2016/2017 シーズン 2017 年 3 月 9 日 横浜市インフルエンザ流行情報 15 号 横浜市衛生研究所 / 横浜市健康福祉局健康安全課 《トピックス》 ・患者数は減少していますが、引き続き警報発令中です。 ・B 型の報告数が増えており、重症化に注意が必要です。 【概況】 2017 年第 9 週(2017 年 2 月 27 日~3 月 5 日)の定点※1 あたりの患者報告 数は、横浜市全体で 13.33 と、第 8 週の 14.41※2 からやや減少しましたが、警戒 は解除されていませんのでご注意ください。 学級閉鎖等は第 9 週で 30 件の報告があり、減少傾向にあります。しかしなが ら、依然として医療機関、高齢者施設内での集団発生も報告されていますので、 引き続き、外部からの持込み防止対策や職員及び入所者等の健康観察が重要 です。 一方、入院患者の報告は続いており、小児と高齢者で多く報告されています。 第 9 週では、今シーズン初めて迅速診断キットの結果が B 型であるインフルエ ンザ脳症(10 歳未満)が報告されています。今後とも重症化についても注意が 必要です。 第 6 週以降、迅速診断キットの結果は B 型の報告件数および割合が増加し ており、第 9 週は A 型 60.9%、B 型 39.0%、A・B 型ともに陽性 0.1%となっていま す。市内のウイルス検出状況では、ほとんどが AH3 型(A 香港型)でしたが、B 型の検出が増えています。 引き続き、予防や早期受診などの対策※3 を心がけましょう。 ※1 定点とは、定期的にインフルエンザ患者発生状況を報告していただいている医療機関(市内 153 か 所)のことで、そこから報告された患者数の平均値が定点あたりの患者報告数です。 ※2 追加報告があったため、流行情報 14 号から報告数が更新されています。 ※3 市民向けインフルエンザ予防チラシ(横浜市) 1 市内流行状況:市全体の定点あたりの患者報告数は第 9 週で 13.33 となり、前週の 14.41※2 からやや減少しましたが、警報解除基準(10.00)を下回っていません。第 4 週の 47.83※2 をピー クとして漸減している状況ですが、依然として報告は続いており、注意が必要です。 60 人 2011/12 50 2012/13 40 2013/14 30 2014/15 20 2015/16 10 2016/17 0 36 38 40 42 44 46 48 50 52 1 3 9月 12月 1月 5 7 9 11 13 15 17 19 21 23 25 27 29 31 33 35 週 3月 6月 2 地図で表した直近 3 週間の区別流行状況(塗り分けの数字は定点あたり報告数) 2017 年第 3 週(1 月 16 日~22 日)に市全体で 警報発令基準値(30.00)を上回りました。 第 3 週は 13 区で、第 4 週は 17 区で警報発令 基準値を上回りましたが、これをピークとして各区 とも減少傾向となっています。 警報は市全体で解除基準値(10.00)を下回るま で続きます。直近の 5 年間では、概ね 2 月中旬か ら 3 月下旬までの期間に解除されており、昨シー ズンは第 4 週(1 月 25 日~31 日)で警報発令、第 12 週(3 月 21 日~27 日)で解除されています。 流行警報の発令は継続しており、ワクチンの接 種の有無に関わらず、引き続き、手洗い等の予防 策の徹底が重要です。 青葉区 21.09 都筑区 港北区 27.63 23.08 鶴見区 緑区 18.60 29.25 瀬 谷 区 神奈川区 25.00 旭区 23.33 27.14 保土ケ谷区 西区 24.50 15.40 泉区 中区 7.86 南区 19.43 17.00 戸塚区 22.09 港南区 = 30人~ 22.86 栄区 26.17 = 25人~ 磯子区 = 20人~ 13.00 = 15人~ = 10人~ 金沢区 インフルエンザ 第7週 = 5人~ 17.25 = 0人~ 青葉区 14.45 都筑区 港北区 20.00 15.92 緑区 16.20 22.38 瀬 谷 区 神奈川区 17.60 旭区 13.43 15.60 保土ケ谷区 西区 14.75 12.20 泉区 13.57 鶴見区 南区 11.50 戸塚区 12.91 中区 5.50 港南区 = 30人~ 15.88 栄区 15.67 = 25人~ 磯子区 = 20人~ 9.86 = 15人~ = 10人~ 金沢区 インフルエンザ 第8週 = 5人~ 7.25 = 0人~ 青葉区 13.27 都筑区 【参考リンク】 近隣自治体の流行状況 ○神奈川県 ○川崎市 ○東京都 14.15 緑区 瀬 谷 区 神奈川区 16.10 旭区 15.14 12.40 保土ケ谷区 西区 11.25 7.20 泉区 17.29 鶴見区 8.70 27.63 全国の流行状況 ○国立感染症研究所 港北区 17.13 南区 10.75 戸塚区 13.82 港南区 12.67 磯子区 11.43 = 25人~ = 20人~ = 15人~ = 10人~ 金沢区 インフルエンザ 第9週 2.17 = 30人~ 17.50 栄区 中区 6.63 = 5人~ = 0人~ 3 年齢層別集計:第 9 週の患者年齢構成は、10 歳未満が全体の 55.9%、10 歳以上 15 歳未満 が 16.1%となっており、15 歳未満が占める割合は増加傾向にあります。学級閉鎖等の報告は 減少しているものの、依然として報告数が多い状態ですので、引き続き小学校や中学校での 感染予防策の徹底が重要です。 0% 10% 20% 30% 年齢層別患者割合 40% 50% 60% 49.0% 第5週 17.6% 51.9% 第7週 第8週 55.4% 第9週 55.9% 10歳未満 10~14歳 17.5% 13.9% 16.1% 15~19歳 20歳代 30歳代 80% 90% 100% 2.9% 5.7%4.2% 6.0% 7.1% 4.6% 2.5% 18.0% 50.6% 第6週 70% 40歳代 4.4%3.8% 6.2% 6.7% 5.1% 2.9% 2.9% 4.0% 4.3% 6.0% 6.6% 4.4% 3.0% 2.3% 4.5%3.4% 6.2% 7.3% 4.2%3.3% 1.8% 4.6%3.8% 6.0% 6.5%2.6% 2.4% 2.1% 50歳代 60歳代 70歳以上 年齢層別患者割合(10歳未満・再掲) 0% 第5週 第6週 第7週 第8週 第9週 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 9.3% 10.9% 11.7% 14.2% 13.0% 15.3% 10.8% 5.9% 6.9% 1.5% 6.2% 8.8% 9.2% 12.3% 11.8% 13.2% 11.2% 11.1% 14.4% 1.6% 5.3% 7.7% 10.3% 12.8% 14.1% 15.8% 10.3% 11.9% 9.8% 1.7% 6.9% 8.4% 9.2% 13.6% 13.4% 14.3% 12.1% 11.9% 7.7% 2.2% 5.1% 6.7% 8.9% 12.8% 13.4% 15.0% 13.2% 13.8% 9.7% 1.2% ~5ヶ月 ~11ヶ月 1歳 2歳 3歳 4歳 5歳 6歳 7歳 8歳 9歳 4 市内学級閉鎖等状況:第 4 週で 145 件と報告数が増加していましたが、第 5 週以降は減少傾 向です。第 9 週の内訳は、幼稚園・保育園 5 件、小学校 24 件、中学校 1 件で、小学校が多く を占めています。第 9 週で報告された患者数(医療機関で診断された人数とインフルエンザ様 の症状のある人数の合計)は 423 人で、第 8 週の 486 人※4 からやや減少しています。 ※4 追加報告があったため、流行情報 14 号から報告数が更新されています。 160 学級閉鎖等の施設数と患者数の推移 3500 140 幼稚園・保育園 3000 120 小学校 100 2500 中学校 施 80 設 60 数 40 2000 高等学校 1500 その他 1000 患者数 500 20 第9週 第8週 第7週 第6週 第5週 第4週 第3週 第2週 第1週 第52週 第51週 第50週 第49週 第48週 第47週 0 第46週 0 学級閉鎖等の施設の状況 (今シーズン累計) その他,8件,1.3% 高等学校 30件, 5.0% 幼稚園・ 保育園 78件, 12.9% 中学校 80件, 13.3% 小学校 407件, 67.5% 5 入院サーベイランス:市内基幹定点医療機関※5 あたりのインフルエンザ入院患者報告数は 第 9 週で 2.00 となり、累計で 179 人となりました。うち、15 歳未満が 60 人(33.5%)、70 歳以 上が 82 人(45.8%)となっており、小児と高齢者が多くを占めています。迅速診断キットの結果 が把握されている事例は、第 8 週まではすべて A 型でしたが、第 9 週に今シーズンで初めて B 型の入院患者報告が 1 件(10 歳未満)ありました。 入院時の診療内容が把握されている事例で、ICU 入室、人工呼吸器の使用、頭部 CT 検査、 脳波検査が実施された重症肺炎や脳炎が疑われる入院患者は、特に小児と高齢者で多くの 報告があります。 ※5 基幹定点:患者を 300 人以上収容する病院(小児科医療と内科医療を提供しているもの)の中か ら、地域ごとに指定された医療機関のことで、市内には 4 つの基幹定点があります。 6.00 基幹定点あたりの入院患者報告数の推移 人 (2014 年と 2016 年は第 52 週が最終週) 2016/17(警報発令中) 4.00 2015/16(第12週で警報解除) 2014/15(第7週で警報解除) 2.00 0.00 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 週 6 インフルエンザ脳症:市内医療機関から全数報告されている急性脳炎で、第 9 週に今シーズ ン初めて迅速診断キットの結果が B 型であるインフルエンザ脳症(10 歳未満)が報告されまし た。今シーズンで累計 6 件(10 歳未満 5 件、30 歳代 1 件)となっています。 迅速診断キットによる A 型の報告は減少傾向ですが、B 型はやや増加傾向にあり(本文7参 照)、今後も引き続き、重症化について十分な注意が必要です。 7 迅速診断キット結果:今シーズンの迅速診断キットの結果の累計は、A 型 31,392 件(90.2%)、 B 型 3,365 件(9.7%)、A・B 型ともに陽性 49 件(0.1%)と、A 型が多く検出されています。一方、 第 9 週の迅速診断キットの結果は A 型 1,129 件(60.9%)、B 型 722 件(39.0%)、A・B 型ともに 陽性 2 件(0.1%)となっており、第 6 週以降、B 型の報告数および割合が急増しています。例年、 ピークを越えてから B 型が増加するため、今後の動向に注意が必要です。 横浜市の患者定点医療機関における 迅速診断キットによる型別の報告数 7000 6000 5000 A陽性 B陽性 (数値は B 型の報告件数および割合) 4000 3000 2000 1000 0 263件 (4.2%) A・B陽性 167件 (3.9%) 87件 (4.2%) 41件 (4.0%) 281件 (5.3%) 327件 (9.8%) 485件 (17.0%) 491件 (25.7%) 722件 (39.0%) 8 市内病原体検出状況:第 8 週までは市内では、病原体定点医療機関※6 から AH3 型が最も多 く分離・検出され、全国の状況※7 と同様でした。一方、市内では第 9 週で B 型(ビクトリア系統) の検出が増加しています。 ※6 病原体定点:採取した検体を衛生研究所に送付する医療機関で、市内に 17 か所あります。うち、イ ンフルエンザについては 12 か所にて採取されています。 ※7 インフルエンザウイルス分離・検出速報(国立感染症研究所) 病原体定点からのインフルエンザ分離・検出状況(2017 年 3 月 8 日現在) 分 離 ・ 検 出 数 20 18 16 14 12 10 8 6 4 2 0 AH1pdm:0 AH3型:149 B型(Victoria系統):11 B型(山形系統):1 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 2016年 10月 11月 12月 2017年1月 2月 3月 週数 【参考】 市内で分離された AH3 株(細胞培養した 187 株、3 月 8 日現在)のワクチン株との抗原性解 析(HI 試験)は、ウサギの血清を使っているため参考値ですが、すべて 8 倍以上でした。ワクチ ン類似とされているのは 4 倍以内であり、現在までに市内で分離された AH3 株については、ワ クチン株と類似しているとは言えず、国立感染症研究所の結果と矛盾しない結果※8※9 と考えら れます。 一方、市内で分離された B 型株(細胞培養した 18 株、3 月 8 日現在)については、すべて 4 倍以内でした。 ※8 インフルエンザウイルス流行株抗原性解析と遺伝子系統樹 2017 年 2 月 24 日(国立感染症研究所) ※9A(H3N2)亜型野外流行株の抗原性解析結果(国立感染症研究所) (参考値)市内で分離された株の抗原性解析 AH3 抗原性解析(187 株) 8倍 17株 9.1% 16倍 31株 32倍以上 16.6% 139株 74.3% 同等 2倍 B ビクトリア系統抗原性解析(13 株) 2倍 8株 61.5% 4倍 B 山形系統抗原性解析(5 株) 同等 5株 38.5% 8倍 16倍 32倍以上 【お問い合わせ先】横浜市衛生研究所感染症・疫学情報課 TEL 045(370)9237 横浜市健康福祉局健康安全課 TEL 045(671)2463
© Copyright 2025 ExpyDoc