ウィークリーレポート 2017/01/16-2017/01/20 トランプ大統領いよいよ就任へ、トランプ相場の再開なるか? 1 月 20 日のトランプ大統領就任演説における政策指針の具体性に注目。英国では「Hard Brexit」懸念が台頭する中で、英 国メイ首相の演説内容に警戒。 (先週の振り返り) 先週の外国為替市場は、週初本邦祝日で休場の中、堅調な米国雇用統計の流れからドル高基調が継続しドル円は 117.53 円まで上昇して始まりました。しかし、英国メイ首相が単一市場へのアクセスを断念する方針を示したために「Hard Brexit」懸念が台頭すると、英国ポンドが対ドル・対円で大幅に売られリスク回避の動きが強まりました。ドル円は 116 円割 れまで下落し、週のメインイベントであるトランプ次期大統領会見を前に重い雰囲気のスタートとなりました。 堅調な米国株式市場を背景にドルが買われる場面も見られましたが、トランプ氏の会見を控え総体的にドル売りのポジショ ン調整が進みドル円は 116 円台後半から 115 円台前半にて推移しました。迎えたトランプ氏会見当日、一時は期待感からド ル買いが進み 116.80 円台まで買い戻されたものの、会見が始まると市場が期待していた減税・財政政策に関する具体的な 言及はなく、次期大統領への期待が剥がれ全面的にドルの失望売りが市場を席巻し、ドル円は 114.25 円まで急落しまし た。米株や原油価格の反発では買い戻される場面も見られましたが、日経平均株価は 19,000 円割れに迫り、米国 10 年債 利回りは 2.30%近くまで低下すると 113.75 円の安値まで会見前から約 3 円下落しました。トランプ失望売り一巡後は底堅い 日米の株式市場や米国経済指標を背景にドル円は買い戻され 114 円台半ばで週の取引を終えました。 (今週の見通し) 今週の外国為替市場では多くの注目材料を控えています。16 日に IMF 経済見通しの発表、17 日に英国メイ首相による EU 離脱ビジョンに関する演説、18 日にはイエレン FRB 議長の講演、19 日は ECB 理事会、20 日は中国 GDP 等の経済指標、 そして、最大の注目は 20 日のトランプ大統領就任式となるでしょう。 IMF 経済見通しではトランプ氏の標的となり通貨安の影響を多大に受けている中国やメキシコに関する言及に注目したいと ころです。ECB 理事会は政策の現状維持がコンセンサスであり大きな波乱はないと思われ、中国 10-12 月期 GDP 等の経 済指標もインラインの結果になることが想定され市場への影響は限定的となるでしょう。イエレン議長の講演も注目されま すが、市場に大きな影響を与える発言は回避されると予想されることからも為替市場を大きく左右するものにはならないと 予想します。 市場の関心は、メイ首相による演説とトランプ大統領就任式に向かうと想定され、英国ポンド・ドル円の動向からは目が離 せません。 注目のトランプ氏の発言については、堅調な労働市場を背景にタカ派寄りの発言であった場合には注意したいところです。 英国ポンドではメイ首相の演説により「Hard Brexit」懸念が高まると一層のポンド安を引き起こすおそれがあります。また、E U離脱の議会承認めぐる最高裁審理の結果が公になる時期も近くポンドは神経質な地合いが続くでしょう。そして、トランプ 大統領就任式では先週の失望会見から信頼回復ができるか、具体的な政策指針が提示されるかに注目が集まります。演 説において前回演説を払拭し、減税・財政政策やインフラ投資への具体性のある発言が伺えれば、金利上昇・ドル高の再 開、リスク選好の流れからドル円は 118 円超えを再び目指す展開となるでしょう。一方、政策指針への不透明感が強まれば 失望売りからドル売りが加速しドル円は 113.75 円の直近安値を割れて 112 円台へ下落する展開を予想します。総じて、神 経質且つボラティリティの高い相場の中、ドル円は 112.00~118.00 円のレンジにて推移すると思われます。
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