葬儀に関する仕事

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葬儀に関する仕事
「葬儀」と聞いてすぐに「一生の仕事にしよう!」
と思う高校生はそんなに多くはないと思います。で
も、もしもその仕事がとっても興味深かったら?やり
がいにあふれる仕事だったら? 「葬儀の仕事」は
約 1 兆 4,000 億円市場です。しかも、これからます
ます高齢化が進む日本では、なくてはならない仕事
とも言えます。亡くなった方とそのご家族のために、
素敵な旅立ちができるように日夜頑張っている先輩
が、本日のゲストです。
「葬儀に関する仕事」の魅
力について、ぶっちゃけトークしてもらいましょう!
今回の働く先輩
長谷川 綾さん(左)
ナビゲーター:野呂佳代
働く先輩紹介
長谷川 綾(はせがわ・あや)さん
葬儀社アーバンフューネスで「エンディングプラン
▼
ナー」という通夜から葬儀一式を企画し、取り仕切る
仕事をする、新潟県出身の 25 歳 。
*
体育大学を卒業後、現在の葬儀社に新卒で入社し
ばかり…。いちから鍛え直されました。
「葬儀」では、しきたりも大切にするけれども何よ
り大切なのは亡くなった方への家族の思いを形にする
こと。それがたとえ花束ひとつであったとしても…。
て、現在 4 年目。入社後 1 年間の修業を終えてようや
「死」は突然訪れるものです。夜も昼も関係ありま
くプランナーになりましたが、すぐにデビューはかなわ
せん。しかも準備から葬儀までの時間がとても短く、
ず、その 2 年後にようやくプランナーとしての仕事を始
めます。すでにこの 1 年間で手がけた仕事は 100 件を
超えます。
* * * 体育大学で学んでいた長谷川さんは将来、警察官に
なるつもりでいました。なぜなら体育大学の出身者の
多くは警察官か教師になっていたからとのこと。でも、
大学 3 年のときに突然「このまま警察官になって良
上:出棺時にお孫さんに
思い出の品を手向けて
もらうように案内をする
長谷川さん/左:長谷川
さんは、ご家族からの話
をもとに『競馬場』をお
別れの花祭壇に再現
いの? 本当に警察官が自分のやりたい仕事?」とい
う疑問が沸き上がり、急きょ方向転換。日本中の仕事
を調べ上げ、引っかかったのが「葬儀の仕事」でした。
大学生が選ぶ仕事としてとても遠いところにある仕事。
だからこそ興味を持ったと言います。いわゆる「お葬
式」の暗く厳粛なイメージを抱いたまま会社説明会に
参加すると、なぜかとても明るく楽しそうで、まるで
イベント会社のようだったとか。この仕事しかない!
となぜか感じたそうです。しかし入社してからが苦労
の連続。
「ガンバロー! オ∼!」という体育大の学
生のノリがまったく通じず、笑ってすませられない。
「コノタビハゴシュウショウサマデシタ」が言えない。
しきたりが、身のこなしが…などなど、できないこと
上左:喪主と一緒に葬儀の流れなどを再確認し
ます/上右:手作りの洋服にまつわるおばあさん
の思い出コーナーでお孫さんと/下右:裁縫が
好きだったおばあさんの思い出の展示コーナー
写真提供:葬儀社アーバンフューネス
を制作中
*:2017 年収録
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だからこそ常に時間を逆算しながら動かねばなりませ
ん。あともう少し時間があったら、もっといろんなこ
とをやってあげられるのに…、と後悔がよぎることも
あるそうです。でも遺族に感謝されたときには、達成
感を感じるそうです。
『「葬儀」の仕事だからこそ「命」の重みが本当にわ
かった今、プランナーの仕事に生きがいを感じてい
プランナ
ーデビュ
ーした同
左から2
期を祝っ
番目が長
て! 谷川さん
る』と長谷川さんは言います。
【葬儀に関する現状】
一般社団法人 全日本冠婚葬祭互助協会の「葬儀に関するアンケート」(有効回答数 9,762 件)
によると、
(1)
「故人の葬儀をどこで行いましたか」と言う質問に対し、1970 年までは「自宅」での葬儀
が最も多く全体の 48.2%だったのが、2011 年以降では、
「自宅」での葬儀は 4.6%に減少し、
「葬儀会館」が 85.6%となっています。
▼
(2)
「葬儀 ・ 告別式で故人の思い出の品などを展示したり飾ったりしましたか」という質問では、
1970 年までは「行わなかった」が 91.6%で「行った」が 8.4%でしたが、2011 年以降で
は「行った」が 40.6%に増加しています。
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このようなアンケート結果からも、かつては家族や近隣の人が自宅で行っていた葬儀や告別式
が、今ではその多くが葬儀会社に依頼して行うようになっている現状がわかります。
また、葬儀や告別式では、故人の思い出を演出をすることが増えている、という現状があります。
〈資料提供:一般社団法人 全日本冠婚葬祭互助協会(
)〉 お仕事データ【葬儀に関する仕事に就くには?】
葬儀に関する仕事に就くためには、
特別な資格は必要ありません。また、
学歴なども特に問われません。
葬儀に関する仕事に就くためには、葬儀会社に就職しますが、その条件や規定は会社によって異
なります。
また、
同じ葬儀に関する仕事でも、
その仕事の内容は会社によって異なることがあります。
今回紹介した会社では入社前に「葬儀に関する知識」がなくても入社後に会社が設定した話し方
や葬儀の準備のしかたなどの研修を受けることによって、半年くらいで葬儀の「プランナー」とし
て独り立ちして仕事ができるようになるそうです。
■今回のゲスト長谷川さんから高校生へのアドバイスをいただきました。
この仕事に向いている人は? ・いろいろ「妄想」するのが好きな人。
▼
・新しいことにチャレンジするのが好きな人。
・人間に「興味」や「好奇心」のある人。
高校生のときにやっておいたほうがよいことは?
・ひとつのことに打ち込むのもよいが、いろいろなことに目を向けて体験しておくこと。趣味
程度でもよいので、やったことがあることが多いほど、就職で仕事を選ぶときに役に立つ。
最後にひと言
「日本の国のこと、社会のことなど、いろいろな情報を知っておくことも大切です。例えば
第二次世界大戦 のことを知っていれば、お年寄りの体験を聞くことができますし、自分が情
報を知っていればいろいろな年代の人と話ができます。自分はずっと 陸上一筋 だったので、
もっと視野を広げておけばよかったと思います。社会人になって、そこが一番大変でした」と
語ってくれました。
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