2016/2017 シーズン 2017 年 1 月 26 日 横浜市インフルエンザ流行情報 9 号 横浜市衛生研究所 / 横浜市健康福祉局健康安全課 《トピックス》 インフルエンザ流行警報が発令されました。 【概況】 2017 年第 3 週(2017 年 1 月 16 日~22 日)の定点※1 あたりの患者報告数は、 横浜市全体で 32.23 と、警報発令基準値(30.00)を上回りました。 学級閉鎖等は第 3 週だけで 69 件の報告があり、今シーズンは 129 件となり、 急激に増加しています。また、医療機関、高齢者施設内での集団発生の報告も 急増しており、ワクチン接種の有無に関わらず手洗い、マスク着用の徹底といっ た施設内感染予防策や面会者等による外部からの持込みについても注意が必 要です。 また、重症入院患者の報告が、同時期に流行した 2014/15 シーズンより多く 報告されています(本文 5 参照)。インフルエンザ脳症の報告もあり、重症化に ついても注意が必要です。 第 3 週の迅速診断キットの結果は A 型 96.1%、B 型 3.9%、A・B 型ともに陽性 0.05%となっています。市内のウイルス検出状況では、ほとんどが AH3 型(A 香 港型)です(本文 7 参照)。 例年、流行警報は 2 月から 3 月まで続きます。引き続き、予防や早期受診な どの対策※2 の重要性を踏まえて、充分にご注意ください。 ※1 定点とは、定期的にインフルエンザ患者発生状況を報告していただいている医療機関(市内 153 か 所)のことで、そこから報告された患者数の平均値が定点あたりの患者報告数です。 ※2 市民向けインフルエンザ予防チラシ(横浜市) 1 市内流行状況:市全体の定点あたりの患者報告数は第 3 週で 32.23 となり、流行警報発令基 準値(30.00)を上回りました。 60 人 50 2011/12 40 2012/13 2013/14 30 2014/15 20 2015/16 10 2016/17 0 36 38 9月 40 42 44 46 48 50 12月 52 1 3 1月 5 7 9 11 3月 13 15 17 19 21 23 25 6月 27 29 31 33 35 週 2 地図で表した直近 3 週間の区別流行状況(塗り分けの数字は定点あたり報告数) 2017 年第 3 週(1 月 16 日~22 日)に市全体で 警報発令基準値(30.00)を上回りました。 警報は解除基準値(10.00)を下回るまで続き、 直近の 5 年間では、概ね 2 月中旬から 3 月下旬ま での期間に解除されています。昨シーズンは第 4 週(1 月 25 日~31 日)で警報発令、第 12 週(3 月 21 日~27 日)で解除されています。 流行警報はまだ続きますので、ワクチンの接種 の有無に関わらず、引き続き、手洗い等の予防策 の徹底が重要です。 区では、18 区中 13 区で警報発令基準値を上回 っています。 青葉区 5.60 都筑区 港北区 13.50 5.58 鶴見区 緑区 13.80 6.75 瀬 谷 区 神奈川区 12.10 旭区 14.00 9.00 保土ケ谷区 西区 9.25 5.40 泉区 6.29 9.00 戸塚区 4.73 中区 7.43 南区 港南区 = 30人以上 6.75 栄区 10.00 磯子区 3.00 = 15人~ = 10人~ 金沢区 インフルエンザ 第1週 (2017/1/2-1/8) = 25人~ = 20人~ 8.00 = 5人~ = 0人~ 青葉区 12.50 都筑区 港北区 31.86 12.23 緑区 18.00 21.29 瀬 谷 区 神奈川区 20.10 旭区 21.86 14.20 保土ケ谷区 西区 17.88 11.00 泉区 16.43 鶴見区 南区 11.25 戸塚区 14.91 中区 9.29 港南区 = 30人以上 13.75 栄区 17.67 = 25人~ 磯子区 = 20人~ 16.86 = 15人~ = 10人~ 金沢区 インフルエンザ 第2週 (2017/1/9-1/15) = 5人~ 13.38 = 0人~ 青葉区 28.73 都筑区 港北区 48.71 緑区 【参考リンク】 近隣自治体の流行状況 ○神奈川県 瀬 谷 区 神奈川区 36.50 旭区 44.14 32.40 全国の流行状況 ○国立感染症研究所 保土ケ谷区 西区 24.88 30.40 泉区 37.00 鶴見区 32.00 47.00 ○川崎市 ○東京都 20.15 南区 33.75 戸塚区 29.91 港南区 31.00 磯子区 35.29 = 25人~ = 20人~ = 15人~ = 10人~ 金沢区 インフルエンザ 第3週 (2017/1/16-1/22) 11.4 = 30人以上 32.13 栄区 中区 34.25 = 5人~ = 0人~ 3 年齢層別集計:第 3 週の患者年齢構成は、10 歳未満が全体の 47.6%、10 歳以上 15 歳未満 が 19.4%となっており、15 歳未満が半数以上を占めています。年末年始は 15 歳未満の報告 数が減少していましたが、新学期が始まり、学級閉鎖等の報告も急増していますので、引き続 き小学校や中学校での感染予防策の徹底が重要です。 年齢層別患者割合 0% 10% 20% 30% 40% 50% 43.0% 第51週 19.1% 35.4% 第52週 16.0% 35.3% 第1週 47.6% 第3週 10歳未満 10~14歳 10.6% 20歳代 90% 100% 8.0% 30歳代 11.3% 11.8% 5.6% 3.8% 3.4% 6.6% 2.1% 3.1% 4.3% 4.6% 7.2% 19.4% 15~19歳 80% 8.2% 7.9% 11.4% 12.6% 70% 6.4% 6.5% 5.4% 8.2% 5.4% 9.2% 8.0% 7.3% 42.4% 第2週 60% 8.8% 7.7% 6.4% 3.3% 3.6% 7.3% 5.0% 5.6% 6.8% 3.7% 2.5% 2.1% 40歳代 50歳代 60歳代 70歳以上 4 市内学級閉鎖等状況:新学期が始まった第 2 週の学級閉鎖等の報告は 2 件でしたが、第 3 週 は 69 件と報告数が急増しています。今シーズンの累計報告数は 129 件となり、報告された患 者数(医療機関で診断された人数とインフルエンザのような症状のある人数の合計)は延べ 1,784 人となっています。今シーズンに学級閉鎖等を行った施設の内訳は、小学校 78 件 (60.5%)、中学校 25 件(19.4%)、高等学校 11 件(8.5%)、幼稚園・保育園 12 件(9.3%)、そ の他 3 件(2.3%)となっています。第 3 週の内訳は、幼稚園・保育園 8 件、小学校 39 件、中学校 11 件、高等学校 8 件、その他 3 件でした。 学級閉鎖等の施設数と患者数の推移 80 1200 70 幼稚園・保育園 60 小学校 50 中学校 施 40 設 30 数 20 1000 800 高等学校 600 その他 400 患者数 200 10 第3週 第2週 第1週 第52週 第51週 第50週 第49週 第48週 第47週 第46週 第45週 第44週 第43週 第42週 第41週 0 第40週 0 学級閉鎖等の施設の状況 (今シーズン) その他,3件,2.3% 高等学校 幼稚園・ 保育園 12件, 9.3% 11件, 8.5% 中学校 25件, 19.4% 小学校 78件, 60.5% 5 入院サーベイランス:市内基幹定点医療機関※3 におけるインフルエンザ入院患者は第 3 週ま での累計で 103 人となりました。うち、15 歳未満が 33 人(32.0%)、70 歳以上が 44 人(42.7%) となっており、小児と高齢者が多くを占めています。 今シーズンと同時期に主に AH3 型(A 香港型)が流行した 2014/15 シーズンと定点あたり 報告数を比較すると、2014/15 シーズンより今シーズンの方が多く報告されています。 入院時の診療内容が把握されている事例で、ICU 入室、人工呼吸器の使用、頭部 CT 検査、 脳波検査が実施された入院患者(以下、重症入院患者)の基幹定点あたりの報告数は増加傾 向にあり、特に小児と高齢者に多く報告されています。 第 3 週では 20 人の入院患者の報告があり、うち 7 人が 15 歳未満、8 人が 70 歳以上でし た。重症入院患者は、15 歳未満は 4 人、70 歳以上は 2 人でした。 ※3 基幹定点:患者を 300 人以上収容する病院(小児科医療と内科医療を提供しているもの)の中か ら、地域ごとに指定された医療機関のことで、市内には 4 つの基幹定点があります。 (人) 基幹定点あたりの入院患者報告数の推移 6.00 5.00 2016/17 4.00 2014/15 3.00 2.00 1.00 0.00 (人) 基幹定点あたりの重症入院患者報告数の推移 2 1.5 2016/17 2014/15 1 0.5 0 6 迅速キット結果:今シーズンの迅速キットの結果の累計は、A 型 93.8%、B 型 6.0%、A・B 型と もに陽性 0.2%で、A 型が多く検出されています。 4000 3000 2000 1000 0 3.9% A陽性 B陽性 A・B陽性 4.3% 7.9% 8.9% 10.6% 4.0% 10.0% 4.0% 4.0% 4.4% 第36週 第37週 第38週 第39週 第40週 第41週 第42週 第43週 第44週 第45週 第46週 第47週 第48週 第49週 第50週 第51週 第52週 第1週 第2週 第3週 5000 横浜市の患者定点医療機関における 迅速診断用キットによる型別の報告数(人) 迅速診断用キットによる型別 報告状況(今シーズン累計) A・B陽性 27 0.2% B陽性 796 6.0% A陽性 12,394 93.8% 7 市内病原体検出状況:市内では病原体定点から AH3 型が最も多く分離・検出されており、全 国の状況※4 と同様です。 ※4 インフルエンザウイルス分離・検出速報(国立感染症研究所) 病原体定点からのインフルエンザ分離・検出状況(2017 年 1 月 23 日現在) 16 AH1pdm:0 AH3型:89 B型(Victoria系統):6 B型(山形系統):0 B型(解析中):0 14 12 分 離 ・ 検 出 数 10 8 6 4 2 0 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 2016年 10月 11月 12月 2017年1月 2月 週数 【参考】 市内で分離された AH3 株(細胞培養した 101 株)のワクチン株との抗原性解析(HI 試験)は、 ウサギの血清を使っているため参考値ですが、すべて 8 倍以上でした。ワクチン類似とされて いるのは 4 倍以内であり、現在までに市内で分離された AH3 株については、ワクチン株と類似 しているとは言えず、国立感染症研究所の結果と矛盾しない結果※5※6 と考えられます。 一方、市内で分離された B 型株(細胞培養した 12 株)については、すべて 4 倍以内でした。 ※5 インフルエンザウイルス流行株抗原性解析と遺伝子系統樹 2016 年 12 月 28 日(国立感染症研究所) ※6A(H3N2)亜型野外流行株の抗原性解析結果(国立感染症研究所) (参考値)市内で分離された株の抗原性解析(2017 年 1 月 23 日現在) AH3 抗原性解析(101 株) B ビクトリア系統抗原性解析(8 株) B 山形系統抗原性解析(4 株) 12件 11.9% 65件 64.4% 同等 24件 23.8% 4件 50.0% 2倍以内 4倍 1件 25.0% 4件 50.0% 8倍 3件 75.0% 16倍 32倍以上 【お問い合わせ先】横浜市衛生研究所感染症・疫学情報課 TEL 045(370)9279 横浜市健康福祉局健康安全課 TEL 045(671)2442
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