フィル・カンパニー - モーニングスター

Morningstar Equity Research Report 2017.2.16
駐車場上部の未利用空間に空中店舗を展開
投資判断(2/15)
フィル・カンパニー(3267・マザーズ)
株価
投資単位
3,690円
時価総額
昨年来高値
88.0億円
100株
(2/15)
新規 Overweight
昨年来安値
4,470円
(2/15)
PER
(予)
2,610円
(16/11/21)
54.9倍
(16/12/9)
(2/15)
コインパーキング+空中店舗で、
高利回りを実現
■空中店舗好調、
16年11月期2ケタ増収増益に
16 年 11月期(15 年 12月- 16 年 11月)の連結業績
は、売上高 1,668 百万円(前期比 11.7%増)
、営業利益
206 百万円(同 37.3%増)の2ケタ増収増益。独自の企
画・設計による空中店舗「フィル・パーク」を提案・販売
する企画管理業務が好調に推移。既存顧客からのリピート
案件や金融機関などからの紹介案件が増えた。また、物
件建築・引渡後にオーナーから同社が借り上げる賃貸管
理業務(サブリース)のストック収入が増加したことも好
業績につながった。
(円)
5,500
4,500
4,470
3,500
2,610
2,500
25日線
(千株)
1,500
1,000
500
0
5日線
出来高
13週平均線
11
■平均表面利回り20%超、
他社の追随許さず
17 年 11月期(16 年 12月- 17 年 11月)連結業績の
会社予想は、売上高 2,100 百万円(前期比 25.9%増)
、
営業利益 250 百万円(同 21.1%増)となっているが、今
期が上場後初の通期決算になるため、計画は慎重に見
積もられた印象。前期末時点の受注残高は1,334 百万円
(前々期比 36.5%増)と今期売上計画の6 割強を確保。
加えて、受注から竣工までの期間が 6 - 9カ月程度のため、
第 3 四半期(6 - 8月)までに着工した案件が今期中に売
上計上される可能性が高い。会社側は前期に税効果会計
による法人税等調整額の影響で純利益が押し上げられた
反動から最終減益を予想しているが、モーニングスターで
は、売上高・営業利益が会社計画を上ブレ、純利益は前
期並みを確保するとみている。
コインパーキングの稼働を続けたまま空中店舗を建設
し、土地オーナーに対しリーシング(初期テナント誘致)
を約束する企画力が同社の強み。駐車場と2 - 3 階の空
中店舗の収入から計算する表面利回り(年間収入 / 物件価
格× 100%)は平均 20.6%(同社調べ)に上る。狭小店
舗のリーシングを実現し高利回り物件に仕上げる独自ノウ
ハウをもち、他社の参入もないため、業績の下ブレリスク
は低い。
5,000円~ 5,300円
想定株価レンジ
12
1
2
5日移動平均線
25日移動平均線
出来高
(25日平均)
3,792円
3,607円
171,748株
一方、新規の土地取得から空中店舗の開発・販売に至
るまでを同社が手掛ける事業スキームの構築に今期から
乗り出す。これにより、土地オーナーのみならず、一般・
機関投資家を対象に不動産投資需要を取り込む。顧客ニ
ーズに応えた高付加価値商品であり、1 案件当たりの粗利
益の増大が期待できる。本格的に収益寄与するのは18 年
11月期からの見込み。同社では最短で18 年 11月期経常
利益5億円達成により新株予約権を50%行使できるストッ
ク・オプションを設定。同時に東証1部入りも目指している。
株価は、上場 2日目の16 年 11月21日に上場来高値
4,470 円を付けた後は軟化したものの、そこから切り返し
堅調に推移している。同社の業績目標連動型ストック・オ
プションを元に予想した5 年間の営業利益の伸び率は年
率平均で40%超。この業績予想をベースとしたDCF(デ
ィスカウント・キャッシュフロー)法で算出したモーニング
スター想定株価レンジは5,000 円- 5,300 円と、15日終
値 3,690 円からはレンジ下限でも30%超、上値余地は大
きい。投資判断は新規「Overweight」とする。
(有村 孝浩)
業績動向(2/15時点)
売上高
(百万円)
15 年 11 月期
16 年 11 月期
17 年 11 月期
18 年 11 月期
実績
1,493
前年比
(%)
3.1倍
営業利益
(百万円)
150
前年比
(%)
50.0倍
経常利益
(百万円)
前年比
(%)
154
25.7倍
純利益
(百万円)
140
前年比
(%)
EPS
(円)
4.1倍
65.5
実績
1,668
11.7
206
37.3
228
48.1
171
22.3
79.9
会社予想
2,100
25.9
250
21.1
250
9.4
160
▲6.7
67.2
MS 予想
2,250
34.9
270
31.1
270
18.4
173
1.2
72.6
MS 予想
3,000
33.3
500
85.2
500
85.2
320
85.0
134.2
本資料は投資判断の参考としての情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的とするものではありません。銘柄の選択、投資判断の最終決定はお客様ご自身の判断でなさるようお願いいたします。本資料に掲載された意見
は作成日における判断であり、予告なしに変更される場合があります。本資料に掲載された意見・データは、当社が信頼できると判断したデータ等により作成いたしましたが、その正確性、安全性等について保障するものではあ
りません。著作権、知的所有権等一切の権利はモーニングスター株式会社並びに Morningstar.Inc に帰属しますので、許可なく複製、転写、引用等を行うことを禁じます。
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Morningstar Equity Research Report 2017.2.16
フィル・カンパニー(3267・マザーズ)
■ 会社概要
事業系統図
駐車場の上部にある「未利用」空間の活用を実現する
空中店舗フィル・パーク事業を手掛ける。不動産活用の1
つにコインパーキングなど駐車場運営があり、「駐車場の
上部の空間がもったいない」との発想から、未利用空間
を店舗として活用することで「駐車場+空中店舗(建物)
」
という新しい常識、価値を生み出した。
「駐車場+空中店
舗」の企画、設計から、初期テナントの誘致、契約のサ
ポート、テナントとの細かい工事区分に関する調整、事業
資金に関するコンサルティングなど、土地オーナーのパー
トナーとして、事業を成功に導くプロセスを一貫してサポ
ート。収益性にも優れ、投資回収期間は駐車場だけのケ
ースより早く、5-10 年となっている。
企画、設計においては、駐車場の稼働率を維持するこ
とを前提に、駐車場利用者の利便性を考慮した上で、空
中店舗部分でもデザイン性の高い空間づくりを実現。建築
基準法など諸法令を順守することも重要で、これらすべて
を満たすことができる点が同社の強み。16 年 11月に東証
マザーズに上場した。
※同社が借り上げるケースもある
※同社が借り上げるケースもある
出所:会社資料よりモーニングスター作成
駐車場+空中店舗で高利回りを実現
■ 事業環境と展望
同社の手掛けた空中店舗は16 年 11月現在、全国主要
都市、特に関東を中心に96カ所(建築中のプロジェクト
も含む)
。その一方で、コインパーキングは全国で6 万カ
所超あるとみられ、同社のシェアはコインパーキング市場
に限っても0.2%程度にすぎない。その他駐車場市場、土
地活用市場などを加味すれば、潜在市場規模は優に5 兆
円(同社試算)に上るという。事業展開の余地は大きく、
成長期待が高まる。
フィル・パーク荻窪
出所:会社資料よりモーニングスター作成
リスク要因
現状は少数精鋭の組織運営となっているが、今後の
事業の拡大に伴い人員の増強、内部管理体制の充実を
図る方針。ただ、
必要な人員が確保できないことに加え、
内部管理体制の充実に適切かつ充分な対応ができない
場合には、事業展開や経営成績に影響を及ぼす恐れが
ある。また、現状は事業規模が小さく、案件 1 件当たり
の売上高が連結売上高に占める割合が高いため、案件
規模の大小による受注単価の変動や引渡時期の偏りに
より、四半期・半期など一定期間で区切ってみた場合、
期間ごとの業績が大きく変動する可能性があることもリ
スク。
株主還元(2/15時点)
■ 株主優待
■ 配当の状況
なし
1株当たり配当金
中間期末
期末
年間
15年11月期
実績
0円
0円
0円
16年11月期
実績
0円
0円
0円
17年11月期
会社予想
0円
0円
0円
本資料は投資判断の参考としての情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的とするものではありません。銘柄の選択、投資判断の最終決定はお客様ご自身の判断でなさるようお願いいたします。本資料に掲載された意見
は作成日における判断であり、予告なしに変更される場合があります。本資料に掲載された意見・データは、当社が信頼できると判断したデータ等により作成いたしましたが、その正確性、安全性等について保障するものではあ
りません。著作権、知的所有権等一切の権利はモーニングスター株式会社並びに Morningstar.Inc に帰属しますので、許可なく複製、転写、引用等を行うことを禁じます。
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Morningstar Equity Research Report 2017.2.16
フィル・カンパニー(3267・マザーズ)
競合他社比較(赤太字は競合他社に比べ優位な数値)(2/15時点)
フィル・カンパニー
(3267・マザーズ)
株価
基本事項
投資単位
最低投資金額
決算月
株価指標
4,245円
609円
100株
100株
100株
369,000円
424,500円
60,900円
11月
12月
10月
18.8倍
PBR
(実)
13.5倍
10.8倍
0.0%
0.9%
売上高成長率
(予)
25.9%
営業利益成長率
(予)
21.4%
▲15.9%
33.3%
40.8%
46.5%
6.8倍
0.7倍
3.4%
11.9%
10.6%
自己資本当期純利益率
(実)
39.6%
総資産経常利益率
(実)
18.1%
自己資本比率
(実)
43.3%
7.5%
47.7%
43.6%
55.6%
0.0%
168.0%
176.8%
売上高営業利益率
(予)
財務安定性
3,690円
54.9倍
EPS成長率
(予)
収益性
アールエイジ
(3248・マザーズ)
PER
(予)
配当利回り
(予)
成長性
インベスターズクラウド
(1435・東1)
デット・エクイティ・レシオ
(実)
流動比率
(実)
▲6.5%
4.2%
6.5%
12.7%
10.7%
5.1%
30.1%
199.9%
450.4%
事業や商圏が直接競合する上場企業はないが、住居向けながら建築物のデザイン性重視の姿勢やリーシングを含む建設企画・施工、管理業務などビジネスモデルが近似する
インベスターズクラウド( 1435)、不動産管理運営が主体ながら狭小地住居物件の企画開発に実績のあるアールエイジ( 3248)を比較企業として選定した。
■ 成長性
■ 収益性
■ 財務安定性
17 年 11 月 期 は 2 割 増 収・ 営 業
増益を見込む。人員大幅増強を計
画するため 16 年 11 月期の営業利
益成長率 37.3%から減速するもの
の、高水準の成長が持続する見通
し。
一方、アパート経営プラットフ
ォーム事業で会員数、成約数が増
加基調にあるインベスターズクラ
ウドは成長性 3 項目で優位となっ
ている。
収益性は高い。採用増など戦略
投資がかさむため 17 年 11 月期の
連結営業利益率は低下するものの、
それでも 11.9%と高水準を維持す
る見通しだ。ROE(自己資本当期
純利益率)も 39.6%と高く、高い
総資産回転率を誇るインベスター
ズクラウドに次ぐ水準にある。
自己資本比率は 43.3%と特段問
題のない水準。デット・エクイティ・
レシオは 7.5%と有利子負債は少な
く、実質無借金のインベスターズ
クラウドとそん色のない低い水準。
流動比率も 100%を上回っており、
財務面での不安は乏しい。
アールエイジは販売用不動産用
地などの取得で借入れを活用する
度合いが高く、D/E レシオは 100
%を超過している。
モーニングスター株式会社
プロダクト開発本部 株式分析部 アナリスト 有村 孝浩
03-6229-0810 [email protected]
本資料は投資判断の参考としての情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的とするものではありません。銘柄の選択、投資判断の最終決定はお客様ご自身の判断でなさるようお願いいたします。本資料に掲載された意見
は作成日における判断であり、予告なしに変更される場合があります。本資料に掲載された意見・データは、当社が信頼できると判断したデータ等により作成いたしましたが、その正確性、安全性等について保障するものではあ
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(3/3)
モーニングスター・エクイティ・リサーチレポートの読み方
特 徴
Overweight (オーバーウエート)
今後、半年間の株価推移が現値水準を 15%以上上回ると
予測される場合
Neutral (ニュートラル)
今後、半年間の株価推移が現値水準の- 15%~+ 15%に
とどまると予測される場合
Underweight(アンダーウエート)
今後、半年間の株価推移が現値水準を 15%以上下回ると
予測される場合
(1)第三者機関として中立的な立場を重視
モーニングスター・エクイティ・リサーチレポートは、
モーニングスターが位置する中立的な第三者としての立場
を重要視し、客観的な比較・評価情報の提供に努めていま
す。モーニングスターがカバーする全銘柄に対し、アナリ
スト個人の見解に加え、複数のアナリストから成る銘柄評
価委員会の意見を反映し、投資判断・想定株価レンジ・業
績予想を決定しています。
(2)カバー銘柄のユニバース
カバー銘柄は下記対象銘柄から銘柄評価委員会が選出し
ています。
【銘柄選定基準】
●アナリストのカバー率が低い国内新興市場上場銘柄
●個 人投資家からの人気が高い銘柄(各オンライン証券
のデータを参考)
●時価総額を考慮(50 億円程度以上を目安)
●整理、監理銘柄や継続疑義、債務超過銘柄を除く
(3)3 段階の投資判断
カバー銘柄に対する投資判断は、モーニングスターの各
アナリストによる調査・取材・分析を基に銘柄評価委員会
の協議を経て決定しています。下記の基準を基に 3 段階(最
上位から「Overweight 」
(オーバーウエート)
、
「Neutral」
(ニュートラル)
、
「Underweight」
(アンダーウエート)
)
で予測しています。
モーニングスターでは業績見通しや財務状況、株価の値
動きなどに関する見解の変更により、機動的に投資判断を
変更します。ただし、影響力のある、新しい情報が明らか
となり、判断に時間を要する場合には投資判断を「Under
Review」
(保留)とする場合があります。また、取引時間
中の投資判断の変更は行いません。アナリストが退職した
場合などは投資判断をいったん「Suspension」
(停止)と
する可能性があります。
(4)中期的な想定株価レンジ
向こう半年間で想定される株価のレンジを示します。株
価指標などを用いた適正株価水準のほか、チャートのフシ
目や直近の高値・安値、トレンドライン、移動平均線など
テクニカル面や価格帯別出来高なども考慮して、中期的な
上値メド、下値メドを決定しています。
項目説明
■ アナリストコメント
直近の業績動向や事業環境につい
て、取材に基づいた評価をコメント
しています。投資判断の根拠や業績
予想に対する見方、今後の事業展望
などを記載し、株式投資をするうえ
で最も重要な情報を掲載していま
す。
また、
読みやすさを考慮してテー
マごとに 2 ~ 4 つのパラグラフに
まとめているほか、重要なポイント
を太字で強調しております。
■ 業績動向
通期決算の実績 2 期分と会社予
想、およびモーニングスターの独自
予想を今期、来期の 2 期分掲載し
ております。
各銘柄への取材に加え、
四半期毎での過去の業績傾向やセグ
メント毎での分析に基づいて業績数
値を予測しています。
■ 会社概要
各銘柄がどのようなビジネスを展
開しているのか、どこに収益源があ
るのかなどを詳しく解説するほか、
今後どの事業に力を入れていくの
か、中期的にはどのような事業展開
を図っていくのかなどの中期的な見
通しも取材を踏まえて掲載します。
■ 事業環境と展望
各銘柄が属する業界について、足
元の状況や将来の成長性などの観点
から解説します。競合他社への取材
も実施することで業界全体を多方面
から捉えるほか、業界団体のデータ
など具体的な数値も掲載します。
■ リスク要因
各銘柄が有するリスクを解説しま
す。事業面でのリスクに加え、業績
面や財務面、株式市場独自のリスク
なども考慮して様々な角度から見た
リスクを示します。
■ 成長性
今期会社計画の売上高成長率、営
業利益成長率、EPS 成長率を競合他
社と比較するほか、過去の経緯や主
力事業の成長力などを評価します。
■ 収益性
今期会社計画の売上高営業利益率
と前期実績の自己資本当期純利益
率、総資産経常利益率を競合他社と
比較するほか、過去からの収益性の
変動などを評価します。
■ 財務安定性
前期実績の自己資本比率、
デット・
エクイティ・レシオ(=有利子負債
/ 自己資本× 100)、流動比率(=流
動資産 / 流動負債× 100)を競合他
社と比較するほか、現預金やキャッ
シュフローなどの観点から財務安定
性を評価します。
本資料は投資判断の参考としての情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的とするものではありません。銘柄の選択、投資判断の最終決定はお客様ご自身の判断でなさるようお願いいたします。本資料に掲載された意見は作成日に
おける判断であり、予告なしに変更される場合があります。本資料に掲載された意見・データは、当社が信頼できると判断したデータ等により作成いたしましたが、その正確性、安全性等について保障するものではありません。著作権、知
的所有権等一切の権利はモーニングスター株式会社並びに Morningstar.Inc に帰属しますので、許可なく複製、転写、引用等を行うことを禁じます。