寒冷地の水路更生工法における補強効果 クリモト技報 No.66(2017 年 1 月) 寒冷地の水路更生工法における補強効果 The Effect of Water Channel Reinforcement Renovation in Cold Regions 北川 武 * 竹田 誠 * 藤本光伸 * Takeshi Kitagawa Makoto Takeda Mitsunobu Fujimoto 寒冷地のコンクリート開水路では、側壁背面から浸透した水により、凍結融解作用による凍害劣化(コンク リート開水路の側壁に背面土から浸入した雨水等が、凍結温度に達し体積膨張と融解を繰り返すことによって 劣化が生じる現象)が問題となっている。既存の水路更生工法では、コンクリートの劣化因子となる水を水 路側壁内部に滞留させてしまうため、凍害劣化の対策工法にはなっていない。そこで、コンクリート開水路 寒冷地の水路更生工法における補強効果 の更生工法で実績のある FRPM 板を、既設水路内面に設置し、既設水路と FRPM 板の間隙に、透水性およ The effect of water channel reinforcement renovation in cold regions. び保温性に優れるポーラスコンクリートを充填することで、側壁背面から浸透する水を排出できる対策工法 の開発に取り組んでいる。本報では、その水路更生工法における補強効果の検証結果について報告する。 北川 武* 竹田 誠* 藤本 光伸* Takeshi Kitagawa Makoto TakedarainMitsunobu Fujimoto from the back face of the side wall, which causes In open concrete water channels in cold regions, water percolates *化成品事業部 技術開発部 freezing and thawing and eventually leads to frost deterioration (the effect of rain water that percolates from the back face of the side wall of the 寒冷地のコンクリート開水路では、側壁背面から浸透した水により、凍結融解作用による凍害劣化(コンク concrete open water channel reaching to the freezing point and causing degradation by the repetition 凍結温度に達し体積膨張と融解を繰り返すことによって of cubical expansionリート開水路の側壁に背面土から浸入した雨水等が、 and fusing). Current water channel renovation methods make water remain in the water channel, which 劣化が生じる現象)が問題となっている。既存の水路更生工法では、コンクリートの劣化因子となる水を水路 is the reason for degradation of concrete, therefore these are not considered to be solutions for frost deterioration. There are 側壁内部に滞留させてしまうため、凍害劣化の対策工法にはなっていない。そこで、コンクリート開水路の更 business results in a 生工法で実績のある renovation methodFRPM of open concrete water channels using FRPM Accordingly, we are working 板を、既設水路内面に設置し、既設水路と FRPM plates. 板の間隙に、透水性および保温性に 優れるポーラスコンクリートを充填することで、 側壁背面から浸透する水を排出できる対策工法の開発に取り on developing of a new renovation method by fixing FRPM plates to the inside of the existing channels and filling porous 組んでいる。本報では、その水路更生工法における補強効果の検証結果について報告する。 concrete that has superior permeability and heating retaining properties in the interstice of the concrete bodies and FRPM plates, which is able Intoopen control percolating waterinfrom the back face of percolates the side wall. In back this report, weside will report results concrete water channels cold regions, rain water from the face of the wall, whichtest causes andreinforcement thawing and eventually leads to frost deterioration (the effect of rain water that percolates from the back from using this waterfreezing channel method. face of the side wall of the concrete open water channel reaching to the freezing point and causing degradation by the repetition of cubical expansion and fusing). Current water channel renovation methods make water remain in the water channel, which is the reason for degradation of concrete, therefore these are not considered to be solutions for frost 材として使用するポーラスコンクリートの厚さは、厚 deterioration. There are business results in a renovation method of open concrete water channels using FRPM plates. 1 はじめに さ違いによる補強効果への影響を検証するため、厚さ Accordingly, we are working on developing of a new renovation method by fixing FRPM plates to the inside of the existing channels and filling porous concrete that has superior permeability and heating retaining properties in the (図 1) 寒冷地における凍害劣化したコンクリート開水路の対 30mm、 50mm および 70mm の 3 種類を製作した 。 interstice of the concrete bodies and FRPM plates, which is able to control percolating water from the back face of the 策工法として、農林水産省官民連携新技術研究開発事業 なお、ポーラスコンクリートは、間隙内に浸透した水を side wall. In this report, we will report test results from using this water channel reinforcement method. により水路更生工法の開発が進められている 1)。本工法 速やかに排出するための透水性、側壁内部に凍結融解作 。なお、ポーラ および 70mm の 3 種類を製作した(図1) 1.はじめに は、既設コンクリート躯体に FRPM 板を金属拡張アン 用を生じさせないための保温性、そして凍結融解環境下 スコンクリートは、間隙内に浸透した水を速やかに排出 寒冷地における凍害劣化したコンクリート開水路の カーによって固定し、躯体と FRPM 板の間隙にポーラ での耐久性を確保するための凍結融解抵抗性を個別に検 するための透水性、側壁内部に凍結融解作用を生じさせ 対策工法として、農林水産省官民連携新技術研究開発事 1) スコンクリートを充填することで、ポーラスコンクリー 討し配合を決定している(表 1)。また、ポーラスコン ないための保温性、そして凍結融解環境下での耐久性を 業により水路更生工法の開発が進められている 。本工 法は、 既設コンクリート躯体に FRPM 板を金属拡張アンカ 確保するための凍結融解抵抗性を個別に検討し配合を決 トの透水性や保温性による凍害抑制効果および補強材 クリートの最小厚さである 30mm は、ポーラスコンク 。また、ポーラスコンクリートの最 ーによって固定し、 躯体と FRPM 板の間隙にポーラスコン 定している(表1) (FRPM 板+ポーラスコンクリート)としての補強効果 リートの充填性を検討した上で設定した。 小厚さである 30mm は、 ポーラスコンクリートの充填性を クリートを充填することで、ポーラスコンクリートの透 を目指すものである。水性や保温性による凍害抑制効果および補強材(FRPM 板 検討した上で設定した。 +ポーラスコンクリート)としての補強効果を目指すも 本報では、コンクリート躯体に対する補強効果を確認 のである。 するため、フリューム供試体および梁供試体の載荷実験 本報では、コンクリート躯体に対する補強効果を確認 による数値解析を試み、仮想開水路に対する補強効果の するため、フリューム供試体および梁供試体の載荷実験 による数値解析を試み、仮想開水路に対する補強効果の 検証結果について報告する。 検証結果について報告する。 なお、この検証結果については、鳥取大学、株式会社 なお、この検証結果については、鳥取大学、(株)ドー ドーコンおよび寒地土木研究所との共同研究の成果とし コンおよび寒地土木研究所との共同研究の成果として、 2) 2) に掲載されている。 水と土(農業土木技術研究会) て、水と土(農業土木技術研究会) に掲載されている。 2.載荷実験 2.1 フリューム供試体による載荷実験 2 載荷実験 供試体は、プレキャストコンクリート製のフリューム 水路をもとに、FRPM 板の厚さは 10mm とし、中込材とし 2.1 フリューム供試体による載荷実験 て使用するポーラスコンクリートの厚さは、厚さ違いに 供試体は、プレキャストコンクリート製のフリュー よる補強効果への影響を検証するため、厚さ 30mm、50mm ム水路をもとに、FRPM 板の厚さは 10mm とし、中込 (30,50,70mm) 図1 フリューム供試体の形状寸法 図1 フリューム供試体の形状寸法 *化成品事業部 技術開発部 クリモト技報 No.66(2017 年 1 月) 30 論文・報告 寒冷地の水路更生工法における補強効果 表1 ポーラスコンクリートの配合 表1 ポーラスコンクリートの配合 目標 単位量(kg/m3) 3) 単位量(kg/m 目標 W/B Vm/Vg Vs/Vm W/B Vm/Vg Vs/Vm 空隙率 BB 空隙率 (%) (Vol.%) (Vol.%) (Vol.%) W S G (%) (Vol.%) W S G (%) C P (%) C P 20.0 30.0 47.5 17.5 103 322 20 129 1464 20.0 30.0 47.5 17.5 103 322 20 129 1464 Vm/Vg:モルタルと粗骨材の体積比 Vs/Vm:細骨材とモルタルの体積比 Vm/Vg:モルタルと粗骨材の体積比 表1 ポーラスコンクリートの配合 W:水道水 Vs/Vm 目標 : 細骨材とモルタルの体積比 単位量(kg/m3) 3 W/B Vm/Vg Vs/Vm C:普通ポルトランドセメント(住友大阪セメント、密度 3.15g/cm ) W:水道水 空隙率 第 3 ひび割れ 第 1 ひび割れ 第 3 ひび割れ 第 2 ひび割れ B 3 (%) (Vol.%) (Vol.%) W 2.55g/cm3) S 3.15g/cm G P:無機系混和材(住友大阪セメント、密度 C :普 ) (%)通ポルトランドセメント(住友大阪セメント、密度 C P 3 3 、F.M.2.05) S:細骨材(山口県蓋井島産の海砂、密度 2.865g/cm P :無機系混和材(住友大阪セメント、密度 20.0 30.0 47.5 17.5 103 322 2.55g/cm 20 129) 1464 3 3 S :細骨材(山口県蓋井島産の海砂、密度 2.865g/cm 、F.M.2.05) ) G:粗骨材(京都府亀岡産の砕石 7 号、密度 2.70g/cm Vm/Vg:モルタルと粗骨材の体積比 3 G :粗骨材(京都府亀岡産の砕石 7 号、密度 2.70g/cm ) Vs/Vm:細骨材とモルタルの体積比 W:水道水 載荷実験は、JIS A 53633)に準拠して実施した。 C:普通ポルトランドセメント(住友大阪セメント、密度 3.15g/cm3) 載荷実験は、JIS A 5363 3)に準拠して実施した。 図2に示す通りフリューム供試体を設置し、長手方向 3 P:無機系混和材(住友大阪セメント、密度 2.55g/cm ) 図2に示す通りフリューム供試体を設置し、長手方向 S:細骨材(山口県蓋井島産の海砂、密度 2.865g/cm3、F.M.2.05) に一様に負荷されるよう荷重を加え、ひび割れ発生時お に一様に負荷されるよう荷重を加え、ひび割れ発生時お G:粗骨材(京都府亀岡産の砕石 7 号、密度 2.70g/cm3) よび最大荷重時を記録した。試験後のフリューム供試体 よび最大荷重時を記録した。試験後のフリューム供試体 状況を図3に示す。 3) 載荷実験は、JIS 状況を図 3 に示す。 A 5363 に準拠して実施した。 ひび割れの発生順序および発生位置は、補強材(FRPM 図2に示す通りフリューム供試体を設置し、長手方向 ひび割れの発生順序および発生位置は、 補強材(FRPM 板+ポーラスコンクリート)による補強なしおよび補強 に一様に負荷されるよう荷重を加え、ひび割れ発生時お 板+ポーラスコンクリート)による補強なしおよび補強 ありで、同じ結果であった。第1ひび割れは側壁の配力 よび最大荷重時を記録した。試験後のフリューム供試体 ありで、同じ結果であった。第 1 ひび割れは側壁の配力 鉄筋位置で発生したことから、配力鉄筋によるコンクリ 状況を図3に示す。 鉄筋位置で発生したことから、配力鉄筋によるコンク ひび割れの発生順序および発生位置は、補強材(FRPM ートの断面減少により、応力集中が生じたと考える。ま リートの断面減少により、応力集中が生じたと考える。 板+ポーラスコンクリート)による補強なしおよび補強 た、第2・第3ひび割れは曲げモーメントが最大となる また、第 2・第 3 ひび割れは曲げモーメントが最大とな ありで、同じ結果であった。第1ひび割れは側壁の配力 側壁と底版の付け根付近で、 ほぼ同じ荷重時に発生した。 る側壁と底版の付け根付近で、ほぼ同じ荷重時に発生し 鉄筋位置で発生したことから、配力鉄筋によるコンクリ ひび割れ発生時の荷重比較から、ポーラスコンクリー ートの断面減少により、応力集中が生じたと考える。ま た。 トの厚さが増すにつれ、補強効果も大きくなる傾向が見 た、第2・第3ひび割れは曲げモーメントが最大となる ひび割れ発生時の荷重比較から、ポーラスコンクリー 。これは、ポーラスコンクリートによる られた(表2) 側壁と底版の付け根付近で、 ほぼ同じ荷重時に発生した。 トの厚さが増すにつれ、補強効果も大きくなる傾向が見 断面増加の影響によるものと考える。なお、補強効果は ひび割れ発生時の荷重比較から、ポーラスコンクリー られた(表 2)。これは、ポーラスコンクリートによる 第1ひび割れの発生荷重時が最も顕著であり、ひび割れ トの厚さが増すにつれ、補強効果も大きくなる傾向が見 断面増加の影響によるものと考える。なお、補強効果は 本数が増えるのにつれて、その差は小さくなる傾向が見 。これは、ポーラスコンクリートによる られた(表2) 第1ひび割れの発生荷重時が最も顕著であり、ひび割れ 断面増加の影響によるものと考える。なお、補強効果は られた。フリューム供試体の載荷実験結果により、補強 本数が増えるのにつれて、その差は小さくなる傾向が見 第1ひび割れの発生荷重時が最も顕著であり、ひび割れ 材(FRPM 板+ポーラスコンクリート)の合成構造による られた。フリューム供試体の載荷実験結果により、補強 本数が増えるのにつれて、その差は小さくなる傾向が見 補強効果を確認した。 材(FRPM 板+ポーラスコンクリート)の合成構造に られた。フリューム供試体の載荷実験結果により、補強 よる補強効果を確認した。 材(FRPM 板+ポーラスコンクリート)の合成構造による 補強効果を確認した。 図2 フリューム供試体による載荷実験方法 図2 フリューム供試体による載荷実験方法 図2 フリューム供試体による載荷実験方法 31 クリモト技報 No.66(2017 年 1 月) 第 1 ひび割れ 第 2 ひび割れ 図3 試験後のフリューム供試体状況 図3 試験後のフリューム供試体状況 表2 フリューム供試体による載荷実験結果 表2 フリューム供試体による載荷実験結果 補強あり 補強 補強 補強あり なし t=30mm t=50mm t=70mm なし t=30mm t=50mm t=70mm 図3 試験後のフリューム供試体状況 第1ひび割れ 9.65 11.60 (1.20) 16.25 (1.68) 17.85 (1.85) 第1ひび割れ 9.65 11.60 (1.20) 16.25 (1.68) 17.85 (1.85) 測定項目 測定項目 第2ひび割れ 11.50 14.55 14.55 (1.27) (1.57) 第2ひび割れ 11.50 (1.27) 16.30 16.30(1.42) (1.42) 18.00 18.00 (1.57) 表2 フリューム供試体による載荷実験結果 第3ひび割れ 11.80 (1.23) 16.30 16.30(1.38) (1.38) 18.30 18.30 (1.55) 第3ひび割れ 11.80 14.55 14.55 (1.23) (1.55) 補強 補強あり 最大荷重 14.70 17.20 (1.17) 19.35 (1.32) 20.60 (1.40) 測定項目 最大荷重 14.70 17.20 (1.17) 19.35 (1.32) 20.60 (1.40) なし t=30mm t=50mm t=70mm 注 t はポーラスコンクリート厚さを示す。 第1ひび割れ 9.65 11.60 (1.20) 16.25 (1.68) 17.85 (1.85) 注 t はポーラスコンクリート厚さを示す。 注 単位:kN、( )内は補強なしを 1 とした場合の比率を示す。 第2ひび割れ 11.50 ( 14.55 (1.27) 16.30 1(1.42) 18.00 (1.57) 注 単位:kN、 )内は補強なしを とした場合の比率を示す。 第3ひび割れ 11.80 14.55 (1.23) 16.30 (1.38) 2.2 14.70 梁供試体による載荷実験 最大荷重 17.20 (1.17) 19.35 (1.32) 18.30 (1.55) 20.60 (1.40) 注 t2.2 はポーラスコンクリート厚さを示す。 梁供試体による載荷実験 本工法を適用した際の補強効果について、数値解析に 注 単位:kN、( )内は補強なしを 1 とした場合の比率を示す。 より検証することを目的に、単純化した梁の供試体を用 本工法を適用した際の補強効果について、数値解析に いた載荷実験を実施した。梁供試体による載荷実験の概 より検証することを目的に、単純化した梁の供試体を用 2.2 梁供試体による載荷実験 要を以下に示す。 本工法を適用した際の補強効果について、数値解析に いた載荷実験を実施した。梁供試体による載荷実験の概 より検証することを目的に、単純化した梁の供試体を用 梁供試体は、幅 400mm、高さ 200mm、スパン 2,000mm 要を以下に示す。 いた載荷実験を実施した。梁供試体による載荷実験の概 の矩形 RC 梁とし、 補強ありの供試体は、 梁の上面に FRPM 梁供試体は、 幅 400mm、 高さ 200mm、スパン 2,000mm 要を以下に示す。 板とポーラスコンクリートを配置した。フリューム供試 の矩形 RC 梁とし、補強ありの供試体は、梁の上面に 梁供試体は、幅 400mm、高さ 200mm、スパン 2,000mm 体の載荷実験と同様に FRPM 板は厚さ 10mm、ポーラスコ FRPM 板とポーラスコンクリートを配置した。フリュー の矩形 RC 梁とし、補強ありの供試体は、梁の上面に FRPM ンクリートの厚さは 30mm、50mm および 70mm の10mm、 3 種類と ム供試体の載荷実験と同様に FRPM 板は厚さ 板とポーラスコンクリートを配置した。フリューム供試 し、補強なしの供試体と合わせて30mm、50mm 4 種類、各ケース 3体 ポーラスコンクリートの厚さは および 体の載荷実験と同様に FRPM 板は厚さ 10mm、ポーラスコ の実験を実施した。載荷実験は、スパン中央部の 70mm の 3 種類とし、補強なしの供試体と合わせて 種 ンクリートの厚さは 30mm、50mm および 70mm の 3 種類と 14点に 載荷する 3 点曲げ載荷とし、載荷点位置の鉛直荷重およ 類、各ケース 3 体の実験を実施した。載荷実験は、スパ し、補強なしの供試体と合わせて 4 種類、各ケース 3 体 。 び鉛直変位を計測した(図4) ン中央部の 1 点に載荷する 3 点曲げ載荷とし、載荷点位 の実験を実施した。載荷実験は、スパン中央部の 1 点に 載荷する 3 点曲げ載荷とし、載荷点位置の鉛直荷重およ 実験の結果、補強ありの梁供試体において、供試体各 置の鉛直荷重および鉛直変位を計測した(図 4)。 。 び鉛直変位を計測した(図4) 部材の境界面で軸方向の滑り、 FRPM 板とポーラスコンク 実験の結果、補強ありの梁供試体において、供試体各 実験の結果、補強ありの梁供試体において、供試体各 。 リートの境界面で剥離が確認された(図5) 部材の境界面で軸方向の滑り、FRPM 板とポーラスコ 部材の境界面で軸方向の滑り、FRPM 板とポーラスコンク 補強ありおよび補強なしにおける最大荷重を比較する ンクリートの境界面で剥離が確認された(図 5)。 。 リートの境界面で剥離が確認された(図5) と、 FRPM 板とポーラスコンクリートによる合成効果によ 補強ありおよび補強なしにおける最大荷重を比較する 補強ありおよび補強なしにおける最大荷重を比較する って最大荷重が約 1.3 倍向上したが、ポーラスコンクリ と、FRPM 板とポーラスコンクリートによる合成効果 と、FRPM 板とポーラスコンクリートによる合成効果によ ート厚さを増加しても、最大荷重はほとんど変化しなか によって最大荷重が約 1.3 倍向上したが、ポーラスコン って最大荷重が約 1.3 倍向上したが、ポーラスコンクリ 。これは、補強材(FRPM 板+ポーラスコン った(表3) クリート厚さを増加しても、最大荷重はほとんど変化し ート厚さを増加しても、最大荷重はほとんど変化しなか クリート)が、金属拡張アンカーを用いて梁と固定して なかった(表 3)。これは、補強材(FRPM 板+ポーラ 。これは、補強材(FRPM 板+ポーラスコン った(表3) クリート)が、金属拡張アンカーを用いて梁と固定して スコンクリート)が、金属拡張アンカーを用いて梁と固 おり、ポーラスコンクリート厚さの増加に伴って、アン おり、ポーラスコンクリート厚さの増加に伴って、アン 定しており、 ポーラスコンクリート厚さの増加に伴って、 カーの変形量は大きくなり、その結果、合成効果が低減 カーの変形量は大きくなり、その結果、合成効果が低減 アンカーの変形量は大きくなり、その結果、合成効果が し、補強材と梁の接触界面におけるせん断剛性が低下し し、補強材と梁の接触界面におけるせん断剛性が低下し 低減し、補強材と梁の接触界面におけるせん断剛性が低 たことによるものと考える。 たことによるものと考える。 下したことによるものと考える。 クリモト技報 No.66(2017 年 1 月) この結果は、フリューム供試体の載荷実験において、 ポーラスコンクリート厚さによるひび割れ発生荷重の差 解析に適用した有限要素は、8 節点平面要素とし、 FRPM 板-ポーラスコンクリート間およびポーラスコ が、ひび割れ本数が増えるにつれて、小さくなった結果 この結果は、フリューム供試体の載荷実験において、 この結果は、フリューム供試体の載荷実験において、 と一致する。すなわち、ひび割れが発生する載荷初期段 ポーラスコンクリート厚さによるひび割れ発生荷重の差 ポーラスコンクリート厚さによるひび割れ発生荷重の差 階では、躯体とポーラスコンクリートの接着による合成 が、ひび割れ本数が増えるにつれて、小さくなった結果 が、ひび割れ本数が増えるにつれて、小さくなった結果 作用が耐力に寄与するが、荷重-変位の増加、ひび割れ と一致する。すなわち、ひび割れが発生する載荷初期段 と一致する。すなわち、ひび割れが発生する載荷初期段 の進展に伴い、 躯体とポーラスコンクリート、あるいは、 階では、躯体とポーラスコンクリートの接着による合成 4) ンクリート梁上面の要素間には接触、剥離および滑りを 4) によって開発された分 材料構成則には、岡村・前川 によって開発された分 材料構成則には、岡村・前川 考慮できるジョイント要素を配置し、スパン中央部に単 散ひび割れの仮定に基づく多方向固定ひび割れモデルお 散ひび割れの仮定に基づく多方向固定ひび割れモデルお 調増加の強制変位を与えた。 よびコンクリートと鉄筋の非線形材料構成モデルを用い、 よびコンクリートと鉄筋の非線形材料構成モデルを用い、 4) 材料構成則には、岡村・前川 によって開発された FRPMFRPM 板は弾性体とし、 数値解析で与えた各構成材料の物 板は弾性体とし、 数値解析で与えた各構成材料の物 分散ひび割れの仮定に基づく多方向固定ひび割れモデル 。 。 階では、躯体とポーラスコンクリートの接着による合成 性値は、材料試験結果とした(表4) 性値は、材料試験結果とした(表4) ポーラスコンクリート骨材間の接着が途切れ、補強効果 およびコンクリートと鉄筋の非線形材料構成モデルを用 ジョイント要素には、接触剛性とせん断剛性を与え、 作用が耐力に寄与するが、荷重-変位の増加、ひび割れ ジョイント要素には、接触剛性とせん断剛性を与え、 作用が耐力に寄与するが、荷重-変位の増加、ひび割れ 荷重-変位関係、境界面の接着挙動(滑りや剥離)が、 の進展に伴い、 躯体とポーラスコンクリート、 あるいは、 が失われたものと考える。 い、FRPM 板は弾性体とし、数値解析で与えた各構成 荷重-変位関係、境界面の接着挙動(滑りや剥離)が、 の進展に伴い、 躯体とポーラスコンクリート、 あるいは、 実験結果と整合するよう、トライアル解析により剛性を ポーラスコンクリート骨材間の接着が途切れ、補強効果 材料の物性値は、材料試験結果とした(表 4)。 実験結果と整合するよう、トライアル解析により剛性を ポーラスコンクリート骨材間の接着が途切れ、補強効果 この結果は、フリューム供試体の載荷実験において、決定した。 材料構成則には、岡村・前川 4)によって開発された分 が失われたものと考える。 ジョイント要素には、接触剛性とせん断剛性を与え、 決定した。 が失われたものと考える。 ポーラスコンクリート厚さによるひび割れ発生荷重の差 ここで、補強材(FRPM 散ひび割れの仮定に基づく多方向固定ひび割れモデルお 板+ポーラスコンクリート)の 荷重-変位関係、境界面の接着挙動(滑りや剥離)が、 が、ひび割れ本数が増えるにつれて、小さくなった結果 有無による差が明瞭な最大荷重を、補強効果の評価指標 よびコンクリートと鉄筋の非線形材料構成モデルを用い、 ここで、補強材(FRPM 板+ポーラスコンクリート)の 実験結果と整合するよう、トライアル解析により剛性を と一致する。すなわち、ひび割れが発生する載荷初期段 と位置付け、荷重-変位関係の変曲点となる変位 FRPM 板は弾性体とし、数値解析で与えた各構成材料の物 有無による差が明瞭な最大荷重を、補強効果の評価指標 20mm 決定した。 。 階では、躯体とポーラスコンクリートの接着による合成 から最大荷重となる変位 性値は、材料試験結果とした(表4) 60mm までの範囲において、 実験 と位置付け、荷重-変位関係の変曲点となる変位 20mm ここで、補強材(FRPM 板+ポーラスコンクリート) ジョイント要素には、接触剛性とせん断剛性を与え、 作用が耐力に寄与するが、荷重-変位の増加、ひび割れ と解析により得られた荷重値の残差平方和が最小となる から最大荷重となる変位 60mm までの範囲において、 実験 の有無による差が明瞭な最大荷重を、補強効果の評価指 荷重-変位関係、境界面の接着挙動(滑りや剥離)が、 の進展に伴い、 躯体とポーラスコンクリート、 あるいは、 よう、ポーラスコンクリート厚さのケース毎に、せん断 と解析により得られた荷重値の残差平方和が最小となる 実験結果と整合するよう、トライアル解析により剛性を ポーラスコンクリート骨材間の接着が途切れ、補強効果 剛性を同定した(表5) 標と位置付け、初期の荷重-変位関係における解析結果 。 よう、ポーラスコンクリート厚さのケース毎に、せん断 決定した。 が失われたものと考える。 と、実験値の変位差が解消する変位 20mm から最大荷 なお、ポーラスコンクリート厚さ 30mm とした場合の 。 剛性を同定した(表5) ここで、補強材(FRPM 板+ポーラスコンクリート)の 重となる変位 60mm までの範囲において、実験と解析 載荷点位置の荷重-変位関係を図7に示す。 なお、ポーラスコンクリート厚さ 30mm とした場合の 有無による差が明瞭な最大荷重を、補強効果の評価指標 により得られた荷重値の残差平方和が最小となるよう、 載荷点位置の荷重-変位関係を図7に示す。 と位置付け、荷重-変位関係の変曲点となる変位 20mm 図4 梁供試体による載荷実験方法 ポーラスコンクリート厚さのケース毎に、せん断剛性を から最大荷重となる変位 60mm までの範囲において、 実験 同定した(表 5)。 図4 梁供試体による載荷実験方法 と解析により得られた荷重値の残差平方和が最小となる 図4 補強前後の最大荷重値の比較 表3 梁供試体による載荷実験方法 なお、ポーラスコンクリート厚さ 30mm とした場合 よう、ポーラスコンクリート厚さのケース毎に、せん断 補強あり の載荷点位置の荷重-変位関係を図 7 に示す。 補強なし 。 剛性を同定した(表5) 表3 補強前後の最大荷重値の比較 t=30mm t=50mm t=70mm 補強前後の最大荷重値の比較 表3 なお、ポーラスコンクリート厚さ 30mm とした場合の 実験結果 46.2 kN 60.6 kN 58.9 kN 60.0 kN 補強あり 補強あり (比率) 補強なし (1.00) (1.31) (1.27) (1.30) 補強なし 載荷点位置の荷重-変位関係を図7に示す。 t=30mm t=30mm 注 t はポーラスコンクリート厚さを示す。 t=50mm t=50mm t=70mm t=70mm 実験結果 60.6kN 58.9kN 60.0kN 実験結果 46.2 kN 60.6 kN 58.9 kN 60.0 kN 注 実験結果は 46.2kN 3 体の平均値を示す。 図4 梁供試体による載荷実験方法 (比率) (1.00) (1.31) (1.27) (1.30) (比率) (1.00) (1.31) (1.27) (1.30) 表4 構成材料の物性値(梁供試体の同定解析) 注 t はポーラスコンクリート厚さを示す。 注 t はポーラスコンクリート厚さを示す。 表3 補強前後の最大荷重値の比較 注 実験結果は 体の平均値を示す。 注 実験結果は FRPM 板33体の平均値を示す。 ポーラス 実験結果 コンクリート FRPM 板 (比率) 図6 梁供試体の解析モデル 単位体積重量 23.2 (kN/m3) t=30mm t=50mm t=70mm 46.2 kN 60.6 kN 58.9 kN 60.0 kN (1.00) (1.31) (1.27) (1.30) 注 t はポーラスコンクリート厚さを示す。 注 実験結果は 3 体の平均値を示す。 躯 体 ポーラス コンクリート 滑りおよび剥離発生箇所 FRPM 板 躯 体 ポーラス 滑りおよび剥離発生箇所 コンクリート 図5 試験後の梁供試体状況(補強あり) 躯 体 3.数値解析 3.1 梁供試体の同定解析 滑りおよび剥離発生箇所 数値解析は、2 次元非線形有限要素解析コード WCOMD 試験後の梁供試体状況(補強あり) 図5 図5 試験後の梁供試体状況(補強あり) を用い、解析モデル(要素分割図)を図6に示す。 解析に適用した有限要素は、8 節点平面要素とし、FRPM 3.数値解析 板-ポーラスコンクリート間およびポーラスコンクリー 数値解析 3 梁供試体の同定解析 3.1 図5 試験後の梁供試体状況(補強あり) ト梁上面の要素間には接触、剥離および滑りを考慮でき 数値解析は、2 次元非線形有限要素解析コード WCOMD 3.1 梁供試体の同定解析 るジョイント要素を配置し、スパン中央部に単調増加の 3.数値解析 を用い、解析モデル(要素分割図)を図6に示す。 強制変位を与えた。 数 値 解 析 は、2 次 元 非 線 形 有 限 要 素 解 析 コ ー ド 3.1 梁供試体の同定解析 解析に適用した有限要素は、 8 節点平面要素とし、 WCOMD を用い、解析モデル(要素分割図)を図 6FRPM に 数値解析は、2 次元非線形有限要素解析コード WCOMD 板-ポーラスコンクリート間およびポーラスコンクリー 示す。 を用い、解析モデル(要素分割図)を図6に示す。 ト梁上面の要素間には接触、剥離および滑りを考慮でき 解析に適用した有限要素は、8 節点平面要素とし、FRPM るジョイント要素を配置し、スパン中央部に単調増加の 板-ポーラスコンクリート間およびポーラスコンクリー 強制変位を与えた。 圧縮強度 36.0 (N/mm2) 弾性係数 30.6 (kN/mm2) ポアソン比 0.2 表4 構成材料の物性値(梁供試体の同定解析) 引張降伏強度 398 (N/mm2) 鉄筋(SD345) 単位体積重量200 (kN/mm223.2 (kN/m3) 弾性係数 ) 2 圧縮強度 3 36.0 (N/mm ) コンクリート 単位体積重量 20.0 (kN/m ) 2 30.6 (kN/mm2) (普通コンクリート) 圧縮強度 弾性係数 33.7 (N/mm ) ポーラスコンクリート 図6 梁供試体の解析モデル 弾性係数 ポアソン比 26.7 (kN/mm2)0.2 引張降伏強度 0.2 398 (N/mm2) ポアソン比 鉄筋(SD345) 単位体積重量 19.6 (kN/m3) 200 (kN/mm2) 弾性係数 図6 梁供試体の解析モデル 弾性係数 単位体積重量15.9 (kN/mm220.0 FRPM 板表4 構成材料の物性値(梁供試体の同定解析) ) (kN/m3) 3 ) 単位体積重量 ポアソン比 0.3 23.2 (kN/m 圧縮強度 33.7 (N/mm2) 圧縮強度 36.0 (N/mm2) コンクリート ポーラスコンクリート 2 弾性係数 26.7 (kN/mm ) 2 (普通コンクリート) 弾性係数 30.6 (kN/mm ) ポアソン比 0.2 表4 構成材料の物性値(梁供試体の同定解析) ポアソン比 0.2 表5 部材境界の剛性設定 3 2 単位体積重量 19.6 (kN/m ) 3 ) 引張降伏強度 (N/mm ポーラスコンクリート厚さ t=30mm t=50mm398 t=70mm 鉄筋(SD345) 単位体積重量 23.2(kN/m )2) 2 弾性係数 200 (kN/mm ) 弾性係数 15.9 (kN/mm FRPM 板 せん断 0.15 0.05 0.03 3 2 閉口時 躯体- ) (kN/m ポアソン比 0.30.10 圧縮強度 36.0(N/mm ) 接 触 単位体積重量 0.10 0.1020.0 コンクリート 2 ポーラスコン ) 圧縮強度 33.7 (N/mm せん断 0.15 0.05 0.03 2 ポーラスコンクリート (普通コンクリート) 2 クリート境界 開口時 弾性係数 30.6(kN/mm ) 弾性係数 26.7 (kN/mm ) 接 触 1.00 1.00 1.00 ポアソン比 0.2 せん断 ポアソン比 0.15 0.050.2 0.03 表5 部材境界の剛性設定 3 閉口時 ポーラスコン ) 接 触 単位体積重量 10.00 t=30mm 10.0019.6 (kN/m 10.00 2 t=70mm 2 t=50mm クリート- (kN/mm FRPMポーラスコンクリート厚さ 板 引張降伏強度 398(N/mm せん断弾性係数 0.00 0.0015.9 0.00) ) FRPM 板境界 せん断 0.15 0.05 0.03 開口時 鉄筋(SD345) ポアソン比 0.3 2 接 触 0.00 0.00 0.00 閉口時 躯体- コンクリート (普通コンクリート) 補強あり 補強なし 図6 梁供試体の解析モデル 弾性係数 接 触 ) 0.10 0.10200(kN/mm 0.10 3 0.15 0.05 0.03 単位体積重量 20.0(kN/m ) クリート境界 表5 開口時 部材境界の剛性設定 接 触 1.00 1.00 2 1.00 33.7(N/mm ) 0.03 ポーラスコンクリート厚さ圧縮強度 t=70mm せん断 t=30mm 0.15t=50mm 0.05 ポーラスコンクリート 閉口時 せん断 ポーラスコン 0.1510.00 0.05 10.00 0.03 接 触 弾性係数 26.7(kN/mm2) 10.00 閉口時 躯体- クリート- 接せん断 触 0.10 0.00 0.10 0.00 0.10 0.00 ポーラスコン FRPM 板境界 開口時 せん断 0.15 ポアソン比 クリート境界 接 触 0.000.20.05 0.00 0.03 0.00 開口時 接 触 1.00 1.00 31.00 2 2 19.6(kN/m ) 単位体積重量 kN/mm 単位:せん断剛性 N/mm /mm、接触剛性 せん断 0.15 /mm 0.05 0.03 ポーラスコン kN/mm2/mm 単位:せん断剛性 N/mm2/mm、接触剛性 せん断 ポーラスコン 閉口時 FRPM 板境界 開口時 FRPM 板 クリート- 接 触 10.00 弾性係数 せん断 0.00 ポアソン比 接 触 0.00 2 10.00 10.00 15.9(kN/mm ) 0.00 0.30.00 0.00 0.00 単位:せん断剛性 N/mm2/mm、接触剛性 kN/mm2/mm クリモト技報 No.66(2017 年 1 月) 32 補強後については、劣化後のコンクリート躯体に、 FRPM 板厚さ 10mm、ポーラスコンクリート厚さ 30mm を配 したものとした。ポーラスコンクリートの物性値は、実 図9 荷 寒冷地の水路更生工法における補強効果 験により普通コンクリートと同等の圧縮強度が得られて いることから、 普通コンクリートの一般値とした。 また、 表 各部材境界の剛性は梁供試体の同定解析(ポーラスコン クリート厚さ 30mm)により得たものとした。 8 に、構成 表5 部材境界の剛性設定 補強後の開水路を模擬した解析モデルを図 最小主応力度 補強後の開水路を模擬した解析モデルを図8に、構成 ピーク荷重 材料の物性値を表 6 に示す。 ポーラスコンクリート厚さ t=30mm t=50mm t=70mm 材料の物性値を表6に示す。 最大荷重 せん断 0.15 0.05 0.03 閉口時 躯体- 注 ( )内は健全状 接 触 0.10 0.10 0.10 ポーラスコン せん断 0.15 0.05 0.03 クリート境界 開口時 4.まとめ 接 触 1.00 1.00 1.00 寒冷地にお せん断 0.15 0.05 0.03 対策工法として 閉口時 ポーラスコン 接 触 10.00 10.00 10.00 成される水路更 クリート- せん断 0.00 0.00 0.00 しい凍害劣化が FRPM 板境界 開口時 強効果を得られ 接 触 0.00 0.00 0.00 論文・報告 単位:せん断剛性 N/mm2/mm、接触剛性 kN/mm2/mm 図8 補強後の開水路を模擬した解析モデル 構成材料の物性値(仮想開水路の補強効果) 表6 図8 補強後の開水路を模擬した解析モデル 圧縮強度 21.0 (N/mm2) 弾性係数 23.5 (kN/mm2) 表6 構成材料の物性値(仮想開水路の補強効果) ポアソン比 0.2 圧縮強度 17.4 (N/mm2) 2 コンクリート 圧縮強度 21.0(N/mm ) 弾性係数 12.0 (kN/mm2) (劣化後) コンクリート ポアソン比 0.2 弾性係数 23.5(kN/mm2) (普通コンクリート) 引張降伏強度 345 (N/mm2) 鉄筋(SD345) ポアソン比 0.2(kN/mm2) 弾性係数 200 2 圧縮強度 21.0 (N/mm2) 圧縮強度 17.4(N/mm ) 2 ポーラスコンクリート ) 弾性係数 23.5 (kN/mm コンクリート 弾性係数 12.0(kN/mm2) ポアソン比 0.2 (劣化後) 2 弾性係数 15.9 ポアソン比 0.2(kN/mm ) FRPM 板 ポアソン比 0.3 2 コンクリート (普通コンクリート) 図7 荷重-変位関係(t=30mm) 図7 荷重-変位関係(t=30mm) 引張降伏強度 345(N/mm ) 鉄筋(SD345) 弾性係数 200(kN/mm2) 表6 構成材料の物性値(仮想開水路の補強効果) 補強効果の検証結果として、載荷点位置の荷重-側壁 2 圧縮強度 21.0 (N/mm2) 圧縮強度 21.0(N/mm ) コンクリート 2 基部の最小主応力度の関係を比較して示す。 (図9) ) 弾性係数 23.5 (kN/mm (普通コンクリート) 3.2 仮想開水路における補強効果 ポアソン比 0.2 ポーラスコンクリート 弾性係数 23.5(kN/mm2) 2 最小主応力度ピーク時の荷重は、劣化後は 50.1kN か 圧縮強度 17.4 (N/mm ) 3.2 仮想開水路における補強効果 コンクリート 本工法の仮想コンクリート開水路に対する補強効果 ポアソン比 0.2 弾性係数 12.0 (kN/mm2) (劣化後) ら 45.5kN に 9%低下する一方、補強後は、健全状態と比 ポアソン比 0.2 2 について、梁供試体の同定解析結果をもとに、数値解析 本工法の仮想コンクリート開水路に対する補強効果に 弾性係数 ) 引張降伏強度 34515.9(kN/mm (N/mm2) 較して 50.1kN から 51.8kN に 3%増加した。さらに、応 FRPM鉄筋(SD345) 板 2 弾性係数 200 (kN/mm ) による検証を行った。本検証で想定した水路は、内空高 ポアソン比 0.3 ついて、梁供試体の同定解析結果をもとに、数値解析に 圧縮強度 21.0 (N/mm2) 力度ピーク以降も補強材が圧縮応力を負担することで、 1.0m×内空幅 2.0m であり、構造物の対称性からモデル ポーラスコンクリート 弾性係数 23.5 (kN/mm2) よる検証を行った。本検証で想定した水路は、内空高 。 0.2 最大荷重の増加が認められた(表7) ポアソン比 化の範囲は 1/22.0m とした。 補強効果の検証結果として、載荷点位置の荷重-側壁 弾性係数 15.9 (kN/mm2) 1.0m ×内空幅 であり、構造物の対称性からモデル FRPM 板 よって、本工法は、凍害劣化が生じたコンクリート開 ポアソン比 0.3 補強効果の検証は、側壁天端背面に強制変位を与え、 基部の最小主応力度の関係を比較して示す。(図 9) 化の範囲は 1/2 とした。 水路に対して、補強効果が見込めるものと考える。 図7 荷重-変位関係(t=30mm) 側壁基部(曲げ破壊が生じる構造的弱部)の要素におけ 最小主応力度ピーク時の荷重は、劣化後は 50.1kN か 補強効果の検証は、側壁天端背面に強制変位を与え、 補強効果の検証結果として、載荷点位置の荷重-側壁 る健全状態、劣化後および補強後の主応力度を比較評価 ら 45.5kN に 9%低下する一方、補強後は、健全状態と 基部の最小主応力度の関係を比較して示す。 (図9) 側壁基部(曲げ破壊が生じる構造的弱部)の要素におけ 3.2 仮想開水路における補強効果 した。なお、健全状態の躯体におけるコンクリートおよ 最小主応力度ピーク時の荷重は、劣化後は 50.1kN か 比較して 50.1kN から 51.8kN に 3%増加した。さらに、 る健全状態、劣化後および補強後の主応力度を比較評価 本工法の仮想コンクリート開水路に対する補強効果 ら 45.5kN に 9%低下する一方、補強後は、健全状態と比 び鉄筋の物性値は、土地改良事業計画設計基準及び運 について、梁供試体の同定解析結果をもとに、数値解析 応力度ピーク以降も補強材が圧縮応力を負担すること した。なお、健全状態の躯体におけるコンクリートおよ 5) 較して 50.1kN から 51.8kN に 3%増加した。さらに、応 における一般値とした。 用・解説 設計「水路工」 による検証を行った。本検証で想定した水路は、内空高 で、最大荷重の増加が認められた(表 7)。 び鉄筋の物性値は、 土地改良事業計画設計基準及び運用・ 力度ピーク以降も補強材が圧縮応力を負担することで、 1.0m×内空幅 2.0m であり、構造物の対称性からモデル よって、本工法は、凍害劣化が生じたコンクリート開 ここで、劣化後の状態は凍害劣化を想定し、側壁天端 解説 設計「水路工」5)における一般値とした。 。 最大荷重の増加が認められた(表7) 化の範囲は 1/2 とした。 から側壁高の 1/2 の領域で、相対動弾性係数が 60%に低 水路に対して、補強効果が見込めるものと考える。 よって、本工法は、凍害劣化が生じたコンクリート開 ここで、劣化後の状態は凍害劣化を想定し、側壁天端 補強効果の検証は、側壁天端背面に強制変位を与え、 下した状態に加え、スケーリングによって側壁内面が 水路に対して、補強効果が見込めるものと考える。 から側壁高の 1/2 の領域で、相対動弾性係数が 60% に 側壁基部(曲げ破壊が生じる構造的弱部)の要素におけ 10mm 減厚した状態を仮定とした。凍害劣化した領域の物 る健全状態、劣化後および補強後の主応力度を比較評価 低下した状態に加え、スケーリングによって側壁内面が 6) による相対動弾性係数との関 性値は、既往の研究成果 した。なお、健全状態の躯体におけるコンクリートおよ 10mm 減厚した状態を仮定とした。凍害劣化した領域の 係式を用いて設定した。 び鉄筋の物性値は、土地改良事業計画設計基準及び運 物性値は、既往の研究成果 6) による相対動弾性係数と 用・解説 設計「水路工」5)における一般値とした。 補強後については、劣化後のコンクリート躯体に、 の関係式を用いて設定した。 ここで、劣化後の状態は凍害劣化を想定し、側壁天端 FRPM 板厚さ 10mm、ポーラスコンクリート厚さ 30mm を配 補 強 後 に つから側壁高の い て は、 劣1/2 化の領域で、相対動弾性係数が 後 の コ ン ク リ ー ト 躯 体60%に低 したものとした。ポーラスコンクリートの物性値は、実 下した状態に加え、スケーリングによって側壁内面が 図9 荷重-側壁基部最小主応力度の比較 に、FRPM 板厚さ 10mm、ポーラスコンクリート厚さ 験により普通コンクリートと同等の圧縮強度が得られて 10mm 減厚した状態を仮定とした。 凍害劣化した領域の物 30mm を配したものとした。ポーラスコンクリートの物 いることから、 普通コンクリートの一般値とした。 また、 性値は、既往の研究成果 6)による相対動弾性係数との関 表7 補強前後の荷重値の比較 性値は、実験により普通コンクリートと同等の圧縮強度 各部材境界の剛性は梁供試体の同定解析(ポーラスコン 係式を用いて設定した。 健全状態 劣化後 補強後 が得られていることから、普通コンクリートの一般値と 補強後については、劣化後のコンクリート躯体に、 クリート厚さ 30mm)により得たものとした。 最小主応力度 50.1 kN 45.5 kN 51.8 kN した。また、各部材境界の剛性は梁供試体の同定解析 FRPM 板厚さ 10mm、ポーラスコンクリート厚さ 30mm を配 補強後の開水路を模擬した解析モデルを図8に、構成 ピーク荷重 (1.00) (0.91) (1.03) したものとした。ポーラスコンクリートの物性値は、実 (ポーラスコンクリート厚さ 50.7 kN 46.3 kN 57.9 材料の物性値を表6に示す。 30mm)により得たものと 図9 荷重-側壁基部最小主応力度の比較 kN 最大荷重 験により普通コンクリートと同等の圧縮強度が得られて 図9 荷重-側壁基部最小主応力度の比較 (1.00) (0.91) (1.14) いることから、 普通コンクリートの一般値とした。 また、 注 ( )内は健全状態を 1 とした場合の荷重の比率を示す。 表7 補強前後の荷重値の比較 各部材境界の剛性は梁供試体の同定解析(ポーラスコン クリモト技報 No.66(2017 年 1 月) 健全状態 劣化後 補強後 クリート厚さ 30mm)により得たものとした。 最小主応力度 50.1 kN 45.5 kN 51.8 kN 補強後の開水路を模擬した解析モデルを図8に、構成4.まとめ した。 33 クリモト技報 No.66(2017 年 1 月) 参考文献: 表7 補強前後の荷重値の比較 健全状態 劣化後 補強後 最小主応力度 ピーク荷重 50.1kN (1.00) 45.5kN (0.91) 51.8kN (1.03) 最大荷重 50.7kN (1.00) 46.3kN (0.91) 57.9kN (1.14) 注 ( )内は健全状態を 1 とした場合の荷重の比率を示す。 1)石神暁郎ら:寒冷地における開水路の更生工法、 水土の知、83(9)、2015、pp.37 2)渡 部浩二ら:寒冷地における水路更生工法の補強効 果、水と土、第 177 号、2016、pp.63 3)JIS A 5363:プレキャストコンクリート製品 - 性能試 験方法通則、日本規格協会、2010 4)岡 村甫、前川宏一:鉄筋コンクリートの非線形解析 4 まとめ 寒冷地における凍害劣化したコンクリート開水路の対 策工法として、FRPM 板とポーラスコンクリートから 構成される水路更生工法は、凍害抑制効果のみならず、 著しい凍害劣化が生じたコンクリート開水路に対しても 補強効果を得られることが確認できた。 と構成則、技報堂出版、1991 5)農 林水産省農村振興局:土地改良事業計画設計基準 設計「水路工」基準書 技術書、2001 6)周 藤将司ら:凍害劣化の生じたコンクリートの力学 特性および現地非破壊試験による動弾性係数の評 価法に関する研究、農業農村工学会論文集 Vol.84、 No.3、2016、p.I_291-I_299 執筆者: 北川 武 1995 年入社 FRP 関連の開発に従事 竹田 誠 1999 年入社 FRP 関連の開発に従事 藤本光伸 Mitsunobu Fujimoto 1992 年入社 FRP 関連の開発に従事 クリモト技報 No.66(2017 年 1 月) 34
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