第 33 回精密加工プロセス研究会講演会 プログラム

産総研コンソーシアム「製造技術イノベーション協議会」
第 33 回精密加工プロセス研究会講演会
(第 13 回ワイドバンドギャップ半導体デバイスに関わる超精密加工プロセス研究会講演会)
主催: 産総研コンソーシアム「製造技術イノベーション協議会」 精密加工プロセス研究会
共催: ワイドバンドギャップ半導体デバイスに関わる超精密加工プロセス研究会
九州半導体・エレクトロニクスイノベーション協議会
問い合わせ先: 産業技術総合研究所 九州センター 精密加工プロセス研究会事務局
E-mail: [email protected]
日時:平成29年 1 月10日(火) 13:00~17:20
場所:リファレンス駅東ビル 3階会議室 H (福岡市博多区博多駅東 1 丁目 16-14)
アクセス情報: http://www.re-rental.com/ekihigashi/access (TEL:092-432-0058)
プログラム
「最新の精密加工プロセスとその応用 ~総集編~」
本精密加工プロセス研究会は、産官学の研究者・技術者の連携ネットワークを構築して、高効率・高品
質の精密加工プロセスの確立を図り、計測診断技術の研究開発・実用化を推進すべく、平成 21 年に設立
された。学術的に精密加工方法は、素材の不要部を取り去る「除去加工」、素材の形・質を変える「変形・
変質加工」、素材に何かを付加する「付加加工」等に大別されることを念頭に、30 数回の研究会を活発に
開催してきた。
今回の研究会は、これまでに取り上げるべきテーマが手薄になっていた材料のスライシング関連技術、
付加加工としてのメッキ技術、三次元形状加工/粉末加工技術について、最新動向を著名な先生方に話
題提供していただく。また、超微細化の限界が来つつあるブレークスルーとしての WOW 三次元化半導体
技術について特別講演をいただく。最後に、本研究会を閉じるにあたって、精密加工の中の研磨/CMP を
事例としてこれまでの発展経緯と将来について考察する。
13:00
開会挨拶
九州大学 産学連携センター 特任教授 (精密加工プロセス研究会 幹事)
土肥 俊郎
13:05 特別講演 「極限薄化を用いた WOW 三次元大規模集積のシナリオ
~ダメージレス加工、精密接合、ウェハの超薄片・小型化、TSVめっき等をキーワードとして~」
東京工業大学 科学技術創成研究院 未来産業技術研究所 特任教授 大場 隆之
要旨: ウエハ積層技術(WOW)を用いた三次元大規模集積技術について検討を行った。バンプや Cu ポス
トを用いないバンプレス配線と超薄化、また薄化ウエハの裏面をデバイスウエハ表面に積層する技術
(Back-to-Face)は、従来の技術(マイクロバンプとチップ同士の積層)の代替技術となるカギとして注目さ
れている。本技術では、チップ間の電気的接続にはんだバンプや Cu ポストのプロセス工程が不要になる。
2 ミクロンに達するウエハの超薄化を用いれば、接続配線長が大幅に短縮されるだけでなく、同時に三次
元チップ全体の体積が小さくなり、配線接続孔(TSV)のアスペクト比が低減される。開発した WOW プロセ
スは、薄化後 Back-to-Face で積層するため、300mm ウエハはもとより異形サイズのチップ積層において
応用可能であり、積層数に原理上制限がなくなる。この WOW 積層方法は、多層配線(BEOL)の層間絶縁
膜成膜を薄化ウエハの積層で置き換えたようなもので、BEOL プロセス工程と互換性がある。チップ積層
に比べウエハ積層のスループットは劇的に大きいため、製造コストの観点から将来の三次元プロセスの
量産をけん引すると考えられる。
本講演では、WOW プロセスを紹介し、従来の微細化と対比しながら高いエネルギー効率で動作するテ
ラバイト級メモリについて述べる。
13:55 講演1 「グリーンデバイス用 SiC 基板のカーフロス・ゼロ化ウェハ技術
~イオン注入剥離と表面活性化接合技術の融合とデバイス適用~」
㈱サイコックス 技術部 河原 孝光
要旨: SiC は次世代の半導体材料として期待されている一方で、高コストであることが SiC 市場拡大の妨
げとなっている。我々は、安価な多結晶 SiC 支持基板上に単結晶 4H-SiC 薄膜を貼り合わせた基板を作製
し、単結晶 4H-SiC 基板と同品質かつ低コストで市場へ供給することを検討している。本講演では、貼り合
わせ SiC 基板の作製プロセス、貼り合わせ SiC 基板上に形成したホモエピ層の評価、ショットキーバリアダ
イオードの I-V 特性などを示し、貼り合わせ SiC 基板が単結晶 4H-SiC 基板と同等にデバイス用基板とし
て適用できることを紹介する。
14:35 講演2 「KABRAによる SiC レーザスライシング ~新しい原理に基づくレーザスライシング~」
㈱ディスコ 技術開発本部 レーザ技術部 平田 和也
要旨: 近年、次世代のパワーデバイス用材料として SiC が注目されている。SiC は難研削材として知られ、
SiC インゴットからウェーハ化するためのワイヤスライス加工は、スループットの低さと多くの材料損失が
課題であり、ウェーハのコスト高の要因のひとつとなっている。そこで、我々はワイヤスライス加工に比べ、
6 インチインゴットからウェーハ取り枚数を約 40%増し、加工のスループットを約 4.5 倍に向上することが可
能な、新しい原理に基づくレーザスライシング方法である KABRA を提案する。
15:15~15:30 休憩
15:30 講演3 「電気めっきの基礎及びマイクロリアクターを用いた表面吸着種の解析とめっき技術の
新展開」
大阪府立大学大学院 工学研究科 准教授 齊藤 丈靖
要旨: めっきでは、抑制剤、レベラー、促進剤といった添加剤を適切に加えることに よって析出形態、光
沢などを制御しており、反応場における添加剤の挙動の明 らかにすることは非常に重要である。
本講演では、めっきの基本と微小流路装置を用いた電気化学計測とフローセル型電気化学水晶振動
マイクロバランスに よる、銅めっき中の電流遮蔽挙動と添加剤吸着量の比較検討を行った結果を説明す
る。また、新しい機能性めっき(装置・科学・材料・プロセス)について の現状を概説する。
16:10 講演4 「粉末を駆使・活用した先端的複雑形状加工技術とその精密加工プロセス
~MIM(Metal Injection Molding:)と 3D-printing の世界を覗く~」
九州大学 鉄鋼リサーチセンター 特任教授 三浦 秀士
要旨: 従来より、高密度で高性能な粉末冶金(P/M)製品を目指して、粉末の製造から成形、焼結、後加
工に至る各プロセスの改良や新しい技術の開発が行われているが、とりわけ最近の P/M 技術は他の素
形加工技術との境界領域における加工や複合加工技術として、例えば、金属粉末射出成形(MIM)法は
P/M とプラスチック成形を、粉末積層 3D 造形 (DLF)法は P/M とレーザ加工(CAD/CAM)を組み合わせ
たもので、最先端 P/M 技術として挙げられる。
ところで、Ti 合金は医療用を始めとして航空機部材など様々な用途に用いられる金属であり、通常は機
械加工などの方法を用いて製品に加工される。しかし Ti 合金は活性かつ難加工材に分類され、被削性や
鋳造性に劣るという性質も持ち合わせているために、機械加工や鋳造など従来の加工法による精密複雑
形状部材の製造にはコストがかかり量産しづらいという欠点もある。そこで、そのコスト低減に向けては、
粉末を用いた斬新なアイデアに基づく MIM 法や DLF 法が有効、かつ期待されている。
本講演では、MIM 法と DLF 法の先端技術による医療機器や航空機用部品への適用に向けて、Ti 合金
やスーパーアロイについて造形条件や得られる諸特性について紹介する。
16:50 講演5 「精密加工/CMP の発展経緯と精密加工プロセスの将来」
九州大学 産学連携センター 特任教授 (精密加工プロセス研究会 幹事)
土肥 俊郎
要旨: 講演者は、九州に超精密加工拠点構築の一環として、精密加工プロセス研究会を提案し、平成
21 年に設立された。以来 30 数回の研究会を開催してきた。今回で本研究会を閉じるにあたり、モノづくり
の起源とされる研磨と現在の超精密 CMP にフォーカスして、それらがどうのような位置づけで発展してき
たか、その経緯について述べ、将来の精密加工技術はどうあるべきか私見を交えて展望する。その中で、
先進的加工技術の事例として、グリーンデバイス用超難加工材料(SiC, GaN あるいはダイヤモンド基板)
の “プラズマ融合 CMP”技術を紹介する。
17:20 閉会(交流会へ移動)
17:30 交流会(会費:2500 円、福岡合同庁舎 本館地下1階「M’s Kitchen」)
福岡合同庁舎本館 1階受付にまとめて入館届を出すので、受付付近で産総研関係者から入館証を各
人がもらい、地下1階「M’s Kitchen」へ移動