業務委託調達仕様書 目次 業務委託調達仕様書 ........................................................ 1 1 件名 .................................................................. 1 2 業務概要 .............................................................. 1 3 履行期間 .............................................................. 1 4 税務総合情報システムの現状と課題 ...................................... 1 (1) 税務事務機械化のあゆみ .............................................. 1 (2) 税務総合情報システムの現状 .......................................... 5 (3) 税務総合情報システムの課題 .......................................... 8 5 業務内容 ............................................................. 11 (1) 前提条件 ........................................................... 11 (2) 基本方針 ........................................................... 11 (3) 新システムのシステムイメージと全体スケジュール ..................... 14 (4) 作業内容と成果物 ................................................... 17 6 本調達の要件 ......................................................... 40 (1) 受託者の要件 ....................................................... 40 (2) その他の作業の要件 ................................................. 41 (3) 本調達の前提条件 ................................................... 42 1 件名 税務総合情報システム再構築に向けた要件調査 2 業務概要 本件要件調査は、現在名古屋市において、市税事務所、出張所そして収納管理・ 特別徴収事務センターにおいて一般に大型汎用機若しくはメインフレームと言わ れている大型電子計算機(以下、「ホストコンピュータ」という。)において構築・ 運用されている市税の賦課・徴収システム(以下「税務総合情報システム」という。) を用いて実施されている本市の税務事務に関して、平成 28 年度に実施した基本調 査を踏まえ、以下に示す事項に関して、要件調査を実施するものである。 (1) システム再構築のための要件調査 (2) 証明・照会システム先行開発のための要件調査 3 履行期間 契約締結の日から平成 30 年 3 月 31 日まで 4 税務総合情報システムの現状と課題 (1) 税務事務機械化のあゆみ ア PCS(パンチカードシステム)の時代 昭和29年度~昭和40年度 税務事務の機械化の歴史は昭和29年度まで遡る。昭和29年度には、本市に名 古屋市税務計算事務所が設置され、市県民税(普通徴収)及び固定資産税の税額 計算事務に関して、厚手の紙に穴をあけたパンチカードを、物理的な結線を行 うことで四則演算をプログラムできる専用の機械(タビュレーティングマシン) を通すことにより分類集計を可能とするパンチカードシステム(PCS)を利 用して機械化された。 イ バッチ処理(電子計算機処理)の始まり 昭和41年度~昭和58年度 昭和41年度本市に電子計算機が導入され、市県民税(普通徴収)及び固定資産 税事務の計算事務はパンチカードシステムを利用した機械化から電子計算機を 利用したバッチ処理(一括処理)に移行した。 パンチカードシステムを利用した業務の機械化は、新たな事務を機械化する 場合、プラグボードという専用の部品に四則演算を行うための物理的な結線を 施す作業を実施する必要があった。このため、パンチカードシステムを利用し 1 た機械化は、大規模の事務改善でないと採算が取れず機械化の対象範囲が広が らなかった。 これに対し電子計算機を利用した事務改善は、パンチカードシステムと異な り物理的な配線の変更を必要とせず、新たにプログラムを作成することで実現 可能となった。この結果、昭和52年度には市税収納事務が、翌53年度には軽自 動車税事務がそして昭和58年度には市県民税(特別徴収)の賦課収納事務が電算 化された。 ウ バッチ処理の円熟期 昭和59年度~平成9年度 この昭和58年度に実施された市県民税(特別徴収)の電算化で、税額の計算 事務等の合理化を目的とした税目単体の電算化は完了し、これ以降の電算化は 電子計算機の性能向上と相まって、業務の質の改善・向上を目的としたシステ ム化へと質的転換期を迎えたものと考えられる。 昭和61年度には、各税目の収納情報を、あて名情報をキィーにして名寄せす ることで税目間を共通して滞納情報の管理を可能とする市税滞納管理業務が電 算化され徴収事務の効率化が図られた。これは、従来の職員の事務作業をその まま機械化する合理化から電算処理技術の向上に伴う新しい事務処理の創造の 側面を持つものと言える。いままでの職員による手作業では事務処理に要する 作業量がかかりすぎるため実現できなかった税目を横断したあて名情報の名寄 せに関して、電子計算機を利用することで可能とし、納税者単位に滞納情報を リストアップすることで、税務事務の合理化・効率化を実現したものである。 また、平成元年度には、従来カナ文字で管理されていた納税者のあて名情報 が漢字化され、納税者への通知書類、各種台帳が漢字化され、税務事務におけ る市民サービスの一層の向上が図られた。 平成2年度には住民基本台帳事務がオンラインシステム化され、住民異動情報 が税のあて名情報にシステム連携されることとなった。このことにより職員が 手作業で実施していた住基異動に伴うあて名の異動更新作業が電算化され、事 務の効率化が進んだ。 さらに平成3年度には、市民税業務の電算処理に関して抜本的見直しが行われ 再構築された。 これら電算処理の対象の拡大による処理業務の増大化、運用時間の長時間化、 オンライン処理、データベース処理等のシステム技術の高度化そして電算シス テムを構築し維持するための技術を有する要員の養成・確保等の電算処理を取 り巻く課題を踏まえ、従来本市職員が維持管理してきた税務事務の電算処理の 運用・保守、改善業務に関して、平成5年度より外部の専門業者に業務委託され ることとなった。 2 エ バッチ処理からオンライン処理へ 平成5年度~平成13年度 税務総合情報システムは平成5年度、6年度2年間をかけてシステム要件等 の調査を実施した後、平成7年度より平成13年度までの7年間をかけて第1次か ら3次までの3つの区分に分けてシステム開発が行われた。 システム開発は計画通り実施され、第1次開発分として平成10年10月にあて 名、市民税業務が、平成11年4月に収納整理、滞納管理業務が稼働を開始し、 第2次開発分として平成12年10月に固定資産税(土地、家屋)が稼働を開始し、第 3次開発分として平成13年9月に軽自動車税、同年10月に固定資産税(償却資 産)、法人市民税、事業所税、平成14年3月に特別土地保有税、同年4月に市た ばこ税が稼働を開始した。 ■表4-1 平成7年 システム開発スケジュールと業務別稼働時期■ 平成8年 平成9年 第1次 開発 平成10年 平成11年 平成12年 ▲ ▲ 04 収納整理 10 あて名 10 個人市民税 04 滞納管理 ▲ 10 固定資産税 (土地・家屋) 第2次 開発 第 3次開発 平成13年 平成14年 09 軽自動車税 10 固定資産税 (償却) 10 法人市民税 10 事業所税 ▼ ▲ 03 特別土地保有税 04 市たばこ税 オ オンラインシステムの運用期 平成14年度~ 税務総合情報システムは、平成10年10月のあて名業務、個人市民税業務がオ ンラインシステム化されたのを嚆矢に、平成14年4月の市たばこ税の運用開始 をもって、すべての業務についてオンラインリアルタイムシステムによる運用 が開始された。 また、平成18年1月より、それまで2台のホストコンピュータで実施され ていた本市の基幹業務システムに関して、1台のホストコンピュータと2組の サーバ群にシステム分割され運用されることとなった。 税務総合情報システムに関しては、従来のホストコンピュータよりダウンサ イズされたホストコンピュータとバックアップ用のUNIXサーバによる運用が 3 開始された。 カ 市税電子申告業務 平成17年度~ 新しいIT国家基盤として電子政府の実現等を重点政策とするIT基本戦略 に基づき地方税における手続きをインターネット経由で電子的に行うことで納 税者の利便性の向上と税務行政の高度化・効率化を図る目的で、都道府県と指 定都市等で組織した地方税電子化協議会が主体となり、地方税ポータルシステ ム・eLTAX(エルタックス)の開発が行われ、平成17年1月より運用が開始さ れた。 本市は、平成18年1月より、法人市民税、固定資産税(償却資産)において申告 業務を開始した。以降地方税電子化協議会のサービス拡充に合わせて、対象税 目の拡充を行い、平成20年1月に個人市民税、事業所税を市税電子申告の対象 とし、現在4つの税目で電子申告を実施している。 キ 税務事務の集約化 平成22年度~ 平成22年4月より16区5支所で実施されていた市税の賦課徴収業務が3市税事 務所3出張所に集約化された。 税務総合情報システムに関しては、平成20年度、21年度に集約化のシステム 改修を実施している。 なお、税務事務の集約化に合わせて、税務総合情報システムのシステム端末 に関して、税務情報の重要性を鑑み、システム端末に情報を保有しないシンク ライアントシステムの導入を実施している。 ク マイナンバー制度対応 平成27年度~ 平成26年度、27年度の2年度にわたり税務総合情報システムに対してマイナ ンバー制度に対応するためのシステム改修を実施し、平成28年1月より税務総 合情報システムにおけるマイナンバーの利用を開始した。 このマイナンバー利用開始時期に合わせて、システム端末の更新を実施した。 平成22年度から利用しているシンクライアントシステムに加えて顔認証システ ムを利用してシステム操作者の常時監視を行う常時監視機能やICカードを利用 してプリント認証を行うことで印刷物の誤配布を防ぐセキュアプリント機能等 を導入することで、税務総合情報システムのセキュリティ機能の充実・強化を 図っている。 4 ケ システム再構築 平成28年度~ 平成28年度、システム構築開始から20年を経過した税務総合情報システムに 関して、システム再構築に向けた基本調査を実施し、抜本的な税務総合情報シ ステムの再構築に向けた準備作業に着手した。 (2) 税務総合情報システムの現状 ア システムの概要 税務総合情報システムは、① 税務証明の即時発行、② 証明窓口の広域化 等の住民サービスの向上、③ 事務処理の迅速化・正確性の向上等の事務の効 率化そして ④ 税務調査事務の充実を目的として構築されたホストコンピュ ータを利用したオンラインリアルタイム方式の情報システムである。 処理形態としては、ホストコンピュータ搭載のプログラム群とシステム端末 (WindowsPC)搭載のプログラム群が庁内LANを通じて情報交換することで処 理を実施するホストコンピュータをサーバとしたサーバクライアントシステム として構築されている。 税務総合情報システムは、税務事務の中核業務を行う基幹システムと基幹シ ステムの負荷分散を図る目的でサーバを用いて構築されたサブシステムからな る。 イ システムの規模 システムの規模としては、栄、ささしま及び金山市税事務所における各課・ 室・出張所を中心に1,155台のシステム端末を配備し、約31,000本のプログラム、 約1,300の帳票、約1,200の画面を要する極めて大規模な情報システムとなって いる。 また、オンラインリアルタイムの運用に付加して、日次、週次、月次、年次 そして随時の処理として約1,700の処理をスケジューリングして運用を行って いる。 利用部署は、栄、ささしま及び金山市税事務所における各課・室(各市税事 務所出張所及び各区・支所税務窓口を含む。)、税務部税制課、市民税課、固定 資産税課、収納対策課及び収納管理・特別徴収事務センターである。 主要機器の概要は表4-2のとおりである。そして、システムの規模は、表4-3 から4-5のとおりである。 また、平成13年度以降の税務総合情報システムが利用している機器の導入状 況は表4-6のとおりである。なお、平成30年1月以降に始期を向かえる線表は平 成34年1月より新システムに移行することを前提とした場合の予定である。 5 ■表4-2 主要機器■ 機器 台数 (台) ホストコンピュータ 1 ホスト関連サーバ(Windows) 8 ホスト関連サーバ(LINUX) 1 22 保守用端末 1 証明バックアップサーバ(UNIX) 54 1,155 1,248(1,135) (仮想端末1,042) 端末管理用サーバ(Windows) 同時利用可能端末機 端末機(うちシンクライアント端末機) ※予備用・開発用を含む。 ■表4-3 プログラム資産の規模■ ホストコンピュータ システム端末 8,570 3,310 プログラム数 ステップ数 ステップ数/ プログラム数 サーバ 他 計 18,901 30,781 5,403,878 2,156,741 2,098,580 2,003,373 11,662,572 630.56 651.58 111.03 378.89 (平成28年1月時点) ■表4-4 画面数・帳票数■ 帳票数 1,291 画面数 バッチ処理 1,183 オンライン処理 796 495 (平成28年1月時点) ■表4-5 バッチ処理の状況■ 日次 週次 月次 年次 随時 計 ホスト 87 39 170 1,046 237 1,579 サーバ 13 25 25 46 1 110 計 100 64 195 1,092 238 1,689 (平成28年1月時点) 6 ■表 4-6 平成 13 年度以降のシステム機器の導入状況(予定も含む。)■ 7 (3) 税務総合情報システムの課題 現在本市が認識している税務総合情報システムが有している課題は以下のとお りである。 本件調査においてはこの課題を委託者・受託者が共有した上で、受託者は委託 者の指示のもと要件調査を行い、受託者が有するICTに関する業務知識及びぎょ うむのうはうkに基づく知見等を駆使して、システム再構築に向けて最適となる 業務機能要件の整理を行い調達仕様書・評価基準等の作成を求めるものである。 ア システムの老朽化 (ア) 保守性の低下 平成29年度、税務総合情報システムは、平成10年10月にあて名、個人市民 税業務のシステム稼働から数えて19年目を迎える。平成7年の開発当初から起 算すれば平成29年度に22年、第3次開発で、最も新しい市たばこ税の稼働時期 から起算しても16年を経過することとなる。 この間、毎年税制改正に伴うシステム改善を行い、事務の集約化、市税事 務所化に対応した際には、業務システムの根幹ともいうべきデータベースの キィー項目の追加を伴う大規模なシステム改修も実施している。さらに平成 26年度から平成27年度にかけてマイナンバーに対応するための大規模なシス テム改修を行なっている。 この大規模なシステムの運用管理を、40人を超す外部委託先技術者が、 ① システム運用計画の策定、 ② 計画に基づく処理の登録と点検、 ③ 処理の実行監視、 ④ 結果確認 のシステム作業を日次、週次、月次、年次そして随時に繰り返すことで実 施する極めて保守作業が煩雑なシステムとなっている。 税制改正対応、マイナンバー制度対応、市税電子申告対応等に伴うシステ ム改修は今後も継続するため、システムの肥大化・複雑化による保守性の低 下は年々増していくものであり、システムの運営に必要となる経費は年々増 加していくことが見込まれている。 8 (イ) 障害抑止のためのコストの増加 現在の税務総合情報システムの保守運用作業においては、システムの安定 稼働を実現する取組として、システム改善作業を実施する工程において、各 作業工程で必ずレビューを行うことで、仕様の見落としや作業ミスを抑止し システムの安定運用を図っている。例えば、設計段階から製造段階、製造段 階からテスト段階等の下流工程に移行する際に必ず作業内容に関して別の技 術者及び上長によるレビューが実施されシステム作業の正確性・正当性を確 保している。 税務総合情報システムの運営にあたっては、安定した税務行政の遂行のた めには、システム障害抑止の取組は継続強化していく必要があり、税制改正 等外的な要因に伴うシステム規模の増加、システム構造の冗長化・複雑化に 伴い、障害抑止のためのコストも年々拡大していくことが見込まれている。 イ システム技術の陳腐化 現行の税務総合情報システムは、ホストコンピュータ上で構築された大規模 システムであり一般にレガシーシステムに分類されるシステムであると考えて いる。 レガシーシステムとは、 「レガシー」が「遺産」、 「遺物」という意味で、コン ピュータメーカ独自の設計思想で構築されたホストコンピュータ上に構築され た旧式の大規模システムを意味する。 税務総合情報システムは、昭和の時代に設計されたホストコンピュータ上に 構築されたシステムであり、そのシステム技術は現在主流となっているWEBシ ステムやリレーショナルデータベース(RDB)技術等の最新のICT技術に対応 していないが故に以下に示す課題を有している。 (ア) データ連携の複雑さ ホストコンピュータは独自のアーキテクチャ(コンピュータの設計思想) に基づくハードウェアとオペレーティングシステム及びデータベース・デー タ通信システムにより構築されており、その内部コードは非開示である。 本市が利用しているホストコンピュータの内部の文字コードは、コンピュ ータメーカ独自のJIPS(Japanese Infomation Processing System)と呼ばれる 日本語処理システムで管理されている。このJIPSは現在わが国のコンピュー タのオペレーティングシステムの主流となっているWindowsやLINUXに実装 されている文字コードに対応しておらず、これらの情報機器に情報連携する 際には必ずホストコンピュータメーカが提供する変換ソフト若しくは専用機 器を経由して、文字コード等の変換を行う作業が必要となっている。 9 (イ) 新しい技術への対応の困難さ 本市が利用しているホストコンピュータは現在の情報システムの主流とな っているインターネットやWEBシステム、RDB技術等のICT技術に対応して いない。そのため、これから国が進めようしている「マイナポータル」や「地 方税電子申告」等の電子自治体の取組に対応するためには、ホストコンピュ ータ上のシステムとは別に、Windows 若しくはLINUX上にシステムを構築 し、ホストコンピュータとデータ連携する仕組みを構築し、運用する必要が 生じている。 (ウ) 成熟した技術基盤 わが国のホストコンピュータ市場は縮小傾向にある。一般社団法人電子産 業技術協会が国内のサーバやホストコンピュータの出荷状況を集計した統計 資料によれば、直近の統計数値である平成27年度のホストコンピュータの数 値を20年前の平成7年度と比較した場合、台数ベースで約13分の1に、金額ベ ースで21分の1に縮小している。 今後ホストコンピュータのメーカーがどの時点までホストコンピュータの 出荷・技術サポート等を継続していくか見通せる状況にない。 (エ) システム技術者の不足 現在本市のホストコンピュータによるシステム保守・運用・改善業務に従 事している業務委託先のシステム技術者の平均年齢は約47歳である。ホスト コンピュータの市場規模が縮小していることから、システム技術者が新たに 養成されている状況にはなく、ホストコンピュータを利用したシステム運用 を行っていった場合、5年先にはシステム技術者の確保が困難になっていくも のと予測される。中長期の視点で見た場合、システム技術者の不足はシステ ム安定運用の根幹にかかわる重要な課題となっていくことが見込まれてい る。 ウ 大規模災害時の業務継続 税務総合情報システムを運用しているホストコンピュータは、完全受注生産 であり、市場に在庫がないため通常時においても発注から6か月程度の納期が 必要とされている。また、この地域には本市と同じホストコンピュータを利用 して電算処理業務を受託している事業者も存在しない。 これらのことから、今後大規模な自然災害等が発生し、電算センターに被害 が及びホストコンピュータの再調達が必要となった場合、6か月以上に渡り本市 の税務事務の運営に支障が生じる可能性を有しているものと考えられる。 10 5 業務内容 (1) 前提条件 受託者は、平成28年度に本市が策定した「システム再構築基本計画」(以下「基 本計画」という。)に準拠し、本件要件調査を実施していくものとする。 なお、要件調査を実施して行く過程において、この基本計画に基づきシステム 再構築を進めることが、ICT技術的に不可能であると判断された場合、費用対効 果の点から最適なシステム再構築が実現できないと判断された場合、現行の税務 総合情報システム(以下「現行システム」という。)から再構築後の税務総合情報 システム(以下「新システム」という。)への円滑なシステム移行を実現するため に必要と判断された場合、等合理的な理由がある場合においては、受託者は委託 者と協議の上、基本計画の見直しを提案する責務があるものである。 (2) 基本方針 本件要件調査の目的であるシステム再構築を実施する上での基本方針を以下に 示す。 受託者はこの基本方針を踏まえ、本件調査業務を遂行する上においては、平成 30 年以降のシステム再構築事業者が、これらの方針を実現させるために必要とな る要件調査を行い、この基本方針を充足した調達仕様書(案)を作成する必要があ る。 ア オープンな標準の採用 IT ベンダ独自の技術を採用せず、できる限り国際規格・日本工業規格等のオ ープンな標準に基づく技術を採用したシステムとする。 本システムの要件に適合する場合にはオープンソース製品、パッケージソフ トウェアの活用も可とする。 このことを実現するため、コンピュータメーカ独自のアーキテクチャでの構 築されているホストコンピュータを利用したシステム再構築提案は行わないこ と。 また、ホストコンピュータ上のプログラム、データ等の資産に対して変換ツ ール等を使用して何ら業務見直しをすることなく、すべての機能を一律にオー プンシステムへ移行するリホストの手法は、現行システムが有している課題を 新システムに、そのまま引き継ぐことになるため今回の再構築の目的・趣旨に 反するため採用しないこと。 イ ライフサイクルコストの抑制 柔軟性、拡張性及び運用保守性の高いシステムとすることにより、運用開始 以降の運用保守費用及びシステム改修費用等のライフサイクルコストの抑制を 図ること。 また、システムの調達プロセスまで踏み込んだシステム提案を行うことで、 11 システムの構築、保守・運用、システム改善そしてハードウェアの機器更新に 伴うシステム移行作業のシステムライフサイクル全般にわたるライフサイクル コストを最小化するシステム提案を行うこと。 ウ 高いセキュリティレベルの確保 現行システムのセキュリティ対策の現状を踏まえ、わが国における情報シス テムを取り巻くセキュリティインシデントや再構築後のシステムに適用される ICT 技術のセキュリティ上の脆弱性等の情報を採取し、現行システムが実現し ているセキュリティレベルと同等以上のセキュリティレベルを確保できるシス テム提案を行うこと。 エ 現行システムから新システムへの円滑なデータ移行の実現 市税の賦課徴収事務は本市が市民に対して実施している行政サービスを実施 していく上で必要となる基礎的業務であり、現行システムから新システムへの システム移行の遅滞、遅延は決して許されない。 また、この税務総合情報システムで管理している税務情報は市民からお預か りしている極めて重要な財産であり、現行システムから新システムの移行の過 程において、税務情報の毀損やプログラムミスによる流出等の処理誤りも決し て許されないものである。 これらのことから、税務総合情報システムの再構築において、現行システム から新システムへの移行は、再構築の成否を左右する重要な要因となる。新シ ステムの構築作業段階に応じたシステムのテスト計画の構築と同時並行に現行 システムから新システムへの円滑なデータ移行計画を建て、システム構築時に は 2 回以上のデータ移行リハーサルを実施し、着実なデータ移行を実現するこ と。 オ 効率的な再構築方法の実現 税務部門に配置される職員数は現行システムの開発時点に比べて、税務総合 情報システムの稼働や税務事務の集約化を受けて大幅に減少している。さらに、 現行システムのシステム構築は、仕様の作成と受入テストが財政局の税務部門 で行い、システム開発を総務局の情報管理部門が実施する2局体制で実施した ものであるが、新システムの構築においては、すべての作業を税務部門で実施 する必要が生じている。そのため、新システムの構築段階においては、構築に 要する内部職員の手当が現行システムの構築時点に比べて難しい組織状況にあ る。 また、現行システムが稼働するまでの税務処理の電算処理システムに関して は、本市職員が仕様作成からプログラム製造テスト運用まで一貫して実施して おり、本市に電算処理自体の構築のノウハウが蓄積していたのに対して、開発 12 段階から 20 年以上経過した現行システムに関しては、税制改正等に対応するた め等のシステム改善を繰り返した結果、本市税務部門には税制改正等に対応さ せるためのシステム改善のノウハウは蓄積されているものの、現行システムの 開発以降新システムの開発までの 15 年間に新規にシステム開発を実施した経 験がないため、システムの新規開発のノウハウを有する職員が払底している状 況にある。 さらに、平成 7 年度当時に比べて近年の税制改正の現行システムに与える影 響は大きくなっており、新システムの構築の最終段階においては規模の大きく なった税制改正対応を現行システムと新システムの両システムに適用する必要 も生じてくるものである。 これらのことに対応するため、税務総合情報システムの再構築に向けたシス テム提案を作成する際には、極力効率的な再構築手法の確立に努め、新システ ムが管理するプログラム、帳票及び画面等の情報資産の縮減を図ると共に本市 職員の作業量の極小化を図ること。 カ 市税事務所を前提としたシステム提案の実施 現行システムは、区役所において税務事務を実施していた時代に構築された システムを税務事務の集約化に合わせてシステム改修を実施したシステムであ る。システムの再構築においては、市税事務所に集約された税務事務の実態を 踏まえ、現行システムの制約に囚われることなく税務事務の構築が可能となる。 新システムのシステム提案に際しては、本市が提供する現行システムの事務 処理フローやシステム操作マニュアル等のドキュメント等の調査・分析作業、 税務部門の職員にヒアリングを行うこと等の作業を通じて、市税事務所を前提 としたシステム提案を実施すること。 13 (3) 新システムのシステムイメージと全体スケジュール 現時点で委託者が想定しているシステムイメージとシステム再構築に向けた全 体スケジュールは以下のとおりである。 ア 新システムのシステムイメージ システムの概念図(案)及びシステムイメージは、図5-1、図5-2のとおりであ る。新システムは税目・機能単位に個別に作られた業務システムを共通基盤シ ステムで連携することで構築することを想定している。 この共通基盤システムは、新システムにおいて、現行システムにおける通信 制御機能やデータベース管理機能を代替する目的で導入されるものである。 ■図 5-1 新システムのシステム概念図(案)■ 新システムには現行システムには有していない2つのシステム機能が追加されるこ 14 ■図 5-2 新システムのシステムイメージ■ 15 イ 共通基盤システム 税目単位、機能単位に独立して実行できる形式で構築されるサブシステムの税目間 の情報連携、処理の連携を実現するために新たに構築される情報連携、システム資産 の共同運用を実現する基盤システムである。 共通基盤システムを、地域情報プラットフォーム等の地方公共団体に標準的に利用 されているよりオープンな共通規格に準拠して開発することにより、より競争原理の 働くシステム調達が可能となる。 現在想定している新システム上の共通基盤システムに必要となる機能は下記のと おりである。 ・あて名情報、賦課情報等の共通情報のサブシステム間の即時連携機能 ・データベースサーバ機能 ・WEB サーバ機能 ・ロードバランサー(負荷分散)機能 ・運用管理機能 ・職員認証、権限管理機能 ・統合バッチ処理機能 ・大量帳票出力機能 ・外部とのデータ交換機能 なお、パッケージシステム等を利用したシステム提案がされる場合においては、共 通基盤機能としてオープンな規格でデータ連携等が実現されれば、必ずしも共通基盤 システムとして別建てのシステムが必要となるものではない。 ウ 証明・照会システム 現行システムにおいては、ホストコンピュータに障害時の業務継続を目的として証 明バックアップシステムを開発し運用している。 この証明バックアップシステムは、ホストコンピュータの障害時に最低限の市民サ ービスを確保するために、証明・照会機能に限定してホストコンピュータのシステム をUNIXサーバにリホストして構築されたシステムである。 業務継続の強化を図る目的で、この証明バックアップシステムの機能に関して税務 総合情報システム本体の再構築から切り離して、ホストコンピュータに横付けする形 式で先行して開発する。 新システムに移行した後は、新システムのシステム機能を踏まえ、現行システムと 同様に新ステムから証明・照会データを移行する形式で証明・照会システムを運用す る方式、もしくは新システムに証明・照会システム機能を移植し、システム機器を冗 長化する方式のいずれかで証明・照会システム機能の継続を予定しているものである。 証明・照会システムは、ホストコンピュータから日時処理で証明・照会業務に必要 となる情報を移行し、その情報を基に税務情報を検索し、証明書を発行する機能を有 16 する民間のデータセンターに設置されるスタンドアロンの WEB システムを想定して いる。 本件要件調査においては、税務総合情報システムの再構築に向けた要件調査とは別 に、先行して開発を予定している証明・照会システムに関しての要件調査も併せて実 施するものである。 エ 全体スケジュール 現時点で想定しているシステム再構築に向けた開発スケジュールは、図5-3のとお りである。 ■図5-3 全体スケジュール■ (4) 作業内容と成果物 本件業務委託で受託者が実施すべき作業内容と成果物は以下のとおりである。本件 作業内容は、委託者が要件調査開始時点において本市の税務総合情報システムを再構 築し、あるいは証明・照会システムを新規開発するための要件調査と調達仕様書を作 成する際に必要となると想定した作業項目である。 受託者は、本件調査を受託した時点において若しくは本件調査を実施して行く過程 において、受託者が有するICTに関する業務知識及び業務ノウハウに基づく知見に基づ き、税務総合情報システムの再構築を円滑・効率的に実施していく上で、下表に掲げ る作業内容以外にも調査が必要となる調査事項があると判断された場合においては、 その調査事項に関して、目的、作業内容、納期、成果物、スケジュール等に関して委 託者と協議の上、調査を進める必要があるものとする。 17 ア プロジェクト管理・業務支援 受託者は、本件契約の進捗管理を行うと共に、本市の税務総合情報システム再構築 業務全般にかかわる技術的支援を行う。受託者に求める事項は下表のとおり。 ■表5-1 受託者が実施する作業内容と成果物■ ① プロジェクト計画の作成 目 的 ・要件調査業務の進捗管理の基本資料とするため。 作 ・受託者は契約締結後速やかに契約期間内に効率的・効果的に本件受託業務を実施 するプロジェクト計画を作成し、委託者の了承を得ること。 業 内 容 納 期 成 果 物 ス ケ ジ ュ ー ル ・プロジェクト計画書は、作業の実施内容、作業環境、実施体制、役割、作業スケ ジュール、成果物等本件調査業務を実施する上で必要となる作業事項を網羅して 作成すること ・契約締結後2週間以内 ・プロジェクト計画書 平成29年 4月 5月 6月 7月 8月 平成30年 9月 10月 11月 ② 進捗報告 目 的 ・要件調査業務の進捗管理の基本資料とするため。 作 業 内 容 1月 2月 3月 ・受託者は月次で受託内容の作業進捗情報の報告を実施すること。 ・委託者に求めに応じ、適宜作業内容の報告を行うこと。 納 期 ・月次 成 果 物 ・業務進捗報告書 ス ケ ジ ュ ー ル 12月 平成29年 4月 平成30年 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ 18 3月 ▼ ③ 目 的 システム再構築作業に向けた事務支援 ・税務総合情報システムの再構築をより円滑に効率的に実施するため。 ・本市では、新規にシステム構築するシステムに関して、行政内部に設置されてい るNAIS審査会により審議を受ける必要がある。受託者は、NAIS審査会で審議さ れる資料作成に関して、委託者の求めに応じて技術的助言を行うこと。 ・NAIS審査会における、技術的助言の内容は本件要件調査業務における受託者の調 査事項に限られるものとし、技術的助言のみに新たな調査事項が発生するもので はないものとする。 ・NAIS審査会の開催前に実施されるCIO補佐監のヒアリングに委託者とともに出席 し、CIO補佐監の求めに応じてシステム内容の説明を行うこと。 作 業 内 容 ・受託者が同席するCIO補佐監のヒアリング対応は、原則1回とし、最大2回を限度 とする。 ・本市においては平成29年度システム再構築に合わせて業務見直しを実施するた め、システム共通事項や業務の固有事項そして組織体制に関して部内に検討会を 設置し、月1回程度検討会を開催していく予定としている。受託者は、この検討 会の求めに応じて技術的支援を行うと同時に検討会にITベンダが保有するパッケ ージシステムや他都市の税務システムのシステム事例や事務改善事例等の情報 提供を通じて検討会の議論を深め、本市の実施するFIT&GAP作業を通じた事務 改善に協力すること。 ・受託者は委託者の求めに応じ、本件調査業務の作業進捗等を幹部職員に説明する こと。 ・幹部職員に対する説明会の実施は、年3回までとする。 納 期 ・平成30年3月31日 成 果 ◇作業実施報告書、◇議事録等 物 ス ケ ジ ュ ー ル 平成29年 4月 5月 6月 7月 8月 平成30年 9月 19 10月 11月 12月 1月 2月 3月 イ システム再構築のための要件調査 平成28年度に本市が実施した税務総合情報システム再構築に向けたRFI (Request For Information、資料提供招請)の結果、国内の大手ITベンダー3社より 異なった再構築手法による再構築提案がなされている。 このことを踏まえた場合、本市の税務総合情報システム再構築のための要件調査 と調達仕様書の作成作業においては、現行システムの機能要件を整理して、新たな システム課題に対する対応策を付加した業務機能要件書を作成して調達仕様とす るだけでは不十分となる。本市が新システムに求める機能要件と本市のシステム再 構築に参加を希望する情報提供者のシステム提案内容のすり合わせ(FIT & GAP作 業)を行い、本市のシステム再構築にできるだけ多くの事業者が参入可能な機能要 件にブラッシュアップした業務機能要件書を作成し、調達仕様書を作成していく必 要があるものと考えている。 本市が想定しているシステム再構築のための業務機能に関する要件調査業務の 進め方と作業スケジュールは図5-4「システム再構築のための業務機能要件調査の 進め方(想定) 」及び図5-5「システム再構築のための業務機能要件調査作業スケジ ュール(想定)」のとおりである。 受託者はこの進め方と作業スケジュールを踏まえ、表5-3に掲げる事項を実施す るものとする。 また、この税務事務の業務機能の要件調査と並行して、業務機能以外のサーバ、 ネットワーク、システム運用・保守作業、システム改善作業等のシステムを運営す るために必要となる機能要件(以下、 「システム等機能要件」という。)に関しても、 要件調査を実施していく必要がある。 システム等機能要件に関しては、本市の税務事務を円滑に実施するために欠くこ とのできない業務に関する機能要件と異なり、ITベンダが提案したシステム形態に よりその内容が異なる可能性がある機能要件である。そのため、システム再構築の 調達仕様書に記述するシステム等機能要件に関しては、本市が求める必要最小限の 前提条件を提示し、その具体的な内容に関してはITベンダの提案に委ねる手法をと る必要があるものと考えている。 そのため、本件調査業務におけるシステム等機能要件に関する調査は、本市が以 下の流れで進めることとするものである。 ① 新システムに求めるシステム等機能要件の整理(委託者作業) ② 受託者によるシステム内容点検(受託者作業) ③ RFIの実施(委託者作業) ④ RFIにより提示されたシステム等機能要件の内容確認(受託者作業) ⑤ 調達仕様書に記載するシステム等機能委要件の作成(受託者作業) 20 なお、要件調査の進め方、作業スケジュール等に関しては、平成28年度実施した 基本調査等に基づき作成したものであり、受託者が有するICTに関する業務知識及 び業務ノウハウに基づく知見による視点からの新たな提案を妨げるものではない。 受託者は、システム再構築に向けた要件調査の進め方・作業スケジュール等に関 して、より効果的・効率的な手法があると判断された場合は、委託者に対して提案 を行い、委託者と協議の上、変更に関して承認を得られた場合は、進め方・作業ス ケジュール等に関して変更することができるものとする。 21 図5-4 システム再構築のための業務機能要件調査の進め方(想定) 22 図5-5 システム再構築のための業務機能要件調査作業スケジュール(想定) 23 ■表5-3 ④ 受託者が実施する作業内容と成果物■ システム再構築のための要件調査及び調達仕様書(案)の作成業務の作業方針と作業 計画の策定 目 的 ・システム再構築の要件調査に関し、作業実施の前段階に作業方針と作業計画を作 成し、委託者と受託者の合意形成を図ることで、より円滑な要件調査業務の実施 を実現するため。 ・受託者は、委託者が想定しているシステム再構築のための要件調査業務の進め方 と作業スケジュールを踏まえ、システム再構築のための要件調査及び調達仕様書 作 業 内 容 (案)の作成業務の作業方針と作業計画(以下「作業計画等」という。)を策定し、 委託者の了承を得ること。 ・受託者は、本市が想定しているシステム再構築が、ITベンダ特有のホストコンピ ュータ上で開発・運用されてきたシステムを、異なるITベンダがWindows・LINUX サーバ等のオープン機器上に構築されるシステムに移行する可能性があるシステ ム調達であることを踏まえ、システム再構築時のリスク分析作業の実施も踏まえ た、作業計画等を策定すること。 納 期 成 果 物 ス ケ ジ ュ ー ル ・契約締結後2週間以内 ◇システム再構築のための要件調査及び調達仕様書(案)の作成業務作業方針、 ◇システム再構築のための要件調査及び調達仕様書(案)の作成業務作業計画書 平成29年 4月 5月 6月 7月 8月 平成30年 9月 24 10月 11月 12月 1月 2月 3月 ⑤ 業務機能要件書(案)の作成とRFIの実施とリスク分析 ・本市の現行システムの現状と新システムに求める改善事項をできるだけ詳細に業 目 務機能要件書に取りまとめてRFIにおいて提示することで、RFIに応じて情報を提 的 供する事業者(以下、「情報提供者」という。)に、より本市にFITしたシステム 案を提案させることで、より効率的・効果的にFIT&GAP作業を実施するため。 ・受託者は、事務処理要領、端末操作マニュアル、事務処理要綱、運用スケジュー ル、業務体系表、新システムに求める改善要望事項等、委託者が提供する資料を 基礎資料として、業務機能要件書(案)を作成すること。 ・受託者は、業務機能要件書(案)の様式に関して、受託者が有するICTに関する業務 知識及び業務ノウハウに基づく知見基づきRFI基礎資料としてRFIに応じるITベ ンダが最適なシステム提案を実施できる様式を提案すること。 ・受託者は、業務機能要件書(案)を作成するに際しては、委託者と十分に協議を行 い統一した記載ルールを作成した上で、業務機能要件書(案)の作成に携わる技術 者全員にその共通ルールの順守を徹底させ、作業を実施すること。 ・受託者は、業務機能要件書(案)の作成作業を実施する上で、内容に疑義が生じた 場合は委託者と協議を行うこと。 ・受託者は、事後に実施するFIT&GAP作業の際に、業務機能要件書(案)の内容に関 して疑義が生じた際に速やかに原資料に立ち返ることで効率的なFIT&GAP作業 作 の実施を可能とすることを目的として、業務機能要件書(案)を作成する際に利用 業 した資料と確認した項目に関してエビデンスを残し、委託者の求めに応じて提供 内 できるようにデータ管理を行うこと。 容 ・受託者は、機能要件書(案)を作成するにあたり、受託者が有するICTに関する業務 知識及び業務ノウハウに基づく知見やITベンダにヒアリング調査を行うことによ り、新規にシステムを受注したITベンダが誤解をし、あるいは作業を失念し、シ ステム再構築時のコスト上昇やシステム遅延につながる想定されるリスクの洗出 しを行い、リスク要因として管理を行うこと。 ・受託者は、このリスク要因に対し、業務主管課等へのヒアリングを行うこと等を 通じてリスク分析を行い、RFI時における注意喚起事項・確認事項として業務機 能要件書(案)へ反映すること。 ・現時点で委託者が再構築のコスト上昇につながるリスク要因として想定している 事項は以下のとおりである。受託者は、受託者が有するICTに関する業務知識及 び業務ノウハウに基づく知見からシステム再構築時のリスク要因になる可能性が あると判断したリスク要因に加えて、以下の事項に関して必ずリスク分析を行い、 システム再構築上のリスク要因となるものと判断された場合はリスク要因として 管理すること。 25 ●委託者がリスク要因と想定している事項 ➣システム稼働後の過年度の処理の実施方法(システムは過去の処理をどの 時点まで移植する必要があるのか。) ➣過年度データの管理方法(どの時点まで過年度のデータを移行する必要が あるのか。) ➣新システムと現行システムにおいて、システム上の管理番号が異なった場 合の連携方法(現行システムと旧システムでキィー項目が変更された場合、 どのようにして処理を継続するのか。) ➣税目別、業務別の現行システムと新システムの切換えのタイミング(新年度 と原年度で新旧両システムを同時に使う必要はあるのか。) ➣税額計算や課税標準額計算処理などシステムの根幹に係る処理に関して現 行システムと新システムで差異が生じる可能性はあるのか、その場合の対 応策はどのように考えるべきか。 ➣現行システムをリライトした場合、保守性の低下や障害抑止のためのコス トの増加等の課題も継承する可能性があるが、どのように解消するのか。 ・受託者は、業務機能要件書(案)の内容点検を円滑に実施するため、業務機能要件 書(案)が完成した時点から順次成果物を委託者に提供していくこと。 ・RFIを実施する場合、RFIの業務機能要件書(案)の作成は受託者が行い、業務機能 要件書の確定とRFIの事務手続きは委託者が実施するものとする。 ・受託者は、リスク分析に係る作業は業務機能要件書(案)作成後も継続的に実施し、 新たにシステム再構築のリスク要因となる判断された事項が発見された場合は、 委託者と協議の上システム調達時に作成する機能要件書に反映させること。 ・業務機能要件書(案) 平成29年7月中旬(詳細は委託者と受託者の協議による。) 納 期 ・リスク要因一覧及びリスク管理表 平成29年12月28日 成 果 ◇業務機能要件書(案)、◇リスク要因一覧、◇リスク管理表 物 平成29年 ス ケ ジ ュ ー ル 4月 5月 6月 7月 業務機能要件書(案) 8月 平成30年 9月 RFI リスク分析 26 10月 11月 12月 1月 2月 3月 ⑥ FIT&GAP作業支援 ・本市の提示した機能要件と情報提供者の提案内容に関して、本市の要件に合致し 目 的 ている部分と合致していない部分の切り分けを行い、合致していない部分に関し て情報提供者とその対応策に関してすり合わせを行うことで、競争原理を働かせ つつ本市の税務事務を円滑に実現できるシステム再構築のための業務機能要件書 を作成するため。 ・受託者は、FIT&GAP作業においては、受託者が有するICTに関する業務知識及び 業務ノウハウに基づく知見により、委託者と情報提供者のFIT&GAP作業が円滑 に進むように進行管理を行うこと。 ・受託者は、委託先が情報提供者と行う本市の業務機能要件・システム等機能要件 と情報提供者のFIT&GAP作業に同席し、FIT&GAP作業結果の記録を取ること。 ・受託者は、委託者が実施する情報提供者とFIT&GAP作業の日程調整に関して協 力すること。 作 業 内 容 ・受託者は FIT&GAP作業の進め方に関して委託者に提案を行い、委託者の承認を 得ること。 ・受託者は、FIT&GAP作業の進捗管理に関して適宜委託者に報告を行うこと。 ・受託者は、FIT&GAP作業と同時並行してシステム再構築の調達時に添付するFIT &GAP作業結果を経た業務機能要件書(案)(以下、「調達時業務機能要件書(案)」 という。)を作成すること。 ・受託者は、この調達時業務機能要件書(案)を作成するに際しては、その様式、記 載内容、記載事項等に関しては、調達時業務機能要件書(案)の作成を開始する前 に、委託者に説明し、承認を得ること。 ・受託者は、調達時業務機能要件書(案)を作成するに際しては、特定の情報提供者 に有利にならないように配慮し、かつ本市の税務事務が確実に運営できる内容に すること。 納 期 ・平成29年12月28日 成 果 ◇FIT&GAP実施計画、◇進捗管理報告書、◇調達時業務機能要件書(案) 物 平成29年 ス ケ ジ ュ ー ル 4月 5月 6月 7月 8月 平成30年 9月 10月 11月 12月 FIT&GAP作業 調達時業務機能要件書(案) 27 1月 2月 3月 ⑦ システム等機能要件の整理 目 ・新システムを稼働させるために必要となる機能要件に関して、調達仕様書に適切 的 に記載することで、円滑かつ効率的なシステム調達を実現するため。 ・委託者は、契約締結後3か月を目途にRFI時に情報提供者に提案を求めるシステム 等機能要件を整理し、受託者に提示するものとする。 ・受託者は、委託者が提示したシステム等機能要件に関して内容を確認し、RFI時 に情報提供者に提案を求める事項として過不足があると判断された場合は、その 事項に関して委託者に説明し、委託者と協議の上、システム等機能要件の見直し を行うこと。 ・受託者はRFIを経て、情報提供者から提案されたシステム等機能要件に関して、 内容点検を行い、正常なシステム稼働を確保する上で不足する事項、疑義がある システム等機能要件(以下、 「疑義機能要件」という。)を発見した場合は、委託者 にその内容に関して報告を行うものとする。 ・委託者は、受託者より疑義機能要件の報告を受けた場合は、情報提供者にその内 容に関して説明若しくは補正を求め、その結果を受託者に連絡することとする。 ・受託者は、RFIの結果、情報提供者より提案を受けたシステム等機能要件に関し 作 て取りまとめ、システム再構築の調達仕様書に記載するシステム等機能要件書 業 (案)(以下、「調達時システム等機能要件書(案)」という。)を作成すること。 内 ・なお、現時点でシステム再構築の調達は、地方自治法施行令第167条の10の2に規 容 定される総合評価落札方式での実施を予定していることから、具体的なシステム 等機能要件に関しては、応札者に提案を求め、その提案内容に関して別途作成す る評価基準に基づきICT技術の側面から評価することになる。そのため、調達時 システム等機能書(案)に関しても、委託者が当初に整理したシステム等機能要件 に対して、RFIの結果を受けて補正を加えた内容に止めるべきものと想定してい る。 ・受託者は、この調達時システム等機能要件書(案)を作成するに際しては、特定の 情報提供者に有利にならないように配慮し、かつ本市の新システムが確実に運用 できる内容にすること。 ・現時点で、委託者が想定しているシステム等機能要件は以下のとおりである。 28 ➣ハードウェアに関する機能要件 ➣ソフトウェアに関する機能要件 ➣ネットワークに関する機能要件 ➣システムの設置場所・設置環境に関する機能要件 ➣システムの冗長化構成・業務継続に関する機能要件 ➣システムのセキュリティに関する機能要件 ➣システムの運用・保守に関する機能要件 ➣システム稼働後のシステム改修に関する機能要件 ➣システム稼働後のハードウェア・ソフトウェアの更改時の機能要件 納 期 ・平成29年12月28日 成 ◇委託者が整理したシステム等機能要件内容確認報告書、 果 ◇情報提供者からのシステム等機能要件内容点検報告書、 物 ◇疑義機能要件報告書、◇調達時システム等機能要件書(案) ス ケ ジ ュ ー ル 平成29年 4月 5月 6月 7月 内容確認 8月 RFI 平成30年 9月 10月 11月 12月 調達時システム等機能要件書(案) 29 1月 2月 3月 ⑧ 調達仕様書(案)・評価基準(案)の作成 目 ・平成30年度以降に実施を予定しているシステム再構築のシステム調達を円滑に実 的 施するため。 ・受託者は、委託者が内容点検し、補正した調達時業務機能要件書(案)及び調達時 システム等機能要件書(案)(以下「機能要件書」という。)を付加したシステム再 構築のための調達仕様書(案)を作成すること。 ・受託者は、調達仕様書(案)の作成と同時に、システム再構築事業者を選定するた めの評価基準(案)を作成すること。 作 業 内 容 ・現時点でシステム再構築の調達は、地方自治法施行令第167条の10の2に規定され る総合評価落札方式での実施を予定している。そのため評価基準(案)には、落札 者選定基準、提案書作成要領、技術評価基準表、機能実現証明書を想定している。 受託者は、 受託者が有するICTに関する業務知識及び業務ノウハウに基づく知見 により、これ以外にも評価基準(案)として作成すべき基準が必要と判断した場合 は、その基準に関しても作成すること。 ・受託者は、本市の情報システム導入事例・運用ガイドライン、国におけるシステ ム調達の基準等を踏まえ、調達仕様書(案)・評価基準(案)を作成すること。 ・受託者は、調達仕様書(案)・評価基準(案)の作成に際しては、委託者と協議を行 い実施すること。 納 期 成 果 物 ス ケ ジ ュ ー ル ・平成30年2月中旬(詳細は委託者と受託者の協議による。) ◇調達仕様者(案)、◇落札者選定基準(案)、◇提案書作成要領(案)、◇技術評価基準 表(案)、◇その他受託者が必要と判断した基準(案) 平成29年 4月 5月 6月 7月 8月 平成30年 9月 30 10月 11月 12月 1月 2月 3月 ⑨ 新しいICT技術の新システムへの適用の検討 ・日進月歩で進展するAI技術、ビッグデータ解析、高速開発ツール等の新しいICT 目 技術に関して、新システムに適用することで事務の効率化、事務誤りの抑止、情 的 報セキュリティ対策の強化、システムの開発・運用・保守作業の効率化等の効果 を得るため。 ・受託者は、シーズ調査の視点から、受託者が有するICTに関する業務知識及び業 務ノウハウに基づく知見に基づき、ITベンダ等税務総合情報システムの再構築時 に導入することで、本市の税務事務を遂行する上で、事務の効率化、事務誤りの 抑止、情報セキュリティ対策の強化、システムの開発・運用・保守作業の効率化 等の効果を得ると想定されるICT技術に関して洗出しを行い、委託者へ情報提供 すること。 ・受託者は、ICT技術の洗出しを行う際には、少なくともAI(人工知能)技術、ビッグ データ解析技術、システム開発運用時に使用する高速開発ツール技術、個人情報 漏えい対策技術、コンテナ基盤等の仮想化技術に関して、広く調査・分析・評価 を行い委託者に情報提供を行うこと。 ・受託者は、委託者と協議の上、ICT技術の採用が本市の税務事務の運営上効果が あると判断されたICT技術に関して、ICT技術の利用を前提とした機能要件として 整理し、システム等機能要件書(案)に記載すること。 作 ・受託者が作成するICT技術の利用を前提としたシステム等機能要件に関しては、 業 情報提供者にこれらICT技術を活用した優れたシステム提案を促すことを目的と 内 し、ICT技術を用いたシステムの詳細な機能要件を整理し、応札者に対してフル 容 スクラッチでICT技術の利活用したシステム構築を求める機能要件書の作成を求 めるものではない。 ・現時点で委託者が新システムへの適用の検討が必要と想定しているICT技術は以 下の内容を想定している。受託者は、このICT技術に関しては、必ず調査・分析・ 評価を行い委託者に情報提供を行うこと。 ➣ AI技術を利用したナレッジシステムの導入 新システムのオンライン処理のヘルプ機能、操作ガイド機能、FEPの入 力補助機能そしてシステムの運用・保守・改善業務に学習機能を有するナ レッジシステムを導入し、過去のデータを学習することで最適解へのヒッ ト率を高め、システム利用者及び管理者の業務効率化と事務処理誤りの防 止につながらないか調査検討する。 31 ➣アクセスログ、操作ログのビッグデータ解析の適用 システムで作成するアクセスログや操作ログ等のシステムの監査証跡デー タを統計的に解析することで、同一業務の大多数の利用者と異なるシステム 操作を実施している利用者のスクリーニングによるセキュリティ強化策、バ ッチ処理結果の年度間データ比較等による処理結果の正当性の検証による障 害抑止対策等のICT技術が実用化されていないか調査検討する。 ➣個人情報漏えい対策の適用 サーバからシステム端末等を利用して外部記録装置に複写される一定容量 以上のデータに関して、その内容を監視し一定件数以上の個人情報が含まれ ている場合にシステム管理者に通報する機能等の個人情報漏えい対策技術が 実用化されていないか調査検討する。 ➣グループウェアの適用 新システムは個人番号を利用するシステムとして、税務システムとして閉 じたネットワーク上に構築される。税務事務専用のネットワークを前提に、 グループウェアを導入することで、税務事務の事務処理の効率化が見込まれ る。そのため、グループウェアの導入について調査検討する。 ・今回のICT技術の選定作業は、ITベンダにシステム提案を求める趣旨で実施する ことから、受託者の調査作業は、国内外でICT技術として確立して、パッケージ システム等として製品化されている技術若しくはオープンソース製品として市場 に認知されシステムの管理運営のルールが明文化されているフリーソフトウェア 製品を対象とするものとする。 ・これらICT技術製品が複数ある場合、受託者は、市場シェア等合理的な判断基準 で製品を特定し、2つ以上の製品情報を収集し委託者に対して情報提供を行うこ と。 ・これらICT技術製品に関して、ITベンダが有償で提供している製品とオープンソ ース製品がある場合は、有償製品とオープンソース製品それぞれに関して情報収 集を実施し、委託者に情報提供を行うこと。 ・受託者は、契約期間を通じて新たなICT技術に関して情報収集に努め、本市の 税務運営に有用と判断されたICT技術を発見した場合は、委託者に情報提供を 行うこと。 32 ・ICT技術調査・分析・評価調書 平成29年8月中旬(詳細は委託者と受託者の協議による。) 納 ・システム等機能要件書(案) 平成29年12月28日 期 ・情報提供 平成30年3月31日 成 果 物 ス ケ ジ ュ ー ル ◇ICT技術選定書、◇ICT技術製品情報、◇ICT技術調査・分析・評価調書、 ◇調達時システム等機能要件書(案) 平成29年 4月 5月 6月 7月 ICT技術調査・分析・評価 8月 平成30年 9月 10月 11月 12月 調達時システム等機能要件書(案) 33 1月 2月 情報収集 3月 ⑩ 目 的 データ移行計画の策定 ・平成30年度より実施を予定しているシステム再構築に関して、システム再構築の 契約前に同一ベンダ間、異なったベンダ間における現行システムから新システム へのデータ移行の課題の整理を行うことで、円滑なシステム移行を実現するため。 ・受託者は、委託者が平成 28 年に実施した基本調査の成果物や委託者へのヒアリ ング結果を基礎情報として、情報提供者と協議を行い、情報提供者単位に現行シ ステムから新システムへデータ移行を行う移行手法を確立し、データ移行計画書 (案)を策定すること。 ・受託者は、データ移行計画の策定とその検証作業を開始する前に、委託者と協議 の上、作業の進め方と具体的な作業スケジュールを作業計画書として作成し、委 託者の了承を得ること。 ・委託者は平成 29 年度に実施する FIT&GAP 作業において、現行システムの移行 データが確実に新システムに移行できるかを事前に検証するためのテストデータ の作成と情報提供者の求めに応じて提供することまでの実施を想定している。受 託者は、このことを踏まえてデータ移行計画書を作成するものとする。なお、テ 作 ストデータの作成は現行システムの保守事業者に実施させるものとし、本件調査 業 業務に含まれるものではない。 内 容 ・受託者は、情報提供者単位のデータ移行計画書(案)には、最低限以下に掲げる事 項を調査し記載することとする。 ➣現行システムから新システムへ移行するデータ一覧とその最終移行時期 (現行システムにおける最終更新時期) ➣新システムに必要なデータであるが、現行システムで管理していないでデ ータ一覧とその対応策(要セットアップ情報の把握) ➣現行システムの運用スケジュールに即した具体的な新システムへのデータ の移行計画と外部記録媒体やネットワークを利用する等の移行方法 ➣移行リハーサルも含めたデータ移行に関する全体スケジュール ➣その他、受託者が有する ICT に関する業務知識及び業務ノウハウに基づく 知見に基づき必要と判断された事項 ・作業計画書 納 平成29年5月31日 期 ・データ移行計画書(案) 平成30年2月中旬(詳細は委託者と受託者の協議による。) 34 成 果 物 ス ケ ジ ュ ー ル ◇作業計画書、 ◇情報提供者別データ移行計画書(案) 平成29年 4月 5月 作業計画書 6月 7月 8月 平成30年 9月 10月 11月 データ移行計画書(案) 35 12月 1月 2月 3月 ウ 証明・照会システム先行開発のための要件調査 税務総合情報システムの抜本的な再構築の要件調査と並行して、税務総合情報シ ステムの再構築に先行して開発する証明・照会システムの業務機能要件書の作成作 業を業務委託する。 証明・照会システムは、現行システムから、また税務総合情報システム再構築後 は新システムから日次若しくは随時に証明・照会用データを取り込み、証明・照会 情報を検索し画面表示を行い若しくは税務証明を発行することに特化した証明・照 会情報自体には更新を行わないシンプルなシステムである。 このため、証明・照会システムは、システムに必要な業務機能要件を提示し、一 般競争入札で調達することを想定している。 この証明・照会システム先行開発のための要件調査業務は、この競争入札時に必 要となる証明照会システムの業務機能要件書(案)に関してその作成を求めるもの である。 本市が想定している証明・照会システム先行開発のための要件調査業務の作業ス ケジュールは図5-6「証明・照会システム先行開発のための要件調査作業スケジュ ール(想定)」のとおりである。 ■図5-6 証明・照会システム先行開発のための要件調査作業スケジュール(想定)■ 受託者はこの作業スケジュールを踏まえ、表5-4に掲げる事項を実施するものと する。 なお、証明・照会システム先行開発のための要件調査委託業務においては、証明・ 照会システムの業務機能以外のサーバ、ネットワーク、システム運用・保守作業、 システム改善作業等のシステムを運営するために必要となるシステム等機能要件 に関しては、証明・照会システムが現行システムの証明バックアップシステム機能 のリライト作業という側面を有するため、現行システムの基礎数値を前提に本市が 調査を行い作成するものとし、委託対象に含めないものである。 36 ■表5-4 ⑪ 受託者が実施する作業内容と成果物■ 証明・照会システム先行構築のための要件調査と業務機能要件書(案)の作成業務の 作業方針と作業計画の策定 目 的 作 ・証明・照会システム先行構築のための要件調査に関し、作業実施の前段階に作業 方針と作業計画を作成し、委託者と受託者の合意形成を図ることで、より円滑な 要件調査業務の実施を実現するため。 ・受託者は、委託者が想定している 証明・照会システム先行構築のための要件調 業 査の意義・目的を踏まえ、証明・照会システム先行構築のための要件調査の作業 内 方針と作業計画(以下「作業計画等」という。)を策定し、委託者の了承を得るこ 容 と。 納 期 成 果 物 ス ケ ジ ュ ー ル ・契約締結後2週間以内 ◇証明・照会システム先行構築のための要件調査作業方針、 ◇証明・照会システム先行構築のための要件調査作業計画書 平成29年 4月 5月 6月 7月 8月 平成30年 9月 37 10月 11月 12月 1月 2月 3月 ⑫ 目 的 業務機能要件書(案)の作成 ・本市の現行システムの現状と新システムに求める改善事項をできるだけ詳細に業 務機能要件書(案)に取りまとめることで、証明・照会システムの調達を円滑かつ 効率的に実施するため。 ●現状分析・システム要件調査 ・受託者は委託者が提供する税務総合情報システムの証明業務及び証明バックアッ プに関する事務処理要領、端末操作マニュアル、事務処理要綱、運用スケジュー ル、システム設計書等のドキュメントを基礎に、必要な場合は本市職員にヒアリ ングを行い、現行システムが有している証明発行業務に関して現状分析を行うこ と。 ・受託者はこの現状分析を行う際には最低限下記の事項に関して現状把握を行うこ と。 ➣現行システムで対応している証明一覧とその帳票設計 ➣現行システムで対応している証明書における付記書一覧とその付記条件 ➣現行システムでにおいて手書き対応している証明書の付記書一覧とその付 記条件 作 業 内 容 ➣現行システムにおける証明発行までの画面展開と各画面設計 ➣現行システムにおける証明発行時に利用しているマスターデータとレコー ドレイアウト ➣上記事項に関する証明バックアップシステムにおける状況 ➣証明バックアップシステムが保有しているデータベースの種類とレコード フォーマット ➣現行システムと証明バックアップシステムのデータ同期の方式 ➣その他、証明・照会システムを開発する上で受託者が必要と判断した項目 ・受託者は、現状分析を行う際に、必要と判断された場合は、現行システムの保守 技術者に対しヒアリングを実施して現状分析を実施すること。 ・委託者は、このヒアリングの日程調整、ヒアリングに同席する等、ヒアリング作 業に協力する責務を負うものとする。 ●市場調査 ・証明・照会システムは、フルスクラッチ開発、パッケージシステムのカスタマイ ズ対応を指定せず、業務機能要件に基づきシステム調達を実施する予定としてい る。受託者は、証明・照会システムに対応できるパッケージシステムが存在する 38 か、フルスクラッチで開発した場合効率的に開発できるシステム技法が存在する か市場調査を行うこと。 ・市場調査の方法は、受託者が有するICTに関する業務知識及び業務ノウハウに基 づく知見に基づき実施することを前提とするが、最低限以下に示す調査を実施す ること。 ➣平成28年度に実施したシステム再構築におけるRFIに基づきシステム提案 を行ったITベンダへのヒアリング調査 ➣上記以外で政令指定都市において税務証明システムを開発した実績若しく は政令指定都市において住民記録システム等の証明発行を伴うシステム開 発を実施した実績を有するITベンダへのヒアリング調査 なお、ヒアリング調査を実施するITベンダは5社を上限とする。 ●機能強化 ・受託者は、現状分析を実施する際には、委託者と協議を行い現行システムが有し ている課題に関して課題一覧等の形式で洗い出しを行うものとする。 ・受託者は、この課題一覧に関して委託者と協議を行い、システム機能の追加・改 善機能として選定された機能に関して、機能強化業務機能要件として取りまとめ ること。 ●業務機能要件書(案) ・受託者は、現状分析結果、市場調査結果、機能強化業務機能要件を取りまとめ、 証明・照会システム調達のための業務機能要件書(案)を作成すること。 納 期 成 果 物 ス ケ ジ ュ ー ル ・平成29年9月31日 ◇現状分析報告書、◇市場調査報告書、◇システム課題一覧、◇機能強化業務機能 要件選定書、◇業務機能要件書(案) 平成28年 4月 5月 6月 現状分析・要件調査 7月 8月 平成29年 9月 業務機能要件書(案) 39 10月 11月 12月 1月 2月 3月 6 本調達の要件 (1) 受託者の要件 ア 資格要件 受託者は、要員の役割分担、責任分担、体制図等を委託者に報告し、承認を得るこ と。 体制には、各業務において全体の統括を行う責任者(以下「プロジェクトマネージ ャー」という。)を配置すること。また、プロジェクトマネージャーの下に、作業分 担を行う各グループを配置し、それぞれグループリーダーを配置すること。 プロジェクトメンバーについては、必要な時期に、必要なスキルを持った要員を、 適切な人数だけ配置するものとする。 イ プロジェクトマネージャーの条件 プロジェクトマネージャーは以下に示す条件をすべて満たすものとする。 ・政令指定都市におけるホストコンピュータからオープンシステムへのシステム再 構築の調査業務若しくは再構築業務若しくは再構築の PMO 業務を実施した経験 を有すること。 ・政令指定都市若しくは都道府県の税務システム若しくは本システムと同等規模の システム開発の調査業務若しくはシステム開発業務若しくは PMO 業務のプロジ ェクトマネージャーとして実施した経験が通算して 1 年以上あること。 ウ グループリーダーの条件 グループリーダーは以下に示す条件をすべて満たすものとする。 ・政令指定都市におけるホストコンピュータからオープンシステムへのシステム再 構築の調査業務若しくは再構築業務若しくは PMO 業務を実施した経験を有する こと。 ・政令指定都市若しくは都道府県の税務システム若しくは本システムと同等規模の システム開発の調査業務、システム開発業務若しくは PMO 業務に携わった経験 があること。 エ プロジェクトメンバーの条件 プロジェクトメンバーは以下に示すいずれかの条件を満たすものとする。 ・情報システムの開発前の調査業務経験若しくは PMO 業務経験及び能力を有する こと。 ・情報システムのシステム開発経験若しくは PMO 業務及び能力を有すること。 オ 体制の変更 受託者は、体制を変更する場合は、事前に委託者と協議しなければならない。この 場合には、業務に影響がないように、十分に引継ぎ期間をとらなければならない。ま た、引継ぎにかかる経費は、すべて受託者が負担するものとする。 40 (2) その他の作業の要件 ア 作業場所 会議、レビュー等 委託者とともに実施する設計等の打合せやレビュー、進捗会議及び研修等につ いては、原則として、委託者の会議室で実施すること。 (ア) 調査業務 原則として本市電算センターの執務スペース内で実施することとする。 この場合、作業に必要となる什器、システム機器、事務用品は委託者の許可を 受けた後、受託者の負担で準備するものとする。 また、事前に委託者の許可を受けた場合、以下の要件を満たす受託者の事業所 内で実施することも可能とする。 a 入退室管理 ID カード・生体認証等を用いた個人レベルでの入退室管理を実施すること。 b 資料等の収納管理 資料等は施錠可能なキャビネット等に収納すること。 c 災害等対策、バックアップ対策 調査環境等について、災害から物理的に保護するための設備を有すること。 また、システム提案関係の成果物に関しては、電子データのバックアップ対 策を施すこと。 d 作業場所の情報セキュリティ 作業場所は、ISO/IEC 27001 若しくは JIS Q 27001 の認証の適用範囲である こと。 イ 本調達の各業務に必要な設備及び消耗品等の負担 (ア) 委託者が準備する設備及び消耗品等 本調達の各業務に使用する設備及び消耗品等のうち、委託者が準備及び負担する ものを以下に示す。 ・電算センター内の執務スペース 電算センター内に 3 名が作業できる作業スペースを用意する。 ・会議室 (イ) 受託者が準備する設備及び消耗品等 「(ア) 委託者が準備する設備及び消耗品等」以外の本調達の各業務に必要な備 品及び消耗品等は受託者が負担すること。 41 エ 会議体制 (ア) 定例報告会 a 月次報告 原則として、月に 1 回、プロジェクトマネージャー、グループリーダーが全員 参加して作業状況の報告会を実施すること。 b 臨時報告会 緊急を要する報告に関しては必要に応じて実施すること。 c レビュー 本調達の各業務の各工程において、受託者の内部で適正なレビューを実施する とともに、委託者のレビューを受けること。 d 会議の進行、議事録の作成及び懸案事項等の管理 各報告会及びレビュー等の会議の進行、議事録の作成及び懸案事項等の管理は 受託者が行うこと。 オ 作業実施体制 (ア) 受託者の体制 「6 (1) 受託者の要件」に示す条件を満たすこと。 委託者から受託者への問い合わせ連絡先はサービスデスクとして一元化するこ と。 (3) 本調達の前提条件 ア 契約前の説明 受託者は、契約前に本仕様に関し委託者の説明を受けるとともに、疑義があるとき は、委託者の指示を受けなければならない。 イ 受託条件 受託者は、委託者の承認を得ることなく、各業務の全部又は一部を第三者に再委託 し、又は請け負わせてはならない。受託者は、再委託等を行う場合には、取得情報の 取扱いに関し、契約において受託者が課せられている事項と同一の事項を当該第三者 に遵守させなければならない。また、この再委託等に関するすべての責任は、受託者 が負わなければならない。 受託者は、機密情報の取扱いを伴う本件業務を委託した第三者から更に他の第三者 に委託(以下「再々委託」という。)させてはならない。ただし、再々委託すること にやむを得ない理由がある場合であって、予め委託者の承認を得た場合は、この限り でない。この再々委託に関するすべての責任は、受託者が負わなければならない。 42 ウ 権利の帰属 本調達により作成される成果物及び関連資料(以下「成果物等」という。)に関す る無体財産権並びにそれを受ける権利は、受託者又は第三者が従前から権利を有して いる場合を除き、すべて委託者に移転する。 この場合において受託者は著作者人格権を行使しないものとする。 エ 成果物等の公表、変更 委託者は成果物等を自由に公表し、又は変更することができる。 この場合において受託者は著作者人格権を行使しないものとする。 オ 第三者権利の利用 成果物等について、受託者が第三者の有する無体財産権を使用する場合には、その 使用に関するすべての責任は受託者が負わなければならない。 カ 成果物等の説明 受託者は、委託者の指定する担当職員に対し成果物等について十分な説明を行わな ければならない。 キ 立入検査等 委託者は、受託者の管理状況について、受託者の事務所等に立入検査を行うことが できる。立入検査により仕様に違反する事項が発見された場合は、受託者は委託者の 指示に従い直ちにこれを是正しなければならない。 また、受託者は、委託者の依頼に基づき、個人情報の取扱いに関する遵守状況を報 告するとともに委託者による実地確認調査に協力しなければならない。 委託者の職員が受託者の事務所等に移動するために必要となる交通費、宿泊費等の 旅費を除きこれらに要する費用はすべて受託者の負担とする。 ク かし担保責任 成果物等の納入後、成果物等にかしがあるときは、委託者は受託者に対して、成果 物等の納入後 1 年以内に、そのかしの補修を請求し、又は補修に代え若しくは補修 とともに損害賠償の請求をすることができる。かしを補修する場合、受託者は委託者 が指示する期限内に補修し、適正な措置を講じるとともに、補修結果を反映した成果 物等を納入しなければならない。 ケ 情報の目的外使用の禁止 受託者は、委託者が提供した情報及び業務により知り得た情報を、委託者の承認な くしてその目的外に使用してはならない。 43 コ 機密保持 受託者は、本仕様に基づく作業の実施中はもとより、作業終了後においても、委託 者より提供を受けた情報については善良なる管理者の注意義務をもって維持管理し、 第三者に開示あるいは漏洩してはならない。 受託者は、委託者より提供を受けた資料は、作業終了後はすみやかに返却しなけれ ばならず、また、第三者に開示あるいは漏洩してはならない。 受託者は、委託者より提供を受けた情報・資料を、作業を遂行する上で第三者に開 示する必要がある場合は、委託者の承認を得なければならない。 サ 特記事項 受託者は、この契約による事務を処理するにあたり、別添「情報取扱注意項目」を 遵守しなければならない。 シ 妨害又は不当要求に対する届け出義務 受託者は、契約の履行に当たって、暴力団又は暴力団員等から妨害(不法な行為等 で、業務履行の障害となるものをいう。)又は不当要求(金銭の給付等一定の行為を 請求する権利若しくは正当な利益がないにもかかわらずこれを要求し、又はその要求 の方法、態様若しくは程度が社会的に正当なものと認められないものをいう。)を受 けた場合は、委託者へ報告し、警察へ被害届を提出しなければならない。 受託者が妨害又は不当要求を受けたにもかかわらず、前項の報告又は被害届の提出 を行わなかった場合は、競争入札による契約又は随意契約の相手方としない措置を講 じることがある。 ス 別途協議 本仕様書に定めていない事項については、委託者と受託者が協議して別に定める。 44
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