I-8 ステント留置後 OCT で赤色血栓を疑う所見を認めたが,血管内視鏡で同部が脂質性病変と 診断された一例 酒井 俊介 1)、小泉 久美子 1)、佐藤 智三 1)、田畑 明 2)、田口 文昌 1)、山田 修一 1)、青沼 1) 国立病院機構水戸医療センター 理仁 1)、中山 明人 1)、四方 達郎 1)、中山 和隆 2) 内科・循環器科、2)筑波大学附属病院 循環器内科 症例は 73 歳女性. 2016 年 4 月急性心筋梗塞に対し PCI が施行され, 2016 年 5 月残存病変の RCA#2 75%に対 し待機的に PCI を行った. OCT で病変部は線維性被膜を伴う脂質性プラークが観察された . 同病変に TREK3.0/12 で前拡張を行い, Synergy3.0/12 を留置し, Powered Lacrosse2 3.5/8 で後拡張した. ステント留 置後, OCT で表面平滑な protrusion と赤色血栓と思われる粗造な隆起性病変を認めた. 血管内視鏡検査の観 察では同部でステントストラットの一部がプラーク内に埋没し, 辺縁不整な黄色のプラークと少量の赤色血 栓を認めた. 比較的厚い線維性被膜を伴う脂質性プラークにステントを留置し, OCT で赤色血栓を疑う所見を認めたが, 血 管内視鏡検査の観察では黄色の脂質性プラークが観察され, 病変の性状診断に内視鏡が有用であった症例を 経験し報告する. I-9 DCB で治療後のステント内再再狭窄を冠動脈アテレクトミー(DCA)にて治療し 組織性状を評価し得た一例 仁井田 井 崇志 1)、角田 英祐 1)、星野 満 1)、山尾 昌弘 1)、荒木 一哉 1)、久佐 家坂 義人 1)、磯部 1) 恒和 1)、米津 土浦協同病院 太志 1)、村井 誠 1)、羽田 茂樹 1)、五十嵐 典史 1)、金地 昌浩 1)、濱谷 都 1)、中村 嘉久 2)、松田 陸太 1)、菅野 浩章 1)、宮崎 隼治 1)、臼 義典 1)、一條 晋介 1)、蜂谷 貞 仁 1)、 光章 2) 循環器内科、2)東京医科歯科大学 循環制御内科学 症例は 82 歳男性。2014 年 8 月に SAP に対して LMT から LAD 近位部に DES(Nobori3.5*18mm、Resolute integrity3.0*30mm)を留置した。2016 年 5 月に前壁 STEMI を発症し、LAD#6 の 99%ISR に対して DCB で拡張を した。7 月頃より増悪する労作時胸痛があり、8 月 CAG にて、LAD#6 の 90%ISR を認め同病変に PCI 施行した。 DCA で切除後、DES(Xience Alpine3.25*18mm)を留置して良好な拡張を得た。光干渉断層法(OCT)所見から は新生血管の目立つ繊維性の病変を想定したが、切除病変の病理所見では好酸球に富み、高度の炎症細胞浸潤 を認めていた。DCB 治療後再狭窄の病理所見を確認した一例を経験したので報告する。 I-10 LAD ステントに jail された中隔枝からの逆行性アプローチに際し、ステント血栓症をきたした RCA CTO の一例 廣瀬 中 和俊、常盤 洋之、山田 朋幸、玉置 徹、小阪 明仁、石原 有希子、鴨井 祥郎、田 茂博 公立昭和病院 循環器内科 54 歳男性。2 か月前、急性前壁中隔梗塞で LAD#6 に PCI 施行。今回、残存する RCA CTO への PCI 目的に入院。 造影では中隔枝から#4PD への側副血行路を認めた。順行性にワイヤーが通過せず、ステントに jail された中 隔枝を使用し逆行性に CTO を通過した。しかし、胸痛、ST 上昇を認め、LAD ステント内血栓像を認めた。ACT 低下を認め直ちにヘパリン投与、血栓吸引、バルーン拡張を行い血栓像は消失した。その後、RCA#1-3 に薬剤 溶出性ステントを留置した。直後、胸痛が再燃し、LAD 末梢の血栓像を認め吸引を繰り返した。IVUS では LAD ステントの不完全拡張を認め、長時間バルーン拡張し TIMI3 で終了した。HIT 抗体は陰性であり、ACS 後の易 血栓性、ステント不完全拡張、ストラットへのデバイス操作、ACT 低下が血栓の要因と考えられた。PCI 後経 過は良好であった。 I-11 冠動脈肺動脈瘻に隣接する冠動脈狭窄により冠動脈盗血症候群をきたした一例 廣木 田 次郎、袴田 圭一、高橋 新潟市民病院 崇裕、酒井 和義、小田 亮平、西田 耕太、須藤 洸司、田中 孔明、保坂 幸男、土 弘隆 循環器内科 【症例】67 歳男性【主訴】胸痛【現病歴】労作性胸痛に対し施行された冠動脈 CT にて,右冠動脈狭窄と共に 左前下行枝から派生する冠動脈肺動脈瘻を指摘された.CAG にて,#2 99%狭窄を認め,肺体血流比(Qp/Qs)は 1.03 に留まったため,#2 による狭心症と判断され,PCI を施行された.無症状であったが 2 年後の心筋シン チグラムにて,前壁~心尖部での集積低下が新規に出現した.3 年後には,労作性胸痛が出現した.CAG では, #6 90%狭窄が出現しており,Qp/Qs は 1.81 まで上昇していた.瘻孔コイル塞栓術と冠動脈狭窄病変へのス テント植込みで症状は改善した.【結語】冠動脈肺動脈瘻の流出血管遠位の器質的狭窄による盗血症候群が狭 心症の症状の増悪の一因と考えられた. I-12 数回の造影剤使用歴があるにも関わらず,数回目の冠動脈造影で アナフィラキシーショックとなった 3 症例 沼尾 原 嘉美、矢嶋 和史、田邉 純二、及川 弦、宮田 裕二、松野 宏太郎、桐ケ谷 俊介、嘉納 肇、永島 寛人、野池 和幸、相澤 亮太、畠山 忠範、山下 佳之、藍 武志 心臓血管研究所付属病院 症例 1,83 歳男性.6 回の造影剤使用歴中,1 度他院でアレルギーを疑われたとのことだがその後はステロイ ド前投与で問題なかった.今回も前投薬を行ったが,冠動脈造影(CAG)で心室細動を伴うアナフィラキシーシ ョックとなった.症例 2,65 歳男性.過去 3 回の CAG は問題なかったが,4 回目でアナフィラキシーショック となった.症例 3,62 歳男性.4 回の造影剤使用歴中,一度アレルギーが疑われたがその後はステロイド前投 与で予防可能であった.今回も前投薬を行ったが,CAG でアナフィラキシーショックとなった.造影剤アレル ギーは,初回か 2 回目の投与時に生じることが多い.今回数回の造影剤使用歴があり,ステロイド前投与でア レルギー予防可能であった患者でアナフィラキシーショックとなった症例を 3 例経験したため,文献的考察を 交えて報告する. I-13 右冠動脈に対する PCI 施行後、左房内腫瘤の出現と自然消失を認めた一例 大川 庭熙、二見 梓弓、杉江 崇太郎、鈴木 正光、田中 旬、石山 歩、両角 愛、斎藤 泰三、石川 義弘、根本 譲治、武田 佳子、十菱 和大、坪光 千尋、鳥羽 雄介、藤本 肇、 原田 和昌 東京都健康長寿医療センター 73 歳男性。X 年 7 月、繰り返す胸部圧迫症状の増悪のため当院受診。心電図でⅣI, aVF 異常 Q 波, 心エコー で下壁収縮低下認め、非 ST 上昇型急性心筋梗塞の診断で緊急入院。冠動脈造影で右冠動脈#4PD 閉塞認め、PCI 施行。ガイドワイヤ Whisper MS, TGV 使用し、ステント Xience Alpine 2.25×15mm 留置。術後順調にリハビ リ進めたが、入院 8 日目心エコーで左房内背側に充実性の腫瘤を認めた。CT では内部が造影されない 41mm の 腫瘤を認めた。PCI 手技に伴う左房内血腫の可能性を考え、保存的に経過観察したところ、2 か月後より腫瘤 の縮小傾向を認め、約半年でほぼ消失した。経過中心膜液貯留は認めなかった。PCI の手技に関連して心膜液 貯留を認めずに左房内に血腫を生じることは希である。今回の腫瘤の発症機序について文献的考察を加えて報 告する。 I-14 3 次元定量的冠動脈造影から算出される理論的 FFR(Quantitative flow ratio)の診断精度 に関する検討 片岡 翔平、大塚 遠田 賢治、石井 雅人、矢崎 恭一郎、加畑 充、熊谷 麻子、小金井 博士、井上 康二、 康宏 荻窪病院心臓血管センター 循環器内科 目的:冠動脈造影の 3 次元定量解析(3D-QCA)と TIMI frame count より理論的 FFR(Quantitative flow ratio, QFR)を算出するソフトウエア(Medis 社製 Q AngioXA 3D/QFR)を用いて, QFR 解析の診断精度を検討する。方法: 中等度冠狭窄病変を有し、圧ガイドワイアーによる FFR 測定を行った連続 100 病変 (91 症例) を対象に本ソ フトウエアを用いて QFR 解析を行い実測 FFR と比較した。 結果:算出 QFR(0.84±0.07)と実測 FFR (0.85±0.07) の相関係数 R=0.79 (<0.0001)、平均誤差は-0.01±0.05、1 病変あたりの解析時間は 267±109 秒であった。 FFR≦0.8 を虚血陽性としたとき、QFR の虚血診断における ROC 曲線下面積は 0.92 であった。結論:QFR は短 時間で解析可能であり、FFR と良い相関,高い虚血診断推定能を示した。
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