Intra Uterine System

自分らしい人生を、軽やかに楽しむ女性のために…
子宮内黄体ホルモン放出システム
Intra Uterine System
監修 安達 知子(総合母子保健センター愛育病院 副院長)
月経のしくみ
1
月経にともなって起こる症状 月経困難症とは?
2
月経にともなって起こる症状 過多月経とは?
3
月経困難症や過多月経の原因となる子宮と子宮周辺の主な疾患 4~5
月経困難症や過多月経の治療法
6~7
信頼できる避妊法とは?
8~9
IUSの作用について
10~11
IUSの使用に際して
(装着前)
12~13
IUSの使用に際して
(装着後)
14~15
IUSを適切にご使用いただくために
16~17
Q&A
18~19
IUSダイアリー
20~23
MEMO
24~25
月経のしくみ
月経とは、約1ヵ月の周期で子宮内膜が出血をともなってはがれ落ち体外へ
排出される現象です。
◯月経のメカニズム
月経周期の
数え方
月経の初日を、月経周期の第1日目と数えます。そこから次の月経の前日までの日数が1つの月経周期となります。
月経
卵胞期
黄体期
排卵
月経
(日)
月経周期
発育卵胞
成熟卵胞
排卵
黄体
黄体の退化
月経周期の
ホルモンの
変化
200
黄体ホルモン
(プロゲステロン)
10
卵胞ホルモン
(エストロゲン)
100
5
卵胞ホルモン
(pg/mL)
子宮内膜の
変化
黄体ホルモン
(ng/mL)
月経
増殖期
卵胞期
排卵
分泌期
それぞれの
時期の子宮
卵巣の中の卵子のもと
となる 小 卵 胞 が 成 熟
する時期です。
成 熟 卵 胞 からは 卵 胞
ホルモンが分泌され、
その影響により子宮内
膜は厚くなります。
成 熟 卵 胞 から 卵 子 が
排出される時期です。
これを「排 卵」といい
ます。
黄体期
排卵後、卵胞が黄体に
変化する時期です。
この黄体から卵胞ホル
モンとともに黄体ホル
モン が 多く分 泌され、
この作用により厚くなっ
た子宮内膜は妊娠に適
した状態になります。
月経
妊娠が成立しなかった
場合は、卵胞ホルモン
と 黄 体 ホ ル モンの 量
が減り、子宮内膜はは
がれ落ち、血液ととも
に「月 経」として体 外
に 排出されます。
※月経周期には個人差があるため、上図は目安です。
1
月経にともなって起こる症状
月経困難症とは?
多くの女性では、月経周期に合わせて腹痛や頭痛など何らかの不快な症状が
あらわれますが、
日常生活に支障をきたすほどつらい症状がある場合には治療
が必要です。
月経に前後してあらわれる、
強い下腹部痛や腰痛などの不快な
症状を
「月経困難症」
といい、
月経のある女性の約30%に
みられます。
◯こんな経験はありませんか?
~月経困難症でよくみられる症状~
月経困難症の人にみられる自覚症状には以下のようなもの
があります。ひとつでも当てはまる項目があれば、一人で悩ま
ず、婦人科で相談しましょう。
□ 月経痛がひどく、学校や会社を休むなど、日常生活にも支障がある
□ 月経の時、鎮痛薬がいつも必要になる
□ 市販の鎮痛薬が効かないくらい痛い
□ 月経痛の痛みがだんだん増してきている
□ 月経痛で起き上がれないことがある
□ 排便の時やセックスの時に痛みがある
□ 月経期間に頭痛や下痢、吐き気がある
◯月経困難症の種類
月経困難症には、原因となる病気のない「機能性月経困難症」
と、子宮内膜症
などの病気が原因となっている
「器質性月経困難症」の2種類があります。
機能性の場合、子宮内膜でつくられる痛みの原因物質
(プロスタグランジンな
ど)
の作用で子宮が収縮し、腹痛や下痢、吐き気、頭痛などが起こります。
器質性の場合は、病気が原因となって、子宮内膜や子宮内膜様組織でつく
られるプロスタグランジンなどの作用や癒着などによる症状(痛みなど)
が強く
起こります。
→月経困難症の主な原因疾患の詳細については4~5ページをご覧ください
2
月経にともなって起こる症状
過多月経とは?
他の人と比べて経血量が多いか、少ないかというのはわかりにくいものです。
最も多い日でもナプキンを2時間おきにかえるくらいが一般的のようですが、
これに対し、経血量が非常に多く、普段の生活に支障をきたす
ような場合を
「過多月経」
といいます。
◯こんな経験はありませんか?
~過多月経でよくみられる症状~
過多月経の人にみられる自覚症状には以下のようなものが
あります。ひとつでも当てはまる項目があれば、一人で悩まず、
婦人科で相談しましょう。
□ 昼でも夜用のナプキンを使う日が 3日以上ある
□ 普通のナプキン 1 枚では、1 時間もたない
□ 経血にレバーのような大きなかたまりが混じっている
□ 以前より経血量が増え、日数も長くなった
□ 貧血様症状がみられたり、血液検査で貧血があるといわれた
◯過多月経の種類
過多月経には、原因となる病気がなく、体内のホルモンや血液の状態が影響
して起こる
「機能性過多月経」
と、子宮筋腫、子宮腺筋症、子宮内膜ポリープ、
子宮内膜増殖症などの病気が原因で起こる
「器質性過多月経」の2種類が
あります。
機能性の場合、黄体ホルモンの働きが弱いことなどが原因となっている場合
もあり、放置すると排卵障害などにつながることもあります。
→過多月経の主な原因疾患の詳細については4~5ページをご覧ください
※月経困難症と過多月経は同時にみられることもしばしばあります。
また、原因疾患がある場合、
月経以外の時期に痛みや出血がみられることもあります。
3
月経困難症や過多月経の原因となる子宮と
月経困難症や過多月経の原因は人によって異なり、
これらを
つらい症状をがまんしたり、体質だと思ってあきらめたりすること
◯子宮内膜症(しきゅうないまくしょう)
子宮内膜組織に似た組織(子宮
内膜様組織)
が、子宮周囲の臓
器(腹膜や卵巣、卵管、腸管、膀
胱など)
にできる病気です。
病巣にできた組織は増殖と剥離
を繰り返すことで、炎症や癒着を
引き起こすため、
さまざまな症状が
みられます。
症状:月経痛、下腹部痛、腰痛、
性交痛、排便痛、不妊など。
◯子宮筋腫(しきゅうきんしゅ)
子宮筋層にできるコブのような良
性の腫瘍です。筋腫の位置や大
きさ、個数によって症状はさまざま
です。
症 状:経血量の増加、不正出血
子宮筋層
子宮筋腫
(月経 時 期 以 外の出 血 )、月経
痛、
下腹部痛、
貧血様症状、
貧血、
不妊など。
4
子宮周辺の主な疾患
正しく見分けるためには、医師による診断が必要です。
はありません。
まずは婦人科で相談してみましょう。
◯子宮腺筋症(しきゅうせんきんしょう)
子宮内膜様組織が子宮筋層の
中にできる病気です。子宮筋層
の中にできた組織が月経のたび
に増殖と剥離を繰り返し、
さまざま
な症状を引き起こします。
また、病
気が進むにつれて子宮筋層が厚
くなります。
症 状:月 経 痛 、経 血 量の増 加 、
出血持続日数の延長、貧血様症
状、
貧血、不妊など。
5
月経困難症や過多月経の治療法
月経困難症や過多月経、
またその原因となる疾患の治療とし
手術などの外科的療法が行われます。原因、症状、妊娠の希
◯主な薬物療法
卵胞・黄体ホルモン混合剤
卵胞・黄体ホルモン混合剤は卵胞ホルモンと黄体ホルモンを含んで
おり、月経困難症に適応を持つものや避妊の適応を持つOC
(低用
量経口避妊薬)
と呼ばれるものなどがあります。女性ホルモンの分泌
を抑え、排卵と子宮内膜の増殖が抑制されることにより、経血量は減
少し、
また、
月経痛を緩和します。軽い吐き気、頭痛などがみられること
があります。重い副作用として血栓症に注意が必要です。
子宮内黄体ホルモン放出システム
(IUS)
IUSとは、Intra Uterine Systemの略で、黄体ホルモンであるレボノ
ルゲストレルを子宮の中に持続的に放出する子宮内システムです。
医師が子宮の中に挿入します。子宮内膜に直接作用して、増殖を強
く抑えることにより経血量を減少させ、
プロスタグランジンの産生を抑
えて月経痛を緩和します。装着後2~3ヵ月間は月経時期以外の少
量出血などがみられる場合もあります。1度装着すると最長で5年間
効果が持続します。
→詳細については10ページ以降をご覧ください
黄体ホルモン製剤
黄体ホルモン製剤は、子宮内膜症などの原因疾患がある場合や
月経困難症がある場合に使用されます。子宮内膜の増殖を抑えま
す。
また、病巣に直接働き病巣を小さくします。子宮内膜の増殖を
抑えることにより経血量の減少や月経痛を緩和します。月経時期
以外の出血などがみられる場合があります。
6
て、鎮痛剤やホルモン剤などを使用する薬物療法と、
望などを考慮して治療法が選択されます。
GnRHアナログ製剤
GnRH製剤は子宮内膜症などの原因疾患がある場合に使用されます。女性ホルモンの分泌を抑
え、月経と排卵を止め、一時的に閉経状態をつくることにより病巣を小さくします。
その結果、経血量
の減少や月経痛を緩和します。点鼻薬と注射薬があります。
副作用として更年期障害(のぼせ、
ほてり等)
に似た症状や骨量低下がみられることがあります。通常
4~6ヵ月間続けて使用します。
ダナゾール製剤
ダナゾール製剤は子宮内膜症などの原因疾患がある場合に使用されます。女性ホルモンの分泌を
抑え、月経と排卵を止め、一時的に閉経状態をつくります。
また、病巣に直接働き病巣を小さくしま
す。ひどい下腹部痛や腰痛等の症状を緩和しますが、
ニキビ、体重増加や、
まれに肝障害などがみ
られることがあります。通常4ヵ月間服用します。
鎮痛剤、漢方薬など
鎮痛剤は、
月経時に発生する痛みの原因物質「プロスタグランジン」の合成を抑え、
痛みを和らげま
す。からだの状態に合わせて、体調を整えるための漢方薬を使用することもあります。
また、過多月
経の治療としては、
血液の状態を調整するトラネキサム酸なども用いられます。
◯主な外科的療法
子宮内膜症など原因疾患に対する手術には、病巣だけを摘出したり、縮小させたりする保存手術
と、子宮、
あるいは子宮・卵巣を摘出する根治手術とがあります。
以前はお腹を切る開腹手術が一般的でしたが、最近では内視鏡
(腹腔鏡、子宮鏡)
を利用した、
か
らだへの負担が少ない手術が増えています。
子宮内膜症や子宮筋腫で行われる腹腔鏡の手術では、
おへそと下腹部の数ヵ所に穴をあけ、
腹腔
鏡や器具を挿入し病巣を摘出したり、
焼灼したりします。
過多月経の場合、子宮内膜に対して直接行う治療として、子宮内膜をかき出すことによって出血を
止める子宮内膜掻爬術や、子宮内膜を直接マイクロ波の熱で固まらせることで経血量を減少させ
る子宮内膜焼灼術なども行われています。
7
信頼できる避妊法とは?
◯女性が妊娠・出産できる期間は?
女性は10~14歳に初経を迎え、1~3年後に排卵が始まり、妊娠・出産
が可能となる成熟期に入ります。その後、妊娠・授乳時を除いた閉経
を迎える更年期まで数十年もの長い間、排卵をしていれば妊娠する可
能性があります。
女性ホルモン(エストロゲン)量
10歳
●性成熟期
性機能が成熟し、卵巣機能
が 高まるとエストロゲンの
分泌も順調になる。
●更年期
エストロゲンの分泌低下と
共に月経周期が乱れはじめ、
ついには閉経に至る。
妊娠・出産が可能
(初経から閉経まで)
20歳
思春期
30歳
40歳
性成熟期
50歳
更年期
◯あなたにあった避妊法を選びましょう
現在、日本で用いられている避妊法にはさまざまな種類がありますが、
それぞれの年齢や生活環境、将来の出産予定、パートナーの協力度に
よって自分に適した避妊法を選ぶことができます。自分のからだのこと
やパートナーとのライフスタイルを考えながら、無理なく確実な方法を選
ぶことが大切です。
8
◯避妊法の種類とメリット・デメリット
避妊法として効果の高いものは、
IUS
(子宮内黄体ホルモン放出システム)
、
IUD(子宮内避妊用具)、OC(低用量経口避妊薬)
です。その中でも
IUSは、OCの高い避妊効果とIUDの長期にわたる避妊が可能である
という2つの特徴を併せ持っており、OCやIUDよりも高い避妊効果 ※注
を示します。
避妊法
銅付加IUD
OC
(低用量経口避妊薬)
・1 度の装着で数年にわた
る長期の避妊が可能。
・毎日、避妊のことを考え
る必要がない。
・月経血量が減少する。
・月経痛が軽くなる。
・1 度の装着で数年にわた
る長期の避妊が可能。
・毎日、避妊のことを考え
る必要がない。
・授乳中でも使用できる。
・毎日、正しく服用している
間は効果の高い避妊が
可能。
・避 妊 以 外の利 点(月経
血 量の減 少、月経 痛の
緩和など)がある。
・装着後初期に月経時期
以外の出血が続くことが
ある。
・医師による装着、除去が
必要である。
・月経血量が増えることが
ある。
・医師による装着、除去が
必要である。
・服用初期に吐き気や頭
痛などがあらわれることが
ある。
・授乳中は使用できない期
間がある。
・飲み忘れにより避妊効果
が激弱する。
理想的な使用*2
(%)
0.2
0.6
0.3*4
一般的な使用*3
(%)
0.2
0.8
9.0*4
デメリット
失敗率
)
(子宮内避妊用具)
メリット
*1
(
IUS
子宮内黄体ホルモン
放出システム
*1:女性100人が1年間、
その避妊方法を使用した場合の失敗率
(妊娠率)
Contraceptive Technology, 20 ed., Ardent Media, 2011 Table3-2改変 http://www.contraceptivetechnology.org/CTFailureTable.pdf
*2:選んだ避妊法を正しく使用している場合
*3:一般的に使用している場合
(経口避妊薬は飲み忘れの場合を含む)
*4: 日本国内の臨床試験成績では0~0.59である
(約5,000例のデータ)
松本清一 ほか:メディカルファイル 1991:6:2-12
※注:どんな避妊法も100%の避妊効果はありません。
9
IUSの作用について
IUS
(Intra Uterine System)
は、
黄体ホルモンであるレボノル
子宮内システムです。現在では世界約130ヵ国で承認され、多
◯IUSの作用メカニズム
IUSは、子宮内膜に作用して内膜(赤ちゃんのベッドになるところ)
をうすく
することで、月経量を減らすとともに、月経痛を軽くする効果があります。
また、子宮内膜がうすくなることにより受精卵の着床(妊娠の成立)
を
妨げたり、子宮の入り口の粘液を変化させて精子が腟の中から子宮内
へ進入するのを妨げたりすることで、避妊効果を発揮します。
子宮内膜に作用して内膜
がうすくなり、
月経量を減
らし、月経痛を軽くする。
また、受精卵の着床
(妊娠
の成立)
を妨げる。
子 宮の入り口の粘 液を
変化させて精子が膣の中
から子宮内へ侵入するの
を妨げる。
10
ゲストレルを子宮の中に持続的に放出する
くの女性に使用されています
(2016年2月現在)
。
子宮内膜の変化
月経
排卵
1
7
14
排卵
21
28 days
IUS装着なし
1
7
14
月経
21
28 days
IUS装着中 ~子宮内膜は薄くなる~
◯IUSが適している女性
月経量が多く、貧血で悩んでいる女性
強い月経痛で悩んでいる女性
これ以上妊娠を希望しない女性
次の出産まで期間をあけたい女性
長期にわたり避妊を望む女性
経口避妊薬などのホルモン薬の飲み忘れが心配な女性
※IUSを避妊のために使用する場合には、保険は適用されません。
IUSと妊娠について
IUSは一度装着すると、最長5年間にわたり効果が持続します。装着している間は避妊の効果
があるため、
すぐに妊娠の希望のある方には月経困難症や過多月経の治療法として使用できま
せん。装着をやめれば妊娠できるようになります。
11
IUSの使用に際して(装着前)
◯IUSの使用に際して注意が必要な女性
次の項目にひとつでも当てはまる場合は、絶対にIUSを使用できないという
わけではありませんが、IUSを使用する前に必ず医師に申告してください。
先天性の心疾患または心臓弁膜症がある
糖尿病である
肝障害がある
出産経験がない
てんかんがある
副腎皮質ホルモンの長期投与療法を受けている
授乳中である
◯IUSが適さない女性
下記のような症状や状態の人はIUSを使用できない場合があります。使用でき
ないかどうかは状態によって異なりますので、詳しくは医師に相談してください。
IUSの成分に対して過敏症がある
性器癌、黄体ホルモン依存症腫瘍にかかっている、
またはその疑いがあるといわれたことがある
月経以外の異常な性器出血がある
医師に子宮の形や位置に異常があるといわれたことがある
(子宮腔の変形があるような生まれつきの異常または子宮筋腫を含む)
性器感染症
(子宮内膜炎、卵管炎など)
がある
過去3ヵ月以内に性感染症にかかったことがある
子宮頸管炎または腟炎にかかっている
現在、骨盤内炎症性疾患
(PID)
にかかっている、
または何回もPIDを繰り返している
過去3ヵ月以内に分娩後子宮内膜炎または感染性流産を経験したことがある
異所性妊娠
(子宮外妊娠)
を経験したことがある
IUS、IUD
(子宮内避妊用具)
の子宮内への挿入時や子宮の入り口
(頸管)
を拡張
する時に強い痛みがあったり、脈が遅くなったことがある
重い肝障害または肝腫瘍がある
現在、妊娠している、
または妊娠している可能性がある
12
◯装着する前に行うこと
IUSを装着する前には、子宮の位置やサイズ、骨盤内諸臓器、乳房の検
査、腟内容物の検査などを行います。
その他、妊娠していないこと、性感染
症にかかっていないことを確認します。
◯装着方法―いつどのように装着するの?
IUSは月経開始後7日以内に装着します。妊娠初期の流産または妊娠初
期の人工妊娠中絶の場合はその直後に装着することができます。ただし、
出産後は子宮の回復
(6週間以上)
を待ってから装着します。
子宮の入り口を消毒し、IUSが入った細くて柔らかいプラスティックのチュー
ブを使って子宮内に挿入します。挿入時は痛みを感じることがありますが、
装着後はそのまま帰宅できます。
13
IUSの使用に際して(装着後)
◯装着後に注意すること
装着後数日間は出血、下腹部痛、腰痛、
おりものなどの症状があらわれるこ
とがあります。症状が長く続く時やひどい場合は受診してください。
◯IUSの副作用
下記のような副作用が起こることがあります。症状が長く続く時やひどい場
合は医師に相談してください。
月経出血日数の延長
月経周期の変化
卵巣のう胞
(通常はホルモン変化にともなう一時的なもの)
IUS除去後の出血
月経時期以外の少量の出血
腹痛 など
その他、骨盤内炎症性疾患、異所性妊娠(子宮外妊娠)、IUSの脱出*、
おりものの異常、
穿孔**にも注意する必要があります。発熱、下腹部痛、
急な出血、疼痛、性交痛、急な腹部膨満感、下腹部痛
(圧痛)
などの症状
があった場合は、直ちに受診してください。
また、
月経の遅れ
(無月経)
があっ
た場合は、
まれですが妊娠していることもあり、
しかもいつもと違う出血や腹
痛が始まった場合は、頻度は低いものの異所性妊娠
(子宮外妊娠)
の可能
性もあります。早期の処置が必要となりますので直ちに受診してください。
*IUSの脱出:子宮の形の異常、
子宮筋腫などを合併していると、脱出の頻度は高くなります。
**IUSの穿孔
(せんこう)
:まれにIUSが子宮壁に入ってしまうことがあります。
14
◯IUS装着後にみられる出血パターンの変化
「IUSの使用にともなう出血パターンには個人差がみられます」
IUSの使用を開始してから数ヵ月間は多くの女性に月経と異なる出血がみ
られることがあります。
しかし、通常は時間の経過とともに減少します。
*
●IUS使用開始後の1ヵ月あたりの平均出血日数
(日数)
30
*生理用品
(パンティーライナーは除く)
を
必要としない程度の出血がみられた日数を含む
25
20
15
10
5
0
1ヵ月
2ヵ月
3ヵ月
4ヵ月
5ヵ月
6ヵ月
7ヵ月
8ヵ月
9ヵ月
10ヵ月 11ヵ月 12ヵ月
(出典:Andersson K, et al: Contraception 1994:49: 56-72)
また、黄体ホルモンの作用により子宮内膜がうすくなるため、
月経の回数が
減り、1年後には約20%の人では月経が起こらなくなります。
IUS装着中に月経が起こらなくなることは必ずしも妊娠または閉経を示すも
のではありません。ただし、前回の月経から6週間以内に月経が起こらない
場合や、吐き気、嘔吐、食欲不振など、
つわりのような妊娠を疑う兆候があら
われた場合は、直ちに受診してください。
15
IUSを適切にご使用いただくために
◯装着後の定期検診について
「かかりつけの婦人科で定期的に検診を受けましょう」
IUSを適切に使用していただくために、IUSの位置や出血の状況などを
確認する定期検診はとても重要です。
医師の指示に従い、IUS装着から1ヵ月後、3ヵ月後、6ヵ月後、1年後
(それ
以降は状況に応じて1年に1回以上)
に検診を受けてください。
IUSが気付かないうちに脱出してしまうことがありますので、出血や疼痛など
位置のずれや脱出を疑う症状がみられた場合は、速やかに受診してください。
また、
このほかにもからだの変化に気付かれた場合や、妊娠を疑う兆候がみ
られた場合は、速やかに受診してください。
なお、実際にIUSを装着される方は、医師から提供される
「使用者用説明
書」
を必ずお読みください。
1ヵ月
3ヵ月
6ヵ月
1年目
2年目
3年目
4年目
5年目
16
◯出血パターンの記録
「定期検診には出血パターンの記録を持参しましょう」
IUSの使用を開始してから数ヵ月間は月経と異なる出血がみられることがあ
ります。
しかし、通常は時間の経過とともに、出血の日数や量が減ってきま
す。出血パターンの変化は、
からだの状態を知る上で大切な情報となります
ので、出血状況をIUSダイアリーに記録し、検診時に持参してください。
→IUSダイアリーの詳細については20~23ページをご覧ください
17
Q&A
IUSには、
どんな作用があるの?
● I U Sは、子 宮 内 膜に作 用して内 膜
(赤ちゃんのベッドになるところ)
をうすく
することにより月経量を減らすとともに、
月経痛を軽くする効果があります。
また、
受精卵の着床(妊娠の成立)
を妨げた
り、子宮の入り口の粘液を変化させて
精子が腟の中から子宮内へ進入する
のを妨げたりすることで、避 妊 効 果も
IUSで必ず避妊ができるの?
また、いつから避妊効果があるの?
●IUSは高い避妊効果があります。報
告によって異なりますが、正しく使用した
場 合 の 1 年 間 に 妊 娠 する確 率 は 、
0.2% ※です。なお、避妊効果は装着後
すぐに得られます。
※Contraceptive Technology, 20 ed., Ardent Media, 2011 Table3-2
http://www.contraceptivetechnology.org/CTFailureTable.pdf
発揮します。
妊娠したくなったらどうすればいいの?
どのくらいの期間、効果があるの?
●IUSが正しく装着されていれば長期
間効果は持続しますが、装着後5年を
●医師によってIUSを取り出すことによ
り、挿入前の状態に戻りますので、妊娠
は可能となります。
超えないうちに交換してください。
また、取り出すのと同時に新しいIUSを
挿入することができます。
IUSを装着していても授乳できるの?
●授乳は可能です。
しかし、IUSの薬の
成分が微量ながら母乳中へ移行するこ
IUSを装着する時、痛みはあるの?
●IUSを挿入する時は、月経痛に似た
痛みや出血が起こることがあります。
18
とが報告されているため、授乳中の方は
必ず医師に相談してください。
IUSは性交に影響するの?
タバコを吸っていても、
●IUSが性交に影響することはありませ
IUSは装着できるの?
ん。
もし、性交時に違和感がある場合は
●IUSはタバコを吸っている人でも装着
IUSが正しい位置に装着されていない
可能性がありますので、性交を避け、医
することができます。
師の診察を受けてください。
IUSを装着していても、X線やMRIの
IUSを装着すると太るの?
●IUSを装着することによる、体重への
影響はほとんどないといえるでしょう。
検査を受けることはできるの?
●IUS装着中もX線やMRIの検査を受
けることは問題ありません。ただし、IUS
は画像にうつりますので、検査を受けら
れる際にはIUSを装着していることを医
高血圧、不整脈のある人でも
師にお伝えください。
IUSは装着できるの?
●IUSは局所的に作用するので特に問
題はありませんが、先天性の心疾患、心
臓弁膜症がある場合は、挿入前に必ず
医師に申告してください。
IUSを装着して月経が来なくなる
のは、からだの中の女性ホルモン
が分泌されなくなるからなの?
●IUSは子宮の中で局所的に作用す
るので、月経の出血がない場合でも、女
性ホルモンが分泌されなくなることはあ
りません。排卵も起こります※。
※一部の方では排卵が抑えられる時があるとされています。
19
IUSダイアリー
◯定期検診にはダイアリーを持参しましょう。
IUSの使用を開始してから数ヵ月間は月経と異なる出血がみられることが
あります。
しかし、通常は時間の経過とともに出血の日数や量が減ってきます。
また、月経量の減少とともに、月経痛などの痛みの程度も変化してきます。
これらの変化はからだの状態を知る上で大切な情報となりますので、以下
のダイアリーに記録し、検診の時に持参してください。
イニシャル:
(名)
装着日
月
年
月
日
検診予定日
(姓)
年
日付
出血の程度
4 多い
3 変わらない
2 少ない
1 ほとんどない
月経痛の程度
4 強い
3 変わらない
2 軽い
痛みの記録
1 ほとんどない
下腹部痛
排便痛
性交痛
痛み止めの服用
メモ欄
(例)発熱があった
(℃)、
頭痛がしたなど、気になる
症状を記入してください
●
出血の程度:
出血の程度をIUS使用開始前の月経と比較して
右記の4段階で記録してください。
20
4
3
2
1
多い・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・出血量が増えた
変わらない・・
・・
・同じ程度の出血量
少ない・
・
・
・
・
・
・
・
・出血量が減った
ほとんどない・
・・生理用品(パンティーライナーは除く)
を必要としない程度の出血
月
日
イニシャル:
(名)
【記入例】
装着日
年
月
日
検診予定日
(姓)
年
月
日
月
日付
出血の程度
4 多い
出血の程度にあわせて
マス目にチェックしてください
3 変わらない
2 少ない
1 ほとんどない
月経痛の程度
4 強い
3 変わらない
2 軽い
痛みがあった時に
4段階の数字を
記入してください
月経痛の程度にあわせて
マス目にチェックしてください
痛みの記録
1 ほとんどない
下腹部痛
服用した時に
服用回数を
記入してください
排便痛
性交痛
痛み止めの服用
メモ欄
(例)発熱があった
(℃)、
頭痛がしたなど、
気になる
症状を記入してください
● 出血の程度:
出血の程度をIUS使用開始前の月経と比較して
右記の4段階で記録してください。
4 多い・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・出血量が増えた
3 変わらない・・
・・
・同じ程度の出血量
2 少ない・
・
・
・
・
・
・
・
・出血量が減った
1 ほとんどない・
・・生理用品
(パンティーライナーは除く)
を必要としない程度の出血
● 月 経 痛 の 程 度:月経痛の程度をI US使用開始前の月経と比較して
右記の4段階で記録してください。
4 多い・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・痛みが増した
3 変わらない・・
・・
・同じ程度の痛み
・
・
・
・
・
・
・
・痛みが軽くなった
● 痛 み の 記 録:月経痛以外にも痛みがあった時に右記の1~4の数字を記入してください。 2 少ない・
1 ほとんどない・
・・ほとんど気にならないがわずかに痛みを感じる
● 痛み止めの服用:服用した時に服用回数を記入してください。
月 経 痛 の 程 度:月経痛の程度をIUS使用開始前の月経と比較して
4
3
● 痛 み の 記 録:月経痛以外にも痛みがあった時に右記の1~4の数字を記入してください。 2
1
● 痛み止めの服用:服用した時に服用回数を記入してください。
●
右記の4段階で記録してください。
多い・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・痛みが増した
変わらない・・
・・
・同じ程度の痛み
少ない・
・
・
・
・
・
・
・
・痛みが軽くなった
ほとんどない・
・・ほとんど気にならないがわずかに痛みを感じる
21
IUSダイアリー
イニシャル:
(名)
年
装着日
月
日
検診予定日
(姓)
年
月
日付
出血の程度
4 多い
3 変わらない
2 少ない
1 ほとんどない
月経痛の程度
4 強い
3 変わらない
2 軽い
痛みの記録
1 ほとんどない
下腹部痛
排便痛
性交痛
痛み止めの服用
メモ欄
(例)発熱があった
(℃)、
頭痛がしたなど、気になる
症状を記入してください
月
日付
出血の程度
4 多い
3 変わらない
2 少ない
1 ほとんどない
月経痛の程度
4 強い
3 変わらない
2 軽い
痛みの記録
1 ほとんどない
下腹部痛
排便痛
性交痛
痛み止めの服用
メモ欄
(例)発熱があった
(℃)、
頭痛がしたなど、気になる
症状を記入してください
●
出血の程度:
出血の程度をIUS使用開始前の月経と比較して
右記の4段階で記録してください。
22
4
3
2
1
多い・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・出血量が増えた
変わらない・・
・・
・同じ程度の出血量
少ない・
・
・
・
・
・
・
・
・出血量が減った
ほとんどない・
・・生理用品(パンティーライナーは除く)
を必要としない程度の出血
月
日
月 経 痛 の 程 度:月経痛の程度をIUS使用開始前の月経と比較して
4
3
● 痛 み の 記 録:月経痛以外にも痛みがあった時に右記の1~4の数字を記入してください。 2
1
● 痛み止めの服用:服用した時に服用回数を記入してください。
●
右記の4段階で記録してください。
多い・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・痛みが増した
変わらない・・
・・
・同じ程度の痛み
少ない・
・
・
・
・
・
・
・
・痛みが軽くなった
ほとんどない・
・・ほとんど気にならないがわずかに痛みを感じる
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MEMO
24
25
(201612)MRN-50.0(II/DI)
L.JP.MKT.WH.11.2016.0765
資材記号
MRN160801