№ sma0027 (2017.2.23) サントリー美術館 「六本木開館10周年記念展 国宝《浮線綾螺鈿蒔絵手箱》修理後初公開 神の宝の玉手箱」 開催 会 期:2017年5月31日(水)~7月17日(月・祝) 国宝 浮線綾螺鈿蒔絵手箱 一合 鎌倉時代 13世紀 サントリー美術館 サントリー美術館(東京・六本木/館長 鳥井信吾)は、2017年5月31日 (水)から7月17日(月・祝)まで、 「六本木開館10周年記念展 国宝《浮線綾 螺鈿蒔絵手箱》修理後初公開 神の宝の玉手箱」を開催します。 今も昔も、きらびやかで美しい箱は、人々を惹きつけてやみません。内容品が 大切であればあるほど、また、所有する者の身分が貴いほど、箱は美しく仕立てられ、 “玉なる箱”として愛でられてきました。 「手箱」はその代表格で、もともと貴人の 手回り品を入れるためのものが、蒔絵や螺鈿といった当時最高の装飾技法によって 飾られ、神々のお使いになる具として奉納されるようにもなります。特に中世の 手箱は、漆芸技法の結晶美ともいえるほど技術の粋が凝縮され、「神宝」として、 あるいは一部の特権階級の所有として伝わるにふさわしいものばかりです。 1 ふ せんりょう ら でん まき え て ばこ 本展は、このたび約50年ぶりに修理を行った国宝《浮線 綾 螺鈿蒔絵手箱》 (サントリー美術館蔵)を修理後初公開することを基点に、人々が生活の中で用いて きた手箱の姿を織り交ぜつつ、特別に仕立てられた手箱についてその魅力を特集 うわ ぎ くつ ひ おうぎ するものです。特に、名だたる神社に伝わった手箱を、表着、沓、檜 扇 などの服飾 ちょう ど から、鏡、鏡台、硯箱などの 調 度にわたる様々な神宝類と合わせて展示します。 また、このたびの修理等を通して知られた、名品手箱の手間を惜しまない複雑 な技法の工程と高度な技をご紹介しつつ、近現代の名工が手がけたそれら手箱の 模造を通して、輝きに満ちた制作当初の姿をご覧いただきます。 金や螺鈿きらめく玉なる手箱―“玉手箱” 。各時代で人々を魅了し、時に神様に 捧げられた技と美をご堪能ください。 《 展示構成 第1章 》 玉なる手箱 箱は、中に入れるものが大切なものほど、美しく飾られます。それは、私たち が思い浮かべる「宝箱」が常に豪華であることにも表れています。宝石や高価な 化粧道具など、大切で価値あるものを入れる箱を美しくしたいと思う心理は、昔も 今も変わりません。 それを象徴するのが、平安時代以降、大切な手回り品を入れる箱として使われて からくし げ きた手箱です。中国における櫛や鏡などを入れた唐櫛笥が原型とされ、化粧箱の 性格を色濃く引き継ぐことから、女性の調度の中でも主要な位置にあって、 「ハレの 調度」として華やかな意匠こそふさわしいものです。一方で、神様への捧げもの としても中心的な具であり、贅を尽くしてきらびやかに仕立てられた手箱は、 「神々の調度」とも呼ばれます。 一方で、これらの箱は、本来の内容品のための箱から、しばしば美しい箱それ 自体に価値が置かれるようになり、後世には収集・愛蔵の対象ともなっていきます。 ここでは人々を魅了してきた、玉なる手箱の数々をご覧いただきます。 【おもな出品作品】 ふ せんりょう ら でんまき え て ばこ ・国宝 浮 線 綾 螺 鈿 蒔 絵手 箱 ・国宝 あき の しかまき え て ばこ 秋 野 鹿 蒔 絵手 箱 ・重要文化財 きくまき え て ばこ 菊 蒔 絵手 箱 一合 鎌倉時代 13世紀 サントリー美術館 一合 鎌倉時代 13世紀 島根・出雲大社 一合 南北朝〜 室町時代 14世紀 九州国立博物館 ・重要文化財 ・重要文化財 きくまき え て ばこ 菊 蒔 絵手 箱 きくまき え て ばこ 菊 蒔 絵手 箱 一合 室町時代 15世紀 東京・西新井大師総持寺 一合 室町時代 15世紀 愛知・熱田神宮 2 第2章 手箱の呪力 重要文化財 松梅蒔絵手箱および内容品 一具 室町時代 16世紀 鹿児島・枚聞神社 「玉手箱」といった時、私たちは美しい箱ということのほかに、開けてはならない 秘密の箱という意味合いも想起します。蓋の閉じた見知らぬ箱を開けることは、 現代においても少なからぬ不安を覚えるものです。そのためか、浦島伝説を筆頭に、 古来、箱を巡る不思議な説話は数多くあります。 け しょう また、化粧箱としての手箱を考えた際、 「化 生 」にも通じる化粧や、 『古事記』の くろ み かずら 「黒御 鬘 」の神話をひくまでもなく、古代の櫛が魔除けなどの呪術的な道具であった ことを思えば、それを入れる手箱にもある種の呪力が宿ると考えられたことは想像 に難くありません。古代の墳墓や仏像の像内に、櫛などを納める意味とも無関係 ではないでしょう。 まつうめまき え 本章では、山幸彦・海幸彦神話の残る地に「玉手箱」として伝承される《松梅蒔絵 て ばこ ひらきき 手箱および内容品》 (枚聞神社蔵)など、箱についての不思議な説話にまつわる品々や、 仏像の像内に納入されていた貴重な古代の化粧道具類をご紹介します。 【おもな出品作品】 ・重要文化財 まつうめまき え て ばこ 松 梅 蒔 絵手 箱 および内容品 一具 室町時代 16世紀 鹿児島・枚聞神社 うらしま え まき ・浦 島 絵 巻 あめわかひこものがたり え まき ・天 稚 彦 物 語 絵 巻 一巻 室町時代 16世紀 日本民藝館 上巻 二巻のうち一巻 江戸時代 17世紀 サントリー美術館 ・重要文化財 やく し にょらい ざ ぞう ぞうないのうにゅうひん 薬 師 如 来 坐 像 および像 内 納 入 品 一具 承保四年(1077) 三重・四天王寺 3 第3章 生活の中の手箱 石山寺縁起絵巻 第五巻(部分) 谷文晁筆 七巻のうち一巻 江戸時代 19世紀 サントリー美術館 平安時代に生まれた手箱は、化粧道具のほか、扇や冊子など様々な身の回りの ものを入れるための箱として、生活に密着した調度でした。そこでの手箱は華麗に 装飾された“玉なる手箱”ではなく、日常使いに適したシンプルなものがほとんど でした。 しつらい るいじゅうざつようしょう 宮中の公事における調度、室礼などを記した『類 聚 雑要 抄 』は、平安時代後期の るいじゅうざつようしょうさし ず かん 衣食住の様相を伝えるもので、それを指図として表したのが《類 聚 雑要 抄 指図巻》 です。そこで描かれる手箱を参照しつつ、本来手箱の内容品の一部であったと 思われる鏡箱、各種香合などを集め、当時の生活の中にあった手箱の姿を見ていき ます。また、ほかの化粧道具や調度の一部についても各種絵画資料と合わせてご紹介 します。 【おもな出品作品】 るいじゅうざつようしょうさし ず かん ・類 聚 雑 要 抄 指 図 巻 み くし げ ・御 櫛 笥および内容品 六巻のうち 一具 こ ちょう ぼ たんからくさまき え きゃ ら ばこ ・胡 蝶 牡 丹 唐 草 蒔 絵 伽 羅 箱 江戸時代 19世紀 サントリー美術館 江戸時代 17世紀 島根・出雲大社 一合 鎌倉時代 13世紀 公益財団法人阪急文化財団 逸翁美術館 ほうおうからくさもんまき え かがみばこ ・鳳 凰 唐 草 文 蒔 絵 鏡 箱 うめまき え こうごう ・梅 蒔 絵 香 合 いしやまでらえん ぎ え まき ・石 山 寺 縁 起絵 巻 一合 鎌倉時代 13世紀 大和文華館 一合 平安時代 12世紀 サントリー美術館 第五巻 たにぶんちょう 谷文 晁 筆 七巻のうち一巻 江戸時代 19世紀 サントリー美術館 4 第4章 浮線綾文と王朝の文様 国宝 衵 萌黄地小葵浮線綾丸文二重織 (熊野速玉大社古神宝類のうち) 一領 明徳元年(1390)頃 和歌山・熊野速玉大社 い かい 《浮線綾螺鈿蒔絵手箱》に見られる浮線綾文は、平安時代以降、家格や位階に ゆうそくもんよう 応じて公家の服飾、調度につけた有職文様と呼ばれるものの一つです。日本の文様の 基調をなすとされるほか、それ以上に貴族社会における特殊な宮廷礼法の中で、 社会的な意味を持つ記号として非常に重要なものでした。 あや 浮線綾とは、もとは文様を浮き織りにした綾織物を指すもので技法名として使用 からはなえんもん されていたようですが、その後浮き織りでなくとも特定の唐花円文の名称となり、 ふせちょうもん 平安時代末頃以降は文様名として使われました。唐花の要素を蝶に見立てた臥 蝶 文と 呼ばれるものや、唐花が菊花に近いものなどいくつかバリエーションがあるほか、 藤円文などの類例も挙げられます。 きりたけほうおう き りんもん ここでは、屛風などの絵画資料を合わせつつ、浮線綾文を中心に、桐竹鳳凰麒麟文 み え だすきもん こ あおいもん や三重 襷 文、小 葵 文などほかのいくつかの有職文様について、それらが表される 装束や鏡などの工芸作品によってご紹介します。 【おもな出品作品】 ・国宝 あこめ もえ ぎ じ こ あおい ふ せんりょうまるもんふた え おり 衵 萌 黄地小 葵 浮 線 綾 丸 文 二 重 織(熊野速玉大社古神宝類のうち) 一領 明徳元年(1390)頃 和歌山・熊野速玉大社 ・重要文化財 いれかたびら むらさき じ こ あおい ふ せんりょうまるもんふた え おり 入 帷 紫 地小 葵 浮線 綾 丸 文 二重織(残闕) (熱田神宮古神宝類のうち) 一点 うわ ぎ 室町時代 15世紀 愛知・熱田神宮 もえ ぎ じ こ あおいきりたけほうおうもんふた え おり ・重要文化財 表 着 萌黄地小 葵 桐 竹 鳳 凰 文 二重織(熱田神宮古神宝類のうち) 一領 室町時代 15世紀 げん じ ものがたり ず びょう ぶ す ま はしひめ ・源 氏 物 語 図 屛 風 須磨・橋 姫 六曲一隻 江戸時代 愛知・熱田神宮 17世紀 サントリー美術館 5 第5章 神宝と宮廷工芸 国宝 重要文化財 彩絵檜扇 桐蒔絵手箱および内容品 一握 平安時代 (熊野速玉大社古神宝類のうち) 一具 (画像提供:島根県立古代出雲歴史博物館) 和歌山・熊野速玉大社 (画像提供:奈良国立博物館 12世紀 島根・佐太神社 明徳元年(1390)頃 撮影:森村欣司) もともと、容易に認識できるものではなかった日本の神々が、やがて人間の姿 で表されるようになると、社殿において不自由ない暮らしができるようにと服飾 調度類が奉納されるようになりました。それら工芸品を「神宝」と呼びます。その 形式は、奉納する側である宮廷の人間の生活形式に準じるため、当代の宮廷工芸 にしたがう品々となります。代表的調度である手箱を、神宝として奉納するのも この理由によるものです。 和歌山県の熊野速玉大社に古神宝として伝わった手箱は、明徳元年(1390)に 室町幕府の主導のもと調進・奉納された服飾調度類のうちのもので、計13合の むすびのみや いずれもが、内容品を含め豪華な仕立てとなっています。特に神格の高い 結 宮・ はやたまのみや しょうじょうでん い かけ じ 速 玉 宮・ 証 誠 殿に奉納されたとおぼしき手箱には、沃懸地という《浮線綾螺鈿 蒔絵手箱》にも見られる金粉を密に蒔き詰めた最も華麗な蒔絵技法が用いられ、 「神々の調度」と呼ばれる手箱にふさわしい装飾がなされます。本章では、名だたる 神社に伝えられた神宝から、手箱や服飾調度類を展示し、特別に仕立てられた宮廷 工芸の形式を伝える品々をご覧いただきます。 6 【おもな出品作品】 ・国宝 きりまき え て ばこ 桐 蒔 絵手 箱 および内容品(熊野速玉大社古神宝類のうち) 一具 明徳元年(1390)頃 和歌山・熊野速玉大社 ・国宝 かざしのはな 挿 頭 華 (熊野速玉大社古神宝類のうち) 六枝 明徳元年(1390)頃 和歌山・熊野速玉大社 ・重要文化財 にしきつつみそうかい 錦 包 挿 鞋 (熱田神宮古神宝類のうち) 一双 室町時代 15世紀 愛知・熱田神宮 ・重要文化財 ・重要文化財 ・重要文化財 くろうるし ね こ じ がたきょうだい 黒 漆 根古志 形 鏡 台 (熱田神宮古神宝類のうち) さい え ひ おうぎ 彩 絵檜 扇 一基 室町時代 15世紀 愛知・熱田神宮 一握 平安時代 12世紀 島根・佐太神社 りんどうずい か ちょうちょうもんおうぎばこ 龍 胆 瑞花 鳥 蝶 文 扇 箱 一合 平安時代 12世紀 島根・佐太神社 ・重要文化財 まつふじまき え ぶんだいすずりばこ 松 藤 蒔絵文 台 硯 箱 一具 室町時代 16世紀 山口・防府天満宮 本展では、トピック展示として、このたびの《浮線綾螺鈿蒔絵手箱》の修理や光学 調査の成果を生かしながら、手箱に駆使された高度な技を詳しく紹介するとともに、 それに関連して近現代の名工たちが手がけた名品手箱の模造を展示します。 特に近代以降行われてきた模造活動は、単なるかたちの模倣ではなく、それにより 造形精神や技法を学び、新たな創造の原点となるもので、さらには伝統技術の伝承の 場ともなる意義深いものです。過去から今、そして未来に伝承されていく精神と 技を、模造作品を通して間近にご覧いただきながら、制作当初の輝きに満ちた名品 手箱による豪華な空間をお楽しみください。 7 【サントリー美術館六本木開館10周年記念特別イベント】 ◎特別講演会「隈研吾、サントリー美術館を語る」 世界が注目する建築家・隈研吾が、サントリー美術館の設計にまつわる様々な エピソードと、建築家としての思いを語ります。 講 師:隈 研吾 氏 (建築家) 日 時:6月3日(土)14時~15時30分 会 場:6階ホール 定員:120名 対象:一般 聴 講 料:2,500円(自由席・当日入館料込) *チケットは3月29日(水)より3階受付・ローソンチケットにて販売 (美術館での販売は火曜日、展示替休館期間をのぞく) 【本展における展覧会関連プログラム】 ◎記念講演会「開けてびっくり玉手箱~《浮線綾螺鈿蒔絵手箱》を読み解く」 講 師:室瀬和美 氏 (漆芸作家 重要無形文化財保持者〈蒔絵〉[人間国宝]) 日 時:6月11日(日)14時~15時30分 会 場:6階ホール 定員:100名 聴 講 料:700円(別途要入館料) 対象:一般 応募締切:5月21日(日) *詳細は当館ホームページにてご確認ください。 「六本木開館10周年記念展 国宝《浮線綾螺鈿蒔絵手箱》修理後初公開 神の宝の玉手箱」 開催 ▼会 期:2017年5月31日(水)~7月17日(月・祝) ※作品保護のため、会期中展示替を行います。 ▼主 催:サントリー美術館、読売新聞社 ▼協 賛:三井不動産、三井住友海上火災保険、サントリーホールディングス ▼特別協力:目白漆芸文化財研究所 ▼会 場:サントリー美術館 港区赤坂9-7-4 東京ミッドタウン ガレリア3階 〈最寄り駅〉 都営地下鉄大江戸線六本木駅出口8より直結 東京メトロ日比谷線六本木駅より地下通路にて直結 東京メトロ千代田線乃木坂駅出口3より徒歩約3分 8 【基本情報】 ▼開館時間:10時~18時 ※金・土、および7月16日(日)は20時まで開館 ※いずれも入館は閉館の30分前まで ※shop×cafeは会期中無休 ▼休 館 日:火曜日(ただし7月11日は開館) ▼入 館 料:一般1,300円、大学・高校生1,000円、中学生以下無料 ※20名様以上の団体は100円割引 ▼前 売:一般1,100円、大学・高校生800円 サントリー美術館、 チケットぴあ、 ローソンチケット、 セブンチケット、 イープラスにて取扱(各種プレイガイドは一般のみ販売) ※前売券の販売は3月29日(水)から5月30日(火)まで ※サントリー美術館受付での販売は3月29日(水)から5月14日(日)までの開館日 ▼割 引: ■きもの割:きものでのご来館で100円割引 ■HP割:ホームページ限定割引券提示で100円割引 ■携帯割:携帯サイトの割引券画面提示で100円割引 ■あとろ割:国立新美術館、森美術館の企画展チケット提示で100円割引 ※割引の併用はできません ▼点茶席(お抹茶と季節のお菓子) 1日限定50名(当日先着順) 1,000円(別途要入館料) 6階茶室「玄鳥庵」にて 日 時:6月1日(木) ・15日(木) ・29日(木) 、7月6日(木) ・13日(木) 11時30分~17時30分(入室は17時まで) 13時、14時、15時にはお点前があります。 ※点茶券は当日10時より3階受付にて販売(予約不可、お一人様2枚まで) ▼一般お問い合わせ:03-3479-8600 ▼ホームページ: http://suntory.jp/SMA/ ▽次回展覧会 「六本木開館10周年記念展 おもしろびじゅつワンダーランド」 (仮称) 2017年8月1日(火)~8月31日(木) ▽プレスからのお問い合わせ:〔学芸〕佐々木、〔広報〕光田 TEL:03-3479-8604 FAX:03-3479-8644 メールでのお問い合わせ、及びプレス用画像ダウンロードのお申し込み: 2017年2月23日(木)から http://www.suntory.co.jp/sma/info_press/ 以 9 上
© Copyright 2024 ExpyDoc