障害者差別解消法を切り口と した福祉教育の新たな展開に ついて 千葉県社会福祉協議会 川上 浩嗣 福祉教育とは 人間尊重の精神を基盤に、 一人ひとりが自分も他人も人間とし て共に生きる大切さを理解し、 人間がよりよく生きる福祉社会を形 成していく能力や態度を育てること 2 福祉教育の種類 学校における 福祉教育 社会福祉 専門教育 地域におけ る福祉教育 3 福祉教育の目的 ①ノーマライゼーションの実現 ⇒違いを認め合うこと、差別意識の自覚と抑制 ⇒ソーシャルインクルージョン(排除しないこと) ②豊かな福祉文化の創造 すべての人が生き生きと生きることをサポートするもの(最低生 活保障+人間らしさ・自分らしさ) ③地域の福祉課題を解決する力を身につけること 無関心を減らし、困った時に助け合える地域社会をつくること ⇒福祉コミュニティの形成 4 福祉教育の特徴 ①学習素材として「社会福祉問題」を取り上げること ⇒社会福祉問題を学習素材として取り上げることで、 福祉への理解・関心・実践を身につけること ②体験学習を重視していること ⇒疑似体験や障害当事者との直接的なふれあいや対話を 通して現実の問題に気づき、そこから学ぶことを重視 5 千葉県における福祉教育の取組み 〇昭和52年度から小・中・高校20校を福祉教育推進 校として3年間指定する事業を開始。(昭和52年度 ~平成18年度までの指定校589校) 〇平成19年度から中学校区の小中学校と近隣の高校 を指定校として指定。併せて指定校が所在する地区 社協等を福祉教育推進団体としてセットで指定する パッケージ指定方式を導入。(平成19~28年度まで の指定校212校、推進団体55団体) ⇒39年間で合計801指定校(指定率57.0%) 55推進団体(指定率9.6%) 6 現在の福祉教育の課題 1 3年間の指定期間の終了後も継続して取り組む学校、 地域が少ない 2 活動内容が担当教員の意欲に左右される ⇒多忙な教員、「〇〇教育」の多さ 3 福祉教育のわかりにくさ ⇒明確な定義がない。人権教育、道徳教育との違い が不明確 4 教員等に福祉教育の必要性、重要性を伝えきれて いない 7 現在の福祉教育の課題 5 「福祉の授業」が「疑似体験」に矮小化されがち ⇒感想の多くに「こわかった」「大変だった」「不便だった」 があげられる。 ⇒さらに、「障害者の大変さがわかった。今度まちでそう いう人を見かけたら手伝ってあげたい」といった感想に 進むことも多い。 8 *これでは、障害の「負」の部分だけを体験するだけで あり、貧困な「福祉観」を作り出すことにならないか。 「対等な個人」という視点に欠けていないか。 *疑似体験は、あくまで「気づき」の導入のひとつであ り、その後の展開が大事。 ⇒福祉教育を通して、「共に生きるとは何か」、「老いる とは何か」、「障害って何だろう」という問いかけを大 切にし、生命や人間の尊厳を学ぶことが福祉教育の 本質的な思想である。 9 障害者差別解消法を切り口とした 福祉教育への新たなアプローチができないか 〇障害者差別解消法の啓発の取組みに福祉教 育の考えを組み込めないか。 *教材の開発⇒障害者が直面する様々な場面 をとおして、合理的配慮の方法を子どもたち自 身が考え、話し合うことができる教材を作れな いか。 *教員等への研修の実施 10
© Copyright 2024 ExpyDoc