ME だより 第91号 葛西昌医会病院 臨床工学科 今回は心臓カテーテル検査で行われている FFR について特集します。 狭窄の存在下での最大増加血流量が、その狭窄が存在しないと仮定した場合の最大増加血 流量に対してどの程度の割合なのかを表す指標を FFR(心筋血流予備量比)といいます。 カテーテル検査ではプレッシャーワイヤーというカテーテルを用いて、薬剤により最大充 血させた狭窄病変の FFR を計測することで、その狭窄病変が PCI 適応なのかそうではない のかを鑑別することができます。 FFR は Pa(大動脈圧) 、Pd(狭窄病変遠位部の冠内 圧)から以下の式により求める事ができる。 ・Pa、Pd の測定場所 Pa…ガイディングカテーテルの先端 Pd…プレッシャーワイヤーの先端 FFR 値 心筋虚血状態 処置 0.75 以下 心筋虚血 PCI 0.75~0.80 心筋虚血の場合もある 場合によっては PCI 0.80 以上 心筋虚血であることは否定的 薬物療法等 H27.5.22 最大充血とは抵抗血管を最大限に拡張することにより、血流のもっとも増加した状態です。 これにより血管抵抗を最大限に低下させることができ、内圧比と血流量比が等しくなるこ とから血流量を知ることが出来ます。 薬剤 投与経路 LCA 投与量 RCA 投与量 塩酸パパベリン 冠注 12mg 8mg ATP/アデノシン 冠注 50μg Bolus. 50μg Bolus. ATP/アデノシン 静注 140~150μg/kg/分 ※本院では主に塩酸パパベリンを使用しています。 FFR は大動脈圧と冠内圧を元に計算するため、血圧や脈拍に影響されやすいという欠点が あり、血圧や脈拍に影響する疾患があると正確な測定が出来なくなってしまいます。 症例名 問題点 大動脈弁狭窄症 正確な Pa が測定出来ない 大動脈弁閉鎖不全 正確な Pa が測定出来ない 頻脈 激しい心臓の拍動により、プレッシャーワイヤーが血管壁にぶつかり Pd が高くなる可能性がある 心房細動 脈拍が不規則な為、圧が安定せず正確な値が得られない 臨床工学科より 今年度も 2 か月が過ぎようとしていますが、新入職の方は仕事に慣れてきたでし ょうか?これからじめじめとした梅雨の時期になりますが元気いっぱいでがんば りましょう!! H27.5.22
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