EU Indicators 欧州経済指標コメント:12月英国消費者物価 発表日:2017年1月17日(火) ~ブレグジットの負の側面~ 第一生命経済研究所 経済調査部 主席エコノミスト 田中 理 03-5221-4527 ・ 12月の英国の消費者物価の上昇率は前年比+1.6%と前月(同+1.2%)から一段と加速し、2014年7 以来の水準を記録した。内訳は、原油高やポンド安の影響からエネルギー(前月:同+3.0%→今月: 同+4.3%)の上昇率が一段と加速したほか、食料品(同▲2.0%→同▲1.1%)やアルコール飲料(同 ▲2.1%→同▲0.6%)の下落率が縮小、コア物価(同+1.4%→同+1.6%)の上昇率も加速した。 ・ コア物価の上昇率加速は、衣料品(同+0.9%→同+1.2%)、輸送サービス(同+2.9%→同+ 4.9%)、宿泊(同+2.1%→同+4.4%)が牽引。なかでも輸送サービスは“前年同月の裏”の影響で 前年比計数が下振れし易かった筈だが、前月から上昇率が加速し、コア物価の上昇率を押し上げた。 輸送サービスの内訳では、航空運賃(同▲3.1%→同▲1.2%)の下落率縮小が目立つ。前年同月の航 空運賃が大幅に加速していた(2015年11月:同+3.5%→同年12月:同+26.7%)にもかかわらず、今 月の計数は前月からマイナス幅が縮小。単価の大きい航空運賃がホリデーシーズンに大きく変動した ことも、今月の物価押し上げに働いた模様。来月の計数には反動が出る可能性もある。 ・ 生産者物価については、投入物価(同+13.3%→同+15.8%)の上昇率が一段と加速し、原材料価格 の上昇やポンド安の影響が確認される。産出物価(同+2.4%→同+2.6%)の上昇ペースは引き続き 限定的だが、消費者段階の価格全般が底入れしており、徐々に川下物価に浸透してきている。 ■英国:コア消費者物価の要因分解(前年比) (%) 3.0 2.5 ■英国:生産者物価の推移(前年比) 衣料 住宅 家財道具 交通 教育 その他 (%) コアCPI 2.0 1.5 1.0 10 産出物価(左目盛) (%) 40 8 投入物価(右目盛) 32 6 24 4 16 2 8 0 0 0.5 -2 -8 0.0 -4 -16 -6 -0.5 12 13 14 出所:英統計局 15 -24 05 16 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 出所:英統計局 ■英国の消費者物価(%) 消費者物価 コア消費者物価 食料品 アルコール たばこ エネルギー 住宅用燃料 自動車燃料 (前期比) (前年比) (前年比) (前年比) (前年比) (前年比) (前年比) (前年比) (前年比) 2016 2016 1Q 2Q 3Q 4Q 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 -0.5 0.6 0.4 0.6 0.1 0.2 0.2 -0.1 0.3 0.2 0.1 0.2 0.5 0.3 0.4 0.7 1.2 0.3 0.3 0.5 0.6 0.6 1.0 0.9 1.2 1.6 1.3 1.3 1.4 1.4 1.2 1.2 1.4 1.3 1.3 1.5 1.2 1.4 1.6 -2.5 -2.7 -2.3 -1.8 -2.5 -2.8 -2.9 -2.6 -2.2 -2.3 -2.4 -2.0 -1.1 -3.3 -4.3 -3.5 -1.6 -3.3 -4.2 -5.3 -2.3 -4.4 -3.9 -2.0 -2.1 -0.6 4.3 4.8 5.5 4.7 4.7 4.8 4.8 4.9 5.8 5.9 5.1 4.5 4.6 -5.7 -4.8 -2.1 3.0 -5.5 -4.9 -4.0 -3.4 -2.6 -0.1 1.7 3.0 4.3 -3.8 -3.8 -2.8 -1.4 -4.2 -3.8 -3.4 -3.3 -3.1 -2.0 -1.5 -1.5 -1.1 -8.0 -6.6 -1.9 7.4 -7.5 -6.8 -5.4 -4.2 -2.7 1.4 4.7 7.5 10.0 注:消費者物価の前期比は季節調整前。コア消費者物価は食料・アルコール・たばこ・エネルギーを除く。出所:英統計局 本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が信ずるに足る と判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内 容は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。 1
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