年頭所感(「週刊ケイザイ防長」) 日本銀行下関支店長 岩田 和久 新年明けましておめでとうございます。謹んで新春のご挨拶を申し上げます。 昨年は、年初から株価が大きく下落するなど波乱の幕開けとなった後、4 月に 熊本地震、6 月は英国のEU離脱問題、11 月には米国大統領選挙でのトランプ 氏の勝利など、予想外の出来事が続きました。 もっとも、日本経済は、緩やかな回復基調で推移し、山口県経済も、熊本地 震の影響等から一時的に弱含む局面もありましたが、基調としては緩やかな回 復が続きました。 今後の日本経済については、海外経済の回復に加えて、きわめて緩和的な金 融環境と政府の大型経済対策の効果を背景に、緩やかに拡大していくとみて います。ただし、海外経済の動向次第で、このシナリオが大きく変化する可能 性もあります。とくに、トランプ新政権下での経済政策運営やそれが国際金 融市場に及ぼす影響、英国のEU離脱問題の帰趨や その影響、金融セクター を含む欧州債務問題の展開、中国をはじめとする新興国・資源国経済の動向、 テロなど地政学的リスクには注意が必要でしょう。 山口県の景気も緩やかな回復基調が続くとみており、デスティネーションキ ャンペーンや国際定期便・クルーズ船による内外観光客の増加が消費の追い風 となることも期待されます。一方、少子高齢化や若者の県外流出などを背景に 人手不足感が高まっており、一段と深刻化した場合、山口県経済の活力が弱ま るおそれがあります。そうした事態を防ぐには、労働人口の減少抑制とともに、 労働生産性の向上にも取り組む必要があり、前者については若者の県内就職や 女性・高齢者雇用の促進、雇用ミスマッチの改善などが、後者についてはIT の利活用、M&Aなどによる企業再編も有効な手段となり得ると考えられます。 日本銀行下関支店は、本年で開設 70 周年を迎えます。皆さまには、この間の ご支援・ご協力に感謝申し上げますとともに、本年が実り多い 1 年になります ことを心より祈念いたします。
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