「ロジスティクス分野」職業能力評価基準の概要

「ロジスティクス分野」職業能力評価基準の概要
(*アンケートにご回答いただくに当たって、参考にしてください。)
職業能力評価基準とは・・・
職業能力評価基準は、厚生労働省が、職業能力を適正に評価するための公正で透明性の高い仕組
み作りのために策定を進めているものであり、人事担当者の方に、又は企業コンサルタントなどを
通じて、会社内の人事評価システムや教育システム等の構築や変更などにご利用いただいておりま
す。
職業能力評価基準では、仕事の内容を「職種」「職務」「能力ユニット」に細分化し、下図のとお
り、全体構成(様式1)
、職種別能力ユニット(様式2)、能力ユニット別職業能力評価基準(様式
3)として整理・体系化しています。
(職業能力評価基準の枠組み)
6
つ
の
書
式
職種
職務
共通能力ユニット
・
・
・
職務
共通能力ユニット
・
・
・
・
・
・
(1) 全体構成
(様式1)
職務遂行のための基準
能力細目
職務遂行のための基準
能力細目
職務遂行のための基準
・
・
・
能力細目
職務遂行のための基準
選択能力ユニット
能力細目
職務遂行のための基準
能力細目
職務遂行のための基準
その業種で整理している仕事の一覧表。
様式3の「目次」に相当。
(5) キャリア
形成の例
(6) 職務概要書
・
・
・
必要な知識
・
・
・
選択能力ユニット
(2) 職種別能力ユニット一覧
(様式2)
(4) レベル区分
の目安
能力細目
・
・
・
・
・
・
必要な知識
(3) 能力ユニット別職業能力評価基準
(様式3)
・
・
・
「職業能力評価基準」の本体。仕事の最小単
位である「能力ユニット」(課業)ごとに、
求められる職業能力を詳細に記述。
「職業能力評価基準」の付録。様式1~3の考
え方を知る時に、重要な役割を果たす。
ロジスティクス分野 職業能力評価基準の特徴と概要
「ロジスティクス分野職業能力評価基準」は、以下のような特徴を持った内容となっています。
◆能力段階(レベル1からレベル4までのレベル区分)に沿ったキャリアパスを想定しています。
(ロジスティスク分野 レベル区分の目安)
(ロジスティスク分野 キャリア形成の例)
運送業
職 種
レベル1
レベル2
レベル3
レベル4
シニア
マネジャー
ロジスティクスシステムデザイン
運送サービス企画
スタッフ
シニアスタッフ
マネジャー
運送業務
スタッフ
シニアスタッフ
マネジャー
車両整備
スタッフ
シニアスタッフ
倉庫業
職 種
レベル1
レベル2
ロジスティクスシステムデザイン
倉庫サービス企画
倉庫運営
スタッフ
シニアスタッフ
倉庫内作業
スタッフ
シニアスタッフ
レベル3
レベル4
マネジャー
シニア
マネジャー
◆業界の実態を踏まえ、運送業及び倉庫業に分類し、両者共通部分の「ロジスティクスシステムデ
ザイン」と、運送業は「運送サービス企画」、
「運送業務」「車両サービス」の 3 区分に、倉庫業
は「倉庫サービス企画」
「倉庫運営」
「倉庫内作業」の 3 区分にそれぞれ職種・職務体系を分類・
整理しています。
◆それぞれの職種・職務に必要となる能力ユニット・能力細目ごとに、
「成果につながる職務行動
例」
(いわゆるコンピテンシー)を整理し、これに基づき職業能力評価ができるようになってい
ます。
(全体構成(様式 1))
運送業
職 種
職 務
ロジスティクスシステム
デザイン
ロジステ ィクスシステ ム
デザイン
レベル1
レベル2
レベル3
レベル4
企画・設計
運送サービス企画
業務計画・推進
配車・運行管理
運送業務
輸配送作業
輸送包装作業
車両整備
車両整備
©厚生労働省
倉庫業
職 種
職 務
ロジスティクスシステム
デザイン
ロジ ステ ィクスシ ステ ム
デザイン
レベル1
レベル2
レベル3
レベル4
企画・設計
倉庫サービス企画
業務計画・推進
業務運営
倉庫運営
現品管理
入荷・保管・出荷
倉庫内作業
流通加工
©厚生労働省
(職種別能力ユニット一覧(様式2)の例)
職種名
定義
ロジスティクスシステムデザイン
サードパーティロジスティクス(3PL)として、ロジスティクスシステムに関する専門的な知見を活かし、経営的観点から顧客のロジスティク
スを分析し、問題・課題の抽出を行い、運送システム、倉庫システム、物流情報システムを統合したロジスティクスシステムのソリューショ
ンを立案、提案する仕事。運送業部門と倉庫業部門に共通の職務。
職務は「ロジスティクスシステムデザイン」のみ
<共通能力ユニット(部門共通)>
L3
マネジャー
L4
シニア・マネジャー
企業倫理と関係者との協働
12C003L33
12C004L44
安全衛生の取組み
12C007L33
12C008L44
組織と人のマネジメント
12C010L33
12C011L44
情報化への対応
12C018L33
12C019L44
環境問題への対応
12C022L33
12C023L44
L3
マネジャー
L4
シニア・マネジャー
マーケティングと3PLサービスの考案
12S001L33
12S002L44
顧客診断
12S003L33
12S004L44
職務
全職務共通
能力ユニット名
L1
スタッフ
L2
シニア・スタッフ
<選択能力ユニット(部門共通)>
能力ユニット名
職務
ロジスティクス
システム
デザイン
L1
スタッフ
L2
シニア・スタッフ
運送システムの立案
12S005L34
倉庫システムの立案
12S006L34
物流情報システムの立案
12S007L34
ソリューション提案営業
12S008L33
12S009L44
©厚生労働省
(能力ユニット別職業能力評価基準(様式3)の例)
レベル1
レベル2
レベル3
レベル4
スタッフ
シニア・スタッフ
マネジャー
シニア・マネジャー
ユニット番号 12S001L33
選択
能力ユニット
(部門共通)
能力細目
能力ユニット名
マーケティングと3PLサービスの考案
概 要
3PL市場のマーケティングから事業戦略を立案し、顧客ニーズを把握したうえ
で、3PLサービスを考案するために必要な能力
共
通
職務遂行のための基準
○自社または担当部署のマーケティング戦略に基づき、マーケティング・プログラ
ムを立案し、マーケティング活動を組織的に実施している。
○マーケティング・リサーチを通じて市場や顧客の状況・情報を収集し、そこから
得られた客観的な事実に基づいて事業戦略を立案している。
①マーケティング
と事業戦略の立案 ○事業戦略は、市場環境の変化とそれに伴う自社のポジショニング、競合他社との
差別化、競争優位性を考慮している。
○顧客の経営戦略と、ロジスティクス戦略、IT戦略等の個別戦略を把握してい
る。また、それら個別戦略の経営戦略に対する位置付けを理解している。
○顧客のロジスティクス推進の目的や目標を把握し、顧客へのインタビューや関連
②顧客ニーズの把 資料等から顧客の具体的なロジスティクス推進策を調べている。
○顧客から聞き取れるニーズのみならず、顧客が気付いていない潜在的なニーズの
握
掘り起こしを行っている。
○競合他社と単なる料金値下げ競争を行うのではなく、在庫管理精度やリードタイ
ム、安全性等の物流品質を重視した3PLサービスを考案している。また、その
サービスを明快な料金体系で示している。
○旧態の運送のみ、保管のみのサービスではなく、それらを複合して物流コストや
在庫の削減が可能な3PLサービスを考案している。
③3PLサービスの ○担当部署や担当者ごとに自社サービスの品質差が生じないように、サービスのマ
ニュアル、テキストを整備し、サービスの標準化や品質向上を図っている。
考案
シ
ロ
ス
ジ
テ
ス
ム
テ
デ
ィ
ザ
ク
イ
ス
ン
倉
庫
サ
ー
ビ
ス
企
画
倉
庫
運
営
○運送事業者、倉庫事業者、情報システムベンダーの動向をウォッチし、自社の3
PLサービスに適合し、提案能力の優れたパートナー企業との提携を進めている。
倉
庫
内
作
業
●必要な知識
1.マーケティングに関する知識
・3PL市場・業界知識(特性・構造・規制な
ど)
・ターゲットの市場・業界基礎知識
・自社と競合他社のポジショニング
・マーケティング戦略
(環境分析・市場細分化・標的市場・4Pなど)
・マーケティング・リサーチ
・サービス・価格戦略
・販売促進計画
2.自社の経営戦略、事業戦略等に関する知識
・事業ドメイン
・コア・コンピタンス など
3.コンセプト創造手法
・ブレーンストーミング法
・KJ法
・チェックリスト法 など
4.自社サービス政策
・新サービス企画開発
・サービスの見直し
・市場導入計画
・ブランド政策
5.価格政策
・価格管理
・価格競争力
・原価計算
6.ロジスティクスシステムの知識
7.物流管理の専門知識
8.物流技術の専門知識
活用ツールについて
◆モデル評価シート
モデル評価シートは、職業能力評価基準のレベル 1 の内容を基に、職務経験のない方が 6 カ月程
度で習得することが期待される評価項目を設定しており、企業実習又はOJTの成果を評価する
ために活用することができます。
(モデル評価シートの例(抜粋))
モデル評価シート『ロジスティクス分野(倉庫業務)』
ジョブ・カード様式4〔評価シート〕 訓練の職務 ロジスティクス分野・倉庫業務(職業能力形成プログラム ○○○○型)
訓練参加者氏名 (氏 名)
上記の者の訓練期間における訓練職務内容と当社しての職業能力についての評価は、以下のとおりですので、
今後のキャリア形成の参考にしてください。
平成 年 月 日
実習実施企業
(評価責任者氏名・印)
(代表者氏名・代表者印)
(2)専門的事項 (「職務遂行のための基準」ごとに、該当する欄に○を記載) (評価基準の出所:モデル評価シート)
A:常にできている B:大体できている C:評価しない(注) 「評価を行わなかった」場合は/(斜線)でC欄を消す
自己評価
企業評価
能力ユニット
職 務 遂 行 の た め の 基 準
A
B
C
A
B
コード
C
( 1 ) 物流およびロジスティクスの基礎的な用語や概念を理解している。
H120101
ロジスティクスの基礎
( 2 ) 自社が提供しているロジスティクスサービス(輸送、保管、包装、荷役等)の概要を理解している。
H120101
物流における安全の基礎
( 1 ) できている。
H120101
( 1 ) 落とさない、ぶつけないといった荷扱いの基本動作ができている。
H120101
( 2 ) 貨物の重心、重量、形状等を考慮し、危険のない適正な人数、適正な持ち方、適正な機器等での荷扱いができている。
H120101
( 3 ) ケアマークや注意表示を理解し、正しい荷扱いができている。
5S(整理・整頓・清掃・清潔・しつけ)ができている。
H120101
(1)
H120101
( 1 ) ワープロソフトによる文書の作成、表計算ソフトによる表作成・入力・集計といった基本的なレベルのパソコン操作ができる。
H120101
( 2 ) 業務上利用する情報システム(例:倉庫管理システム)の操作方法を理解している。
H120101
( 3 ) 個人情報の保護の必要性、情報セキュリティの重要性とそれらを確保するための社内ルールを理解している。
H120101
( 1 ) 物流に関する環境問題について基礎的な知識を有している。
H120101
( 2 ) 輸配送作業の際、アイドリングストップ、エコドライブなど、環境に配慮した行動を心がけている。
H120101
( 3 ) 庫内作業や荷役作業の際、ゴミの分別、包装資材の分別や再利用など、環境に配慮した行動を心がけている。
H120101
( 1 ) 体を使った作業の多い倉庫内作業の特性に順応し、支障なく持続的に作業に従事している。
H120301
( 2 ) 単純作業や反復作業等の倉庫内作業の特性に順応し、継続的にミスなく作業に従事している。
H120301
物流現場における安全の重要性を理解しており、「荷崩れの際はまず自分の身を守る」「コストや納期より安全を優先する」といった基本的な心構えが
荷扱いの基本動作
5Sの実践
情報処理の基礎
環境対応の基礎
倉庫業務に対する基礎要件
(3)
効率や品質を意識し工夫する
能力(倉庫)
現品管理の基礎
入出荷作業
多くの作業者の協働により完遂されるという倉庫内作業の特性に対応して、パート・アルバイト等の作業者と協調し、他を配慮しながら作業を行うことができ、他の
作業者から信頼感を持たれている。
H120301
指示された通りの作業をするだけでなく、効率を上げたりミスを減らしたりするための方法を考えながら仕事をしており、仕事の仕方に工夫している様子
( 1 ) が見られる。
H120301
( 1 ) 現品管理の目的や必要性、事務手続きを理解している。
H120301
( 2 ) 現品管理の問題点があれば指摘し、必要に応じて改善案を提示することができる。
H120301
( 1 ) 指示書や伝票の受領、検品、荷受け、庫内搬入、搬出といった入出荷作業の基本的な流れ、事務手続きを理解している。
H120301
( 2 ) 荷役機器やハンディターミナル等を正しく扱い、入出荷作業を正確かつ効率的に実施している。
H120301
( 3 ) 輸送業者との書類の受け渡し、他の部門への連絡、パートやアルバイトへの指示などを円滑に行っている。
H120301
( 4 ) 書類の不備、入荷の遅れといった問題が発生した場合には、上司の指示を仰いで適切に対応している。
H120301
◆モデルカリキュラム
モデルカリキュラムは、訓練実施計画の検討の参考となるように、6 カ月で習得が必要と考えら
れる教科について、実習(OJT)及び座学(Off-JT)の訓練内容・各教科の時間数、必要となる教
材等について作成しています。
(モデルカリキュラムの例)
訓練科名(コース名) 倉庫業務実践科(入出荷・保管・仕分け作業)
職務名又は教科名
実
習
等
(
O
J
T
)
職務又は教科の内容
時間
入出荷作業実習
入出荷作業の基本的な流れ、荷役機器や情報機器
の取り扱い、書類の受け渡し、パートやアルバイ
トとの協働
保管作業実習
保管貨物のロケーション管理、在庫数量チェッ
ク、異常確認等
40
棚卸し作業実習
棚卸し作業の目的、実施手順、事務手続き等
20
ピッキング・仕分け作業
実習
ピッキング・仕分け作業の基本的な流れ、実施手
順、正確な作業の実施、効率的な作業の実施
Off-JTの実
施主体
備考
140
140
OJT計 340時間
有
期
実
習
型
訓
練
の
内
容
座
学
等
(
O
f
f
―
J
T
)
職業能力基礎講習
コミュニケーション、グループディスカッショ
ン、キャリア形成、キャリアコンサルティング
(自己理解、自己評価)、ビジネスマナー
12
倉庫業務の概要
自社の倉庫業務の概要、入出荷作業の概要、保管
作業の概要、棚卸し作業の概要、ピッキング・仕
分け作業の概要、倉庫の防火・防災・風水害等対
策
12
安全衛生
5S(整理、整頓、清掃、清潔、しつけ)、安全
作業(安全点検、KYT)、労働災害の防止、健
康管理、救急処理
6
荷扱いの基本動作、ケアマーク、注意表示等
6
学 荷扱いの基本動作
科
物流概論
物流・ロジスティクスの概念、物流の構成と領
域、保管、荷役、輸送、包装、流通加工の概要
15
情報処理の基礎
データ管理、情報システム管理
12
能力評価
オリエンテーション、能力評価(評価担当
者、訓練生)
10
学科計 73時間
実
技
安全衛生作業
安全作業、衛生管理実務、救急法
6
データ処理実習
各種データ作成、ファイル管理、受発注処理シス
テム、入出荷処理システム、在庫管理システム、
経理処理システム
6
実技計 12時間
Off-JT(教育訓練機関)小計 85時間
有期実習型訓練合計 425時間
主な設備機器
移動式クレーン、フォークリフト、荷役用具類、パレット、パソコン、その他情報機器
以上