平成 28 年度全国剣道指導者研修会

平成 28 年度全国剣道指導者研修会(九州ブロック)
平成 28 年度全国剣道指導者研修会九州ブロック
いて、福本修二講師が中学校保健体育科授業におい
(主催=日本武道館、全日本剣道連盟、全日本学
て武道が必修となった経緯について、教育基本法の
校剣道連盟、主管=宮崎県学校剣道連盟)は 1 月
成立や改正の歴史に触れながら述べ、学校教育の中
28・29 日の 2 日間、宮崎県宮崎市の宮崎県体育館で、
で武道に求められていることを解説した。また、全
中学校保健体育科教員 48 名を含む 86 名が参加し
日本剣道連盟の武道授業に向けた取組や、自身の経
て行われた。本事業は平成 24 年度から完全実施さ
験を交えた教員としての在り方についても語った。
れた中学校保健体育科における武道授業の充実に向
続いて、佐藤義則講師による安全管理に関する講
けて、剣道の授業が効果的に展開されるよう、全国
義が行われた。特に用具の管理について、防具、竹
9 ブロックにおいて、毎年 5 ブロックで開催されて
刀などの確認するポイントを示した。
おり、今年度は 5 ブロック合計 407 名の参加者を
次に𦚰本三千雄講師が体罰・暴力によらない剣道
得て、すべての日程が終了した。
指導について講義。その後、尾﨑城夫串間市立福島
中学校教諭による剣道授業実践発表が行われた。
武道的素養を培う動きづくり
つか
■ 1 日目(28 日)
福島中学校では剣道授業を 1、2 年生は全員、3
摑むと紹介。次に有田祐二講師により、新聞紙切り、
次は花澤博夫講師が防具の着装法を紹介した。胴
開講式では、はじめに𠮷川英夫日本武道館振興部
年生は選択で行っており、13 〜 15 時間を割いてい
ボール打ちが実践された。最後に軽米講師より、自
紐を見えないところで結ぶのは難しいので、体の前
長が挨拶に立った。
る。1 年生では打突への恐怖の軽減を、2 年生では
然体、発声の仕方、打突部位、踏み込み足など基本
で結ぶ方法や面の下につける手ぬぐいを折り紙の兜
「日本武道館では武道 9 種目に対応した全国研修
基本打突の復習と応用技の学習を、3 年生では既習
動作の総合的な指導がなされた。
のように折って頭にかぶる方法が紹介された。
会を行っています。必修化の現状として、柔道は 6
技の中から得意技を選んで磨くことを目標に授業を
ここからは竹刀だけがある場合の授業例として、
続いて、神﨑講師より面打ちの段階的指導法、す
割が、剣道は 3 割が、他種目は 1 割が採用されて
展開した。また、新聞刀を用いた真剣白刃取りなど
まず有田講師が立ち方、座り方や礼法の講義を行い、
なわち、その場で打つこと、一足一刀の間合から打
います。授業展開の研究事業を平成 21 年度から行
剣道に近い動きの運動を数種類組み合わせたトレー
次に花澤博夫講師が面、小手、胴の空間打突、一足
つこと、一歩踏み込んで攻めて打つことを段階的に
っており、講師は研修会のエキスパートです。研修
ニングを考案し、授業のはじめに必ず行わせた。木
一刀の間合および遠間からの面打ち、小手打ち、胴
指導する方法が紹介された。その後、小手、胴につ
で熱い思いも汲み取っていただきたいと思います」
刀による剣道基本技稽古法は 1 〜 9 本目までをす
打ちを指導。休憩を挟み、『ネリーブライ』に乗っ
いても段階的指導法が紹介された。
次に福本修二全日本剣道連盟副会長兼専務理事が
べて指導し、生徒にその中から自分の最もかっこい
て剣道の動きを行うリズム剣道を指導した。他の曲
軽米講師により、観点を気・剣・体の 3 点に絞り、
挨拶を述べた。
いと思うものを 3 本選ばせて、発表会を行った。尾
として、
『CHA-CHA-CHA』や『365 日の紙飛行機』、
5 人グループで互いに評価し合う判定試合を行った。
「この研修会は大きな意味を持っています。剣道専
﨑教諭は課題として、技術指導に偏向していないか、
『世界に一つだけの花』なども合わせて紹介された。
評価は絶対評価と相対評価の両方で行われた。
門だけではなく、他教科の先生や大学生、社会体育
また、打つべき機会の理解を挙げながら、剣道未経
最後は 8 班に分かれ、この日の剣道授業実践発表
午後は花澤講師により、応じ技の指導法が紹介さ
指導員など、幅の広い方が中学校で剣道を指導する
験の教員が指導できる内容の研究をしていきたいと
と剣道授業の現状と課題について、研究協議がなさ
れた。その後、有田講師により抜き技の指導および
中で、剣道の魅力を伝えなくてはいけません。剣道
した。最後に従来道場で指導されてきた剣道の指導
れた。その後、班ごとに発表した。
約束練習の指導が行われた。最後に参加者全員で自
指導のいろいろなバリエーションを知ることで多様
法を「わかりやすく」「ゲーム性を取り入れ」「楽し
■ 2 日目(29 日)
由練習として、打ち込み練習、かかり練習を行った。
な生徒に対応できるのだと思います」
く」「短期間で」「誰でもでき」「またやりたいと思
網代忠宏講師、𦚰本講師が木刀による剣道基本技
研修の最後に軽米講師より、剣道授業における評
全日本学校剣道連盟を代表して、𦚰本三千雄副会
わせる」ことではじめて剣道が教材となり、授業で
稽古法を指導した。はじめに木刀がない場合でも、
価の仕方について、その時点の成果を先生と生徒が
長が挨拶に立った。
の指導法になると発表した。
新聞紙を丸めたものや、ペットボトル、ビニール管
互いにわかりあって、指導を行うと効果的な学習に
「この研修会のほか、全日本剣道連盟の地方講習会
午後は神﨑浩講師による剣道授業における楽しい
にスポンジを巻きつけたものなどを木刀に見立てて
つながる事例などを紹介しながら講義が行われた。
を受けた方が東西に分かれて研修会を行っておりま
動機付けが行われた。ここでは主に導入の授業で使
行えることが紹介された。木刀がある場合は、摺り
最後に前日の討議で出た中学校授業で切り返しを
す。各都道府県から 2 名の方が参加しています」
える教材として、刀剣や剣道の歴史、剣道の特性な
上げ技などで木刀同士が触れた場合の「カンッ」と
行わない理由や打つべき機会の指導法などの質問に
主管県からは小森邦彦宮崎県剣道連盟副会長と前
どが紹介された。続いて、軽米満世講師によるアイ
いう音が生徒の興味関心を引く要因になるとの話が
対して講師が答えた。閉講式では軽米講師が講評を、
田哲司宮崎県学校剣道連盟会長が挨拶を述べた。
スブレーキングでは、剣道じゃんけんなど剣道の動
あった。その後、両講師により手本が示され、全員
柿木龍馬都城市立小松原中学校教諭が講師に対する
初めに中学校保健体育科における武道の必修につ
きや用語が自然に身につく簡単な動作で生徒の心を
で 1 〜 6 本目を練習した。
謝辞を、それぞれ述べて閉会となった。