液体窒素利用テキスト - 群馬県立自然史博物館

液体窒素で極低温を体験しよう
群馬県立自然史博物館には液体窒素製造装置があり、県内の多くの先生方に活用してい
ただいています。(貸出資料として無料で。また、実験セットも用意してあります)
ただし、貸出には、次の条件があります。そこで、安全に液体窒素を活用していただく
ために、液体窒素を用いた極低温の実験を行います。
〈液体窒素を貸し出す条件〉
自然史博物館か県総合教育センターで講習を受けた方、あるいは、研修を受けた方
が学校内にいて指導を受けられること。
◎液体窒素について
沸点- 195.8 ℃、密度 0.808〔g/㎤ 〕。無色透明で流動性が大きい。冷媒として食品
の急速凍結、貯蔵などに用いる。(岩波理化学事典より)
液体窒素を取り扱う際の注意点
1、低温に対する注意
~低温による凍傷を防ぐには~
液体窒素に手で触れても、一瞬ならば、手と液体窒素との間に窒素の気体の層ができる
ので心配はありません。(ただし、包帯や傷テープなどをしている場合は、絶対にしない
こと!)しかし、衣類や軍手などに液体窒素がしみこんで皮膚に触れると凍傷になるおそ
れがあります。また、液体窒素で冷やされた金属などを直接触れると、凍傷になる危険性
があるので、革手袋をして扱います。
☆多量にこぼして身体に液体窒素をあび、衣類や革手袋の内側に液体窒素が入ると危険
です。
☆軍手の使用は危険です。また、革手袋をした手を液体窒素の中に入れると危険です。
☆冷やされた金属などを素手で触れると危険です。
-1-
2、体積膨張に対する注意
~気化する時の体積の増加~
窒素が液体窒素になる時は、約 700 分の1の体積になります。そのため、液体窒素が気
体に変わると約 700 倍の体積になります。もし、密閉した容器に入れておくと、中の圧力
が高まり、たいていの容器は爆発します。したがって、液体窒素の入った容器は絶対に密
閉しないこと!
3、酸欠に対する注意
密閉した狭い部屋で実験していると、空気中の窒素の量が増えて酸欠状態になることが
あります。部屋の換気には、十分注意してください。
4、液体窒素の飛散に注意を
ジュワービンの中の液体窒素に物を入れると、少なからず液体窒素が飛散します。物体
の大きさにもよりますが、徐々に入れることで、飛散を最小限にしてください。
また、液体窒素が目に飛散すくことを最も警戒してください。そのため、実験を行う時
は、子ども達を必要以上に近づけないようにしてください。(目の高さもジュワービンよ
り高くしてください)
5、その他
(1)液体窒素をこぼしたら
あわてず風通しをよくして、そのままにしておきます。
(2)余った液体窒素を捨てるには
グランドなどにまきます。配管などを傷めることがあるので、直接水道の流しには流さ
ないでください。
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館内授業『液体窒素を使った低温実験』(30分コース)
群馬県立自然史博物館
1.温度の測定
・デジタル温度計で液体窒素の温度を測定する。
(液体窒素の沸点はー 195.8 ℃である。)
2.植物を凍らせる。
①
花を凍らせる。
・花を粉々にすると後片づけが大変なので、机の上に新聞紙を敷いて行う。
・花を一度にたくさん液体窒素に入れると液体窒素が突沸するので、少しずつ入れる。
・参加者に花を粉々にさせる時には、革手袋を着用させる。
②
バナナで釘を打つ。
3.ゴムやカラーボールを凍らせる。
・輪ゴムを液体窒素に入れて冷やし、皮手袋をした手で引っぱる。
・カラーボールを液体窒素に入れて冷やし、穴あきお玉を使って床の上に落とす。
・輪ゴムやボールが壊れて飛び散るので、破片が目に入らないように十分に注意する。
4.液体窒素に新聞紙をいれてみる。
・新聞紙は、見た目あまり変化はない。
5.呼気によるふくらませた風船を入れる。
6.二酸化炭素を凍らせる。
・風船に二酸化炭素を封入して試験管に取り付け、液体窒素に入れる。
7.酸素を液化させる。
・風船に酸素を封入して試験管に取り付け、液体窒素に入れる。
・液体の酸素は青色をしていることを確認する。
・液体の酸素の中に火のついた線香を入れ、観察させる。
8.液体窒素を手の甲に垂らしてみる。
・指導者が演示し、希望する参加者に体験をさせる。
・手のひらだと握ってしまうことがあるため、危険である。
・液体窒素が衣服や靴下に入り込むと凍傷の可能性があるので注意する。
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液体窒素を使った実験
1
液体窒素運搬容器からジュワービンに液体窒素を入れる
(1)用意するもの
液体窒素運搬容器、ジュワービン
(2)方法
・一度に注ぐとビンが割れて、液体窒素が室内にまかれるおそれがあります。
・ビンの1/4程度入れ、気泡がおさまってから次の1/4を入れていきます。
*液体窒素をビンから捨てても、ビンが冷えている状態では水洗いをしないで下さい。
ビンが割れてしまいます。ビンが常温になるまで待ち、湿った布で拭く程度で大丈夫
です。
2
液体窒素の温度を測定する
(1)用意するもの
液体窒素、ジュワービン、サーミスタ温度計
(2)方法
・サーミスタ温度計のセンサーを液体窒素の中に入れ、温度変化を見る。
*液体窒素の温度(沸点)は- 195.8 ℃ですが、これは1気圧の時の温度です。そのた
め、サーミスタ温度計の液晶は、この温度にならないことが多いです。
3
液体窒素の中に花を入れる
(1)用意するもの
液体窒素、ジュワービン、革手袋、花
(2)方法
・革手袋をした手で茎の先端を持ち、ジュワービンの中の液体窒素に、花を少しずつ入
れていく。
・泡が出なくなったら液体窒素の中から花を取り出す。
・革手袋をした手で、花を触る。
4
液体窒素の中に指を一瞬入れる
(1)用意するもの
液体窒素、ジュワービン
(2)方法
・液体窒素の中に、指を一瞬入れる。
*液体窒素は指からよけていく感触があります。
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*一瞬ならば、手と液体窒素との間に窒素の気体の層ができるので心配はありません。
(ただし、包帯や傷テープなどをしている場合は、絶対にしないこと!)
*指は液体窒素に垂直に入れ、垂直に出す。指を出す際に、ジュワービンをたおさない
ように注意。
5
液体窒素の中にバナナを入れる
(1)用意するもの
液体窒素、ジュワービン、革手袋、釘、木片、バナナ
(2)方法
・革手袋をした手でバナナを持ち、ジュワービンの液体窒素の中に、バナナを少しずつ
入れる。
・泡が出なくなったら液体窒素の中からバナナを取り出す。
・革手袋をした手でバナナを持ち、木片に釘を打ち込む。
6
液体窒素の中にカラーボールを入れる
(1)用意するもの
液体窒素、ジュワービン、革手袋、ピンセット、カラーボール
(2)方法
・常温の状態で、カラーボールが弾む様子を見る。
・カラーボールをピンセットではさみ、ジュワービンの液体窒素の中に少しずつ入れる。
・泡が出なくなったらピンセットを使ってカラーボールを取り出す。
・革手袋をした手でカラーボールを持ち、床に落とす。
*床に落とす場所から子ども達を少し離れさせる。
*結構大きい音が出る。
7
酸素の液化
(1)用意するもの
液体窒素、ジュワービン、、革手袋、試験管、風船、酸素ボンベ
(2)方法
・酸素を風船に入れ、試験管の口にその風船を取り付ける。
・試験管の1/4くらいを液体窒素の中に入れる。
(注意)実験中、風船を試験管からはずなさいこと!すべて気体にもどしてから(風
船がもとの大きさまでふくらんでから)、風船をはずしてください。
*参考
酸素の沸点(液体になる温度)
- 183 ℃
酸素の凝固点(固体になる温度)
- 218.9 ℃
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8
二酸化炭素の昇華
(1)用意するもの
液体窒素、ジュワービン、革手袋、試験管、風船
二酸化炭素ボンベ
(2)方法
・二酸化炭素を風船に入れ、試験管の口にその風船
を取り付ける。
・試験管の1/3くらいを液体窒素の中に入れる。
・泡が出なくなったら風船をはずす。
・試験管の中のドライアイス(固体の二酸化炭素)を取り出す。
*試験管の外側を息で暖めるとはやく取り出せる。
9
金属の電気抵抗
(1)用意するもの
液体窒素、ジュワービン、革手袋、電池、コイル
豆電球付きオルゴール
(2)方法
・豆電球付きオルゴールと電池、コイルをつなぐ。
(注意)赤と赤のコード、黒と緑のコードをつな
ぐ。
・コイルを液体窒素の中に入れる。
(注意)液体窒素が沸騰し、飛び散ります。
・コイルが冷えてきた時の電球の明るさやオルゴー
ルの音の変化を調べる。
・コールを液体窒素からだし、コイルの温度を常温
にもどす。その時の電球の明るさやオルゴールの音
の変化を調べる。
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10
鉛のベルの実験
(1)用意するもの
液体窒素、革手袋、ジュワービン、鉛のベル
(2)方法
・鉛のベルを液体窒素に入れ、十分に冷やす。
(泡が出なくなるまで)
・常温の鉛のベルと冷却した鉛のベルとの音の違いを
調べる。
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