Asia Weekly (2/6

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ASIA Indicators
定例経済指標レポート
豪準備銀、景気認識上方修正で緩和姿勢後退(Asia Weekly (2/6~2/10))
~利下げ観測後退は豪ドル相場の下支えとなる可能性~
発表日:2017 年 2 月 10 日(金)
第一生命経済研究所 経済調査部
主席エコノミスト 西濵 徹(03-5221-4522)
○経済指標の振り返り
発表日
結果
コンセンサス
前回
(豪州)12 月小売売上高(前月比/季調済)
▲0.1%
+0.3%
+0.1%
(インドネシア)10-12 月期実質 GDP(前年比)
+4.94%
+5.00%
+5.02%
(フィリピン)1 月消費者物価(前年比)
+2.7%
+2.8%
+2.6%
(豪州)金融政策委員会(政策金利)
1.50%
1.50%
1.50%
(台湾)1 月輸出(前年比)
+7.0%
+8.0%
+14.0%
1 月輸入(前年比)
+8.4%
+10.4%
+13.2%
(台湾)1 月消費者物価(前年比)
+2.25%
+2.02%
+1.70%
(マレーシア)12 月輸出(前年比)
+10.7%
+9.6%
+7.8%
12 月輸入(前年比)
+11.5%
+10.2%
+11.2%
(タイ)金融政策委員会(政策金利)
1.50%
1.50%
1.50%
(インド)金融政策委員会(レポ金利)
6.25%
6.00%
6.25%
(リバースレポ金利)
5.75%
5.50%
5.75%
(現金準備率)
4.00%
4.00%
4.00%
(ニュージーランド)金融政策委員会(政策金利)
1.75%
1.75%
1.75%
(フィリピン)金融政策委員会(翌日物借入金利)
3.00%
3.00%
3.00%
2/10(金) (フィリピン)12 月輸出(前年比)
+4.5%
+2.9%
▲7.5%
12 月輸入(前年比)
+19.1%
+10.7%
+19.7%
(マレーシア)12 月鉱工業生産(前年比)
+4.8%
+4.0%
+6.2%
(中国)1 月輸出(前年比)
+7.9%
+3.2%
▲6.2%
1 月輸入(前年比)
+16.7%
+10.0%
+3.1%
2/6(月)
2/7(火)
2/8(水)
2/9(木)
指標、イベントなど
(注)コンセンサスは Bloomberg 及び THOMSON REUTERS 調査。灰色で囲んでいる指標は本レポートで解説を行っています。
[豪州]
~準備銀は景気認識の上方修正などでハト派姿勢の後退を示唆、豪ドル相場を下支えする可能性~
6日に発表された 12 月の小売売上高(季調済)は前月比▲0.1%となり、前月(同+0.1%)から5ヶ月ぶ
りに減少に転じた。食料品など生活必需品に対する需要は底堅く推移しているほか、過去2ヶ月に亘って調整
が続いてきた百貨店売上高が3ヶ月ぶりに拡大に転じたほか、宝飾品といった不要不急の財に対する需要も拡
大基調が続くなど、調整に一服感が出る動きもみられる。その一方、日用品関連の需要に大きく下押し圧力が
掛かっており、この動きが小売全体の下押しに繋がっている。地域別では、主要な輸出財である資源価格の上
昇などを反映して、これらの輸出が活発な西部や南部の消費に底堅さがみられる一方、これまで比較的堅調な
推移をみせてきた最大都市シドニーを擁するニュー・サウス・ウェールズ州や、第2の都市メルボルンを擁す
るビクトリア州など都市部を中心に調整圧力が掛かっており、雇用の拡大ペースに一服感が出ていることが消
費の足かせになっている様子がうかがえる。また、足下では原油をはじめとする国際商品市況の底入れがイン
フレ圧力となる動きもみられるなか、これに伴う実質購買力の下押し圧力も消費の重石になっている可能性が
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が信ずるに足る
と判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容
は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
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考えられる。
7日、豪州準備銀行は定例の金融政策委員会を開催し、政策金利であるオフィシャル・キャッシュ・レート
(OCR)を5会合連続で過去最低水準である 1.50%に据え置く決定を行っている。会合後に発表された声
明文では、足下の世界経済について「ここ数ヶ月上向いている」との見方を示している。先進国では「潜在成
長率をわずかに上回る成長が続くも不確実性は残る」としつつ、中国経済は「昨年後半に改善したが、成長に
対する中期的なリスクは残る」とし、世界経済の回復に伴う「商品市況の上昇は同国の国民所得の改善を促し
た」としている。その上で、国際商品市況の上昇に伴い世界的にインフレ率が上昇し、長期金利も上昇する動
きがみられるものの、同国経済については「資源ブームからの移行期にあり、7-9月期は一時的な要因で景
気が下振れたものの、10-12 月期には妥当な伸びに戻る」との見方を示している。先行きについても「向こう
2ヶ年は資源輸出の拡大や資源関連投資縮小の一巡、個人消費の緩やかな拡大に伴い3%前後で推移する」と
し、
「低金利環境も景気を下支えする」ものの、
「豪ドル相場の上昇はこの移行を複雑にする可能性がある」と
して、豪ドル安を志向する姿勢を滲ませた。雇用環境については「昨年後半にかけて改善が進んでおり、先行
きも雇用拡大が続く」とみており、インフレ率についても「労働コストの下押し圧力を受けて低水準で推移し
ているが、徐々に上向いて2%超の水準になる」とした。住宅価格については「一部で上昇するも、賃料は過
去数十年で最も低い伸びに留まる」なか、貸出についても「監督機関による基準強化を受けて一部で慎重な姿
勢が広がっている」とした。今回の声明文からは、これまでに比べて幾分ハト派的なスタンスが後退した様子
がうかがえるなど、さらなる利下げのハードルは高まっているものと予想され、当面の豪ドル相場についても
底堅い展開が続く可能性は高まっていると見込まれる。
図 1 AU 小売売上高の推移
(出所)CEIC より第一生命経済研究所作成
[中国]
図 2 AU 政策金利(OCR)の推移
(出所)CEIC より第一生命経済研究所作成
~春節時期にも拘らず、先進国を中心とする世界経済の底入れを反映して輸出は底堅い展開~
10 日に発表された1月の輸出額は前年同月比+7.9%となり、前月(同▲6.2%)から 10 ヶ月ぶりに前年を
上回る伸びに転じた。中国の統計を巡っては、1月ないし2月に訪れる「春節(旧正月)」の連休の時期が毎
年ずれることで「歪み」が生じる傾向があるなか、今年は春節の始まりが1月 28 日と昨年(2月8日)から
前倒ししたことが経済活動に大きく影響を与えている。こうした状況にも拘らず、今年の1月の輸出額は当研
究所が試算した季節調整値ベースでみた前月比で拡大基調が続いており、先進国を中心に世界経済の底入れが
進んでいることが輸出の押し上げに繋がっているとみられる。国・地域別では、保税地域でもある香港向けで
鈍化する展開が続いているものの、米国やEU、日本などの先進国向けが軒並み堅調な推移をみせているほか、
ASEANをはじめとする新興国向けの底堅さも下支えに繋がっている。一方の輸入額は前年同月比+16.7%
となり、前月(同+3.1%)から伸びが加速している。ただし、前月比では拡大基調に一服感が出る動きはみ
られるものの、依然として堅調な推移が続いている。インフラをはじめとする公共投資の堅調さを反映して鉄
鋼石のほか、石炭や原油などの輸入量は依然として旺盛な推移をみせており、国際商品市況の底入れも相俟っ
て輸入額の押し上げに繋がっている。しかしながら、個人消費をはじめとする内需が弱含んでいることも影響
して通常輸入には下押し圧力が掛かっている。結果、貿易収支は+513.47 億ドルと前月(+407.08 億ドル)
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が信ずるに足る
と判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容
は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
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から黒字幅が拡大している。
図 3 CN 貿易動向の推移
(出所)CEIC より第一生命経済研究所作成
[ニュージーランド] ~準備銀は先行きの金融政策を「相当期間」現行のスタンスで据え置く方針を明示~
9日、ニュージーランド準備銀行は定例の金融政策委員会を開催し、政策金利であるオフィシャル・キャッ
シュ・レート(OCR)を3会合ぶりに過去最低水準となる 1.75%に据え置く決定を行った。会合後に発表
された声明文によると、世界経済について「国際商品市況の底入れや先進国を中心とする景気拡大が見通しの
改善に繋がっている」とする一方、
「世界的な過剰生産能力の問題や地政学的な不確実性に懸念は残る」とし
た。その上で「国際商品市況の底入れで世界的に物価は上昇し、長期金利も上昇している」ものの、
「金融政
策については景気刺激姿勢が続くと期待される」との見方を示した。他方、同国については「長期金利は上昇
し、通貨NZドル相場も上昇するなど金融環境は堅調」としつつ、
「足下のNZドル相場は成長と物価のバラ
ンスの取れた持続可能な成長に繋がる水準から上振れしている」として「NZドル安が必要」との認識をあら
ためて示した。ただし、景気については「期待通りの拡大が続くなか、先行きも緩和的な金融政策や人口増加、
個人消費の拡大や建設需要の伸びを追い風に拡大が続く」とするも、「乳製品価格の先行きには不透明感が残
る」とした。その上で、規制強化の動きを反映した住宅価格の頭打ちを「歓迎する」としたものの、
「需給バ
ランスの不均衡を勘案すれば鈍化基調が続くは不透明」との見方を示している。また、足下のインフレ率は同
行の定めるインフレ目標に達するなか、先行きは「堅調な内需が続く一方でNZドル高に伴う輸入インフレ圧
力の後退がバランスする形で緩やかに目標の中央値(2%)に近付く」とし、長期的なインフレ期待は「2%
に収束する」とした。先行きの金融政策は「不確実性は多いものの、相当期間に亘って現行の姿勢を維持する」
とし、前回会合で利下げ局面の終了を示唆したこともあり、しばらくは据え置き姿勢が続くであろう。
図 4 NZ 政策金利(OCR)の推移
(出所)CEIC より第一生命経済研究所作成
[タイ]
図 5 NZ インフレ率の推移
(出所)CEIC より第一生命経済研究所作成
~足下の景気認識が上方修正されたものの、引き続き景気回復を重視して現行スタンスが続こう~
8日、タイ銀行は定例の金融政策委員会を開催し、政策金利を 14 会合連続で 1.50%に据え置く決定を行っ
た。今回の決定も引き続き「全会一致」となるなど、慎重な政策スタンスを維持する方針が示されている。な
お、会合後に発表された声明文では、同国経済について「外部要因による不確実性はあるものの、過去の見通
し以上のペースで回復が進んでいる」との見方を示すとともに、足下の金利上昇も「依然緩和的であり、景気
下支えに繋がる」として金利を据え置いたとの考えを示した。足下の同国経済は「幅広い分野で輸出に底入れ
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が信ずるに足る
と判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容
は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
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感が出ている上、観光関連でも予想外に早く回復が進んでいる」とし、「民間部門の活動は依然緩やかに留ま
るが、公共支出が経済成長のけん引役になっている」との認識を示している。ただし、「米国の通商政策や中
国金融市場の不安定化、欧州の政治情勢や銀行セクター問題が下振れ要因になる可能性」に留意する姿勢をみ
せた。足下のインフレ率は同行の定める目標に達するなか、先行きについても「需要がけん引する形で緩やか
な上昇が続く」との見通しを示している。なお、足下で進むバーツ高については「景気回復見通しにとって望
ましくない」として、バーツ相場の安定を求める姿勢も垣間見せた。景気に対する見方が過去に比べて上方修
正される動きが確認されたものの、金融政策のスタンスを巡っては引き続き景気回復の後押しを重視する姿勢
をみせており、当面は現行の政策スタンスが維持される可能性は高いと見込まれる。
図 6 TH 政策金利の推移
(出所)CEIC より第一生命経済研究所作成
[フィリピン]
~インフレ圧力が徐々に高まる動きがみられるなか、中銀は慎重な姿勢を維持する方向~
7日に発表された1月の消費者物価は前年同月比+2.7%となり、前月(同+2.6%)から一段と加速して約
3年ぶりの高い伸びとなった。前月比は+0.34%と前月(同+0.34%)と同じペースでの上昇が続いているも
のの、徐々にインフレ圧力が高まりつつある動きがみられる。生鮮食料品を中心に食料品で物価上昇圧力が高
まっていることに加え、昨年末にかけて原油をはじめとする国際商品市況の底打ちが進むなかでエネルギー価
格にも上昇圧力が高まっており、生活必需品を中心に物価上昇圧力が高まっていることが影響している。なお、
食料品とエネルギーを除いたコアインフレ率は前年同月比+2.52%と前月(同+2.53%)からわずかに減速し
ており、前月比も+0.21%と前月(同+0.50%)から上昇ペースが鈍化している。個人消費を中心とする堅調
な内需が続いているにも拘らずサービス物価の上昇ペースが鈍化しているほか、消費財全般で物価上昇圧力が
一服しており、昨年末にかけて下落基調が強まった通貨ペソの対ドル相場に底打ち感が出ていることも物価上
昇圧力の緩和に繋がっているとみられる。
9日、フィリピン中央銀行は定例の金融政策委員会を開催し、政策金利である翌日物借入金利を5会合連続
で 3.00%に据え置くとともに、預金準備率も 20.00%に据え置く決定を行った。会合後に発表された声明文で
は、足下では食料品やエネルギー価格の上昇を理由にインフレ率が加速する動きがみられるものの、先行きの
インフレ見通しについては「来年にかけて同行が定めるインフレ目標(3±1%)の範囲内に収まる」との見
方を維持している。先行きのインフレ動向については「政府の財政改革計画に伴う上振れリスクと、世界経済
の不透明感などに伴う下振れリスクが共存する」としつつ、米国の金融政策の変更による悪影響が懸念される
ものの、同国経済については「個人消費や民間投資の堅調さに加え、歳出拡大を受けて堅調な拡大が続くと期
待される」との見方を示している。こうしたことから、現行の金融政策の維持が「適切」としており、先行き
についてもしばらくは現行の政策スタンスが据え置かれる可能性は高いと見込まれる。
10 日に発表された 12 月の輸出額は前年同月比+4.5%となり、前月(同▲7.5%)から2ヶ月ぶりに前年を
上回る伸びに転じた。当研究所が試算した季節調整値に基づく前月比は5ヶ月ぶりに減少に転じているものの、
減少幅はわずかに留まっており、世界経済の底入れが進むなかで輸出は堅調な推移をみせている。主力の輸出
財である電子部品をはじめとする電気機器関連の輸出が底堅く推移していることが輸出全体の下支えに繋が
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が信ずるに足る
と判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容
は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
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っている。国・地域別では、中国・香港向けが堅調な推移をみせているほか、日本や米国など先進国向けが底
堅く推移していることも輸出を下支えしている。一方の輸入額は前年同月比+19.1%となり、前月(同+19.7%)
から伸びが鈍化したものの、依然として高い伸びが続いている。前月比も2ヶ月連続で拡大が続いており、原
油をはじめとする国際商品市況の底入れが輸入額の押し上げに繋がっている。結果、貿易収支は▲25.64 億ド
ルと前月(同▲25.66 億ドル)からわずかながら赤字幅が縮小している。
図 7 PH インフレ率の推移
(出所)CEIC より第一生命経済研究所作成
図 8 PH 金融政策の推移
(出所)CEIC より第一生命経済研究所作成
図 9 PH 貿易動向の推移
(出所)CEIC より第一生命経済研究所作成
[台湾]
~外需の回復を追い風に雇用に底入れの動きが出るなか、物価上昇圧力が高まる動きも出ている~
7日に発表された1月の輸出額は前年同月比+7.0%となり、前月(同+14.0%)から伸びが鈍化した。前
月比は▲0.0%とわずかに減少しているものの、前月(同+3.0%)まで4ヶ月連続で堅調な拡大が続いてきた
ことを勘案すれば、基調としては依然拡大局面にあると判断出来る。国・地域別では、日本やEU、米国とい
った先進国向けには堅調な動きがみられる一方、最大の輸出相手である中国本土向けにおける調整圧力が重石
になっている様子がうかがえる。また、主要財別では化学品関連をはじめとする基礎財などの輸出に堅調さは
みられたものの、主力の輸出財である電子部品やIT関連をはじめとする機械製品関連の輸出に調整圧力が掛
かったことが下押し圧力に繋がった。一方の輸入額は前年同月比+8.4%となり、前月(同+13.2%)から伸
びが鈍化している。前月比も▲0.2%と前月(同+3.3%)から2ヶ月ぶりに減少に転じているものの、基調と
しては緩やかな拡大が続くなど底堅い展開が続いている。機械設備関連の輸入に一服感が出る動きがみられる
ものの、原油をはじめとする国際商品市況の底入れが進んでいることなどを反映して資源関連の輸入額が拡大
しているほか、輸出の堅調さを受けて原材料や素材などの需要が押し上げられていることも輸入の底堅さに繋
がっている。結果、貿易収支は+34.95 億ドルと前月(+48.64 億ドル)から黒字幅が縮小している。
8日に発表された1月の消費者物価は前年同月比+2.25%となり、前月(同+1.70%)から加速して 10 ヶ
月ぶりに2%を上回る伸びとなった。ただし、前月比は▲0.02%とわずかではあるものの、前月(同▲1.00%)
から3ヶ月連続で下落している。原油をはじめとする国際商品市況の底打ちを反映してエネルギー価格に上昇
圧力が高まる動きがみられるものの、生鮮品を中心に食料品価格は下落基調が続いており、生活必需品を巡る
物価はまちまちの動きが続いている。なお、生鮮食料品とエネルギーを除いたコアインフレ率は前年同月比+
1.65%と前月(同+0.81%)から加速して 23 ヶ月ぶりの高い伸びとなっている上、前月比も+0.56%と前月
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が信ずるに足る
と判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容
は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
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(同▲0.15%)から3ヶ月ぶりに上昇に転じるなど、物価上昇圧力が高まる動きがみられる。エネルギー価格
の上昇を反映して輸送コストが上昇するなか、一部で消費財価格に転嫁する動きが出ていることに加え、足下
で外需の底入れが進んでいるほか、雇用に改善の動きが出ていることを受けてサービス物価に上昇圧力が掛か
っていることも物価上昇圧力に繋がっている。
図 10 TW 貿易動向の推移
(出所)CEIC より第一生命経済研究所作成
[マレーシア]
図 11 TW インフレ率の推移
(出所)CEIC より第一生命経済研究所作成
~世界経済の底入れを背景に輸出は堅調な拡大が続き、景気底離れを促すと期待される~
8日に発表された 12 月の輸出額は前年同月比+10.7%となり、前月(同+7.8%)から伸びが加速した。前
月比も+2.4%と前月(同+11.8%)に大きく拡大したにも拘らず2ヶ月連続で拡大しており、世界経済に底
入れの動きが出ていることを反映して輸出に押し上げ圧力が掛かっている様子がうかがえる。国際商品市況が
上昇したにも拘らずパーム油や原油関連の輸出額に下押し圧力が掛かる動きがみられる一方、主力の輸出財で
ある電気機器や電子部品のほか、液化天然ガス(LNG)、石油精製品、木材関連、天然ゴムなどの輸出の堅
調さが全体の押し上げに繋がっている。国・地域別では、最大の輸出先である中国向けが底堅く推移している
ほか、シンガポールをはじめとするASEANの周辺国向けも堅調な動きが続いている上、米国やEUなどの
先進国向けも拡大基調が続いている。一方の輸入額は前年同月比+11.5%となり、前月(同+11.2%)から伸
びが加速した。前月比は▲2.3%と前月(同+18.9%)に大きく拡大した反動で2ヶ月ぶりに減少に転じたも
のの、基調としては底堅い展開が続いている。輸出の堅調さを反映して原材料や部材などをはじめとする中間
財の輸入が拡大している一方、国内消費の不透明感を反映して消費財の輸入は横這いで推移しており、輸送用
機器をはじめとする資本財輸入の減少が下押し圧力となった。結果、貿易収支は+87.19 億リンギと前月(+
90.30 億リンギ)から黒字幅が縮小している。
10 日に発表された 12 月の鉱工業生産は前年同月比+4.8%となり、前月(同+6.2%)から伸びが鈍化した。
ただし、前月比は+0.9%と前月(同+0.8%)から3ヶ月連続で拡大基調が続くなど、輸出に底離れの動きが
出ていることと歩を併せる形で底入れしつつある。堅調な推移が続いてきた電気機器や電子部品のほか、石油
化学関連を中心とする製造業の生産に一服感が出たほか、この動きを反映して発電量も鈍化するなどの動きが
みられる一方、原油や天然ガス、パーム油や天然ゴムなどをはじめとする鉱業関連の生産が大きく拡大したこ
とが全体の押し上げに繋がった。輸出の堅調さを反映して今後も底堅い展開が続く可能性が見込まれる。
図 12 MY 貿易動向の推移
(出所)CEIC より第一生命経済研究所作成
図 13 MY 鉱工業生産の推移
(出所)CEIC より第一生命経済研究所作成
以
上
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が信ずるに足る
と判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容
は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。