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「複素数平面」お気楽学習ノート
by
尾崎雄一朗
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§1数直線の拡張
1.1第0章序
「複素数平面って!?何ができる?」を気楽に学ぶノート
ゆとり教育はついに幕を閉じ,高校数学における指導要領も再編を受けて,幾らかの単元が
新たに加わえられもした.その一つに,新課程数学Ⅲにおいて学ぶ「複素数平面」がある.本
ノートは,旧課程の下「複素数平面」を体系的に学ばなかった筆者の世代が,新課程の学習
者を学習塾などで指導する場合を想定して,検定教科書の単元「複素数平面」をベースに,
その要領をまとめたものである.
「複素数平面」というアイディアがどういう位置づけにあり,どのような点で有意義なのか
筆者の学習体験から感じたところをぶっちゃける.
1.2第1章数直線の拡張
任意の実数は数直線上の点として表現可能である.
例えばこれを用いて実数の大小などを可視的に評価可能である.
図1.1数直線
では,複素数は?
複素数一般は数直線上に表すことができない.したがって(1-2)のような不等式をつくること
はできない.
しかし,複素数を何とか図的に表現することはできないものか…?そうだ!実数が1次元的直
線上に表されるのであれば,その上にない複素数というのは2次元的平面上に表せるのでは
ないか?
これが,筆者が子供の時に抱いたアイディアであった.この発想はかなり合理的である.一般
の複素数の間では大小関係が定義できなくても,純虚数については形式的に同等の関係が見
いだせ,「純虚数の数直線」というものを考えることができるだろう.
図1.2純虚数の数直線
この虚数直線と,実数直線を共通である「0を表す点」で直角に交差させて軸とし,空間を張
れば実際に任意の複素数を平面上に指定できるのである!
図1.3複素数を表す平面
筆者が数学書の中に「複素平面」なるものの記述を本当に見つけ,驚き感動したのは高校に
入ってしばらくしてからであった.
複素平面を張る軸の名前は実軸と虚軸といい,次章に示すようにこの平面を介して複素数に
「大きさ」を定義できることを知った.
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