CMP (Certified Meeting Professional)から SKILL 21: DESIGN SITE LAYOUT SKILL 21: DESIGN SITE LAYOUT Sub skill 21.01 – Design Site Layout CMP 出題頻度:3 〜 5問(合計150問) イベントなら、セッションの合間に利用できるラウンジエリ アを多めに確保する必要があります。併設展示会がある場合 は、会場レイアウトは展示会場も含めた全体像をとらえて検 討する必要があります。たとえば展示会場が商談しやすいか どうか、楽しめるかどうかといった要素は、翌日の再訪を左 今月は会場内レイアウトに関して解説します。レイアウト を決めるうえでは、イベントの最終目的、プロファイル(概 略) 、予算、過去の開催データなどを考慮に入れて検討して ください。このうち過去の開催データは重要ですが、同じイ ベントでも内容や構成が徐々に変化しますので、ただ単に過 去の事例を踏襲するのではなく、つど要求事項を明らかにす る必要があります。 右します。 [その他の検討要素] ・社交行事(social functions) ・スタッフ控室(staff office) ・スピーカー控室(speaker ready room) ・プレス控室(press room) ・施錠可能な倉庫が必要かどうか ・イベントIT テクノロジー ・休憩時間の長さ 会場内レイアウト Sub skill 21.01 – Design Site Layout ニーズとウォンツを分けて考えることも重要です。最低限 必要な要素がニーズ、装飾などの付加価値はウォンツです。 まずはレイアウトの基礎となる会場図面を入手します。 まずは会場レイアウトをデザインするうえでのすべての要素 部屋の大きさやパーテーションの位置などを示す基本データ をリストアップして、ニーズとウォンツに分け、予算制約な です。会場図面は映像機材や施工など、各種サプライヤーと どと併せて絞り込むのがよいでしょう。 共有します。 次に参加者のプロファイル、特に障害者対応が必要である 初めて使用する会場のレイアウトを検討する場合、視察は かどうかを確認します。イギリスの Equality Act 2010 、ア 欠かすことができません。1回目の視察は会場選定のためで メリカの Americans with Disabilities Act(以下 ADA)など すが、決定後、2回目の視察には映像・施工などサプライヤー で見られるように、イベントにおける障害者対応が法制化さ も同行してもらいます。どうしても視察ができない場合は会 れている国もあります。たとえば ADA では、障害を持つ人 場図面や写真などを取り寄せますが、会場によってはバーチ が健常者と同等の機会を得られることを目的として、宿泊施 ャルツアーを提供しているケースもあります。クルーズ船を 設におけるガイドラインを設定しています。こうした国では 使用する場合は、船種ごとにレイアウトが共通しているため、 しかるべき手続きを踏むことが重要になるため、プランナー 同じレイアウトのクルーズ船を視察するということもありえ としては開催地域の法規制を事前に理解しておくことが重要 ます。 です。法規制がない国であっても、障害者への適切な配慮が 必要であることは言うまでもありません。 [その他の検討要素] [視察時チェックポイント例] ・壁や柱などの基本設備(permanent structures) 、テントや 演台などの付帯設備(temporary structures) 、テーブルや ・言語対応(同時通訳の有無) 椅子などの什器(furnishings)を示すフロアプランを入手 ・参加者の求めるサービス(インターネットカフェ、携帯電 もしくは作成する。 話充電) ・参 加者にとってなじみのある会場かどうか(看板数の増 減) ・参加者の交通手段(シャトル発着場所の確保) ・毎朝の会場到着時間の傾向(早ければ待機スペースを設け る) ・会議施設のサステナビリティ取り組み関連資料(電気、廃 棄物、水など) ・アクセシビリティ(障害者配慮など) ・会議施設の提供サービス(礼拝室、クローク、ビジネスセ ンター、食事エリアなど) ・床面の耐加重 ・アレルギー誘因となるフラワーアレンジメントがないか イベントのコンセプトやプログラム内容も、会場レイアウ ・増築・改修工事部分がないか(将来計画も含め) トに大きな影響を与えます。ネットワーキングを目的とした ・既設誘導サイン 16 MICE Japan 2017・1月号 考えるMICEのグローバルスタンダードと日本基準 会場レイアウトは消防法(fire codes)に準拠している必要 がよいでしょう。サステナビリティの観点から、もし会場に があります。たとえば部屋ごとの収容人数、備品の配置など デジタルサイネージのシステムやイーゼルがあれば、まずは も消防法に影響します。指定施工業者が地元の消防署に申請 そちらから使用してください。 (イーゼルというのは絵を描く を行うケースが多いようです。 ときに使用する台のことですが、看板のパネル部分だけを作 会議をプランニングする際に必ず作成するのが会場プラ ればよいこと、繰り返し使用できることから、欧米では看板 ン(site plan)です。常設・仮設すべての要素を盛り込んだ スタンドの代用品として広く使用されています。 ) もので、通常は施工業者などに依頼して CAD で作成しても 会議運営には変更がつきものです。たとえば人気セッショ らうか、専用ソフトで作成するケースもあります。いずれに ンが満室で観客があふれてしまった場合のために、あらかじ しても、縮尺をきちんと取らなければ、予定していた備品が め中継室 (overflow room)を用意しておくことを検討してくだ 設置できなかったということにもなりかねません。会場に催 さい。もしメインホールを総会にしか使用しないなら、総会 事担当者(CSM: convention service manager)がいる場合 以外の時間帯はメインホールを中継室に割り当てることもひ は、会場プランの作成段階から関わってもらうようにしまし とつの方法です。また、会場後方に追加で並べられるよう椅 ょう。 子を用意しておくこともあります。万が一の対応策:コンテ ィンジェンシー・プラン (contingency plan)を用意しておきま セッション会場の割り振りにあたっては、収容人数一覧表 しょう。 (capacity charts)と、セッションごとの想定参加者人数をも また、会場プランが完成したら、会場担当者や映像機材 とに配置します。各会場にはステージや映像音響機器が入る 担当者はもちろんのこと、なるべく多くの関係者にチェッ ことを忘れないでください。順番としては、まず参加者数の クしてもらいましょう。案外、意外な人から絶妙なアイデ 多いセッションから当てはめていくのが原則です。まだセッ アが引き出せたりするものです。そして変更が生じた場合 ション内訳が決まっていない場合は、まず総会など全員が入 には、必ずコアメンバーにフィードバックしましょう。会 場するメイン会場、展示エリア、社交行事エリアの3つを確 期当日にレイアウト変更が生じてしまうケースもあります 定してください。 (会場選定時に決めているケースも多いと が、この場合も「誰にその変更を伝えなければならないか」 思います。 )そのうえで、参加登録エリアやクロークなど、残 を明確にしてください。 りの要素を割り振っていきます。 配置の際に決め手となるのは、それぞれの会場が、そのイ ベントにおいてどのような役割・機能を持っているかです。 運営本部を例に挙げると、なるべく人通りのないエリアに配 置してスタッフ休憩所としての機能を持たせるケース、なる べく人通りの多いエリアに配置して参加者の問合せ先とする ケースの2通りがあります。スピーカー控室は講演会場のな るべく近くに配置することで講演前・講演中のアクセスが容 易になる一方、VIP 控室は静かな場所に配置することでプラ イバシーを確保します。 展示エリアのレイアウトについては会議エリアとは別のル ールがあるため、単独で作成します。展示ブース、飲食エリ ア、展示事務局、インターネットカフェなどを含めるとともに、 通路の幅を明示する必要があります。 会場レイアウト作成にあたっては、群衆管理についても想 定しておく必要があります。たとえば、総会会場前のホワイ エは広々としていて、一見、参加登録エリアに最適であるよ うに見えます。しかしそんなことをすると、参加登録の行列 が総会会場への入場を妨げるというトラブルを引き起こしま す。常に、群衆の動きをイメージしながら配置する必要があ るのです。 会場レイアウトが完成したら、次はサインプラン(看板の 一覧と配置図)です。適切なサインプランを作成するために は、自分自身が参加者になったつもりで会場を歩いてみるの 押さえておきましょう! CMP 用語集(terminology) Attendee profile 参 加者プロファイル (属性) Convention services manager 催 事担当者、CSM Event profile イ ベント概要 Floor plan フ ロアプラン General services contractor(GSC) 指 定サービス会社 Program design プ ログラムデザイン Simultaneous interpretation 同 時通訳 Site inspection 会 場視察 Site plan 会 場プラン Traffic flow 参 加者導線 西本 恵子 Keiko Nishimoto, CMP 日本コンベンションサービス (株) MICE 都市研究所 主任研究員 Convention Industry Council で CMP 試験 問題作成委員および国際標準委員を担当。ICCAアジアパシ フィック部会担当理事。 京都大学経営管理大学院は吉田キャンパスの北西、百万遍 の交差点ぞいにあります。この交差点、経年劣化で看板の 線が1本消えて「白万遍」になっていたことは、あまり知られ ていません。 (現在は修復済み) MICE Japan 2017・1月号 17
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