水酸化カルシウム含有率

副産物系粉体を外割混合したコンクリートの強度発現に関する研究
-水酸化カルシウム含有率と力学特性の関係-
研究目的
副産物系粉体混合量をパラメータとしてその力学特性を実験室実験により検証した。強度発現メカニズムを検討するため、副産物系粉体
を混合したセメントペーストの示差熱分析による水酸化カルシウム含有量を測定し、各種強度との関係を明らかにした。また、フライア
ッシュ外割混合コンクリートにおけるポゾラン反応率を求め、そこから材齢、水酸化カルシウム含有率、フライアッシュ混合率の関係か
ら圧縮強度予測式を提案した。
研究結果
80
15
40
20
FA
CSP
LP
0
0
5
10
混入率(%)
図 1 圧縮強度と粉体混入率の関係
15
55
FA55-5
FA55-10
FA55-20
50
45
10
圧縮強度(N/mm2)
圧縮強度(N/mm2)
60
水酸化カルシウム減少率(%)
材齢91日
5
40
35
55-55
FA55-5
FA55-10
FA55-20
CSP55-5
CSP55-10
CSP55-20
30
25
20
0
20
7
14
21
15
28
8
材齢(日)
30
25
30
強度予測式係数(C)
40
30
20
FA55-5
FA55-10
FA55-20
2
4
6
8
10
水酸化カルシウム減少率(%)
12
(R=0.999)
20
20
15
15
10
10
5
5
0
0
(R=0.932)
-5
-10
強度予測式切片(D)
圧縮強度(N/mm2)
50
25
圧縮強度増加量(N/mm2)
25
0
24
材齢7日
材齢28日
強度予測式切片
0
(7日)
12
16
20
水酸化カルシウム量(g/セメント100g)
図 2 水酸化カルシウム減少率の経時変化 図 3 水酸化カルシウム量と圧縮強度の関係
60
10
(28日)
20
(R=0.999)
p :ポゾラン反応率(%)
15
10
-5
強度予測式係数
0
5
10
15
フライアッシュ混入率(%)
20
-10
5
(R=0.768)
0
2
4
6
ポゾラン反応率(%)
8
10
図 4 水酸化カルシウム減少率と圧縮強度の関係 図 5 強度予測式係数・切片と粉体混入率の関係 図 6 ポゾラン反応率と
圧縮強度増加量の関係
(1) フライアッシュ及び石灰石微粉末を混合したものは、粉体混入率 10%までは粉体混合によるモルタル空隙率の緻密化による強度増進、
10%から 20%の範囲ではポゾラン反応(フライアッシュ混合のみ)による強度増進が見られた。砕石粉を混合したものは、5%以上で微
粉末効果による強度増進があったが、混入率の増加に伴う圧縮強度の増進はなかった。
(2) 本研究の範囲内において、水酸化カルシウム含有率は材齢の経過に伴い、無混合のものは一定の割合で増加し、フライアッシュは一
定の割合で減少する事からセメントの水和反応及びフライアッシュのポゾラン反応は材齢初期において一定の速度で生じている事が示
された。
(3) 水酸化カルシウム減少率は材齢を変数とした直線により近似することができ、材齢と水酸化カルシウム減少率には高い相関性がある
事が明らかとなった。
(4) フライアッシュ外割混合コンクリートは材齢 28 日までにおいて水酸化カルシウム減少率と圧縮強度には高い相関性がある事が確認
された。
(5) 本研究の範囲内において、材齢及びフライアッシュ混入率を変数とした圧縮強度予測式を提案した。また、ポゾラン反応率と圧縮強
度の関係は材齢により区別され、直線により近似する事が出来た。