(2017 年2月号掲載) 群馬県及び県内市町村の公共工事の状況と今後の課題 群馬経済研究所主任研究員 ― 要 約 伊勢和広 ― 1.群馬 県と県内市町村が発注する公共工事額は、2013~15 年度はアベノミクス政策 の一つである「機動的な財政政策」の影響もあって、10~12 年度と比べて若干回復し た。しかし、ピークの 98 年度に比べれば、県は5割程度、市町村は6割程度の水準 にとどまっている。 2. 今後、 社会保障費の増加等によって財源の確保がますます厳しくなることに加え、 人口減少もあって、長い目で見れば、新設案件の建設需要は先細りが懸念される。 3. その一方で、建築物、道路、上下水道など公共インフラの維持管理・更新需要や、 耐震化・省エネ化等に対応するリフォーム需要などは、今後大幅に増えていくと思わ れる。 4.公共インフラの更新需要の大幅増加予想を受け、総務省は全国の都道府県と市町村 に対して、16 年度末を目途とした「公共施設等総合管理計画」(以下、「管理計画」) の策定を求めており、群馬県は 16 年3月に策定を終えた。一方、策定済みの市町村 は 16 年 10 月1日現在で前橋市や千代田町など一部にとどまるが、未済の市町村でも 策定作業が進められている。 5. 群馬経済研究所では「管理計画」を策定済みの県・市町村の担当部署等にヒアリン グを行ったが、その中で①今後の予算措置については不確定であること、②計画実施 における技術職員等の人員不足、③施設総量の適正(減量)化の実現性、などの課題 が浮かび上がった。 6. 県や一部の市町村が「管理計画」を策定したことは、上記のような課題があるもの の、公共インフラの今後の更新、維持管理・補修費用発生額などが明らかになった点 で、大きな成果だと思われる。今後は、県・市町村の具体的な施策実施に期待するが、 住民が公共インフラ施策の重要性を理解する必要も大きいと思われる。 キーワード:公共インフラ、公共工事、公共施設、総合管理計画、予防保全
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