Morningstar Equity Research Report 2017.1.4 研修を中心に社会人向け教育サービスを提供 投資判断(12/30) インソース(6200・マザーズ) 株価 投資単位 1,447円 時価総額 年初来高値 118.9億円 100株 (12/30) 新規 Overweight 年初来安値 1,580円 (12/30) PER (予) 652円 (16/12/22) 33.0倍 (16/9/6) (12/30) 競合他社と異なる高収益基盤を確立、 中期成長に上ブレ余地 ■16年9月期は2ケタ増収増益 16 年 9月期の連結業績は、売上高 2,915 百万円(前 期比 20.3%増) 、営業利益 460 百万円(同 14.8%増)の 2ケタ増収増益となった。東京地区を中心に事業拠点を 増設・拡充し講師派遣型研修事業売上が伸びた他、セミ ナールームの増床などにより実施回数が増えた公開講座 事業も売上の伸びを牽引。その他事業も新機能を追加し た人事サポートシステムの契約数増加などが増収に寄与し た。 (円) 2,000 1,580 1,500 1,000 652 25日線 500 5日線 7 8 (千株) 10,000 出来高 ■低水準の原価率が競争優位性を生み出す 16 年 9月期決算とともに17 年 9月期からの19 年 9月 期までの3カ年中期経営計画(次ページ・グラフ参照) を発表した。人材採用難の今日において労働生産性の向 上などに資する課題解決型の教育メニューを開発・販売し、 19 年 9月期までに年率約 20%の売上成長を実現していく 構えだ。モーニングスターでは16 年新卒入社組に対する 研修・戦力化に重点が置かれる17 年 9月期については会 社計画並みの成長にとどまると考えているが、18 年 9月期 からは社歴の浅い社員の生産性向上が徐々に進むととも に、年 60 名強の採用が継続することで収益力が強化され、 会社計画に上ブレ余地が出るとみている。 業績は、社員数の増加に比例して拡大する傾向がある。 その一因は、売上原価率 50%前後の競合他社が多い中 で33.4%(16 年 9月期実績)と極めて低水準となってい ることにある。業界では、外部の研修講師にテキスト作成 費を含めた費用を支払う研修メニューが多いが、同社では 2,060 種類以上の研修コンテンツをデータベース(DB)化 し、テキストを完全内製することで原価率を抑え、リーズナ ブルな研修メニューが提供できる。競合他社の提案するメ 1,550円~ 1,800円 想定株価レンジ 5,000 13週平均線 9 10 11 0 12 5日移動平均線 25日移動平均線 出来高 (25日平均) 1,439円 1,288円 163,104株 ニューと品質の差がなく、リーズナブルな価格提示ができ、 価格優位性が生まれることから、高確度で案件受注に至る という。このため、コンテンツを管理・ブラッシュアップす るコンテンツ開発スタッフ、案件をクロージングする営業 スタッフを増員すれば、業績向上に直結しやすいのだ。 株価は、11月11日に発表した16 年 9月期決算を受け 上昇。働き方改革というテーマ性も相まって12月22日に は年初来高値 1,580 円を付けた。中期経営計画の株価へ の織り込みもある程度進んだとみられるものの、モーニン グスターの5カ年業績予想(売上高年平均成長率 24.4%、 営業利益年平均成長率 27.2%)に基づいたDCF(ディス カウント・キャッシュフロー)法で試算したモーニングスタ ーの想定株価レンジは1,550 - 1,800 円、12月30日付 終値 1,447 円からレンジ中央値 1,675 円まで約 16%と上 値余地がある。投資判断は新規「Overweight」とする。 (有村 孝浩) 業績動向(12/30時点) 売上高 (百万円) 前年比 (%) 営業利益 (百万円) 前年比 (%) 経常利益 (百万円) 前年比 (%) 純利益 (百万円) 前年比 (%) EPS (円) 15 年 9 月期 実績 2,423 18.8 400 33.6 398 26.1 238 31.7 31.7 16 年 9 月期 実績 2,915 20.3 460 14.8 452 13.6 298 25.1 38.9 17 年 9 月期 18 年 9 月期 会社予想 3,573 22.6 565 22.9 565 25.0 360 20.9 43.9 MS 予想 3,573 22.6 565 22.9 565 25.0 360 20.9 43.9 MS 予想 4,635 29.7 742 31.3 742 31.3 475 31.9 57.8 本資料は投資判断の参考としての情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的とするものではありません。銘柄の選択、投資判断の最終決定はお客様ご自身の判断でなさるようお願いいたします。本資料に掲載された意見 は作成日における判断であり、予告なしに変更される場合があります。本資料に掲載された意見・データは、当社が信頼できると判断したデータ等により作成いたしましたが、その正確性、安全性等について保障するものではあ りません。著作権、知的所有権等一切の権利はモーニングスター株式会社並びに Morningstar.Inc に帰属しますので、許可なく複製、転写、引用等を行うことを禁じます。 (1/3) Morningstar Equity Research Report 2017.1.4 インソース(6200・マザーズ) ■ 会社概要 新人研修、管理職研修の階層別研修や、クレーム対応 といったスキル別研修など、社会人向けの教育サービス 事業(単一セグメント、3 事業種別)を展開する。講師 派遣型研修事業は、顧客から受託した研修に対し、同社 が実務経験者から募集し選定した講師を派遣し、オーダ ーメイド型研修を行う。公開講座事業は、同社が全国各 地で開催するパッケージ型研修を自社 Web サイトに掲 載し、受講希望者が最少人数を上回れば開催が決定する システム。その他事業では、研修事業で培ったノウハウ を生かし、人事サポートシステム「Leaf」の提供や、ク ラウド型eラーニング「STUDIO」などを展開する。 03 年 6 月から 16 年 9 月までに同社サービスを利用し た累計の取引先数は 1 万 7,000 社以上となり、その比率 はおおよそ官公庁 20%、民間企業 80%。年間受講者数 は約 36 万人に上る(16 年 9 月末時点) 。 ■ 事業環境と展望 (百万円) 7,000 6,000 インソースの連結業績推移と3カ年中期経営計画 15.8 5,000 15.8 16.5 5,872 16.0 16 15.5 4,522 4,000 3,000 (%) 17 16.7 16.5 15 3,573 2,423 14.5 2,915 14 13.5 2,000 13 1,000 0 12.5 15年9月期 16年9月期 17年9月期 会社計画 講師派遣型研修事業売上(左目盛) その他事業売上(左目盛) 営業利益率(右目盛) 18年9月期 会社計画 12 19年9月期 会社計画 公開講座事業売上(左目盛) 売上高(左目盛) 出所:会社開示情報からモーニングスター作成 情報の双方向性を反映したインソースのホームページ・トップ画面 総務省統計局発表の「労働力調査」によると、16 年 9 月の完全失業率は 3%だった。深刻な人手不足となっ ている一方、研修事業の国内市場は約 3,360 億円とされ る中で同社を含む 2,000 社以上がプレーヤーとして参 画する乱立状態にある。人材採用難と裏腹に高まるのは 現有社員の労働生産性の向上、スキルアップに対するニ ーズだ。 同社はこうした研修需要を背景に、課題解決型の教育 メニューを開発・販売し、生産性向上を支援するトップ ブランドを目指している。人材ビジネスに類するポジシ ョンながら、実態は IT サービスやコンテンツビジネス の色彩が強く、研修コンテンツの DB 化、業務プロセス のIT化、広告費をかけないデジタルマーケティングに より、ローコストオペレーションを実現。時代の変化に 対応する研修メニューを最速で開発することをミッショ ンとしている。また外国人や帰国子女など対象を限定し た研修など、独自性の高いメニューを多岐にわたって開 発している。 広 告 訴 求 イ メ ー ジ で は な く、 「知りたいことがわかる」WEB を志向する。同社の WEB サイ トは 8,500 ページ以上にも及 ぶが、グーグル検索順位 1 位 が 172 ページ(16 年 9 月末日 時点、同社調べ)に上る。グー グル検索数の増加が受注拡大 つながっている。 http://www.insource.co.jp/ リスク要因 人材採用難の現況は同社においても逆風だが、今後、 人材の確保が思うように進まない場合には業績成長の 鈍化や前年割れに陥る可能性がある。ただ、16 年に は過去最多の 60 名強を採用するなど状況は良好だ。 女性社員が過半数を占める他、外国人、60 歳以上の シニア、障害者、LGBT(性的少数者)など多様な人 員が業務に従事しており、門戸は広い。結果として、 ダイバーシティ(多様性)研修の開発にもつながって いる。 株主還元(12/30時点) ■ 配当の状況 ■ 株主優待 なし 1株当たり配当金 中間期末 期末 年間 15年9月期 実績 0円 4円 4円 16年9月期 実績 0円 11円 11円 17年9月期 会社予想 0円 13円 13円 本資料は投資判断の参考としての情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的とするものではありません。銘柄の選択、投資判断の最終決定はお客様ご自身の判断でなさるようお願いいたします。本資料に掲載された意見 は作成日における判断であり、予告なしに変更される場合があります。本資料に掲載された意見・データは、当社が信頼できると判断したデータ等により作成いたしましたが、その正確性、安全性等について保障するものではあ りません。著作権、知的所有権等一切の権利はモーニングスター株式会社並びに Morningstar.Inc に帰属しますので、許可なく複製、転写、引用等を行うことを禁じます。 (2/3) Morningstar Equity Research Report 2017.1.4 インソース(6200・マザーズ) 競合他社比較(赤太字は競合他社に比べ優位な数値)(12/30時点) インソース (6200・マザーズ) 株価 基本事項 投資単位 最低投資金額 決算月 株価指標 425円 100株 100株 144,700円 42,900円 42,500円 9月 12月 3月 34.9倍 PBR (実) 8.9倍 0.8倍 配当利回り (予) 0.9% 1.2% 19.1倍 1.3倍 1.9% 22.6% 営業利益成長率 (予) 22.8% 売上高営業利益率 (予) 自己資本当期純利益率 (実) 総資産経常利益率 (実) 自己資本比率 (実) 財務安定性 429円 100株 33.0倍 EPS成長率 (予) 収益性 1,447円 PER (予) 売上高成長率 (予) 成長性 リンクアンドモチベーション ビジネス・ブレークスルー (2464・東1) (2170・東1) デット・エクイティ・レシオ (実) 流動比率 (実) 12.7% 15.8% 28.8% 28.4% 68.4% 0.0% 290.9% 6.4% 12.7% 114.3% 20.5% ― 3.4% 5.5% 8.0% ▲4.9% 7.0% 4.3% 5.6% 34.5% 67.6% 99.8% 7.8% 66.0% 111.6% 企業向け研修などの領域で競合するリンクアンドモチベーション( 2170) 、ビジネス・ブレークスルー( 2464)を選定した。 ■ 成長性 ■ 収益性 ■ 財務安定性 売上高成長性は競合に比べ優位 となっている。16 年 9 月期に大量 採用を行ったが、社員数の増加が 増収につながりやすいビジネスモ デルであり、17 年 9 月期以降に寄 与してくる見通し。 営業利益成長率については、旺 盛な研修需要が下支えし各社とも 楽観的。同社は大量採用の人件費 負担をこなしつつも 2 割増益を見 込む。一方、15 年 12 月期に外注 費がかさみ大幅営業減益に転じた リンクアンドモチベーションは利 益回復局面入りし大幅営業増益と なる模様。ビジネス・ブレークス ルーは原価率低減などが進み、17 年 3 月期見通しを増額修正してい る。 競合の中で収益性は群を抜く。 同社は原価率が低く、粗利益が相 対的に高い。販管費率は競合 2 社 に比べて高めだが、抑えられた原 価率がこれを吸収し、高水準の営 業利益率につながっている。競合 2 社は共に期中に利益を上方修正、 営業利益率見通しも引き上げられ たが、同社との営業利益率の水準 にはまだ隔たりがある。 自己資本比率は 68.4%と相対的 に高く、16 年 7 月上場時に調達し た IPO 資金が算入されたことが大 きい。有利子負債はなく、実質無 借金経営。現状では大きな投資案 件がないことから自己資本が厚い 状態となっているが、 今後 M&A(企 業の合併・買収)など大型の投資 を実行する際には借入れの活用も 視野に入れるとしている。 流動比率については 290.9%と 高水準にあり、財務面の不安は乏 しい。 モーニングスター株式会社 プロダクト開発本部 株式分析部 アナリスト 有村 孝浩 03-6229-0810 [email protected] 本資料は投資判断の参考としての情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的とするものではありません。銘柄の選択、投資判断の最終決定はお客様ご自身の判断でなさるようお願いいたします。本資料に掲載された意見 は作成日における判断であり、予告なしに変更される場合があります。本資料に掲載された意見・データは、当社が信頼できると判断したデータ等により作成いたしましたが、その正確性、安全性等について保障するものではあ りません。著作権、知的所有権等一切の権利はモーニングスター株式会社並びに Morningstar.Inc に帰属しますので、許可なく複製、転写、引用等を行うことを禁じます。 (3/3) モーニングスター・エクイティ・リサーチレポートの読み方 特 徴 Overweight (オーバーウエート) 今後、半年間の株価推移が現値水準を 15%以上上回ると 予測される場合 Neutral (ニュートラル) 今後、半年間の株価推移が現値水準の- 15%~+ 15%に とどまると予測される場合 Underweight(アンダーウエート) 今後、半年間の株価推移が現値水準を 15%以上下回ると 予測される場合 (1)第三者機関として中立的な立場を重視 モーニングスター・エクイティ・リサーチレポートは、 モーニングスターが位置する中立的な第三者としての立場 を重要視し、客観的な比較・評価情報の提供に努めていま す。モーニングスターがカバーする全銘柄に対し、アナリ スト個人の見解に加え、複数のアナリストから成る銘柄評 価委員会の意見を反映し、投資判断・想定株価レンジ・業 績予想を決定しています。 (2)カバー銘柄のユニバース カバー銘柄は下記対象銘柄から銘柄評価委員会が選出し ています。 【銘柄選定基準】 ●アナリストのカバー率が低い国内新興市場上場銘柄 ●個 人投資家からの人気が高い銘柄(各オンライン証券 のデータを参考) ●時価総額を考慮(50 億円程度以上を目安) ●整理、監理銘柄や継続疑義、債務超過銘柄を除く (3)3 段階の投資判断 カバー銘柄に対する投資判断は、モーニングスターの各 アナリストによる調査・取材・分析を基に銘柄評価委員会 の協議を経て決定しています。下記の基準を基に 3 段階(最 上位から「Overweight 」 (オーバーウエート) 、 「Neutral」 (ニュートラル) 、 「Underweight」 (アンダーウエート) ) で予測しています。 モーニングスターでは業績見通しや財務状況、株価の値 動きなどに関する見解の変更により、機動的に投資判断を 変更します。ただし、影響力のある、新しい情報が明らか となり、判断に時間を要する場合には投資判断を「Under Review」 (保留)とする場合があります。また、取引時間 中の投資判断の変更は行いません。アナリストが退職した 場合などは投資判断をいったん「Suspension」 (停止)と する可能性があります。 (4)中期的な想定株価レンジ 向こう半年間で想定される株価のレンジを示します。株 価指標などを用いた適正株価水準のほか、チャートのフシ 目や直近の高値・安値、トレンドライン、移動平均線など テクニカル面や価格帯別出来高なども考慮して、中期的な 上値メド、下値メドを決定しています。 項目説明 ■ アナリストコメント 直近の業績動向や事業環境につい て、取材に基づいた評価をコメント しています。投資判断の根拠や業績 予想に対する見方、今後の事業展望 などを記載し、株式投資をするうえ で最も重要な情報を掲載していま す。 また、 読みやすさを考慮してテー マごとに 2 ~ 4 つのパラグラフに まとめているほか、重要なポイント を太字で強調しております。 ■ 業績動向 通期決算の実績 2 期分と会社予 想、およびモーニングスターの独自 予想を今期、来期の 2 期分掲載し ております。 各銘柄への取材に加え、 四半期毎での過去の業績傾向やセグ メント毎での分析に基づいて業績数 値を予測しています。 ■ 会社概要 各銘柄がどのようなビジネスを展 開しているのか、どこに収益源があ るのかなどを詳しく解説するほか、 今後どの事業に力を入れていくの か、中期的にはどのような事業展開 を図っていくのかなどの中期的な見 通しも取材を踏まえて掲載します。 ■ 事業環境と展望 各銘柄が属する業界について、足 元の状況や将来の成長性などの観点 から解説します。競合他社への取材 も実施することで業界全体を多方面 から捉えるほか、業界団体のデータ など具体的な数値も掲載します。 ■ リスク要因 各銘柄が有するリスクを解説しま す。事業面でのリスクに加え、業績 面や財務面、株式市場独自のリスク なども考慮して様々な角度から見た リスクを示します。 ■ 成長性 今期会社計画の売上高成長率、営 業利益成長率、EPS 成長率を競合他 社と比較するほか、過去の経緯や主 力事業の成長力などを評価します。 ■ 収益性 今期会社計画の売上高営業利益率 と前期実績の自己資本当期純利益 率、総資産経常利益率を競合他社と 比較するほか、過去からの収益性の 変動などを評価します。 ■ 財務安定性 前期実績の自己資本比率、 デット・ エクイティ・レシオ(=有利子負債 / 自己資本× 100)、流動比率(=流 動資産 / 流動負債× 100)を競合他 社と比較するほか、現預金やキャッ シュフローなどの観点から財務安定 性を評価します。 本資料は投資判断の参考としての情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的とするものではありません。銘柄の選択、投資判断の最終決定はお客様ご自身の判断でなさるようお願いいたします。本資料に掲載された意見は作成日に おける判断であり、予告なしに変更される場合があります。本資料に掲載された意見・データは、当社が信頼できると判断したデータ等により作成いたしましたが、その正確性、安全性等について保障するものではありません。著作権、知 的所有権等一切の権利はモーニングスター株式会社並びに Morningstar.Inc に帰属しますので、許可なく複製、転写、引用等を行うことを禁じます。
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