Search for Yields 再び 藤代 宏一

Market Flash
Search for Yields 再び
2017年2月27日(月)
第一生命経済研究所 経済調査部
主任エコノミスト 藤代 宏一
TEL 03-5221-4523
【海外経済指標他】
・1月米新築住宅販売件数は前月比+3.7%、55.5 万件。市場予想(57.1 万件)は下回ったが、2ヶ月ぶり
に増加した。モーゲージ金利上昇が懸念されたものの、それを意識した駆け込み需要もあってか、消費者
の旺盛な住宅購入意欲が反映された。新築住宅販売件数は 16 年7月をピークに頭打ちになっているが、在
庫水準が適正化に向かうなか、先行きも緩やかな増加傾向を辿るものと判断される。
・2月ミシガン大学消費者信頼感指数(確定値)は 96.3 と速報値から 0.6pt 上方改定され、市場予想(96.0)
を上回った(1月は 98.5)。1月対比では現況(111.3→111.5)が横ばいを維持した反面、より重要な期
待(90.3→86.5)が低下。ヘッドラインは2月に大統領選以降で初めて軟化したが、その水準は景気後退
後の最高付近にあり、消費者の楽観的な姿勢を映し出している。
新築住宅販売件数
(千件)
120
650
ミシガン大学消費者信頼感指数
110
100
550
現況
90
450
80
70
350
総合
60
期待
50
250
09
11
13
(備考)Thomson Reutersにより作成
15
05
07
09
11
(備考Thomson Reutersにより作成
17
13
15
17
【海外株式市場・外国為替相場・債券市場】
・前日の米国株は小幅ながら続伸となり、NYダウは11日連続で最高値更新。新規の材料に乏しいなか、好
調な企業業績を後ろ盾に買い優勢。ここもとの米金利低下・USD高一服も好感されている。WTI原油は
53.99(▲0.46㌦)で引け。OPECの減産進捗が好感される反面、米国の増産が意識されたとみられる。ベー
カー・ヒューズが公表した米稼動リグ数は754基と前週から3基増加。用途別では石油が5基増加、ガスが
2基減少となった。
・前日のG10 通貨はJPYが最強でそれにCAD、USDが続き、反対にGBPが最弱でAUD、SEKが続いた。USD/JPYは
新規の材料に乏しいなか、米長期金利の低下に沿う形で下落。他方、EUR/USDは米金利低下に逆行し、1.06
を割れた。新興国通貨は軟調で、JPMエマージング通貨インデックスは5日ぶりに反落。
・前日の米10年金利は2.312%(▲6.0bp)で引け。大型減税の早期実現の可能性が疑問視され始める下、米
債需給の引き締まりが意識された。欧州債市場(10年)はコア国中心に堅調。株式市場の下落を横目にド
イツ(0.186%、▲4.7bp)、フランス(0.928%、▲5.7bp)、イタリア(2.195%、▲3.0bp)が金利低下
となった反面、スペイン(1.698%、+1.2bp)が小幅に金利上昇。
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が信ずるに足る
と判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内
容は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
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【国内株式市場・アジアオセアニア経済指標・注目点】
・日本株はUSD/JPY下落が重荷となり、下落して寄り付いた後、もみ合い(9:30)。
<#Search for Yields #逆回転
#米金利上昇・USD/JPY下落>
・24日に米10年金利は2.312%へと低下し、16年11月29日以来の低水準に回帰。イールドカーブは17年入り後
再びフラット化しつつあり、2年10年スプレッドは116.9bpまで縮小した。これは大統領選翌日の11月9日
の同水準である。この間、2年金利はFEDの利上げを織り込む形で上昇基調にあった反面、10年金利が
政策不透明などから強い需要に支えられ、上昇が一服したことが背景。
(%)
(%)
米10年金利
米2年-10年スプレッド
3
3
2.5
2.5
2
2
1.5
1.5
1
1
0.5
13
14
(備考)Bloombergにより作成
15
16
17
13
14
(備考)Bloombergにより作成
15
16
17
・そうしたなかで株式市場のテーマとして、昨夏頃まで流行していたSearch for Yieldsが復活しつつある。
米株市場では高配当株式への資金流入が活発で、生活必需品、情報通信、公益などが堅調。NYダウの11
連騰に大きく貢献している。また金融株が米金利低下にも拘らず底堅さを保っていることも説明が付く。
これはドットフランク法の大幅改正など規制緩和に対する期待も去ることながら、イールドスプレッド
(配当利回り-10年金利)の低下一服が効いているのだろう。
米国株・米10年金利
2400
(%)
(%)
S&P500
2.5
0.7
2300
0.2
長期金利(右) 2.0
2200
イールドスプレッド(金融株配当利回り―米10年金利)
1.2
-0.3
1.5
2100
2000
16/07
-0.8
1.0
16/09
16/11
-1.3
16/07
17/01
16/09
16/11
17/01
(備考)Bloombergにより作成
(備考)Bloombergにより作成
・筆者は、FEDが発する追加利上げのシグナルが市場の想定よりもかなり急なペースで示された場合、米
国株の下落を通じて、JPYのショートポジションが巻き戻されることに懸念を抱いている。米金利上昇によ
って、Search for Yieldsで流入してきた資金が逆回転を始める展開に注意したい。
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が信ずるに足る
と判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内
容は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
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