COPDの運動耐容能と心機能

特集
呼吸リハビリテーション:サイエンスからみた将来展望
COPD の運動耐容能と心機能
Exercise tolerance and cardiac function in patients with COPD
日本医科大学呼吸ケアクリニック/ 服部久弥子 Kumiko Hattori
日本医科大学大学院医学研究科呼吸器内科学分野病院講師 COPD,運動耐容能,身体活動性,サルコペニア,運動療法
Summary
慢性閉塞性肺疾患
(COPD)
における労作時呼吸困難は,
における呼吸器病変と循環器病変の間には密接な相互作
日常生活における身体活動性低下(physical inactivity)
用があり,心血管疾患併存の機序を解明し,それを踏ま
と密接に関係し,健康関連 quality of life
(QOL)の低下
えた治療・管理方法を確立することは,COPD の予後
を招くことから,近年では,身体活動性向上を目指す指
改善を図るうえでも重要である。身体活動性の向上は運
導介入に目が向けられるようになってきている。身体活
動耐容能の向上だけでは必ずしも得られず,患者の生活
動性に影響を及ぼす運動耐容能には,筋肉,心血管系,
環境や行動様式まで踏み込んだ何らかのアプローチを図
肺の三要素が互いに密接に影響し合っており,これら三
ることが今後の課題である。
要素のバランスにも配慮する必要がある。また,COPD
わが国では COPD の大多数が高齢者
子と考えられるようになり,COPD の
で占められている。車が中心の現代社
ガイドラインは運動能力の評価として
会で生活する人たちの身体活動性が急
身体活動性に重きが置かれるように概
pulmonary disease;COPD)では,労作
速に低下していることが最近指摘され
念が変わりつつある4)。身体活動性に
時の呼吸困難が愁訴となることが多い。
ている2)が,生活様式が変化してきてい
影響を及ぼす要因としては,文化的水
これは日常生活における身体活動性低
るなかで COPD においても実生活に即
準,環境因子,病態などがある。運動
はじめに
慢性閉塞性肺疾患
(chronic obstructive
下(physical inactivity)と密接に関係し,
した活動性の維持が求められている 。
耐容能の向上の先にある身体活動性の
健康関連 quality of life
(QOL)の低下を
運動と日常の活動を合わせた概念で
向上のためには,患者の生活環境や行
起こすことから(図1),最近,その
ある身体活動能力の評価の方が,運動
動様式などに即した様々な治療介入が
改善は COPD の治療では特に注目され
耐容能よりも日常生活動作(activities
必要と考えられる3)5)。
of daily living;ADL)を反映し,COPD
本稿では,COPD における運動耐容
の生命予後にもっとも強く関与する因
能と心機能との関連について解説する。
1)
ている領域である1)。
3)
SAMPLE
THE LUNG perspectives Vol.24 No.4 69
( 405 )
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