国 語 - 須磨学園

2017年度 須磨学園中学校入学試験
国 語
第 2 回
(注 意)
解答用紙は、この問題冊子の中央にはさんであります。まず、解答用紙を取り出して、
受験番号と氏名を記入しなさい。
1.すべての問題を解答しなさい。
2.解答はすべて解答用紙に記入しなさい。
3.字数制限のある問題については、記号、句読点も1字と数えること。
4.試験終了後、解答用紙のみ提出し、問題冊子は持ち帰りなさい。
※この紙は再生紙・大豆インクを使用しています。
一
次の各問いに答えなさい。
こと
こと
こ
と
問一 次の語句を国語辞典に登場する語順に並び替えて番号で
答えなさい。
ごと
1 毎 2 言 3 事 4 古都
問二 次の「泣く」様子を表す語句のうち、最も程度がはなは
だしいものを一つ選び、番号で答えなさい。
1 しくしくと 2 よよと
3 さめざめと 4 ぽろぽろと
問三 次のア~ウの各文は、
「悲しむ」場面をあらわしたもので
す。その場面に最もふさわしい語句を、次の1~4の選
択肢の中からそれぞれ一つずつ選び、番号で答えなさい。
ア 偉人として、死後には多くの人々に惜しまれた。
友達に心ない言葉を言ってしまった。
イ 世界の飢えた子どもの写真を見た。
ウ
あいとう
つぶ
1 心が痛む 2 哀悼する
3 切ない
4 胸が潰れる
問四 次の①~③の意味に共通して推測される漢字一字を答え
なさい。
① あたる ②
二つのものの間 ③ なか・うち
問五 次のア~ウの各文で、敬語の使い方として、適切な文は
「○」
、不適切なところがある文は「×」と答えなさい。
ア 先生の本を拝読いたしました。
イ 了解しました。すぐにお持ちします。
ウ 少々お待ちください。母と電話を代わります。
すいさい が
問六 次の文章に過不足なく句読点を付けなさい。
しゅうさくあつか
小学校では見かねた父親が勝手に水彩画を代作しそれ
が学校で秀作扱いされて困ったこともある
(朝日新聞「天声人語」八月二十六日)
─1─
─2─
二
次の文章を読んで、後の問いに答えなさい。
しんちょう注
こうきゅう
き
難を少なくするかを慎重に攻究することであろうと思われ
こうさく
る。それには問題の吊橋のどの鋼索のどの辺が第一に断れて、
【 ② 】、どういう順序で他の部分が破壊したかという事故の
れっしん
えば三年半に一回のワリである。それが五年も休止状態にあっ
いかと思われるのである。
て次の設計の改善に資するのが何よりも一番大切なことではな
すで
烈震の多い土地で二十世紀になってからで
台湾は昔から相当
たのであるから、そろそろまた一つくらいはかなりなのが台湾
【 ③ 】多くの場合に、責任者に対する咎め立て、それに
エ
物的経過を災害の現場について詳しく調べ、その結果を参考し
中のどこかに襲ってきても大した不思議はないのであって、そ
対する責任者の一応の弁解、ないしは引責というだけでその問
注
のくらいの予言ならば何も学者を待たずとも出来たわけであ
d
題が完全に落着したような気がして、一番大切な物的調査によ
注
る。しかし今度襲われる地方がどの地方でそれが何月何日頃に
がいねん
とが
まい ご
る後難の軽減というガンモクが忘れられるのが通例のようであ
オ
当るであろうということを的確に予知することは今の地震学で
はなは
る。 こ れ で は ま る で 責 任 と い う も の の 概 念 が ど こ か へ 迷 児 に
とうてい
でい
は到底不可能であるので、そのおかげで台湾島民は烈震が来れ
つぶ
なってしまうようである。甚だしい場合になると、なるべくい
注
ば必ず潰れて、潰れれば圧死する確率の極めて大きいような泥
そうとく ふ
わゆる「責任者」を出さないように、つまり誰にも咎を負わさ
ど
注2
かこうりょく
よ
せないように、実際の事故の原因をおしかくしたり、あるいは
Z してしまって、そうしてその問題を打切
ふ
それでこの際そういう家屋の存在を認容していた総督府当事
とが
見て見ぬふりをして、何かしらもっともらしい不可抗力に因っ
注3
者の責任を問うて、咎め立てることも出来ないことはないかも
ぜんぱい
たかのように
とうかつづく
しれないが、当事者の側から言わせるとまた色々無理のない事
注4
事件に関して行われた実例が諸方面にありはしないかという気
注5
ヨウイではないらしい。何よりも困難なことには、内地のよう
ひ かくてき
注
がする。そうすればそのさし当りの問題はそれで形式的には収
た
おこ
な木造家屋は地震には比較的安全だが、台湾ではすぐに名物の
しろあり
くりかえ
まりがつくが、それでは、全く同じような災難があとからあと
いく ど
白蟻に喰べられてしまうので、その心配がなくて、しかも熱風
から幾度でも繰返して起るのが当り前であろう。そういう弊の
ぼうぎょ
まぬが
へい
起る原因はつまり責任の問い方が見当をちがえているためでは
注7 べにひ
り さん
が、生活程度の極めて低い土民に重宝がられるのは自然の勢い
あ
総督府 … …… 台 湾総督が政務を行った役所。
注1 烈震 … ……… 激 しい地震。
(寺田寅彦「災難雑考」〈昭和十年〉による)
カ
ないかと思う。人間に免れぬ過失自身を責める代りに、その過
うわさ
つぐな
である。もっとも阿里山の紅檜を使えば、比較的あまりひどく
しょうれい
X つく
失を正当に償わないことを咎めるようであれば、こんな弊の起
く
かんじん
は白蟻に喰われないことが近頃わかってきたが、あいにくこの
ころ
c
注3 咎め立てる … 責 め立てる。
現代為政者のしそうなことと思われておかしさに涙がこぼれる。
注4
注2
それはとにかく、さし当ってそういう土民に鉄筋コンクリー
注5 内地 … ……… 日 本本国の土地。
ウ
ト の 家 を 建 て て や る わ け に も い か な い と す れ ば、 何 と か し て
注6
い せいしゃ
現 在 の 土 角 造 り の 長 所 を 保 存 し て、 そ の 短 所 を 補 う よ う な、
注7
注
注
紅檜 … ……… タ イワンベニヒノキ。
ゴシップ …
… 面 白半分の噂話。
為政者 … …… 政 治家。
仔細 … ……… 物 事の詳しい事情。
土民 … ……… そ の土地に住み着いている人々。
土角造り … … 土 と竹で家を造る、台湾の伝統的な工法。
【 ① 】
、費用のあまりかからぬ
な建築法を研究して
Y 注8
し さい
注
注
やるのが急務ではないかと思われる。それを研究するには、ま
注9
くわ
ず土角造りの家がいかなる順序でいかに壊れたかを詳しく調べ
注
く当局者や各方面の専門学者によってそうした研究が既に着々
だれ
合理的に行われていることであろうと思われるが、同じような
つりばし
注
ことは箱根の吊橋についても言われる。誰の責任であるとか、
ないとかいう後の祭りの咎め立てを開き直って仔細らしくする
よりももっともっと大事なことは、今後いかにしてそういう災
注
なければならないであろう。もっとも自分などが言うまでもな
注9
れはゴシップではあろうが、とかく明日の事はカマわぬがちの
注8
棺桶などにまでこの良材を使わせたせいだという噂もある。こ
かんおけ
を合わせるために無茶苦茶にこの材木の使用を宣伝し奨励して
む ちゃ く ちゃ
てなくなったことがわかったそうである。政府で歳入の
さいにゅう
る心配はないはずであろうと思われるのである。
イ
防御に最適でその上に金のかからぬといういわゆる土角造り
b
りにしてしまうようなことが、吊橋事件などよりもっと重大な
ア
注1
情があって、この危険な土角造りの民家を全廃することはそう
にんよう
土の家に安住していたわけである。
a
も既に十回ほどは死傷者を出す程度のが起っている。平均で言
注1
注1
事実がわかった頃には同時にこの肝心の材料が大方きり尽され
注6
注1
攻究 … ……… 深 く究めること。
引責 … ……… 自 ら責任を引き受けること。
後難 … ……… 今 後生じる危険性のある災難。
………… 過 ちや罪。
咎 …
………… 悪 い習慣。
弊 …
─3─
─4─
注1
注1
10
11
12
13
14
15
注1
二
の設問
問一 線部a~dのカタカナを漢字で答えなさい。
問二 【 ① 】~【 ③ 】に入る語として最も適切なものを
一つずつ選び、番号で答えなさい。
【 ① 】
1 または 2 しかも 3 つまり 4 逆に
【 ② 】
1 結局 2 かつ 3 なお 4 それから
【 ③ 】
1 しかし 2 かつて 3 例えば 4 すなわち
ちょうじり
問三 X ~ Z にあてはまる語句として最も適切な
ものを一つずつ選び、番号で答えなさい。
X 1 歩調 2 費用 3 口裏 4 帳尻
Y 1 簡単 2 簡便 3 簡潔 4 簡易
Z 1 付会 2 納付 3 付属 4 付録
問四 線部ア「この際」とありますが、その内容につい
ての説明として、最も適切なものを一つ選び、番号で答
えなさい。
1 地震を的確に予測できないことに甘んじて、何の対策
も取らず、台湾島民の安全を確保しない場合。
2 地震の予知が不可能なことに観念して、台湾島民が地
震に潰れやすい家に安住している場合。
3 明確に地震が予見できないために、圧死する可能性が
高い泥土の家をなかなか離れられない場合。
たいせい
すず
台湾では、白蟻に耐性があり、涼しく安価な土角造り
号で答えなさい。
ですか。その説明として最も適切なものを一つ選び、番
問五 線部イ「自然の勢いである」とは、どういうこと
1
が貧困層に好まれるのが当然の成り行きだということ。
2 台湾では、防虫性や耐震性が高く、涼しく格安な土角
造りが貧困層に好まれるのは自然だということ。
3 台湾では、貧困層にとっては多少不安なことがあって
も、安価な土角造りに飛びつくのは仕方がないという
こと。
ふきゅう
4 台湾では、安価な上に、白蟻にも強く、涼しく過ごせ
る土角造りが不可欠なのは当然だということ。
ひっ す
5 台湾では、内地のような耐震性のある木造家屋を普及
させていくことが必須であるということ。
線部ウ「涙がこぼれる」とありますが、それは何
さいにゅう
政府の歳入を増やすために、良質の木材をどこにでも
つ選び、番号で答えなさい。
に対してですか。その説明として、最も適切なものを一
問六
1
使わせようとした為政者の必死さ。
おろ
2 土角造りの危険性を分かっていながら、目先の利益を
優先し、対策を先送りする為政者の愚かさ。
ぐ どん
地震に有効であることを知りながら、民衆の生活と引
3
き替えに、財源確保を優先した為政者の愚鈍さ。
あま
4 良質な材料があることを知りながら、耐震性が不十分
は あく
な家屋への対策を怠る為政者の認識の甘さ。
なんじゃく
5 土角造りの家の問題点を把握しながら、島民からの反
発を恐れて行動できない為政者の軟弱さ。
問七 線部エ「一番大切なこと」とは、どういうことで
すか。その説明として最も適切なものを一つ選び、番号
で答えなさい。
1 今まで普及している建築の欠点を洗い出し、次世代へ
つな
4 正 確 な 地 震 予 測 の で き な い こ と に か ま け て、 地 震 に
と繋げていくような研究開発を行っていくこと。
とうかい
よって家屋が倒壊し、多く死傷者が生じた場合。
2 責任の所在を明確にするだけでなく、今後の災害に向
ち
5 いつ地震が来てもおかしくない状況を恐れつつも、緻
現存している建物を保存し、不具合を改善するための
責任者を追求することを止め、各方面の専門学者に事
研究を早急に行い、島民たちを災難から守ること。
けて論理的に原因を考察し、対策を講じていくこと。
みつ
3
密な予測を立てられず、台湾全体に大きな被害が起き
る場合。
4
故原因の調査を依頼し、次の災害に備えること。
5 責任を咎めるのではなく、災難軽減のため、具体的に
事故の物的調査を行い、より良い設計に活かすこと。
二 の設問は裏面に続く
─5─
─6─
問 八 線 部 オ「 ど こ か へ 迷 児 に な っ て し ま う よ う で あ
る」とありますが、これはどういう事態を例えた表現で
すか。その説明として最も適切なものを一つ選び、番号
で答えなさい。
きょ ぎ
1 事故の責任者に対する非難ではなく、一番大切な物的
いつわ
調査による後難の軽減を求める事態。
しん し
たんさく
2 事故の責任をごまかすために原因を偽ったり虚偽の報告
たんねん
をしたりするのではなく、真摯に原因を探索する事態。
3 事故の原因を丹念に調べ、改善するべく熱心に研究す
るのではなく、責任者をかばうように働きかける事態。
あいまい
4 物的調査による慎重な軽減策ではなく、感情的な追及
によって、責任の所在が曖昧になってしまう事態。
5 事故の被害を最小限にするため綿密に対策を立てるの
ではなく、事故の原因と対策を大まかに把握する事態。
線部カ「こんな弊の起る心配はない」とは、どう
問九
いうことですか。
「過失」に対する筆者の考えに触れた
上 で、 本 文 全 体 の 内 容 を 踏 ま え つ つ、 一 〇 〇 字 以 上
一二〇字以内で説明しなさい。
─7─
─8─
三
次の文章は、作者が九歳のとき、母が離婚し祖父と同居し
た後の場面です。読んで、後の問いに答えなさい。
ねずみ
注3
ぎ
ば
ものとだけ信じて人にすすめるとはどういうことだ。昔、耆婆
しゃ か
は釈迦の命が危かった時に秘薬を鼠に投げて釈迦の元へ走らせ
■
注4
な
た、なのにバカな猫がその鼠を食ってしまったから間に合わず
はち
けん
釈迦は亡くなったというが、しかし薬は劇薬でそれを飲んだた
いく
たくはつ
つだったか、多分七十四か五くらいでは
翌年の冬、祖父が幾
あぶ
注5
めに命を縮めたという説もある。そもそも釈迦が死ぬような目
ひ ばち
ばあ
なかったかと思う。冬の寒気がきびしくなり、火鉢、手焙り、
あずき
のど
あ
に逢ったのは、信心深い婆さんが托鉢の鉢のなかへ献じた食物
注1
せき
湯たんぽを総動員しても寒さを防ぎ切れず、七草が過ぎ小豆が
や
の中に毒きのこが入っていて、釈迦はそれを知っていながら承
おそ
自分がよいことをしたつもりで恐ろしいことを平気でやっての
おろ
ゆともなれば、病むではなく起きにくい日がつづき、咳が喉に
知で食べて、苦しみ死をしたとも言われている。愚かな者は、
で そろ
からんではっきり風邪の症状が出揃ってくるそんな時であった。
きら
医者を呼ぶのを祖父は嫌う。
ア
を渡されて、
ぼん
ける、お前は自分のしていることを、どう考えているのだ」
りの先生で、この方は祖父には息子、母に
とな
しん
長年なじみのお隣
けっかく
ただお盆
しげとよ
は弟だった成豊が結核で発病した時からのお付き合いだが、診
「持ってって」
さつ
察してもらえば薬も飲まなければならなくなるし、そのために
といわれて持って来て、何を叱られているのか解らないうち
くる
たばこ
胃の調子も狂う、飲んでも口に苦かろうが煙草も気ままには吸
に、自分は愚かなために祖父を苦しみ死させようとしている悪
者 に な り、 謝 ろ う に も、 何 を 謝 っ て い い の か わ か ら ず 悲 し く
a
いにくくなる。その上、楽しみにしているお酒まで取り上げら
れてはかなわない。人から規制されるのが大嫌いだ。医者なん
なってぽとぽと涙がこぼれる。
X
ぞの言うことを聞かなくても、お風呂に入って気に入った一杯
何でも、はい、はいと言われるままに動けずにいると、母が
おいはら
で気持ちよく寝れば、風邪の神なんか追払ってやる。
入って来て、
と だな
気持ちはそう思っているのだが、体が食事の時に起きてみて
「行きなさい」
b
ぎ
も、じきに疲れて起き切れない。何てじれったく腹の立つこと
Y
喝されペコッとお辞儀をして部屋を出て、お勝手の戸棚
じ
と一
いっかつ
ばかりだ。 ① して目の前に来るものがあれば何でもつっ
にもたれてびそびそ泣いていた。
母はどう祖父を収めたのか、からになった盃を洗いながら、
注2
かかりたいのだ。
引っかからないように抜
母はそれを承知し切っているから、
「だからぐずぐずしているなって言ってるのに、余計、ご機嫌
イ
け目なく出つ入りつし、何か言われそうだなと思うと私を使う。
さかずき
悪くなるじゃないの」
また
0
お盆に乗せた薬の小さいガラスの盃を見て、
0
「おや、又何か出て来たのか、それは何だね」
つ
私は何時もへまをやっては母に手数をかけるお定まりのパ
い
今度は母から文句が出る。
ターンになって、二階の自分の部屋に逃げ込んで気が納まるま
「食間のお薬です」
「お隣りの先生がよこした薬かい」
で泣いていた。
今考えればばかばかしい。
「はい」
か
釈迦は毒きのこを承知で食べるなんて何て変な人なんだろ
「何のためのものか、おっ母さんは言っていたか」
「いえ、お上げしてくるようにって」
う、お陰で私が叱られるじゃないか。耆婆だって名医なのだか
かげ
「うむ、それでお前は何も聞かずに持って来たのか」
ら 馬 に 乗 れ る 弟 子 の 一 人 や そ こ ら 居 て も い い だ ろ う に、 鼠 が
とら
はい、と言っても、いいえと言っても返事にはならない。
め
走ってゆくよりも、千里を行く虎の首につけてやれば虎なら食
だ
き
(青木玉『小石川の家』による)
なぐ
われもしなかろう、でも虎は他の生き物を食いたくなってお使
いっとき
② 又といった。はいも駄目、
こういう状態を母と私は たたみ
いいえはなお、三つ目の、聞いて来ますの一時のがれも利かな
ウ
だま
いを忘れるから駄目か、ぼんやりそんなことを考えて慰さんで
しか
いた。
い。どの道叱られる他はない、黙って畳のへりでもぼんやり見
ていれば、そこに返事が書いてあるのか、と突込まれ、口を利
うか
かずに腰を浮せれば、返事もしないで座を立つことが出来るの
か、ならば立ってみろ、と ③ 払いがかかる。
ま
注1 七草 … …………… 七 草がゆ。一月七日の朝に食べる。
だ
げ出したい、先ずは謝って逃げようと、
何しろ逃
注2 つっかかりたい … 言 いがかりをつけたい。
に
「申し訳ありません、聞いて来ます」
「何を申し訳ないと思っているんだ、お前は何も考えないで、
注4 釈迦 … …………… 仏 教の開祖。
注3 耆婆 … …………… 医 者の名前。
エ
ただふわふわしている、申し訳などどこにもありはしない。薬
注5 托鉢 … …………… 僧 が修行のため、鉢を持って施しを
おそ
受けること。
というものは恐ろしいものだ、正しく使われれば命を救うが量
あた
をあやまてば苦しみを人に与える。何の考えも無しに薬を良い
─9─
─ 10 ─
三
の設問
くつ
散歩に連れて行けなかった。
① ~ ③ にあてはまる語句として最も適切な
4 彼の心ない言葉に、じれったく怒りがわいてきた。
いか
3 徹夜の仕事から家に帰ったので、じれったくて犬の
てつ や
かうまくいかず、見ていてじれったい。
2 幼い娘はいつも自分で靴をはこうとするが、なかな
むすめ
すく、聞いている者にとっては大変じれったい。
1 彼の話し方は非常にゆっくりとしていて聞き取りや
b「じれったく」
(じれったい)
らもあきらめきれない。
4 現実的に考えると絶対にかなわない夢だと知りなが
やされてはかなわない。
3 ただでさえ締切りが近いのに、そのうえ仕事量を増
しめ き
2 天才選手の彼には、技術面ではかなわない。
1 この不況では就職もかなわない。
ふきょう
a「かなわない」
切なものを一つずつ選び、番号で答えなさい。
問一 線部a・bの語句を使用した例文として、最も適
問二
ものを一つずつ選び、番号で答えなさい。
① 1 だらだら 2 おどおど
3 じりじり 4 うじうじ
② 1 一 2 二 3 三 4 四
③ こし
1 頭 2 顔 3 腰 4 足
問三 線部ア「医者を呼ぶのを祖父は嫌う」とあります
しょうじょう
が、それはなぜですか。理由の説明として、最も適切な
ものを一つ選び、番号で答えなさい。
ぜ
ひ ごろ
1 いくら医者を呼んでも、次から次に新しい症状が出て
か
くるのできりがないから。
うば
2 静養すれば完治する風邪くらいで、日頃の生活の楽し
しんさつ
みまで奪われてしまうから。
3 もともと胃が弱いのに、診察を受けるとどうしても薬
むすこ
み
を飲まなければいけなくなるから。
は
4 息子を診察してくれていた医者に診てもらうのはどこ
となく恥ずかしい気がするから。
5 風呂に入って酒を飲めば、医者を呼ばなくても風邪く
らいすぐに治ると信じているから。
問四 線部イ「引っかからないように抜け目なく出つ入
りつし」とは、「母」のどのような様子を表したもので
すか。その説明として最も適切なものを一つ選び、番号
で答えなさい。
き げん
1 娘を使って薬を祖父に届けるのに一番良い時を、それ
おこ
とはなく見計らっている様子。
き づか
2 祖父に娘が怒られないよう、祖父の機嫌の良いときに
すいじゃく
薬を届けさせようと祖父を観察している様子。
ふ
き げん
うかが
しゅうとう
不機嫌な祖父の怒りをかわないよう、周到に部屋を出
あせ
こちらの落ち度を見つけてすぐに文句を言ってくる祖
たり入ったりして、祖父の様子を窺っている様子。
い、少しでも祖父の心労を減らそうとする様子。
3 強がってはいるが確実に衰弱している祖父の体を気遣
4
父を焦ってなだめようとする様子。
線部ウ「いいえはなお」とありますが、それはど
薬嫌いの祖父に、事情を分かっていながらあえて薬を
つ選び、番号で答えなさい。
ういうことですか。その説明として最も適切なものを一
5
問五
1
届けたことを認めるような返事は、より一層祖父を怒
らせてしまう点で、不適切だということ。
2 何のために飲む薬なのかを知らずに薬を祖父に届ける
ことは、あまりに考えが浅はかなので、祖父を怒らせ
るのも当然だということ。
うそ
3 薬の効き目を母親に聞いてきたように見せかけようと
しても、祖父は目ざとく嘘を見破るので、祖父には事
実を言うしかないということ。
こわだか
薬について何も知らないわけではなく、薬のことをき
が、その努力が逆に祖父を怒らせてしまうということ。
に訴えてなんとか祖父に飲んでもらおうと努力する
4 祖父が薬嫌いだと分かっていても、薬の必要性を祖父
5
そこ
ちんと理解した上で持ってきたのだと祖父に声高に伝
えても、祖父の機嫌を損ねるだけだということ。
三 の設問は裏面に続く
─ 11 ─
─ 12 ─
問六 線部エ「お前は何も考えないで、ただふわふわし
ている」とありますが、
「祖父」はどういうことを言い
あきら
たいのですか。その説明として最も適切なものを一つ選
び、番号で答えなさい。
なっとく
1 何を言っても怒られると諦めるのではなくて、少しで
く ふう
も人を納得させることができるようになんとか言い方
を工夫して自分の思いを伝えよ。
あやま
2 この場から逃げ出したいからといって、何が悪かった
のかも分かっていないのにただ謝るなどということ
は、何の反省にもなっていないということを自覚せよ。
3 正しく使えば人の命を救うこともあるのが薬なのに、
ま ちが
その薬の効能も分からずただ飲めばよいと信じるのは
間違っているということに気付け。
4 劇薬だった場合は人を殺すことになるかもしれないの
に、何の薬かも分からずに言われるままに薬を運んで
きた理由を説明せよ。
ふ
5 薬 が 人 の 命 を 奪 う か も し れ な い も の だ と 少 し も 考 え
ま
ず、周囲から指示されるままに、無自覚に危険な振る
舞いをしているかもしれないことを反省せよ。
ちが
むすめ
線部X・Yの気持ちの違いについて、八〇字以内
問七
で説明しなさい。
つづ
問 八 こ の 作 品 は、 筆 者 が、 自 分 の 娘 時 代 を 振 り 返 っ て 書 き
綴ったものですが、読み方によっては、実は、成人後も
こんきょ
昔とあまり変わらない性格の人物なのではないかと読む
こともできます。その根拠となる表現を五字以内で抜き
出して答えなさい。
─ 13 ─
─ 14 ─
二〇一七年度 須磨学園中学校 第二回入学試験解答用紙 国語
※枠内には記入しないこと。
ヨウイ
カマ
ガンモク
※
問一
問二
↓
小 学 校 で は 見 か ね た 父 親 が 勝 手 に 水 彩 画 を 代 作 し そ れ
↓
が 学 校 で 秀 作 扱 い さ れ て 困 っ た こ と も あ る
ワリ
氏名
問三
問四
c
問四
問五
5
問五
問六
問一
問六
問三
b
②
Y
問二
問七
問三
問八
問九
問一
問四
問二
問五
ウ
ウ
↓
イ
イ
ア
ア
a
①
X
※
※
20
40
60
80
100
120
20
40
60
80
問六
問七
問八
d
受 験 番 号
※
③
Z
③
※
※
b
②
※
※
a
①
※
※
※
※
※
※
※
※
※
※
※
※
※
※
※
※
※
※
一
二
三
※