愛媛県林業労働力確保促進基本計画(案)の概要 ○ ○ 計画の趣旨 県では、林業労働力の確保の促進に関する法律第4条の規定に基づき、樹立している標 記計画が平成28年度をもって終期を迎えることから、森林整備にかかる今後5年間の森 林・林業の担い手確保の目標と推進方策等を内容とする計画を樹立するものである。 林業労働力の確保の促進に関する方針 1 計画期間 平成 29 年度から平成 33 年度までの 5 年間 (ただし、社会情勢の変化により見直しを行う) 2 基幹的林業労働者の確保の目標 (1) 将来必要とされる労働力について ○ 主伐の導入による森林の保育作業の増加により、必要とされる労働力が増加 前回計画 → 今回計画 208,000 人・日/年 214,000 人・日/年 <必要担い手数> 963人 1,017人 〔単位(上段:千m3、ha、km)、(中段:m3/人・日、人/ha)、(下段:人・日)〕 造林・保育事業 伐採事業 区分 主伐 間伐 計 将来の年間事業量 365 305 労働生産性 7.0 5.0 53,000 61,000 将来の年間必要労働力 新植 670 - 114,000 つる切り 下刈 除伐 伐捨間伐 シカ 防護柵 600 2,280 230 2,500 36 35 10 11 9 30 21,000 23,000 3,000 23,000 2,000 計 5,646 - 72,000 作業路開設 合計 800 34 28,000 214,000 事業量については「えひめ森林・林業振興プラン」の計画数値を計上。 (2) 1年間に必要とされる林業新規参入者について ○ 必要とされる労働力および退職者の増加により、計画林業新規参入者が増加 前回計画 → 今回計画 <必要新規就業者数> 67人/年 85人/年 ① ② ③ 214,000 人日のうち 5%を自家労働力が行うものとする。 65 歳定年とすると、今後5年間で 277 人が退職する。 必要担い手増加数と、退職予定者数を会わせて、毎年 85 人の新規雇用が必要。 (3)高性能林業機械の導入 労働生産性を高めていくためには、高性能林業機械を効率よく利用していくシステムづ くりが必要。また主伐に適応した架線系の集材システムの導入も必要となっている。 (4)高性能林業機械導入のための路網整備 高性能林業機械の導入に当たっては、システムに応じた路網開設が必要であり、現 在 45m/ha の密度が 5 年後には 45.5m/ha と微増の見込みであるので、理想的な施業 を行うためには、年間 800kmを新たに開設する必要がある。 ○ 事業の合理化及び雇用管理の改善並びに新規就業の促進に関する措置 1 事業量の安定確保 森林の集約化の推進するため、森林施業プランナーの育成に努め、森林所有者に対し提 案型集約化施業により施業意欲の向上を図り、森林所有者からの長期施業受託の推進を通 じて森林経営計画を策定し、事業量を安定確保する。 ○ 2 林業事業体の育成・強化 森林整備を進めるため、林業労働力確保支援センター(以後、支援センター)と連携し て事業体間の情報交換を密にし、事業量と労働力のバランスを調整。また、経営規模の小 さい林業事業体に対しては、社会保険等の労働条件の改善や高性能林業機械導入等につい て支援を行う。 3 基幹的林業労働者の育成 県及び支援センターにおいて、それぞれの役割に応じ技術研修、情報提供、新技術のフ ォローアップ等を行い、高度な技術を有する林業労働者の育成を積極的に支援するほか、 環境に配慮した森林管理や資源利用が行える高度な技術を有した専門的な人材の育成を行 うために愛媛大学と連携し、森林環境管理特別コースでの人材育成を行っていく。 4 愛媛大学と連携した高度な林業技術者の養成 愛媛大学と連携して環境に配慮した森林管理や資源利用が行える高度な人材の育成を行 うことを目的として平成 23 年4月に愛媛県林業研究センターに久万高原キャンパスを開 設し、愛媛大学大学院農学研究科「森林環境管理学特別コース」を開講しており、今後も、 この取り組みを継続して実施し、林業を地域の成長産業とし地域を活性化していくための 人材を育成する。 5 生産性の向上 生産性の向上を図るためには、林業事業体が長期施業委託等によって事業を集約し、計 画的大ロット生産が可能な森林整備の集約化を進める必要があるため、森林施業プランナ ーの育成を進め、提案型による森林施業を進めていく。 また、林内路網を拡充整備し、高性能林業機械の導入を促進するとともに、作業に適し た幅員の路網整備や自然災害に強く、恒久性の高い開設技術の普及、機械の開発・改良、 集材方式の改善など、地域に適した機械化作業システムの普及定着に努める。 新規参入者の就業促進と定着率改善のための措置 1 新規参入者の確保等 ハローワーク等の公的機関による募集と支援センターによる求人活動だけでなく、林 業就業相談会や就業前の高校生への林業体験研修を通して、新規参入者の確保を図り、 現状の定着率を7割以上へ向上させる。また、県・支援センターによる技術研修の継続 実施、高性能林業機械の研修内容の充実、事業体での職場内研修の推進し、技術、技能 研修の強化を図る。 2 女性労働者の雇用の促進等 林業の持つマイナスイメージを払拭し、女性が働きやすい職場づくりを行い、認定林 業事業体への森林整備担い手確保育成対策事業等による雇用条件整備に関する各種支援 等を行う。 3 ○ 林業労働力確保支援センターの機能強化 支援センターによる従業員の委託募集や、機械利用等の技術研修及び雇用管理者の研 修、情報の提供及び相談指導・援助を通して、認定事業主制度の普及を図る。 その他林業労働力の確保の促進に関する事項 1 市町及び関係団体等の理解と協力 林業労働力を確保することは、新規就業者の定住を図ることにつながるため。県、市 町、関係団体は、相互に連携し、それぞれの適正な役割分担に基づいて、林業労働者の 労働環境の改善を図るとともに、定住化を図っていく。 2 森林所有者による森林整備 森林所有者の高齢化が進み、後継者が不足する中で、所有者や境界の不明な森林や施 業を放棄した森林が増加している。一方、退職後に伴い、新たに森林経営を始め、担い 手となる者も一定数見られているため、林業研究グループ・林業後継者等の育成支援な どの後継者を対象とした研修事業を継続的に実施する。 3 県民参加の森林づくり 森林ボランティアについては、森林整備に対する支援や協力などが得られることから、 技術研修や資格取得などの技術面での支援、資材・機材の供与等財政面での支援など実 施していく。 4 林業労働者の社会的評価の向上 森林の公益的機能の発揮を支える林業の重要性の普及に努め、林業労働者の社会的評 価の向上を図る。 5 外国人技能実習生の受け入れ体制の整備 愛媛県の造林・緑化・木材の搬出等の優れた林業技術の移転を図ることは、諸外国の 経済発展と国土保全を担う人材育成が成される重要な国際貢献であり、林業労働力の確 保にも繋がるため、外国人を継続的に受け入れる体制を整備を検討していく。
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