4.マテリアルリサイクル推進施設での処理方式の検討(49ページから51

4.マテリアルリサイクル推進施設での処理方式の検討
マテリアルリサイクル推進施設では、粗大ごみを処理対象とし、主に破砕設備、選別設備、
圧縮設備、保管設備で構成される。
ここでは、主要な処理方法である破砕処理方式と全体の処理フローについて検討する。
(1)
破砕処理
ア. 破砕処理方式
破砕機の適用機種は、表 4-1-1 のとおりである。
表 4-1-1 破砕機の適用機種
機種
型式
処理対象ごみ
可燃性
不燃性
不燃物
粗大ごみ 粗大ごみ
バッチ運転の為、大量処理には複数系
列の設置が望ましい。
スプリング入りマットレス、スチール入り
タイヤ、金属塊、コンクリート塊等は処理
が困難。
竪型
○
△
×
×
横型
○
△
×
×
スイングハンマ式
○
○
○
△
リングハンマ式
○
○
○
△
スイングハンマ式
○
○
○
△
リンググラインダ式
○
○
○
△
単軸式
○
△
△
○
軟性物、延性物の処理に適している。
多軸式
○
△
△
○
可燃性粗大の処理に適している。
切断機
高
速
回
転
破
砕
機
特記事項
プラス
チック類
横型
じゅうたん、マットレス、タイヤ等の軟性
物やプラスチック、フィルム等の延性物
は処理が困難。
竪型
低速回転
破砕機
※1 ○:適
△:一部不適
×:不適
※2 一般的に利用されているものを記載しているが、不適と例示されたごみに対しても対応できる例があるため、
確認し機種選定することが望ましい。
※3 高速回転破砕機の特記事項に示された処理物は、破砕機に種類にかかわらず処理することは困難である。
出典:「設計要領」を一部改変。
可燃性粗大ごみと不燃性粗大ごみに適用できる機種は、高速回転破砕機となるが、軟性
物や延性物の処理に難がある。そこで、可燃性粗大ごみは、別途専用の破砕機を用いて処
理する方法が一般に多く用いられている。この方法は、性状に応じた破砕機を採用するこ
とが可能となる上、木製家具や畳などは、破砕物を可燃ごみピットに移送することにより、
選別処理が不要となる。
こうしたことから、可燃性粗大ごみは専用の破砕機を用いるものとする。可燃性粗大ご
みの機種は、切断機または低速回転破砕機が適用できるが、低速回転破砕機はプラスチッ
ク類や延性物の処理にも適しており、災害廃棄物の受入れも考慮すれば適用幅の広い低速
回転破砕機が適している。そこで、可燃性粗大ごみは、低速回転破砕機とする。
不燃性粗大ごみの処理は、処理対象として適している高速回転破砕機とする。
可燃性粗大ごみ
:低速回転破砕機
不燃性粗大ごみ
:高速回転破砕機
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イ. 爆発防止対策
高速回転破砕機側の爆発防止対策は、表 4-1-2 のとおりである。
蒸気吹込み方式は、可燃ごみ処理施設の廃熱ボイラで発生した蒸気を利用することが考
えられる。爆発防止効果が高いものの、水分に伴う機器の劣化が懸念される。また、回収
される金属の品質が悪くなり売却単価が低下し、設備費や維持管理費については高価とな
る。
爆発防止対策は、使用する蒸気はエネルギー回収率に含まれないことや、採用する高速
回転破砕機の構造(竪型、横型)により採用する方法が異なるため、プラントメーカーの
技術提案とする。
表 4-1-2 高速回転破砕機側の爆発防止対策
項目
概要
利点
蒸気吹込み方式
空気希釈方式
破砕機内部に不活性ガス(蒸気)を注入する
破砕機自体に機内換気機能を持たせること
ことにより、酸素濃度を低くし、可燃性ガスの
や、機内への希釈空気の吹込みにより、可燃性
爆発限界外に保持する。
ガスの濃度を薄め、爆発限界外に保持する。
一般的に、酸素濃度を低くする方式であるこ
とから、空気希釈方式よりも防爆効果が大きい
蒸気吹込み方式よりも設置スペースが小さ
い。
と考えられる。
ボイラ等の機器設置費用、維持管理費用が蒸
気吹込み方式よりも安価となる。
水を使用しないため、純度、回収率、資源化
物の品質等で蒸気吹込み方式を上回ることが期
待される。
留意点
ボイラ等の機器設置費用、維持管理費用が高
価となる。
一般的に、酸素濃度を低くする方式である蒸
気吹込み方式よりは防爆効果がやや劣ると考え
水を使用することから、破砕機・コンベヤ等
の機器の劣化が早くなる可能性がある。
られる。ただし、低速回転破砕機との併用や事
前の処理不適物除去等と組合せた方式により蒸
破砕物は水分を含むため、純度、回収率、資
気吹込み方式に近づけることが可能となる。
源化物の品質が悪くなる可能性がある。
実績
採用事例は多い。
(特に横型高速回転破砕機)
破砕機の爆発防止対策
採用事例は多い。
(特に竪型高速回転破砕機)
:プラントメーカーの技術提案
爆発防止対策は、破砕機の対応だけでなく、事前の防止策が重要である。搬入されたご
みは、不適物除去を行うことが有効である。粗大ごみは中身を確認後、破砕処理を行うも
のとする。
不適物除去方法
:目視確認
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(2)
マテリアルリサイクル推進施設の処理フロー
粗大ごみを処理対象とする全体処理フローを検討する。
可燃性粗大ごみは単独で破砕処理を行い、破砕残渣は熱回収施設のごみピットへ投入する。
不燃性粗大ごみは、破砕処理後に鉄類、アルミ、可燃性残渣、不燃性残渣に選別処理を行
う。鉄類とアルミについては、受入先の体制によりバラ積み又は圧縮後の搬出とする。可燃
性残渣は、熱回収施設のごみピットへ投入する。不燃性残渣は、バラ積みにより搬出する。
不燃性粗大ごみ搬入
可燃性粗大ごみ搬入
不燃性粗大ごみヤード
可燃性粗大ごみヤード
不適物の確認
不適物
不適物
不適物等貯留ヤード
処理業者または最終処分場へ
受入ホッパ
粗破砕機
(必要により)
不適物の確認
受入ホッパ
低速回転破砕機
可燃物
蒸気又は希釈空気
熱回収施設へ
高速回転破砕機
排出コンベヤ
磁選機
不燃物ホッパ
最終処分場へ
不燃物
磁性物
鉄類ホッパ
(必要による)
不燃物可燃物
分別機
アルミ選別機
金属プレス機
資源再生業者へ
アルミ
アルミホッパ
(必要による)
金属プレス機
可燃物
熱回収施設へ
資源再生業者へ
図 4-2-1 マテリアルリサイクル推進施設の処理フロー(案)
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