない」 の5段階で評価してもらい、加重平均値による数量化で評価点(重要度:最高 点 10 点、中間点 0 点、最低点-10 点)を算出しました。 その結果、重要度が高い上位 10 項目は下表のとおりでした。重要度の高い 上位項目をみると、“安全”や“安心”といった住民生活に直接的に関係のあ る項目への関心が高いといえます。現在の取り組みを振り返り、改善していく ことはもちろんのこと、サービス等を利用していなかったり、なじみが薄かっ たりする町民にどのような取り組みが行われているのかしっかりとわかりや すく周知、広報していくことも大きな課題といえます。 ● 重要度が最も高い項目は「医療体制の整備状況」。次いで「保健・医療・福 祉ネットワークの整備状況」、 「消防・救急体制の状況」、 「保健サービスの提 供体制の状況」、 「防犯体制の整備状況」の順。 重要度が高い 10 項目 第1位 医療体制の整備状況 第2位 保健・医療・福祉ネットワークの整備状況 第3位 消防・救急体制の状況 第4位 保健サービスの提供体制の状況 第5位 防犯体制の整備状況 第6位 高齢者支援体制の整備状況 第7位 上水道の整備状況 〃 廃棄物の収集、処理状況 第9位 防災体制の状況 第 10 位 交通安全対策への取り組み 13 序 論 まちの各環境に関する重要度 (単位:評価点) 重要 全体 1 まちの基盤づくり 0 1 2 3 4 5 3.24 3.80 都市拠点の整備状況 2.88 土地利用の状況 4.22 環境保全と環境美化への取り組み 安全・安心・快適な 暮らしづくり 3.84 住宅・市街地整備の状況 3.60 景観保全・緑化の取り組み 3.71 公園・緑地の整備・維持管理状況 4.85 上水道の整備状況 4.55 下水道の整備状況 4.85 廃棄物の収集、処理状況 2.63 斎場・墓地の整備・維持管理状況 5.41 消防・救急体制の状況 4.78 防災体制の状況 5.03 防犯体制の整備状況 4.71 交通安全対策への取り組み 1.78 新エネルギー導入の状況 3 人間性豊かな暮らし づくり 2.24 人権尊重のまちづくりの取り組み 1.90 男女共同参画への取り組み 3.28 就学前教育環境の整備状況 3.76 学校教育環境の整備状況 2.75 生涯学習環境の整備状況 2.36 生涯スポーツ環境の整備状況 国内外での交流活動の取り組み状況 歴史文化遺産の保存、活用の状況 文化・芸術活動振興の取り組み状況 文化活動拠点の改善への取り組み 4 活力のある暮らし づくり 1.07 2.03 1.85 1.76 2.13 農業振興の取り組み 林業振興の取り組み 工業振興の取り組み 1.54 2.25 3.12 商業・サービス業振興の取り組み 観光振興の取り組み 新しい産業振興の取り組み 5 すこやかな暮らし づくり 2.60 2.98 5.47 保健・医療・福祉ネットワークの整備状況 5.30 保健サービスの提供体制の状況 6.00 医療体制の整備状況 4.20 子育て支援体制の整備状況 4.99 高齢者支援体制の整備状況 3.83 障がい者(児)支援体制の状況 4.31 バリアフリー化への取り組み 3.90 雇用対策への取り組み 消費者対策の取り組み 14 7 4.39 交通ネットワークの整備状況 情報化社会への対応 2 6 2.92 序 論 (4) 満足度と重要度の相関(優先度) 前項まででみてきた満足度と重要度の分析結果を踏まえ、今後優先的に取り 組むべき施策項目を抽出するための一つの試みとして、満足度評価と重要度評 価を相関させた散布図を作成しました。このグラフでは、左上隅の「満足度評 価最低・重要度評価最高」に近づくほど優先度が高くなり、右下隅の「満足度 評価最高・重要度評価最低」に近づくほど優先度が低くなります。この散布図 による数量化[下記参照]で優先度(評価点:最高点 42.43 点、中間点0点、 最低点-42.43 点)を算出しました。 この結果をみると、優先度は、「都市拠点の整備状況」(15.04 点)が第1 位で、次いで「医療体制の整備状況」(14.97 点)が第2位、「交通ネットワ ークの整備状況」 (11.36 点)が第3位、以下、 「保健・医療・福祉ネットワー クの整備状況」(8.00 点)、「公園・緑地の整備・維持管理状況」 (7.79 点)、 「防犯体制の整備状況」 (7.52 点)、 「雇用対策への取り組み」 (7.46 点)、 「バ リアフリー化への取り組み」(6.42 点)、「子育て支援体制の整備状況」・「高 齢者支援体制の整備状況」(同点 5.93 点)などの順となっています。 ※散布図による評価点(優先度)の算出方法 ① 散布図を作成するため満足度偏差値・重要度偏差値を算出する。 例: 「雇用対策への取り組み」→満足度偏差値 39.77…、重要度偏差値 53.23… ② ①で算出した偏差値から、平均(中心)からの距離を算出する。 例: 「雇用対策への取り組み」→10.73…= (39.77-50)2 +(53.23-50)2 ③ 平均(中心)から「満足度評価最低・重要度評価最高」への線と平均(中心)から各項目への線の角度を求める。 例: 「雇用対策への取り組み」→27.45 度 ④ ③で求められた角度より修正指数を算出する(指数は下記のとおり設定し、左上隅の「満足度評価最低・重要度 評価最高」に近づくほど得点が高くなる) 。 例: 「雇用対策への取り組み」→0.6949=(90-27.45)×(1÷90) ⑤ ②で算出された平均(中心)からの距離と④で算出された修正指数から優先度を算出する。 例: 「雇用対策への取り組み」→7.46=10.73…×0.6949… 距離・角度 指数の設定 80.0 80.0 雇用対策への取組み 雇用対策への取組み 0.5 1.0 0.0 角度(27.45度) 50.0 -0.5 50.0 0.5 距離(10.73) 重 要 度 評 価 20.0 20.0 満足度評価 重 要 度 評 価 50.0 0.0 20.0 20.0 満足度評価 80.0 15 -1.0 -0.5 50.0 80.0 序 論 満足度と重要度の相関(優先度) 90.0 80.0 優先度 高 70.0 5-③ 5-① 2-⑩ 5-② 5-⑤ 2-⑧ 2-⑪ 60.0 5-⑧ 5-④ 5-⑥ 2-③ 2-② 4-④ 1-② 4-⑥ 1-③ 50.0 1-④ 重 要 度 評 価 1-⑤ 2-① 3-③ 5-⑨ 3-⑤ 4-① 2-⑫ 3-⑨ 3-⑩ 4-② 30.0 2-⑦ 3-① 3-⑧ 3-⑥ 4-③ 3-② 3-⑦ 優先度 低 20.0 10.0 10.0 2-④ 3-④ 4-⑤ 40.0 2-⑥ 2-⑤ 2-⑨ 5-⑦ 1-① 20.0 30.0 40.0 50.0 60.0 70.0 80.0 90.0 満足度評価 優先度高い 1-③ 都市拠点の整備状況 5-③ 医療体制の整備状況 1-① 交通ネットワークの整備 状況 5-① 保健・医療・福祉ネットワ ークの整備状況 2-③ 公園・緑地の整備・維持 管理状況 2-⑩ 防犯体制の整備状況 5-⑧ 雇用対策への取り組み 5-⑦ バリアフリー化への取り組 み 5-④ 子育て支援体制の整備状況 5-⑤ 高齢者支援体制の整備状況 優先度低い 1-⑤ 環境保全と環境美化への 取り組み 2-⑪ 交通安全対策への取り組み 2-⑨ 防災体制の状況 1-④ 土地利用の状況 5-⑥ 障がい者(児)支援体制の状況 4-⑥ 新しい産業振興の取り組み 4-④ 商業・サービス業振興の取り組 み 5-② 保健サービスの提供体制の状況 2-② 景観保全・緑化の取り組み 2-① 住宅・市街地整備の状況 4-⑤ 観光振興の取り組み 16 2-⑦ 斎場・墓地の整備・維持管理 状況 3-① 人権尊重のまちづくりの取り組 み 3-⑨ 文化・芸術活動振興の取り組 み状況 3-⑩ 文化活動拠点の改善への取り組 み 3-⑧ 歴史文化遺産の保存、活用の 状況 3-② 男女共同参画への取り組み 2-④ 上水道の整備状況 3-⑦ 国内外での交流活動の取り組 み状況 4-② 林業振興の取り組み 4-① 農業振興の取り組み 3-⑤ 生涯学習環境の整備状況 2-⑤ 下水道の整備状況 2-⑫ 新エネルギー導入の状況 3-⑥ 生涯スポーツ環境の整備状況 3-③ 就学前教育環境の整備状況 2-⑥ 廃棄物の収集、処理状況 2-⑧ 消防・救急体制の状況 4-③ 工業振興の取り組み 3-④ 学校教育環境の整備状況 1-② 情報化社会への対応 5-⑨ 消費者対策の取り組み 序 論 満足度と重要度の相関(優先度) (単位:評価点) 優先度 高 優先度 低 全体 1 まちの基盤づくり -25 -20 -15 -10 -5 0 5 10 15 11.36 交通ネットワークの整備状況 -0.44 情報化社会への対応 15.04 都市拠点の整備状況 2.96 土地利用の状況 2 2 安全・安心・快適な 暮らしづくり 5.72 環境保全と環境美化への取組み 0.86 住宅・市街地整備の状況 1.47 景観保全・緑化の取組み 7.79 公園・緑地の整備・維持管理状況 上水道の整備状況 -8.65 -4.25 下水道の整備状況 -3.61 廃棄物の収集、処理状況 斎場・墓地の整備・維持管理状況 -11.87 -2.16 消防・救急体制の状況 4.08 防災体制の状況 7.52 防犯体制の整備状況 5.31 交通安全対策への取組み -4.22 新エネルギー導入の状況 3 人間性豊かな暮らし づくり 人権尊重のまちづくりの取組み 男女共同参画への取組み -11.65 -9.30 -3.85 就学前教育環境の整備状況 -0.93 学校教育環境の整備状況 生涯学習環境の整備状況 -4.37 生涯スポーツ環境の整備状況 -4.14 国内外での交流活動の取組み状況 歴史文化遺産の保存、活用の状況 文化・芸術活動振興の取組み状況 文化活動拠点の改善への取組み 4 活力のある暮らし づくり -7.88 -9.64 -11.44 -9.84 農業振興の取組み -4.83 林業振興の取組み -4.88 工業振興の取組み -1.09 2.47 商業・サービス業振興の取組み 0.45 観光振興の取組み 2.53 新しい産業振興の取組み 5 すこやかな暮らし づくり 8.00 保健・医療・福祉ネットワークの整備状況 2.03 保健サービスの提供体制の状況 14.97 医療体制の整備状況 5.93 子育て支援体制の整備状況 5.93 高齢者支援体制の整備状況 2.65 障がい者(児)支援体制の状況 6.42 バリアフリー化への取組み 7.46 雇用対策への取組み 消費者対策の取組み 17 20 -0.38 25 序 論 3 大淀町の特性と地域資源 新たなまちづくりの方向性を決定するにあたっては、本町の特性・資源を最 大限に生かし、さらに伸ばしていくという考え方がたいへん重要です。基礎調 査から見えてくる本町の代表的な特性・地域資源は、次のとおりです。 特性・資源1 都心へのアクセスが容易なまち 近鉄下市口駅から特急利用で、大阪阿部野橋駅まで約1時間、近鉄奈良駅ま で約1時間 20 分、京都駅まで約1時間 30 分です。車では、近隣の橿原市(橿 原神宮前駅)まで約 20 分、大阪市内(市役所)まで約1時間 15 分となって おり、さまざまな地域に通勤や通学が可能なまちです。また、吉野地域の玄関 口として交通の要衝であることから、鉄道においても、車による移動において もアクセス性が優れており、観光面などにおいて非常に有利な位置にあるまち といえます。 特性・資源2 医療施設が充実しているまち 本町には、11 の医療機関、7の歯科診療所と多くの医療施設が所在してい ます。(平成 28 年4月現在) とりわけ、平成 28 年4月には福神地区に 232 の病床と 25 の診療科をも つ南奈良総合医療センターが開院しました。これまでは県立五条病院、町立大 淀病院、吉野町国民健康保険吉野病院がそれぞれに地域医療を支えてきました が、これら3つの公立病院をひとつの救急病院(南奈良総合医療センター)と 2つの慢性期病院(五条病院、吉野病院)に役割分担の上再編されました。 これにともない、永きにわたり地域医療を支え続けてきた町立大淀病院につ いては閉院となりましたが、住み慣れた地域で安心して暮らし続けられる新し い仕組みづくりがなされ、救急医療、災害医療対策、地域に密着した医療サー ビスが提供される病院として更なる強化が図られ、地域に大きく貢献すること が期待されています。 また、町立大淀病院跡地については、福祉・健康を中心として公的機関の集 約をはじめとした空間づくりが検討されています。 18 序 論 特性・資源3 歴史・文化が息づくまち 町内には、飛鳥時代に建立された古刹や修験道をはじめ、様々な時代背景を もつ寺社や仏像、古墳、遺跡、民俗行事などの歴史的遺産があります。また、 ユネスコの世界無形遺産となっている能楽(猿楽)発祥の地のひとつとしても 知られ、ちびっ子桧垣本座などの次世代への伝承活動にも熱心に取り組んでい ます。こうした有形・無形の文化財・歴史的風土は町民共有の資産であり、ま ちの大きな魅力の一つです。 特性・資源4 快適住環境のまち 世界遺産「吉野・大峯」の山並みを望み、清流吉野川の美しい景観と自然が 身近に感じられる環境の中、本町には多くの優良な住宅地があります。充実し た設備のあらかしホールや約 11 万冊の蔵書を有する図書館もあります。子育 て支援も充実しており、保育所は町立・民間あわせて5箇所あり、待機児童は 発生していません。スーパーマーケット、コンビニエンスストア、ドラッグス トア、商店街といろいろな買い物先が充実しています。さらに、歴史的に大き な災害が少ない地域であり、防災面においても町民の満足度は高いといえます。 また、こうした住環境を支えるものとして、自治会活動をはじめ、自主防災 組織や消防団などの町民活動も活発に行われており、安全で快適な住環境が維 持されています。 特性・資源5 道の駅・吉野路大淀 i センターのあるまち 道の駅・吉野路大淀iセンターは、年間 60 万人が立ち寄る、本町のランド マークです。生産者、地域住民、観光客との交流・情報発信拠点として、安全・ 安心で新鮮な農産物の販売、イベントの開催等を実施しています。レストラン では地域の特産品を活用した新メニューの開発・提供に取り組んでいます。こ のように様々な役割を担う道の駅は、今後も大きな可能性を秘めた本町のかけ がえのない財産です。 19 序 論 特性・資源6 「ひと」と「マンパワー」が充実したまち 本町では、様々な町民活動が活発に行われています。さらに、ボランティア 活動やイベントの企画・実施・運営、サロン活動といった、行政に依存せず、 自立した「ひと」の力と、協働のまちづくりにかかせない素地・素養が十分に 根付いているまちであるといえます。 20 序 論 第4章 新たな時代潮流 めまぐるしく変化する現代の社会・経済の中、本町を取り巻く環境は大きく 変化し、多様性が増しています。新しい総合計画の策定にあたり、ふまえるべ き主な時代潮流は次のとおりです。 時代潮流1 少子高齢化の進行と人口減少社会の到来 団塊の世代が全員後期高齢者になる「2025 年問題」がクローズアップさ れています。社会保障費用の爆発的増加と世代間格差の問題がより鮮明なもの になると考えられています。今後の大きな流れとして、止めることの困難な高 齢化と、現在の少子化状態が今後も継続することで、人口構造の変化がより顕 著になります。生産年齢層の急激な減少による労働力不足、社会保障費の現役 世代の負担増などの影響が大きな問題になると予測されています。 このような状況に対応して、平成 26 年 11 月に「まち・ひと・しごと創生 法」が成立しました。若い世代の就労・結婚・子育ての希望の実現や仕事と生 活の調和を図り、地域の特性を生かした魅力ある就業の機会を創出することな どを掲げ、地方での就労機会を増やし、希望をもてる社会が形成されるよう環 境を整備するものです。本町においても、平成 27 年に策定した、大淀町地方 創生総合戦略を推進していく必要があります。 時代潮流2 懸念される社会的格差の拡大 「収入などの格差が個人の努力では埋めがたいほど大きい社会である」と考 える若者が多くなっている、という世論調査結果があります。これまでは個人 の努力で埋めることができると思われていた格差が、近年急速に個人の努力で は埋めがたいものになりつつあります。 また、平成 26 年7月に発表された厚生労働省の国民生活基礎調査では、お よそ6人に1人にあたる 16.3%の子どもが貧困状態にあるとされ、文部科学 省の調査では、親の経済力と子どもの学力との相関関係が示されました。 このような状況をふまえ、さまざまな主体がそれぞれの知恵や技術、情熱を 持って取り組むことにより、格差の固定化や貧困の連鎖を食い止めるための方 策が求められています。 21 序 論 時代潮流3 情報通信技術と国際化の進展 情報通信技術の進展はとどまることなく、医療・福祉や教育をはじめ、今ま でとは異なる分野での活用も始まっています。例えば、介護ロボットの実用化 や自動車の自動運転の実現に向けて、盛んに技術開発が行われています。介護 ロボットは、深刻化している介護業界の人手不足の解決に、自動運転は、過疎 地域の公共交通や、物流システムの大きな転換点になると期待されています。 また、情報通信技術の進展等で、人・物・情報の地球規模での交流・移動が さらに活発化することにより、グローバリゼーションが進展しており、まちづ くりの視点でも国際化への対応が必要になります。 さらに、公共データの活用促進、すなわちオープンデータ化の推進により、 行政の透明性・信頼性の向上、国民参加・官民協働の推進、経済の活性化、行 政の効率化を、国民、企業、行政が一体となって進められることが期待されて います。ビッグデータや機械学習の活用とあわせて、マーケティング手法を政 策に取り入れることにより、今までとは違った形での行政サービスが可能とな るため、これらの取り組みも求められています。 時代潮流4 多様な価値観と人権意識の浸透 同和問題・高齢者・障がい者・子ども・外国人・女性等に対する差別・偏見 など、様々な人権課題を解消していくことの重要性があらためて認識されるよ うになってきています。まちづくりにおいては、ノーマライゼーションや共生 化の理念に基づき、差別のない人権尊重のまちづくりをめざす必要があります。 また、同性愛や同性婚、結婚しない・子どもをつくらない生き方、男性の育 児休業取得や専業主夫といった、今まで少数派であったがゆえ、声をあげるこ とができず、うかがい知ることのなかった様々な価値観や考え方が表面化して います。 さらに、高齢者・障がい者をはじめとする社会的弱者も、希望をもって地域 で生活していけるよう、バリアフリーなどの都市基盤・生活環境分野の施策や 保健・医療・福祉分野の施策と連携を図る必要があります。 22 序 論 時代潮流5 東京オリンピック、パラリンピック開催に向けた機運の高まり 平成 32 年に開催が予定されている東京オリンピック、パラリンピックに向 けて、スポーツのみならず、経済や文化、観光、国際交流、教育など、様々な 分野において機運が高まっています。 特に文化プログラムでは、我が国の文化財や伝統等の価値を世界に発信する とともに、文化芸術が生み出す社会への波及効果を生かして、諸課題を乗り越 え、成熟社会に適合した新たな社会モデルの構築につなげていくことが求めら れています。 「文化芸術立国」の実現のために、多様な文化芸術活動の発展や、 歴史文化遺産の着実な保存・活用をめざし、組織委員会、関係省庁等と連携し て、文化プログラムが推進されます。世紀のイベントとされる東京オリンピッ クをスポーツ振興だけではなく、文化的施策の絶好の機会ととらえ、有効に活 用する取り組みが必要です。 さらに平成 29 年には本県において第 32 回国民文化祭、第 17 回全国障害 者芸術・文化祭の実施が予定されており、平成 33 年には、本町町制施行 100 周年の記念行事も予定しています。歴史ある本町独自の文化政策をどのように 次世代へつなげていけるかが大きな課題です。 時代潮流6 環境問題への取り組みの重要性の高まり 地球温暖化がさらに深刻化する中、平成 27 年に開催された国連気候変動枠 組条約第 21 回締約国会議(COP21)においてパリ協定が採択され、すべ ての国が温室効果ガス削減目標をもって取り組みを進める国際的枠組みが成 立しました。持続可能な社会の実現のため、国際公約として掲げた我が国の温 室効果ガス排出削減目標を達成できるよう、一連の取り組みをさらに積極的に 推し進めていくことが必要です。 また、平成 24 年に閣議決定された第四次環境基本計画においてめざすべき 持続可能な社会とは、人の健康や生態系に対するリスクが十分に低減され、 「安 全」が確保されることを前提として、「低炭素」・「循環」・「自然共生」の各分 野が、各主体の参加の下で、統合的に達成され、健全で恵み豊かな環境が地球 規模から身近な地域にわたって保全される社会であるとされています。太陽光 発電や木質バイオマス発電などの再生可能エネルギーの活用は一つの大きな 手法であり、地域特性を生かしながらその特徴や用途に応じて利活用すること が求められています。 23 序 論 第5章 大淀町の課題 様々な基礎調査から見えてきた本町におけるまちづくりの代表的な課題と して、以下の課題があげられます。これらの課題を、克服するための施策を展 開していく必要があります。 課題1 人口減少社会を見据えたまちづくり 本町においても本格的な人口減少局面に入りました。少子化・高齢化の流れ は、高齢社会から超高齢社会へ移行するとともに、社会的に大きな転換点を迎 えることとなります。今までのまちづくりにおいては、人口増加を前提とした 考え方での取り組みでしたが、今後は、人口減少を視野に入れた施策を行って いく必要があり、ハード面のみならず、ソフト面での対策が求められています。 人口減少社会においては、年少人口、生産年齢人口の減少にともない、労働 人口の減少や税収減、経済活動の収縮といった問題が予測されています。この ような状況を打破するためには、転入促進で人口の社会増を図ることや、出生 率を向上させることで人口減少を食い止め、活力あるまちづくりに向けた施策 にしっかりと取り組んでいくことが非常に重要です。 また、一方で、出生率が多少向上しても今後数十年間の人口減少は避けられ ないことから、社会システムの再構築を行うなど人口減少社会に現実的に対応 するよう取り組みを進めることも重要であり、この二つの対応を複眼的に進め ていくことが必要です。 24 序 論 課題2 高齢化問題を克服するための対策 今後、高齢化の進展にともない社会保障費の高騰が見込まれています。平成 28 年6月に閣議決定された「ニッポン一億総活躍プラン」においては、人口 が減少する中で成長力を確保していくためにも、高齢者の就業率を高めていく ことが重要である、と述べられています。そのためには、働きたいと願う高齢 者の雇用継続の延長や定年引上げに向けた環境を整えるとともに、希望をかな えるための就職支援の充実などに取り組まなければなりません。 さらに、元気高齢者の活躍とともに、健康寿命の延伸や介護予防の取り組み、 医療保険財政の改善も必要です。 課題3 若者世代・子育て世代が将来に希望を持てる支援 若者の結婚、出産といった希望をかなえるためには、安定した収入を確保す る必要があります。企業誘致や起業支援といった取り組みをさらに発展させて、 雇用の拡大や就労機会の増加をめざす必要があります。雇用面からだけではな く、晩婚化の流れを食い止めるべく、行政が積極的に結婚支援を行う必要もあ ります。 また、女性の社会進出や核家族化が進む中、家事や育児が女性にとって大き な負担となっているとも考えられることから、就労支援とあわせて、家事・生 活支援や、より一層の子育て支援が今後必要になるものと考えられます。 25 序 論 課題4 公共交通ネットワークの検討・構築 本町の特性のひとつとして、交通利便性が高く都心へのアクセスが容易なま ちであることがあげられ、自家用車や鉄道の最寄り駅、路線バスの最寄停留所 を容易に利用できる方々には大きな利点となっています。 その一方で、人口減少や自動車交通への依存にともなって公共交通機関の利 用率が低下していることから、一部路線バスでは廃止や縮小とサービス水準が 低下しており、利用することができる交通手段が限られる人や子ども、高齢者 には、町内の移動だけを見ても、困難をともなうようになりつつあります。ま た、高齢化の進展や、高齢者世帯(『高齢者の単独世帯』・『高齢夫婦のみの世 帯』)の増加などにより、通院や買い物などの日常生活における移動手段とし て公共交通を求める声が高まってきています。今後の人口減少や高齢化の進展 をふまえると、問題が深刻化することが懸念され、公共交通ネットワークの検 討・構築が必要とされています。 課題5 下市口駅周辺(大淀交流拠点)の整備 住民アンケート調査の結果におけるまちの各環境に関する満足度において、 「都市拠点の整備状況」が最も低い結果となっています。とりわけ、本町の玄 関口である下市口駅周辺は公共交通の結節点であるとともに、町内で唯一の商 店街が形成されてきました。しかしながら、道路幅員が狭隘であり、商店街の 空洞化も進行しています。駅前のにぎわいを取り戻すためには、周辺の町立大 淀病院跡地なども含めた一体的な整備が必要です。奈良県との包括協定の締結 を足掛かりとして、着実に整備を進めていく必要があります。 26 序 論 第6章 計画策定の流れ 本計画の策定にあたっては、第3次大淀町総合計画基本構想と後期基本計画 の達成状況をふまえつつ、直近の町民ニーズの動向や時代潮流等を十分に考慮 して、新たな視点を取り入れていくことが必要です。 本計画策定にあたってふまえるべき、要素・背景や検討ステップをまとめる と、次のとおりです。 「第4次大淀町総合計画」策定にあたっての検討フロー図 第3次大淀町総合計画 基礎調査 行政 町民 職員参画 町民ニーズの動向 (達成状況の評価、 町長の 各種団体 (町民アンケート、 ヒアリング、意向募集) 意向 の意向 まちづくり住民会議) 現状分析 町の特性と 新たな 地域資源 時代潮流 町の課題 第4次大淀町総合計画 基本構想・前期基本計画 27 序 論 28 第1部 基本構想 第1部 基本構想 29 第1部 基本構想 第1章 大淀町の将来像 1 まちづくりの基本理念・将来像 序論で見てきた町民ニーズの動向、大淀町の特性と地域資源、新たな時代潮 流、大淀町の課題等を踏まえて、新しいまちづくりを進めるにあたり、すべて の分野において尊重する基本理念と、10 年後の本町のめざすべき姿でこれか らのまちづくりの目標の姿としての将来像を次のとおり定めます。 基本理念・将来像 来たい、住みたい、住み続けたいまち 大淀町 ~次世代へつなぐ 共創のまちづくりをめざして~ これからのまちづくりを進めていくにあたっては、さまざまな人や組織など まちづくりに関わるすべての主体が、まちの課題を自分たちのこととしてとら え、また、安心して暮らしやすく生き生きとしたまちにしようという目標を共 有し、お互いを尊重しながら知恵や力を活かしあって協力していく「協働」 「共 有」「共感」によるまちづくりが非常に重要です。 また、人口減少・少子高齢化社会が本格的に到来し、地域社会を維持してい くための対応が喫緊の課題として大きくクローズアップされており、次代を担 う子どもたちにいかに住み良い、魅力あふれるまちとしてつないでいくかが求 められています。 このようなことから、これからの大淀町のめざすべき将来の姿として、基本 理念・将来像を「来たい、住みたい、住み続けたいまち 大淀町 ~次世代へ つなぐ共創のまちづくりをめざして~」と定めました。 「協働」 「共有」 「共感」 の理念を大切にしながら、「共創のまちづくり」を進め、本町の特性や資源を 最大限に生かしながら、すべての分野にわたって着実に進歩し、誰もが「来た い」、 「住みたい」 、 「住んでよかった」、 「これからも住み続けたい」と思えるま ちの実現をめざすとともに、次世代の子どもたちへつなぐまちづくりを進めて いくこととします。 30 第1部 基本構想 2 まちづくりの基本目標 (1) 計画推進のために 次項に掲げる4つの基本目標の着実な実施と各種の施策・事業を効果的に展 開するために、人口減少社会に応じた協働と連携のまちづくりや情報発信を積 極的に進めるとともに、行財政運営の効率化や広域行政の推進に積極的に取り 組むこととします。 (2) 基本目標 大淀町の将来像の実現に向け、まちづくりの4つの基本目標を次のとおり設 定します。 基本目標1 すこやかで安心できる暮らしのために (保健・医療・福祉 分野) 助け合い支え合う地域づくりを進めながら、高齢者や障がい者等の 介護・自立支援対策の充実に努めるとともに、町民・事業者・行政が 一体となって、健康寿命の延伸に向けた健康づくり体制・地域医療体 制の一層の充実に取り組みます。また、結婚・出産・子育て支援に取 り組み、若者世代・子育て世代の希望をかなえ、少子化に歯止めをか けます。 基本目標2 いきいきとして活力あるまちづくりのために (産業 分野) 農林業と商業、工業、観光が互いに連携し、新たな価値を創造する 取り組みを進めるとともに、若者の希望をかなえるために、地域ぐる みで特色ある産業振興に努め、町内雇用力と町内定住力を高めた活力 あるまちづくりに取り組みます。 31 第1部 基本構想 基本目標3 まちの基盤づくりと安全・快適な暮らしのために (都市基盤・生活環境 分野) まちづくりの中で都市基盤・生活環境分野に関して成熟期を迎えた 本町において、 「住み続けたいまち」と実感できるよう、引き続き適切 な維持・管理を行うとともに、費用対効果を見極めた上での整備を行 います。 基本目標4 うるおいある人間性豊かなまちづくりのために (人権・教育・文化 分野) 人権尊重のまちづくりや男女共同参画施策の推進に向けた取り組み を進めます。まちの次代を担う子どもたちを健やかにたくましく育む ため、就学前教育や学校教育の充実を図ります。また、地域ごとの特 色ある文化や町民の共有財産である歴史文化遺産の適切な保存・継承 と有効活用に努めます。 32 第1部 基本構想 3 将来人口の見通し 国立社会保障・人口問題研究所(社人研)準拠の推計によると、本町の人口 は平成 57(2045)年に 12,000 人を下回り、その後も減少を続け、平成 67(2055)年には 10,000 人を下回り、9,818 人まで減少するとされてい ます。 本町では、雇用の創出などにより定住人口の増加策に努め、交流人口にとも なう、経済効果の創出と定住化に向けた取り組みを積極的に展開することによ り、政策的な人口増加を図ることとし、本計画の目標年度である平成 38 年度 の目標人口を 17,520 人とします。 (※将来推計は5年毎の推計値となるため、 単年毎に按分した結果となっています。 ) 将来人口の見通し (人) 22,000 21,000 20,376 20,070 20,000 19,176 19,000 18,740 18,000 18,244 18,219 17,640 17,520 17,334 17,000 16,335 16,124 16,000 15,000 14,000 国勢調査結果 (人) 22,000 社人研準拠 本町独自推計 第4次総合計画 計画期間 平成29(2017)年~平成38(2026)年 21,000 20,376 20,015 20,070 20,000 19,176 19,000 18,630 18,740 18,219 18,000 17,640 17,453 17,039 17,000 16,510 16,437 15,799 16,000 15,133 15,000 14,511 13,917 14,000 13,390 13,000 12,000 昭和55年 昭和60年 平成2年 平成7年 平成12年 平成17年 平成22年 平成27年 平成32年 平成37年 平成42年 平成47年 平成52年 平成57年 平成62年 平成67年 平成72年 (1980) (1985) (1990) (1995) (2000) (2005) (2010) (2015) (2020) (2025) (2030) (2035) (2040) (2045) (2050) (2055) (2060) 実績値 本町独自推計 資料:大淀町地方創生総合戦略 33 第1部 基本構想 第2章 地域形成の方向 1 土地利用の基本構成 大淀町における近年の人口推移をみると、平成 12 年をピークに減少傾向が はっきりと表れており、今後も当面の間、人口の減少がつづくことになると見 込まれています。 そこで、大淀町では、このような人口減少局面におけるまちづくりと秩序あ る土地利用を基本として、豊かな自然や田園を保全・活用しながら、各地区の 特性に応じて賑わいと個性ある環境の創出を図るため、土地利用の方向を次の ように定めます。 各土地利用の方向 現在の山林に位置づけます。 治山治水対策なども適切に実施し、大淀町の美しい自然環境を 育むことを基本として、保全と活用を図ります。 森林地区 人工林は、林業活性化の取り組みにより、健全な育林に努めま す。広葉樹林等は、公益的な機能面、里山景観の形成面からも 保全に努めるとともに、森林レクリエーションなどへの活用を 図ります。 市街化調整区域の集落地と、道の駅、馬佐木材工業団地、南和 広域美化センター、新たに建設を予定しているごみ処理施設 (さくら広域環境衛生組合)建設予定地周辺の非住宅地などに 位置づけます。 集落地においては、無秩序な宅地化を防止しつつ、周辺の農業 環境と調和のとれた田園景観の維持に努めます。集落周辺の荒 集落・施設地区 蕪地については、極力、地域ぐるみで営農を維持するとともに、 必要に応じて、生活関連施設や産業施設など、地域の活性化に 資する施設用地への転用や、貸し農園などへの活用を促進しま す。 施設地区においては、敷地外周部の緑化など、周辺の自然・田 園環境との景観の調和をはかりながら、関連施設や地域活性化 に資する施設などの整備も検討します。 34 第1部 基本構想 集落・施設地区を除いた農業振興地域内の農地に位置づけま す。 農業地区 梨やお茶などの特産物の振興を図るとともに、都市近郊地とし (農業振興地域内) ての特質を活かして、稲作や少量多品目の野菜栽培を促進し、 地域の安全・安心で適価な農作物を供給する地区として、農地 の流動化や、農作業の受委託など、地域ぐるみでの営農を支援 し、促進します。 市街化調整区域内の農業振興地域外の農地に位置づけます。 田園地区 (農村振興地域外) 田園環境の維持保全を基本とし、集落地区、農業地区に準じた 土地利用を促進します。 市街化区域に位置づけます。 住居系地域においては、生活道路や水路、公園等の改善、公共 下水道などの整備により、良好な居住環境と日常生活の利便性 の向上を図り、商業・工業系地域においては、基盤整備ととも 市街地地区 に、企業誘致、産業振興策の推進に努め、賑わいづくりと本町 産業の活性化を図ります。 住居系、商業系、工業系地域のそれぞれ地域の住み分けと、環 境の整備と調和を図りながら都市的土地利用を促進し、移住・ 定住の受け皿としての機能充実と、既存市街地の空洞化傾向の 抑制を図ります。 主に吉野川周辺に位置づけます。 清流の維持・増進とともに、親しみやすい河川環境、自然や柳 河川地区 の渡しなどの資源を活かした水辺のレクリエーション空間と して、公園化等を進めます。 町内の 3 箇所のゴルフ場に位置づけます。 これらのゴルフ場では、今後とも、農薬や化学肥料などによる ゴルフ場地区 周辺地域への環境汚染などには細心の注意を図って維持運営 がなされるものとします。 35 第1部 基本構想 土地利用の基本構成図 36 第1部 基本構想 2 地域形成の骨組み 個性豊かな町域の発展と一体化、町内各地区の生活利便の向上をめざし、地 域形成の骨組みを次のように定めます。 (1) 交流軸の形成 各交流軸の形成の方向 町の北部一帯の森林は、大和盆地と吉野地域の外郭を構成する 森林です。大淀町にとっても、町域の北側に立地する「緑の屏 風」とも言うべき森林であり、“大和・吉野青垣軸”と位置づ けます。 大和・吉野青垣軸 この軸上では、点在する集落の居住環境や、森林環境との調和 を図りながら、芦原越街道や壷坂越街道などの古代に飛鳥と吉 野を結んだ道、安産の滝、大岩大日堂、大岩古墳群などの地域 資源も活かして、ハイキングコースなどによりネットワーク化 を図り、豊かな山の自然を満喫できる場としての充実を進めま す。 悠然と流れる清流“吉野川”は地域のシンボルです。吉野川に 沿って走る国道 169 号、370 号は吉野川の上・下流域を結 んでおり、これらを“吉野川交流軸”として位置づけます。 この軸上では、清流の維持・増進とともに、リバーパーク「お およど」や鈴ヶ森公園を中心として、柳の渡し(北六田)、椿 吉野川交流軸 の渡し(越部)、桧の渡し(下渕)、旧吉野駅(六田・軽便鉄道) 、 土田のケヤキの大木、鈴ヶ森行者堂なども活かした水辺のふれ あいの場の整備を図り、川の自然を満喫できる場としての充実 を進めます。 また、国道 169 号、370 号は、広域交流軸としても機能す る路線であり、吉野郡の玄関口としての拠点整備・充実や広域 交通としてのサービス機能増進なども図り、広域を結ぶ軸線と してもふさわしい改善を促進します。 37 第1部 基本構想 各交流軸の形成の方向 大淀町と広域圏を結ぶ国道 169 号、309 号、都市計画道路・ 山手線及び町道住川大淀線、都市計画道路・千石橋通り線周辺 を、“広域交流軸”として位置づけます。 吉野川交流軸と合わせて町の骨格となる路線であり、京奈和自 動車道の開通や高取バイパスの整備により、広域圏を結ぶ機能 が一層増進されているなか、これらの路線は周辺市町村をはじ 広域交流軸 め、広域的な往来において重要な路線であり、また、世界遺産 「紀伊山地の霊場と参詣道」をはじめ吉野地域に至る路線でも あります。 本町の玄関口周辺に情報発信機能や広域交流の拠点となる施 設整備・充実を進めるとともに、京奈和自動車道などと一体と なって利便性が高まるよう、案内標識や休息施設の整備による 誘導機能の充実、渋滞解消、走行性向上など広域交通としての サービス機能の増進を図ります。 吉野川交流軸、広域交流軸とともに町の骨格を形成し、町域を 一体的に結び周辺地域へと連絡する軸線として、都市計画道 路・高取大淀吉野線(国道 169 号以東)、県道今木出口線(馬 佐工業団地~新椿大橋)周辺を、“地域交流軸”として位置づ 地域交流軸 けます。 これらの軸上では、骨格となる都市計画道路の整備とともに、 町域全体並びに周辺地域を対象とするような拠点機能の立地 も検討しながら、それぞれの沿線に適合した環境改善など、地 域内や周辺地域との交流軸としてふさわしい機能の育成を進 めます。 吉野川交流軸、広域交流軸や地域交流軸とともに、町内の各地 区を結ぶ主要な道路周辺を、“地域連絡軸”として位置づけま す。 これらは、町の骨格を補完し各地区の地域生活の動線を多く受 地域連絡軸 け止める軸であることから、これらの軸上では、歩行者などの 安全性には特に配慮した道づくりとともに、各路線の個性を増 進するような沿道への花木や花の植栽、各地区の生活拠点機能 の立地を図り、各地区の生活中心としてふさわしい機能の育成 を進めます。 38 第1部 基本構想 (2) ゾーンの形成 各ゾーンの形成の方向 国道 169 号で橿原方面から芦原トンネルを抜けてくる付近一 帯を“おもてなし・交流ゾーン”と位置付けます。 道の駅・吉野路大淀iセンターを中核施設として、本町や吉野 おもてなし・ 郡への玄関口という立地を活かして、吉野方面への観光客等の 交流ゾーン 中継ゾーンとしてふさわしい環境整備と賑わい創出を進め、さ らなる誘客を図り、さまざまな情報や特産品の提供などによる 来訪者へのおもてなしと、ひと・もの・情報などの交流を促進 します。 福神地区(センター地区・誘致施設地区等)と馬佐木材工業団 地周辺を“産業振興ゾーン”として位置づけます。 本町の産業振興の拠点ゾーンとして、福神地区では、南奈良総 合医療センターを中核とした医療関連施設などの集積、馬佐木 材工業団地周辺においては、木材関連産業の複合産業化など、 産業振興ゾーン 既存施設や既存産業の機能強化に取り組みながら、健全な生産 環境の維持保全を図り、併せて積極的な企業誘致、新興産業の 育成を進めます。 また、新たな産業振興拠点や誘致施設などを確保する場合にお いては、まちの健全な構造形成の観点から、広域交流軸や地域 交流軸周辺への誘導を図ることとします。 東部渓谷地については、エコロジー拠点を中心とした産業振興 みどりの 産業振興ゾーン とコミュニティ空間形成の促進を図ります。近接する田園居住 地域や自然環境との調和を保ちながら、エコロジー拠点施設や 周辺自然環境を活かし、生産環境の充実や、野外レクリエーシ ョン施設などの憩いや交流の場の創出を図ります。 古くから本町のまちづくりの中心的な位置を占めてきた下渕 地区を中心とした一帯(車坂交差点付近~大淀町役場~ライフ 周辺~リバーパーク~千石橋~大淀病院跡地付近)を“中心市 街地ゾーン”として位置付けます。 中心市街地ゾーン 近鉄下市口駅・大淀病院跡地の周辺整備をはじめとした基盤整 備による都市機能の充実や、周辺地域への交通連絡機能の強 化・拡充、公的機関・都市機能の誘導や集約により、本町らし さをもつまちの顔としての空間づくりをゾーン一帯で推し進 めます。 39 第1部 基本構想 (3) 拠点の形成 各拠点の形成の方向 広域交流・ 情報拠点 本町や吉野郡への玄関口となる道の駅・吉野路大淀 i センター と近鉄下市口駅及び大淀病院跡地の周辺を、交流窓口と情報発 信の機能を持った“広域交流・情報拠点”として位置づけます。 近鉄下市口駅及び大淀病院跡地については、周辺整備等と連携 を図りながら交流拠点施設の設置、交通連絡機能の集約と拡充 を進めるなど、それぞれの拠点において、本町や吉野郡への玄 関口としてふさわしい環境整備を図ります。 また、さまざまな情報や特産品の提供、イベント開催などによ り、本町や吉野地域の魅力などの情報発信をはかるとともに、 地域や周辺市町村の住民、観光客などのさまざまな主体による 人的・物的交流を促すことにより拠点としての機能強化を進 め、交流人口増加、経済効果創出、移住定住促進に向けた取り 組みを積極的に展開します。 あわせて、国道 309 号についても、京奈和自動車道のインタ ーに連絡し、今後広域的な交通流動が増大するものと想定され ることから、その動向を見極めながら、新たな交流・情報拠点 の形成についても検討します。 行政・文化拠点 町役場、文化会館、図書館周辺を、“行政・文化拠点”として 位置づけます。 この拠点では、行政機能の中核、文化・芸術・生涯学習活動の 中核として、現在の機能の維持・増進を図るとともに、町民が 学び、文化活動を営むことで心の健康を増進させるような機能 の充実を図ります。 スポーツ・ 交流拠点 平畑運動公園(サッカー場、テニス場)、平畑体育館周辺を“ス ポーツ・交流拠点”として位置づけます。 各種スポーツ活動の推進とともに、多くの町民がスポーツなど を通じた交流を行える場としての整備・充実を図ります。 各地区生活拠点 町域内の東部、中部(東・西)、西部の生活圏における生活利 便と、人々のふれあいを増進していくため、各圏域の状況に即 して小学校、幼稚園、保育所、体育館、近隣商業地などを集積 する“地区生活拠点”を位置づけます。 これらの拠点では、必ずしも一箇所に居住・生活機能を集約す ることにはなりませんが、新たに公共施設を整備する場合は、 各圏域の地域連絡軸上に確保し、極力、生活拠点機能を集約化 する方向性を持つこととします。 また、これらの生活拠点機能は、遊休化した公共施設の転用な ども視野に入れて、効果的に生活拠点機能の拡充を図ることと します。 40 第1部 基本構想 各拠点の形成の方向 教育・学習拠点 エコロジー拠点 防災拠点 広域医療拠点 福祉・健康拠点 町立大淀桜ヶ丘小学校、町立大淀中学校、県立大淀高校周辺を “教育・学習拠点”と位置づけます。 教育・学習活動の中心として、町内各幼稚園・小学校などと連 携を図りながら、教育環境の充実や生涯学習や子育て施策との 連携を図るとともに、特別支援教育や高等教育などとも連携を 図りながら新しい教育・学習活動の枠組みのあり方を検討しま す。 現在、建設が予定されている「さくら広域環境衛生組合」ごみ 処理施設周辺を“エコロジー拠点”とします。 ごみ処理や環境問題を巨視的な観点で見つめながら広域的拠 点施設として整備し、ごみの再資源化や減量化の広域的システ ムを整備します。 また、排熱・余熱利用の促進を進め、エネルギーの有効利用や リサイクルなどの環境問題の啓発を図るとともに、環境美化運 動・リサイクル活動等の支援の拠点としても充実を図ります。 町役場を“防災拠点”として位置づけ、町域の東部、中部、西 部に“防災ブロック拠点”を配置します。 災害時に防災活動の拠点として機能するだけでなく、平常時に は住民の憩いの場としての利用や訓練・研修の実施、防災ボラ ンティア情報の集約といった機能を充実させます。 南奈良総合医療センター周辺を“広域医療拠点”と位置づけま す。 南和地域の中核病院としての「南奈良総合医療センター」を中 心として、町内及び近隣の医療機関との連携を推進し、地域医 療体制の一層の充実と拠点機能の強化を図り、あわせて周辺整 備を進め病院を核としたまちづくりを図ります。 また、福祉・健康拠点との連携も図りながら、健康づくり体 制の充実に向けたさまざまな健康づくり施策との連携を図り ます。 近鉄下市口駅及び大淀病院跡地周辺を“福祉・健康拠点”とし て位置づけます。 保健センターをはじめとする、福祉・健康に関する公的機関を 集約した空間作りを周辺整備とあわせて進めます。また、広域 医療拠点との連携も図りながら、介護予防や生活習慣病予防な ど、さまざまな健康づくり施策との連携を図り、健康寿命の延 伸に向けた健康づくり体制の充実を図ります。 41 第1部 基本構想 地域形成の骨組み構成図 42 第1部 基本構想 第3章 施策の体系及び施策の大綱 1 施策の体系 <町の特性・時代 潮流・町の課題> <基本理念・ 将来像> 計画の推進のために ●町の特性 ・少子高齢化・人口 減少社会 ・社会的格差の拡大 ・情報化と国際化 ・多様な価値観と人 権意識の浸透 ・東京オリンピック ・環境問題 ●課題 ・人口減少社会を見 据えたまちづく り ・高齢化問題を克服 するための対策 ・若者世代・子育て 世代が将来に希 望を持てる支援 ・公共交通ネットワ ークの検討・構築 ・下市口駅周辺(大 淀交流拠点)の整 備 ~次世代へつなぐ 共創のまちづくりをめざして~ ●時代潮流 来たい、住みたい、住み続けたいまち 大淀町 ・都心へのアクセス が容易なまち ・医療施設が充実し ているまち ・歴史・文化が息づ くまち ・快適住環境のまち ・道の駅・吉野路大 淀iセンターの あるまち ・「ひと」と「マン パワー」が充実し たまち 人口減少社会に対応したまちづくり 様々な主体による協働と連携のまちづくり 情報発信で知ってもらうまちづくり 計画的・効率的な行財政運営のまちづくり 広域的な連携と協力によるまちづくり 地域形成の方向 <基本目標> すこやかで安心できる 暮 ら し の た め に (保健・医療・福祉 分野) いきいきとして活力ある まちづくりのために (産業 分野) まちの基盤づくりと (生活環境 分野) まちづくりのために (人権・教育・文化 分野) 43 土地利用の基本構成 地域形成の骨組み ・交流軸の形成 ・拠点の形成 <施策の項目> 保健・医療 子育て支援・少子化対策 高齢者福祉 障がい者(児)福祉 地域福祉 社会保障 雇用の創出と新しい産業 農業 林業 工業 商業・サービス業 観光 都市拠点の形成 交通ネットワークの形成 住宅・市街地整備 環境保全と環境美化、景観・緑化 公園・緑地 上下水道 廃棄物処理等 斎場・墓地 消防・防災 防犯・交通安全 人権の尊重 男女共同参画 学校教育 就学前教育 生涯学習・生涯スポーツ 歴史・文化・芸術 第1部 基本構想 2 計画の推進のために 計画を着実に推進し、将来像を実現していくために、次に掲げる内容を全ての基本 目標や施策の項目において共通するふまえるべき視点・考え方とし具現化を図ってい くこととします。 (1) 人口減少社会に対応したまちづくり 今までのまちづくりは、人口増加を前提とした考え方でしたが、今後は人口 減少を視野に入れた考え方が必要です。人口減少社会における問題点を克服す るためには、転入促進や出生率の向上により、人口減少を食い止め、活力ある まちづくりに向けた施策に取り組んでいくことが重要です。 平成 27 年度に策定した大淀町地方創生総合戦略に基づいて施策を展開する とともに、出生率が多少向上しても今後数十年間の人口減少は避けられないこ とから、社会システムの再構築を行うなど人口減少社会に現実的に対応する取 り組みもあわせて進めます。 (2) 様々な主体による協働と連携のまちづくり まちづくりは行政だけではなく、町民をはじめとして、各種団体や町内外の 企業、そして高校や大学といった教育機関など多くの関係者が力を合わせて行 うことが必要とされています。 参画や協働という言葉がまちづくりにおいて使われるようになり久しいで すが、本町においても町民のためのまちづくりを町民とともに行っていく必要 があります。特性・資源の項目で取り上げたように、本町は「ひと」と「マン パワー」が充実したまちです。この住民力をまちづくりに活かしてもらうため に、各種イベントの開催、防犯・防災活動、環境活動、清掃活動など、様々な 取り組みを協働で行うための体制と仕組みを構築していきます。また、担い手 としての自治会やボランティア団体、企業、サークル、PTAなどの各種団体 の育成や支援、連携強化を図り、町民主体のまちづくりを積極的に支援してい きます。 44 第1部 基本構想 (3) 情報発信で知ってもらうまちづくり 広報広聴活動を通して町民のニーズを的確に把握し、まちづくりに活用する とともに、自治会や町民団体、企業、NPOなどと連携し、それぞれの果たす べき役割や活動等について、広く情報発信を行い、相互理解と協働による町民 参画型のまちづくりを推進します。 また、観光をはじめ、特産品や移住・定住促進、企業誘致、町内企業紹介、 福祉活動、防災・防犯活動、文化・スポーツ活動等、あらゆる分野において魅 力ある情報を積極的に発信し、大淀町のセールスやイメージアップを図るとと もに、一人でも多くの仲間が集まり、協力してまちづくりや各分野で助け合う 環境を醸成していきます。 (4) 計画的・効率的な行財政運営のまちづくり 増大し多様化する町民ニーズや行政需要に対して、質の高い行政サービスが 提供できるよう、歳入の確保をはじめ、行財政運営の効率化、組織・職員の資 質向上、事務事業の効率化・適正化、適正な規模による弾力的で機動的な組織 運営を行うことにより、めまぐるしく変化する情勢に迅速・的確かつ柔軟に対 応できる行財政運営に努めます。 また、公共施設に関しては施設ごとに老朽化対策や長寿命化といった手法を 適切に選択しながら適量化・適正な管理運営に努めるなど、ファシリティマネ ジメントに取り組みます。 (5) 広域的な連携と協力によるまちづくり 地方分権が進む中、地方自治体である市町村の役割は増大しつつあり、これ にともない業務量も増加しています。このような状況において、職員数は減少 傾向にあり、限られた財源で町政運営の効率化に努めていくことが必要です。 広域行政の推進と、先を見越した計画的な広域連携に努め、無駄のない効率的 な行政運営に努めます。特に、既存の広域行政の括りだけではなく、新たな連 携先を視野に入れつつ、 「吉野」としてのイメージやブランドを活かしながら 町の魅力を向上させます。 45 第1部 基本構想 3 施策の大綱 町の将来像への具現化をめざして、次のとおり施策を展開します。 (1) すこやかで安心できる暮らしのために (保健・医療・福祉 分野) <保健・医療> 町民の健康意識を高め、健康寿命を延伸するため、生活習慣病の発症予防と 重症化予防を徹底し、健康を支え守るための社会環境整備や地域医療体制の整 備に努め、生涯健康づくりを推進します。南奈良総合医療センターを中心とし て医療体制を充実するとともに、町内及び近隣の医療機関とも連携しつつ、地 域医療の充実を図ります。 また、町立大淀病院の閉院にともなう保健センター移転やそのあり方につい ては、町立大淀病院跡地と近鉄下市口駅周辺整備におけるまちづくり計画と整 合を図りながら検討し、その整備を図ります。 <子育て支援・少子化対策> 人口減少に歯止めをかけるため、結婚支援や地域ぐるみでの子育て支援など 若者世代・子育て世代への支援の取り組みを行い、結婚・出産・子育ての希望 をかなえます。 <高齢者福祉> 世代や性別を超えて協働と連帯の精神に支えられた地域社会の中で、高齢者 が健やかに、一人ひとりが自立していきいきと暮らすことができるまちづくり をめざします。 また、地域包括ケアシステムの構築、介護サービスに関する情報提供や相談 体制の強化、介護予防の取り組みを進めるとともに、元気高齢者の地域におけ る活躍の場の提供と仕組みづくりに努めます。 <障がい者(児)福祉> ノーマライゼーションの理念に基づき、障がいのある人もない人も地域で安 心して暮らし、希望に満ちた社会生活を営めるよう、バリアフリーやユニバー サルデザイン化、障がいの早期発見、療育、機能回復、社会参加を促進する施 策の充実に努めます。 46 第1部 基本構想 <地域福祉> 地域の特性にあわせたきめ細やかな施策を推進するとともに、地域住民と社 会福祉関係者、行政・関係諸機関とが連携・協働しながら地域社会での支え合 い活動の取り組みを進めます。 <社会保障> 社会保障は、個人の責任や努力だけでは対応できないリスクに対して、相互 に連帯して支え合う仕組みです。国民健康保険・後期高齢者医療制度・介護保 険制度については、病気やけが、老齢や障害など、万が一の場合においても支 え合いながら安心して暮らせるよう制度運用を図るとともに、保険給付の適正 化と財政運営の健全化に努めます。 (2) いきいきとして活力あるまちづくりのために (産業 分野) <雇用の創出と新しい産業> 若者の移住・定住のためには、安定した雇用が必要です。安心して結婚・出 産をするためにも、雇用の場を広げる施策が必要不可欠です。県やハローワー クと連携し就業促進を図るとともに、商工会や金融機関等と連携した起業支援 の積極的な取り組みを行う内発型の雇用創出と、企業誘致等による外発型の雇 用創出策を進めます。 また、太陽光や木質バイオマスなどを活用した再生可能エネルギー産業をは じめとして新興産業の発展、充実をめざします。 <農業> 後継者不足や遊休農地の拡大など、全国的な課題となっている農業問題は、 本町においても共通した課題となっており、こうした課題への対策を推進して いきます。 また、梨や茶などをはじめとする農産物の高付加価値化、市場の掘り起しな どについて関係機関と連携して取り組み、農業所得の向上を図るとともに、地 域の活性化、農商工業との連携による相互振興といった好循環を生み出すため の取り組みを進めます。 <林業> 高齢化などによる後継者不足や木材価格の低迷による減収が深刻な問題と なっており、国・県の林業政策の活用や林地の集積を推進し、担い手を積極的 47 第1部 基本構想 にサポートします。 また、適切な森林施業の実施・路網の整備・山地災害の防止・森林病害虫や 鳥獣害対策・森林の保全活動等の取り組みを推進することで、本町の緑豊かな 環境の基盤としての森林が有する多面的・総合的機能の維持をめざします。 <工業> 既存事業者の支援に力を入れるとともに、遊休地の工業用地としての有効利 用や企業誘致についても検討し、本町の特性に適した施策で工業の活性化に取 り組みます。 <商業・サービス業> 中小企業や商工会の活性化は、町のにぎわい創出のために欠かすことができ ません。町内に拠点を置く商業者やサービス業者への支援を引き続き行うとと もに、関係機関への支援や連携も今まで以上に密に行っていきます。 また、町の中心市街地整備等とあわせた商業集積の促進や地域住民のまちお こし活動、商工会等と連携した特産品づくり、各種イベントなどを支援・推進 し、地域住民、観光客どちらにも魅力のあるまちづくりをめざします。 <観光> 周辺市町村との連携を強化し、観光で訪れる人の周遊性を高めるとともに、 吉野地域の玄関口としての拠点となる取り組みを推進します。また、隠れた観 光資源の掘り起こしに努め、観光魅力の増大を図ります。 また、国を挙げて取り組んでいるインバウンド施策において、本町としても 豊かな文化と歴史を誇り、特徴のある農産物のある町として、国内はもとより 国際的な視点で町のブランド化を図るとともに、観光・交流を軸としたまちづ くりを推進します。 (3) まちの基盤づくりと安全・快適な暮らしのために (都市基盤・生活環境 分野) <都市拠点の形成> 平成 27 年度に締結した奈良県とのまちづくりに関する包括協定に基づき、 まちづくり基本構想を策定するとともに、町立大淀病院跡地と近鉄下市口駅周 辺の一体的なまちづくりに取り組みます。 また、都市部との交通アクセスの利便性をふまえ、広域における交流拠点と しての本町の位置づけを今まで以上に明確にするとともに、文化・生活・産業・ 48 第1部 基本構想 域内交流拠点を中心に環境整備を図り、効率的かつ効果的な土地利用を町民と ともに推進します。 <交通ネットワークの形成> 高齢社会や人口減少社会を勘案しながら、地域や拠点の形成などとマッチン グさせた公共交通網の維持・改良、道路網の充実、ならびに各交通機関の連絡 性の向上を図り、吉野地域の拠点として、交通の要衝としてのふさわしい交通 ネットワークの構築に努めます。 <住宅・市街地整備> 町内に定住目的で新築住宅を建築した方や住宅リフォーム工事を実施した 方への補助事業など、移住・定住促進施策の取り組みを進めます。さらに、空 き家の所有者に適切な維持管理を求めるとともに、空き家・空き宅地に関する 情報の収集と提供を充実し、利活用につなげる取り組みを進めます。 また、公営住宅については適正管理に努めるとともに、若者向けや定住促進 などに向けた活用について検討します。 あわせて、道路、景観形成等の社会インフラの整備を計画的に推進し、良好 な住環境の整備に努めます。 <環境保全と環境美化、景観・緑化> 町民との協働により、各地区の特性を十分に活かしながら、環境保全と景観 の維持に努めます。 また、不法投棄やごみのポイ捨てなどを防止するために啓発活動やパトロー ルに取り組みます。 <公園・緑地> 公園・緑地は、大人(高齢者)から子どもまで幅広い世代の憩い・やすらぎ の場となるよう、遊具・施設等の老朽化にともなう整備・改修を計画的に進め、 町民との協働による維持・管理に努めます。 <上下水道> 上水道は施設の維持・管理とともに、老朽化施設の改修・更新を行い、おい しく安全な水の安定供給に努めます。下水道は計画区域外においては浄化槽設 置補助を行い、費用対効果を考慮しながら整備計画の見直しを図りつつ、下水 管敷設などの整備が完了した区域の未接続家屋や事業所に対し、早期の接続に 向けた助成措置と啓発に努めます。 49 第1部 基本構想 <廃棄物処理等> ごみ及びし尿処理に関しては、広域的な処理体制によって適切な収集・処理 体制を維持・改善していきます。そして、町民等とともにさらなるごみの減量 化や分別収集の徹底、リサイクルに努めます。 <斎場・墓地> 斎場施設の老朽化対策や墓地需要の状況などもふまえ、適切な対応に努めま す。 <消防・防災> 自主防災組織の強化と消防団活動の充実を図るとともに、町民の防災意識の 啓発に努めます。 また、奈良県広域消防組合と消防団との連携強化を行い、適切な対応を図り ます。 <防犯・交通安全> 地域住民が中心となって行われている見守り活動を支援し、犯罪のない、安 全・安心のまちづくりに努めます。また、警察や交通安全協会などの関係諸団 体や町民団体と連携し、ルールやマナーの啓発活動に取り組みます。 また、防犯カメラ・防犯灯や交通危険個所への交通安全施設の設置など、関 係団体との連携及び情報共有により、迅速かつ適切な対応に努めます。 (4) うるおいある人間性豊かなまちづくりのために (人権・教育・文化 分野) <人権の尊重> すべての人がお互いの人権を尊重し、ともに生きる社会を築くため、人権教 育・啓発活動を引き続き推進します。 また、イベントや啓発活動にあっては、これまでの取り組みを継承しつつ、 多様化する価値観や考え方に対応した新たな発想も視野に入れながら取り組 みを進めます。 <男女共同参画> 男女共同参画社会の実現に向けて、男女の人権を尊重する、積極的な施策の 推進に取り組みます。 <学校教育> 教育環境のさらなる充実を図るとともに、就学前教育や高等学校、特別支援 50 第1部 基本構想 学校との連携に努めます。 また、特別支援教育への支援強化や、家庭の経済状況や子どもの学力等に応 じた支援に取り組みます。 さらに、情報化や国際化をふまえ、ICT機器の整備やネットワークシステ ムの構築及び活用、ALT(外国語指導助手)の活用等による授業の質的向上 を図ります。 <就学前教育> 就学前教育(幼児教育)では、幼稚園・保育所(園)・認定こども園がそれ ぞれの役割をふまえながら、教育環境の充実に努めます。保育所では、待機児 童ゼロを継続しつつ、少子化の動向に配慮しながら幼稚園・保育所・こども園 のあり方と規模の適性化を検討します。 また、学校教育との円滑な接続ができるような取り組みを進めます。 <生涯学習・生涯スポーツ> 町内施設の積極的な活用を図るとともに、利用率・稼働率向上のために、魅 力的なプログラムの実施に向けた取り組みに努めます。 <歴史・文化・芸術> 文化・芸術活動の拠点としての文化会館・図書館等の適切な維持管理と、利 活用しやすい環境の整備に取り組みます。 また、能などの本町ゆかりの文化資源や町内の歴史文化遺産を調査・保存し、 整備・活用しつつ、次世代への文化継承を図ります。 51
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