ひめぎん情報 ■ 2017.新春 2016年を振り返ると、日本経済・愛媛県経 済ともに、総じて足踏み状態が続いている。「円 安・株高」、「トランプ相場」、「個人消費の低迷」 の影響が顕著な1年であった。為替・株価市場 は、年初から後半まで「円高・株安」が進んだが、 11月の米国大統領選を境に「トランプ相場」で 「円安・株高」に流れが変わった。2017年1月 始動のトランプ新政権の動きは、為替相場・ TPP(環太平洋経済連携協定)・環境規制見直し 等、県内企業や家計にも大きく影響することが 予想され、注視が必要である。 また、2016年はGDP(国内総生産)の約6 割を支える個人消費が、1年を通して(うるう 年の2月除く)、前年比マイナスで推移した。 4月の熊本地震の影響もあり、安倍政権は消費 税率10%引上げ再延期(2019年10月)を決定 した。12月で5年目に入ったアベノミクスは、 大型経済対策を打ち出し、日銀の金融政策(マ イナス金利、長短金利操作付き量的・質的金融 緩和)を含め、多方面から手を打っているが、 人口減少・超高齢社会という構造的問題を抱え る日本の成長戦略や財政再建は困難を極めてい る。県内においても、人手不足・社員の高齢化・ 消費低迷等が深刻な状況であり、IT技術革新・ 働き方改革等による生産性の向上や労働環境の 多様化への取組みが、今後の成長・生き残りを 左右する鍵となると考えられる。 【生産活動】 【最終需要動向】 【企業倒産動向】 鉱工業生産指数は、全体と し て 弱 い 動 き が 続 い て い る。 業種別では、 「繊維」 (1-9月 平均・速報値123.2) 、 「非鉄金 属」 (同113.4) 、 「石油・石炭」 ( 同112.0) 、 「 紙・ パ ル プ・ 紙 加工品」 (同106.1)等が好調で、 原油安、円高による仕入コス ト安、ブランド戦略浸透等の 影響が見られる。逆に「輸送 機械」 (同51.7) 、 「化学」 (同 64.5) 、 「金属製品」 ( 同68.9) 等が前年比低調で、世界経済 の停滞、円高・株安等の影響 が 考 え ら れ る。 雇 用 環 境 は、 有効求人倍率(10月)で1.41 倍と高水準。約4割がパート 求人であるが、バブル期並み の水準で推移している。今後 も企業の人手不足は続き、高 水準で推移する見通しである。 個人消費は、熊本地震や円 高・株安の影響を受けながら、 弱い動きが目立っている。少 子 高 齢 化、 社 会 保 障 問 題 等、 将来への不安からの節約心理 は根強く、百貨店・スーパー 販売品は、高級品・衣料品を 中心に低調に推移した。一方、 住宅着工件数では、マイナス 金利や相続税対策ニーズによ る需要喚起が見られ、持家・ 貸家が堅調に推移した。今後 は更に、消費税率10%引上げ の延期、安倍内閣の大型経済 対策、日銀の金融政策の効果 等により、消費者マインド向 上に力強さが加わることが期 待される。 県内企業倒産件数は、2015 年度は、年度別(4-3月)で 見た場合、1965年集計開始以 降 で 最 少 の52件 を 記 録 し た。 2016年度は、4-6月は増加し ていたが、7月以降は沈静化 しており、上半期(4-9月) は2015年度と同じ23件ペース。 2015年は円安・株高で大手企 業を中心に業況が好転、経営 環境が改善された企業が多く なったが、2016年に入って円 高・株安基調に転じた。トラ ンプ新政権の動向も含め、予 断を許さない状況である。 35 ひめぎん情報 ■ 2017.新春 鉱工業生産指数(2010年=100季節調整済) (資料:愛媛県) 110 105 100 前年同月比(%) 95 90 85 80 75 70 2015年 10 11 2016年 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 (%) 18 16 14 12 10 8 6 4 2 0 -2 -4 -6 -8 -10 -12 -14 -16 -18 (月) 有効求人倍率 (倍) 1.5 (ポイント) (資料:愛媛県労働局) 前年同月比(ポイント) 0.3 0.28 0.26 0.24 0.22 0.2 0.18 0.16 0.14 0.12 0.1 0.08 0.06 0.04 0.02 0 1.45 1.4 1.35 1.3 1.25 1.2 1.15 2015年 10 11 12 2016年 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 (月) ※2016年9月は速報値 公共工事請負金額 (億円) (資料:西日本建設業保証㈱) 300 250 200 前年同月比(%) 150 100 50 0 2015年 2016年 11 12 1 2 (億円) 250 (%) 1000 80 900 60 800 40 700 20 600 0 500 -20 400 -40 300 -60 200 -80 100 -100 3 4 5 6 7 8 9 10 11 (月) 大型小売店売上高 (%) (資料:四国経済産業局) 5 前年同月比(既存店) (%) 前年同月比(%) 3 2 (資料:国土交通省) 0 -1 100 20 0 -20 持家 12 2016年 1 2 -40 3 4 5 6 7 8 9 10 (月) 新車乗用車販売台数 (資料:四国運輸局) 前年同月比(%) (普通車+小型車) 2000 50 -4 軽自動車 前年同月比(%) (軽自動車) 普通車+小型車 2016年 12 1 2 -6 3 4 5 6 7 8 9 10 (月) 0 -5 -10 -15 1000 -20 -25 -5 0 2015年 10 11 15 5 3000 -2 -3 (%) 10 1 150 40 給与住宅 (台) 4000 (%) 前年同月比(%) 分譲住宅 貸家 0 2015年 10 11 4 200 新設住宅着工戸数(利用関係別) (戸) 100 0 2015年 10 11 2016年 12 1 2 -30 3 4 5 6 7 8 9 10 (月) ※前年同月比(既存店)とは、該当月において、当月と前年同月でともに存在して継続する店舗での伸び率 ※2016年10月は速報値 消費者物価指数(松山市) (資料:愛媛県) 100.6 前年同月比(%) 100.4 (件数) 0.6 12 0.4 100.2 0 99.8 99.6 -0.2 99.4 -0.4 99.2 (億円) (資料:㈱東京商工リサーチ) 8 -0.8 98.8 12 2016年 1 2 -1 3 4 5 6 7 8 9 10 (月) 50 倒産件数 負債総額 40 6 30 4 20 2 0 2015年 2016年 11 12 1 2 70 60 10 -0.6 99.0 98.6 2015年 10 11 企業倒産の状況(倒産件数・負債総額) 0.2 100.0 36 (%) 10 0 3 4 5 6 7 8 9 10 11 (月)
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