神経膠腫の免疫組織化学用抗体 神経膠腫(glioma)は神経細胞の支持体である神経膠細胞から発生する腫瘍です。このたび新しく改定 されたWHO2016においては、従来の形態学的診断に加え、分子情報による分類基準が入っています。最 新の研究によりIDH(Isocitrate Dehydrogenase)1/2遺伝子、ATRX遺伝子、TERT promoter変異、及び 1p/19q共欠失などは、神経膠腫の分子診断で注目されています。 抗ATRX,モノクローナル抗体(AMab-6) ATRX(α-Thalassemia/mental retardation syndrome X-linked)は転写制御やクロマチンリモデリングに 関与するタンパク質です。X染色体上のATRX遺伝子の変異により、ATR-X症候群の発症原因となること が知られています。 本抗体はヒトATRXタンパク質を認識するモノクローナル抗体です。ATRX遺伝子変異によりATRXタンパ ク質の発現消失が見られ、その遺伝子変異を免疫組織染色により検出するために用いることができます。 【データ】 乏突起膠腫[A] 及び びまん性星状細胞腫[B]の免疫組織染色像[抗ATRX,モノクローナル抗体(AMab-6)] 検体:脳腫瘍患者病巣部パラフィン包埋切片 A:Oligodendroglioma, IDH-mutant [WHO grade Ⅱ] B:Diffuse astrocytoma, IDH-mutant [WHO grade Ⅱ] 切片厚:4μm 抗原賦活化条件:pH 9.0の溶液中、10分間オートクレーブ後、室温40分保管。 クエンチ:3%過酸化水素溶液、10分間。 ブロッキング:5%スキムミルク溶液、30分間。 一次抗体:3μg/mL 抗ATRX, モノクローナル抗体(AMab-6) 二次抗体:HRP標識抗マウスIgG(commercial product) 検出:DAB 対比染色:ヘマトキシリン A:Oligodendroglioma(乏突起膠腫), IDH-mutant : ATRX遺伝子変異がなく、抗ATRX抗体による免疫組織染色陽性を 示した。 B:Diffuse astrocytoma(びまん性星状細胞腫), IDH-mutant : ATRX遺伝子変異があり、ATRX発現消失している。抗ATRX抗体に よる免疫組織染色陰性を示した。 正常細胞である血管内皮細胞の核は、抗ATRX抗体により染色 された。 データご提供: 東北大学大学院医学系研究科 加藤幸成先生 〔参考文献〕 Ogasawara, S., Fujii, Y., Kaneko, M. K., Oki, H., Sabit, H., Nakada, M., Suzuki, H., Ichimura, K., Komori, T. and Kato, Y., “Establishment of anti-Human ATRX monoclonal antibody AMab-6.”, Monoclonal Antibodies in Immunodiagnosis and Immunotherapy, 35(5), 254-258 (2016). 製品概要 クローンNo. 免疫動物 アイソタイプ AMab-6 :マウス :IgG1・κ 形状 :液体/PBS containing sodium azide. 抗体濃度 :約1mg/mL (製品ラベルに記載) アプリケーション:Western Blot(1μg/mL~) Immunohistochemistry(1~5μg/mL) ELISA(1μg/mL~) ※実験系ごとに最適使用濃度をご検討下さい。 抗TERT,モノクローナル抗体(TMab-6) テロメラーゼは、TERT(Telomerase Reverse Transcriptase)、鋳型RNAや制御サブユニットとの複合体 であり、TERTはテロメラーゼの触媒サブユニットです。生殖細胞や組織幹細胞でテロメラーゼ活性が保持 される他、80~90%の腫瘍細胞でもテロメラーゼ活性が高く保持されることが知られています。 本抗体はテロメラーゼの触媒サブユニットであるTERTに対するモノクローナル抗体で、特に免疫組織染 色に有用です。神経膠腫の一種では、TERT promoter領域の変異によりTERTタンパク質の発現が抑制さ れる事が知られています。この現象はATRX遺伝子異常と相互排他的に観察されます。TERT promoterの 変異はIDH遺伝子変異と1p/19q共欠失が見られる神経膠腫のほぼ全てで見られ、またIDH遺伝子の変異 が起きないタイプの神経膠腫でも見られます。 製品概要 クローンNo. 免疫動物 アイソタイプ TMab-6 :マウス :IgM・κ 形状 :液体/PBS containing sodium azide. 抗体濃度 :約1mg/mL (製品ラベルに記載) アプリケーション:Western Blot(1μg/mL~) Immunohistochemistry(1μg/mL~) ELISA(1μg/mL~) ※実験系ごとに最適使用濃度をご検討下さい。 抗IDH,モノクローナル抗体 IDH(イソくえん酸脱水素酵素;Isocitrate Dehydrogenase)は、イソくえん酸とα-ケトグルタル酸を相互に 変換する酸化還元酵素です。ヒトではIDH1(細胞質型,NADP+依存性)、IDH2(ミトコンドリア型,NADP+依 存性)及びIDH3(ミトコンドリア型,NAD+依存性)の3種類が知られています。 IDH1及びIDH2遺伝子が胆管がん、急性骨髄性白血病、軟骨肉腫、骨肉腫及び神経膠腫などさまざまな がんにおいて高頻度に変異が発生することが報告されています。 当社ではIDH1・IDH2及び野生型・変異型IDH1/2を認識する抗体を取り揃えています。 抗IDH1-R132H,モノクローナル抗体(HMab-1) [018-24081] IDH1の変異はほぼ132位のArgに限定され、132位のArgがHisに変換されるR132Hの変異が80~90%を 占めることが報告されています。本抗体は132位のArgがHisに変異したIDH1-R132Hを特異的に認識する 抗体です。野生型及びR132H以外の変異型IDH1を認識しません。 製品概要 クローンNo. 免疫動物 アイソタイプ HMab-1 :マウス :IgG1 形状 :液体/PBS containing sodium azide. 抗体濃度 :約1mg/mL (製品ラベルに記載) アプリケーション:Western Blot(5μg/mL) Immunohistochemistry(5~10μg/mL) ELISA(1~5μg/mL) ※実験系ごとに最適使用濃度をご検討下さい。 〔参考文献〕 1) 2) 3) 4) Takano, S. et al., J. Neurooncol., 108(3), 361-373 (2012). Sabit, H. et al., Brain Tumor Pathol., 31(4), 242-246 (2014). Takano, S. et al., Brain Tumor Pathol., 32(3), 169-175 (2015). Kato, Y., Brain Tumor Pathol., 32(1), 3-11 (2015). 抗IDH1-R132H,モノクローナル抗体(HMab-2) [013-26851] 本抗体はクローンNo. HMab-1と同様にIDH1-R132Hを特異的に認識する抗体です。野生型及びR132H 以外の変異型IDH1を認識しません。 本抗体は抗原濃度や抗体使用濃度が低い条件においても感度よく使用できます。 製品概要 クローンNo. 免疫動物 アイソタイプ HMab-2 :マウス :IgG1・κ 形状 :液体/PBS containing sodium azide. 抗体濃度 :約1mg/mL (製品ラベルに記載) アプリケーション:Western Blot(1μg/mL~) Immunohistochemistry(1μg/mL) ELISA(1μg/mL~) ※実験系ごとに最適使用濃度をご検討下さい。 〔参考文献〕 1) Fujii, Y. et al., Biochem. Biophys. Res. Commun., 466(4), 733-739 (2015). 2) Yamamichi, A. et al., Sci. Technol. Adv. Mater., 17, 618-625 (2016). 抗IDH1-R132S,モノクローナル抗体(SMab-1) [015-24091] IDH1の変異では、132位のArgがHisではなく Cys、Ser、Gly、Leuに変換される変異も発生します。 本抗体は132位のArgがSerに変換されたIDH1-R132Sを認識するモノクローナル抗体です。 製品概要 クローンNo. 免疫動物 アイソタイプ SMab-1 :マウス :IgG1 形状 :液体/PBS containing sodium azide. 抗体濃度 :約1mg/mL (製品ラベルに記載) アプリケーション:Western Blot(5μg/mL) Immunohistochemistry(5~10μg/mL) ELISA(1~5μg/mL) ※実験系ごとに最適使用濃度をご検討下さい。 〔参考文献〕 1) 2) Kaneko, M. K. et al., Biochem. Biophys. Res. Commun., 406(4), 608-613 (2011). Kato, Y., Brain Tumor Pathol., 32(1), 3-11 (2015). 抗IDH1,モノクローナル抗体 (RMab-3) [014-24061] 野生型/変異型IDH1を認識する抗体です。さまざまなタイプの神経膠腫由来組織切片の免疫組織染色 で使用可能です。 製品概要 クローンNo. 免疫動物 アイソタイプ RMab-3 :マウス :IgG1 形状 :液体/PBS containing sodium azide. 抗体濃度 :約1mg/mL (製品ラベルに記載) アプリケーション:Western Blot(5μg/mL) Immunohistochemistry(5~10μg/mL) ELISA(1~5μg/mL) ※実験系ごとに最適使用濃度をご検討下さい。 〔参考文献〕 1) 2) Kaneko, M. K., et al., Tohoku J. Exp. Med., 230, 103-109 (2013). Ogasawara, S. et al., Monoclon. Antib. Immunodiagn. Immunother., 35(5), 254-258 (2016). 抗IDH1,ラットモノクローナル抗体(RcMab-1) [014-26381] 野生型/変異型IDH1を認識するモノクローナル抗体です。IDH2は認識しません。 脳切片の免疫組織染色及び脳由来サンプルのウエスタンブロットにおいてポジティブコントロール及び ローディングコントロール抗体として活用いただけます。 製品概要 クローンNo. 免疫動物 アイソタイプ RcMab-1 :ラット :IgG2a 形状 :液体/PBS containing sodium azide. 抗体濃度 :約1mg/mL (製品ラベルに記載) アプリケーション:Western Blot(0.5~1μg/mL) Immunohistochemistry(1~5μg/mL) Immunocytochemistry (1~5μg/mL) ※実験系ごとに最適使用濃度をご検討下さい。 〔参考文献〕 1) 2) 3) 4) 5) Ikota, H. et al., Brain Tumor Pathol., 32(4), 237-244 (2015). Kaneko, M.K. et al., Tohoku J. Exp. Med., 230, 103-109 (2013). Kato, Y. et al., Biochem. Biophys. Res. Commun., 432, 546-567 (2013). Kaneko, M.K. et al., Monoclon. Antib. Immunodiagn. Immunother., 32(3), 224-228 (2013). Yamamichi, A. et al., Sci. Technol. Adv. Mater., 17(1), 618-625 (2016). 抗IDH2,モノクローナル抗体(RMab-22) [011-24071] 野生型/変異型IDH2を認識するモノクローナル抗体です。 変異型IDH2では、172位のArgがLys、Met、Gly及びTrpに変換される変異が生じます。 本抗体は野生型IDH2及び変異型IDH2のIDH2-R172K/Mを認識します。IDH2-R172Wは認識しません。 製品概要 クローンNo. 免疫動物 アイソタイプ RMab-22 :マウス :IgG2b 形状 :液体/PBS containing sodium azide. 抗体濃度 :約1mg/mL (製品ラベルに記載) アプリケーション:Western Blot(5μg/mL) Immunohistochemistry(5~10μg/mL) ELISA (1~5μg/mL) ※実験系ごとに最適使用濃度をご検討下さい。 〔参考文献〕 1) Kaneko, M.K. et al., Biochem. Biophys. Res. Commun., 432, 40-45 (2013). 抗変異型IDH1/2,モノクローナル抗体(MsMab-1) [015-25691] 変異型IDH1及び変異型IDH2を認識する抗体です。野生型IDH1/2は認識しません。 ・変異型IDH1:IDH1-R132H/R132S/R132G ・変異型IDH2:IDH2-R172M/R172S/R172G を認識する。 製品概要 クローンNo. 免疫動物 アイソタイプ MsMab-1 :マウス :IgG2a・κ 形状 :液体/PBS containing sodium azide. 抗体濃度 :約1mg/mL (製品ラベルに記載) アプリケーション:Western Blot(1μg/mL) Immunohistochemistry(5μg/mL) ELISA (1μg/mL) 〔参考文献〕 1) 2) 3) 4) ※実験系ごとに最適使用濃度をご検討下さい。 Kaneko, M.K. et al., Tohoku J.Eep. Med., 230, 103-109 (2013). Liu, X. et al., Cancer Med., 2(6), 803-814 (2013). Ogasawara, S. et al., Monoclon. Antib. Immunodiagn. Immunother., 32(6), 377-381 (2013). Takano, S. et al., Brain Tumor Pathol., 32(3), 169-175 (2015). コードNo. 品名 クローンNo. 規格 容量 017-26751 Anti ATRX, Monoclonal Antibody AMab-6 免疫化学用 100μg 40,000 010-26861 Anti TERT, Monoclonal Antibody TMab-6 免疫化学用 100μg 40,000 018-24081 Anti IDH1-R132H, Monoclonal Antibody HMab-1 免疫化学用 100μg 34,000 013-26851 Anti IDH1-R132H, Monoclonal Antibody HMab-2 免疫化学用 100μg 40,000 015-24091 Anti IDH1-R132S, Monoclonal Antibody SMab-1 免疫化学用 100μg 34,000 014-24061 Anti IDH1, Monoclonal Antibody RMab-3 免疫化学用 100μg 34,000 014-26381 Anti IDH1, Rat Monoclonal Antibody RcMab-1 免疫化学用 100μg 30,000 011-24071 Anti IDH2, Monoclonal Antibody RMab-22 免疫化学用 100μg 34,000 015-25691 Anti Mutated IDH1/2, Monoclonal Antibody MsMab-1 免疫化学用 100μg 34,000 クローンNo. 規格 容量 018-24101 Anti Human Podoplanin, Monoclonal Antibody NZ-1.2 免疫化学用 100μg 34,000 015-24111 Anti Mouse Podoplanin, Monoclonal Antibody PMab-1 免疫化学用 100μg 34,000 016-26841 Anti Mouse Nestin, Rat Monoclonal Antibody 012-26843 7A3 免疫化学用 10μL 50μL 10,000 30,000 - 遺伝子研究用 1kit 65,000 希望納入価格(円) 関連製品 コードNo. 品名 299-76101 LH Gene Mutation Detection Kit for BRAF V600E 希望納入価格(円) ●本文に記載しております試薬は、試験・研究用にのみ使用されるもので、「医薬品」、「食品」、「生活用品」などとして使用できません。 ●希望納入価格には消費税等が含まれておりません。 ●希望納入価格は予告なく変更する場合がございますがご了承下さい。 1 7 1 0 0 開 01
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