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社会学研究科
社会学専攻
砂川浩慶 教授
野呂芳明 教授
間々田孝夫 教授(2017 年 3 月 退職予定)
林怡
インターネットを中心としたデジタルネットワーク
の社会的普及に伴う社会文化の変容を複合的に探究
している。ミクロの観点からは、デジタルネイティ
ブ世代を対象としたソーシャルメディア利用等のメ
ディア・コミュニケーション研究、マクロの観点から
は、グローバルな富・リスクの産出・分配システム
の変化と日本社会の方向性を中心としたネットワー
ク社会論が中核となる。研究対象地域は、日本、北
米、北欧、オランダ、韓国、中国を主としている。文
化人類学、社会学を基盤としながら、比較制度分析、
文化次元論、道徳基盤理論、ネットワーク科学など多
様な領域との対話、並びに、理論と実証、質的研究と
量的研究との対話を介して領域横断的知の生成を志
向する。
放送を中心とする、メディア産業、メディア政策・法
制度、ジャーナリズム論、コンテンツ流通などを研究
テーマとする。変革期にあるメディアの動きをフォ
ローしながら、メディアがもつジャーナリズム機能、
技術革新、特にデジタル化が及ぼす市民社会への影
響、メディアリテラシーなども含め、実践的な研究を
行っている。
主な研究分野としては、都市社会学、地域社会学、福
祉社会学と呼ばれるエリア。より具体的には、都市
社会のさまざまな生活場面で生成するニーズと地域
政策・福祉政策などとの相互関連性に関する調査研
究を行っている。たとえば、地域に暮らす高齢者の
ニーズと福祉施策の関連、まちづくりの活動と地域
政治・行政との関連など。ここで展開される利害関
係者間の討議や合意形成のあり方、帰結などについ
て、関連データの収集・分析とフィールドワークに
根ざしながら、実証的に検討を進めている。それを
通して、差異化・階層化に向かう都市空間の今後や
戦略について見通していければと考えている。
消費社会論、貯蓄意識と貯蓄行動の実証研究、生活
意識と階層意識の実証研究、社会行動の基礎理論、
経済社会学の方法論、社会変動論、社会調査法など、
社会学、経済学、心理学の境界領域にあるさまざま
な分野の研究をしてきた。現在は、消費社会論の分
野を中心にしており、消費社会の変動論(特に脱物
質主義化の研究)
、消費社会と環境問題の関連、グ
ローバル化する消費文化の動向などを主要な研究
テーマとしている。それらを通じて、現代社会にお
いて実現すべき消費と生産のあり方を、社会学の立
場から構想することをめざしている。理論と実証の
バランスを重視しており、研究と教育は、その両面
に亘って行なわれる。
社会運動、公共圏、多文化主義などの理論概念を用
いて、現代におけるマスメディアの機能的・構造的
欠陥を把握しつつ、エスニック・メディアやオルター
ナティブ・メディアの可能性について実証的、理論
的に研究している。ケースとして台湾のエスニック・
メディアと放送制度のあり方について研究してき
た。東アジアにおける放送産業構造の変容とジャー
ナリズムのプロフェッションとの関連について国際
比較研究にもたずさわってきた。近年は特にメディ
ア言説における「他者」の表象問題に取り組んでい
る。ケースとしては、華僑・華人などのディアスポ
ラとメディアとのかかわりに注目し、華僑・華人社
会における文化や言語、アイデンティティの形成と
変容を中心に研究している。
小池靖 准教授
研究分野は宗教社会学、心理主義論、文化社会学。
特に精神世界、ニューエイジ運動、スピリチュアル・
ブーム、自己啓発、自助グループ、ポップ心理学など
をフィールドに研究をしてきた。宗教と非宗教の境
界線上に位置する文化を分析することにより、現代
人の規範・人間像・世界観を探ることをめざしてい
る。近年は、テレビメディアにおける宗教情報や、公
共圏・親密圏とスピリチュアリティとの関係などに
ついても調査中である。講義では映像も用いながら
わかりやすい解説を、演習ではフィールド調査など
を通じて自己や他者についてのより良い認識を獲得
することを目標としている。
小泉元宏 准教授
専門は、文化社会学、文化政策研究、現代芸術論。特
に、近現代における美術・音楽・映像などの諸芸術・
文化と、政治的・経済的・社会的諸主体との関係性
や、その変容について、文化理論研究やフィールド
ワーク、社会調査、さらに実践的な活動などを通じ
て研究している。これまでの研究では、国家や地方
自治体などによるソフトパワーや創造都市、創造産
業への着目、あるいは(特に日本や韓国、台湾にお
ける)少子・高齢化の進展などの社会背景のなかで
隆盛する、国際展(ビエンナーレ、トリエンナーレ)
やアートプロジェクトを主な研究対象とし、それら
の場におけるアーティストや市民による文化生産の
政治性や意義について論じてきた。近年は、
アーティ
スト・ラン・スペースなどのオルタナティヴ・スペー
スに関する調査研究も進めている。
是永論 教授
情報行動論を専門とし、日本社会における情報行動
の動態を把握するとともに、メディアを用いて行わ
れるコミュニケーションについて、エスノメソドロ
ジーの視点から分析を行なっている。具体的な研究
領域としては、前者についてはモバイルメディアや
ソーシャルメディアによる社会参加に関する研究を
行なっている。後者については、家庭や職場などで
行われる、メディアを介在したコミュニケーション
をエスノグラフィーやビデオ分析の手法で研究する
ほか、マスメディアにおける記事やトークなどの言
説を量的あるいは質的なテキスト分析の手法により
研究している。
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関礼子 教授
新潟水俣病を主とする公害病問題
(差別や生命倫理、
科学技術と社会との関係性、リスクの問題などを含
む)
、大規模開発がもたらす地域社会へのインパク
ト、自然環境保護運動や環境創造型の地域づくりに
ついて、フィールド調査をもとに環境社会学の見地
から研究を進めてきた。自然環境保護をめぐって
は、自然環境への価値付けの時代を経て、その保護・
保全が「善」であるという認識が浸透する中で、善
意の保護・保全が当該社会に引き起こす諸問題につ
いても関心を抱いている。そうした着目は、自然環
境の保護・保全に関する具体的な制度、政策の設計
に寄与するものと考えるからである。
高木恒一 教授
専門は都市社会学であり、そのなかでも特に空間に
(地
焦点を当てた研究を行っている。これまで、GIS
理情報システム)を用いた空間構造を分析するとと
もに、都心再開発地域や郊外における計画的に作ら
れた住宅地の社会空間のフィールドワークを実施
し、研究を積み重ねてきた。近年は空間構造を形成
する要因としての都市政策に関心を持ち、特に都市
住宅政策の検討を行っている。都市住宅政策の分析
に当たっては近年開拓が進んでいるハウジング論の
成果を積極的に導入している。
西山志保 教授
専門は都市社会学、地域社会学で、都市政策とコミュ
ニティ・ガバナンスの国際比較を中心に研究を行っ
ている。グローバル化の進展に伴う都市間競争の
中で打ち出されている様々な都市政策が、コミュニ
ティ形成に与えるインパクトを、国際比較の視点か
ら研究している。とりわけ日本、ヨーロッパ、アメ
リカの現状をふまえ、福祉国家の転換や政治状況に
よって変化する都市政策を背景にして、ボランティ
アや NPO / NGO、社会的企業など市民社会組織が、
行政と協働(パートナーシップ)関係を取り結びな
がら、どのように持続可能なコミュニティづくりに
取り組んでいるのか、理論的̶実証的に検討してい
る。これらを通して、日本で 新しい公共性 の基盤
づくりを促す都市政策とコミュニティづくりについ
ての戦略とヴィジョンを示していくことをめざして
いる。
橋本晃 教授
欧米ジャーナリズム思想史を研究している。英米を
主舞台に、言論・プレスの自由、プレスの独立、客観
報道、社会的責任といった諸理念、また逆三角形の
記事スタイルなどの約束事が当該社会との相互影
響関係のもとで形成され、世界各国でスタンダード
となっているが、そうした理念、文法の生成過程を
史料に基づき実証的に分析している。ここ数年は、
19 世紀末、米国シカゴの新聞人らの手になる書簡類
や社内文書等の分析を通じて、プレスの独立理念の
生成過程を研究。事実や政治・経済・国際問題の分
析を掲載する高級紙と娯楽やスキャンダルを提供す
る大衆紙の同根性を見出した。今後は欧州にも目を
向け、プレスの自由理念のもう一つの発祥の地なが
ら、英米流のスタンダードとは異なる歴史を歩んで
きたフランスのジャーナリズムがどのようなジャー
ナリズム諸理念を生み出してきたのか、また米国流
のジャーナリズム理念が彼の地にどのように受け入
れられてきたかを探求してゆく。
黄盛彬 教授
メディア研究・文化研究。グローバル化の下での「メ
ディアと文化をめぐる政治」をテーマとしている。
政治・外交に限らず、ポピュラーカルチャーやスポー
ツなど多岐にわたるメディア報道におけるナショナ
ル・アイデンティティと他者認識の表象について関
心があり、欧米における「東アジアおよび日本のイ
メージ」
、また日本における「アジア認識」などにつ
いて調査研究を展開してきた。最近注目しているの
は、
「歴史ドラマ」と「メディア・スポーツ」であり、
その物語が紡ぎだすアイデンティティと他者認識、
また複数の他者認識の相互関連について、地政学的
視点を加えて解明する研究に着手している。
松本康 教授
専門は都市社会学、とくに①都市住民の社会的ネッ
トワークに関する研究、②大都市における都市社会
構造の変容に関する研究、③シカゴ学派都市社会学
に関する学説史的研究を進めてきた。①について
は、都市下位文化理論の日本における適用可能性を
実証的に検討するなかで、ネットワークの「構造化」
という観点から都市化とコミュニティの変容を捉え
ようとしている。②については、日本の大都市圏に
おける「再都市化」のメカニズムをグローバル情報
経済と産業構造の変容といった社会経済的条件と、
人口動態のような人口学的条件とを結びつけて研究
している。③については、米国やシカゴの社会変化
と結びつけてシカゴ社会学の展開を解釈してきた。
水上徹男 教授
国際的な人の移動とエスニック・コミュニティの変
容などが主な研究テーマである。関連領域として、
エスニシティの多様化と関連した社会変動に対応す
る政策なども含まれる。これまでは、オーストラリ
アのエスニック・コミュニティを調査対象として、
フィールドワークを実施してきた。 近年は、バング
ラデシュにおいて日本からの帰還者を対象とした聞
き取りや東京のエスニック・コミュニティとそのト
ランスナショナルなネットワーク形成に関する調査
も行っている。
村瀬洋一 准教授
専門分野は計量政治社会学と社会階層研究である。
最近の主なテーマは、民主主義社会における政治的
影響力の不平等、人間関係の実証分析と各種の格差
問題など。その他、社会構造の国際比較をしつつ、
不平等に関する意識や社会の評価、参加行動、政治
意識や権威主義、社会的地位の測定、環境意識と環
境配慮行動などについて分析している。研究手法と
しては、統計的社会調査とデータ分析を重視してい
る。ネットワークと社会意識に関して独自の社会調
査を日本と韓国において行ったほか、中国や台湾、
香港等における社会調査の実情を調べている。分析
法に関しては、社会調査データに関する多変量解析
の中でも、構造方程式モデル(SEM;共分散構造分
、ロジス
析 )や HLM(Hierarchical Linear Model)
ティック回帰分析などを扱っている。
吉澤夏子 教授
基礎理論的な領域では、現象学的社会学やルーマン
の社会システム論に依拠し、
「他なるもの」
(=他者)
との関係や時間と意味の生成における
「自己指示性」
という概念を手がかりに、社会システムの存立を可
能にする微細なメカニズムを考察してきた。また現
代社会論的な領域では、近代から現代への微妙な社
会変容の実態に照準し、思想としてのフェミニズム
の現代的困難、
「趣味」としての現代家族のあり方、
ジェンダーの社会的構成、ジェンダーの権力などを
主題化し、主としてフェミニズム論・ジェンダー論
の視点から現代社会の「現代性」の在り処を探って
きた。現在の研究課題は、
「心の自由な空間」とし
ての「個人的なものの領域」という概念を理論的に
精緻化し、その重要性を具体的な社会現象の分析を
通じて明らかにすることである。
准教授
社会学専攻
木村忠正 教授
社会学研究科
社 会 学 専 攻 専 任 教 員 / 研 究テーマ
和田伸一郎 准教授
専門分野は、デジタル・メディア論、情報社会論であ
る。インターネット、モバイル端末、SNS などにお
いて実現されているクラウド・コンピューティング
環境において、今後、私たちの《社会》はどのように
変化しうるかを、
「現代思想」の諸理論を基盤とし
ながら、
〈国家〉
、
〈グローバル市場経済〉
、
〈情報財
の生産〉
、
〈創造行為〉という4つの論点から研究を
行っている。最近の関心として、以上の研究の理論
的基礎となりうる《デジタル人文学》の可能性を、
〈ソ
フトウェア・スタディーズ〉などといった新領域に
立脚しながら考えている。
◆
前期課程授業科目/単位
必修科目
研究指導演習 ……………………………………………… 2単位
修士論文作成演習 ……………………………………… 2単位
選択科目
調査法科目 ………………………………………………… 2単位
プロジェクト科目 ………………………………………… 8単位
自由科目 ……………………………………………… 18 単位以上
セミナー科目
リサーチ英語演習
社会学特別講座※1
特別履修科目※2
修了に必要な単位
必修科目 ……………………………………………………… 4単位
選択科目 ……………………………………………………… 10 単位
自由科目 ……………………………………………… 18 単位以上
合計 ……………………………………………………… 32 単位以上
自由科目18 単位のうち、他研究科科目(最大8単位まで)
、
および特別履修科目(最大8単位まで)は、あわせて10 単
位まで修了要件単位の自由科目の単位数に加えることがで
きます。
※1 社会学特別講座:学生が学外からの兼任講師による
開講を希望して前年度中に申請を出し、研究科委員会
が承認・設定する科目。
※2 社会学部におかれる必修科目以外の科目のうち、指導
教員および研究科委員会において、学生の研究テーマ
との関連性が高く、研究を進めるのに資すると認める科
目。
※授業科目の詳細は、シラバス検索をご利用ください。 https://sy.rikkyo.ac.jp/timetable/
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