イオンクロマトグラフィーの基礎 - Thermo Fisher Scientific

Data Sheet IC16008
イオンクロマトグラフィーの基礎
陽イオン交換カラム
陰イオン分析同様、陽イオン分析の場合も溶離液や温度などで
キシル基はスルホン基に比べ保持が非常に弱いため、カラムの
分離が最適化できない場合、カラムの種類を変えることで、イ
交換容量を高くして保持能を高めています。カルボキシル基カ
オン成分によっては分離を大きく変えることができます。
ラムは、溶離液濃度を変えると分離能の微妙な調節も可能であ
カラムを選択する上で重要なパラメーターが疎水性と交換容量
るため、無機陽イオンとアミン類のグラジエントによる一斉分
ですが、陽イオン交換カラムの場合、それに加えてイオン交換
離にも用いられています。
基の種類も分離に大きな影響を与えます。当社ではスルホン基、
代表的な 3 種類の陽イオン交換カラムについて、20 mmol/L
カルボキシル基/ホスホン基、カルボキシル基を修飾した陽イ
メタンスルホン酸を溶離液としたときの標準液のクロマトグラ
オン交換カラムを販売しています。スルホン基のカラムは保持
ムを下図に示します。A のイオン交換基はスルホン基であるた
が強く、1 価イオンの分離が良好です。高濃度ナトリウムイオン
め、B に比べて 1 価を強く保持しているのがわかります。ただ
中の微量アンモニウムイオンの測定などに適しています。ただ
し 2 価イオンはこの条件では溶出しません。B はカルボキシル
し、2 価のイオンは非常に強く保持されカラムに残留するため、
基とホスホン基、C はカルボキシル基のみを交換基としていま
定期的にカラム洗浄するなどの対応が必要です。1 価と 2 価の
すが、B に比べて C の交換容量はかなり大きいため C の分離
イオンを同時に溶出できるカラムとしては、カルボキシル基をイ
が良好であることがわかります。
オン交換基としたカラムが一般的に用いられています。カルボ
ピーク
A)Dionex IonPac CS3
1. Li+
2. Na+
3. NH4+
4. K+
5. Mg2+
6. Ca2+
交換基: スルホン基
交換容量:100 µeq/column
疎水性: 中
B)Dionex IonPac CS12A
交換基: カルボキシル基/ホスホン基
交換容量:2800 µeq/column
疎水性: 中(低め)
C)Dionex IonPac CS16
交換基: カルボキシル基
交換容量:8400 µeq/column
疎水性: 中
Time(min)
代表的な陽イオン交換カラム(Thermo Scientific ™ Dionex ™ IonPac ™ カラム)の分離の比較
溶離液 : 20 mmol/L メタンスルホン酸(1.0 mL/min)
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