1 月 - トウキョウフォレックス上田ハーロー株式会社

2009- 1 月マンスリー・レポート
トウキョウフォレックス上田ハーロー（株）スポット FX 部
ドル円 ≪市場・相場の動き≫
レンジ 87 円 10 銭（1/21 NY）∼ 94 円 65 銭（1/6 LDN・NY）
2 日、NYK 市場おいて発表された ISM 製造業景況感指数は、低水準を記録し
たため、ドル円は 91 円台を割り込み、90 円台後半へ下落した。しかしオバマ次
期政権による景気対策への期待感から米株式が堅調に推移したことで、NYK ダ
ウが 250 ドルを超える大幅高となり、ドル円は一時 92 円 41 銭まで買い上げられ
た。しかし利益確定やドルの戻り待ち売りに押され、91 円台後半に値を下げて取
引された。5 日、NYK 時間になると、欧州時間に大きくドル高・円安が進行した反
動から、利食いのドル売りに押され、 92 円台後半まで下落した。しかしオバマ次
期大統領が景気刺激策として、3000 億ドル規模の大幅減税を打ち出す可能性
があるとの報道が流れ、ドル円は 93 円台半ばへ上昇した。7 日、NYK 市場にお
いて発表された ADP 全米雇用報告は、−69.3 万人となり、米労働市場の悪化を
裏付ける結果になった。この結果、9 日に発表される米雇用統計に対しての不安
心理が高まり、ドル円は 93 円台前半から 92 円台半ばまで下げ幅を拡大した。8
日、東京市場の午後 3 時を過ぎると、レバノンからロケット弾がイスラエル北部に
向けて発射されたとの報道が流れ、地政学リスクの高まりから避難先の通貨とし
てスイスフランや円が買われると、ドル円は 92 円台半ばから 91 円台後半まで値
を下げる展開になった。
9 日、NYK 時間に発表された 12 月米雇用統計は、失業率 7.2％（事前予想
7.0％）、非農業部門雇用者数変化 −52.4 万人（事前予想 −52.5 万人）となった。
非農業部門雇用者数変化が市場予想とほぼ一致したことで、米雇用統計の大
幅な悪化を予想していた短期筋のショートカバーが入り、ドル円は 90 円台後半
から 91 円台半ばへ反発した。しかし失業率は悪化し、さらに非農業部門雇用者
数変化の前回分と前々回分は下方修正されたことから、米株式マイナス圏で推
移していたため、ドル円 90 円台前半へ下落した。12 日、NYK 市場においては、
ユーロ圏の利下げ観測や、米格付け会社 S＆P がスペインの長期ソブリン格付
けの引き下げを示唆したことで、ユーロ円は下値を試す展開になり、 120 円台後
半から 118 円台後半まで急落した。ドル円は、クロス円で円買い圧力が強まった
ことや、米株式の下落を背景にドル売り・円買いが進み、90 円 00 銭近辺から一
時 88 円台後半まで下げ幅を拡大した。
14 日、 NYK 市場において発表された米小売売上高は、市場予想を大きく下
回り、6 ヶ月連続の減少を記録した。この結果、米個人消費の落ち込みが鮮明と
なり、NYK ダウは寄り付き後に下げ幅を拡大したため、ドル円は 89 円台を割り込
み一時 88 円 60 銭まで売り込まれた。しかし 88 円 60−70 銭水準では値頃感か
らドル押し目買い意欲が強く下げ止まると、短期筋のショートカバーが入って 89
円台前半へ値を戻した。15 日ドル円は、NYK ダウが米景気刺激対策への期待
感を背景に、マイナス圏からプラスに転じたことで、上値を目指す展開になり、89
円台前半から一時 90 円 04 銭まで上昇した。その後、ドルの戻り待ち売りに押さ
れ小幅値を下げたものの、89 円台後半で底堅く推移した。16 日、NYK 市場にお
いて発表された米消費者物価指数など一連の米経済指標は、強弱入り混じっ
た内容になったため、相場への影響は限定的だった。その後、NYK 市場は 3 連
休を含む週末を迎えたことから、ドル円は持ち高調整のドル買い・円売りが入り、
NYK ダウが再び上昇した動きを横目に、90 円台後半へ上昇した。
20 日、欧州時間に入ると、英金融機関の経営不安が高まっていることや、英
国国債が格下げられるとのうわさを背景に、ドル円は、 90 円台前半の下値が底
堅くなると、短期筋のショートカバーが入り一時 90 円 98 銭まで買い進まれ、91
円台乗せを窺う姿勢を見せた。しかし 91 円 00 銭手前で上値を抑えられると、ド
ルの戻り待ち売りに押され 90 円台前半に値を下げて取引された。NYK 市場にお
いては、米金融サービス大手ステート・ストリートが発表した決算が大幅な減益を
示し、金融不安が再燃したため、NYK ダウは 300 ドルを超える大幅安を記録する
と、ドル円はドル売り・円買い優勢となり、90 円台半ばから 89 円台後半まで値を
下げる展開になった。オバマ新大統領就任演説があったが、経済・景気対策に
関して踏み込んだ内容の発言はなく、材料出尽くし感が広がったことも、ドル円の
押し下げにつながっていた。ただドルは円以外の欧州通貨やオセアニア通貨に
対して買われていたため、ドル円の下げ幅は小幅のものにとどまっていた。 21 日、
NYK 市場においてドル円は、90 円を行使価格とするオプション取引に絡んだ多
額のドル売り・円買いが持ち込まれたことをきっかけに値を崩し始め、S／L を巻き
込みながら一時 87 円 10 銭と、1995 年 8 月以来 13 年半ぶりとなるドル安・円高
を示現し、今月の安値をつけた。ただ 87 円台前半では日銀による円売り介入へ
の警戒感もあって下げ渋りを見せると、ショートカバーが入り 89 円台半ばへ急反
発した。
22 日、欧州時間になると、89 円台前半で推移していたドル円は、上値の重さ
が目立ち始めたことで、88 円台後半へ下落した。NYK 市場においては、米住宅
着工件数や米新規失業保険申請件数などの経済指標が悪化し、米景気の落
ち込みが確認されたことや、クロス円で円買い圧力が強まった流れを受けて、ド
ル円は 88 円台後半から一時 88 円 07 銭まで下押しする場面もあった。しかし日
銀による円売り介入への警戒感もあって、 88 円台前半でドル売り・円買いの勢
いは続かず、88 円台半ば付近まで値を戻した。その後、米上院財政委員会が、
納税漏れを指摘されていたガイトナー氏の財務長官就任を承認したことや、 NYK
ダウの下げ幅縮小を背景に、ドル円は上値を目指す展開になり、89 円台前半へ
上昇した。23 日、ドル円は、米株価指数先物（時間外取引）の下落や、クロス円
で円買い地合いになった流れを受けて、88 円台半ばから一時 87 円 97 銭まで下
落した。ただ 88 円 00 銭近辺では値頃感からドルの押し目買い意欲が強く、下値
が底堅いことを確認すると利益確定のドル買い戻しが入り、88 円台後半へ上昇
した。26 日、 NYK 市場においては、中古住宅販売件数などの米経済指標が予
想を上回り、米株式が上昇したことで、ドル円は 89 円台前半から一時 89 円 70
銭までドル買い・円売りが進行した。しかし NYK ダウが企業業績の悪化懸念を背
景に、プラス圏から一時マイナスへ転じると、ドル円は株価の下げを睨みながら
89 円台を割り込む動きになった。
28 日、NYK 市場においては、オバマ政権が不良債権を買い取る「バッド・バン
ク」設立を構想し、米株式が堅調に推移したことで、ドル円は 89 円台前半から
90 円 00 銭近辺まで上昇した。NYK 時間の午後に、FOMC（連邦公開市場委員
会）において政策金利が発表され、事実上のゼロ金利政策維持を決定したこと
が報道された。直後の FOMC 声明は概ね市場の予想した範囲の内容にとどまっ
たが、米長期金利が上昇したことをきっかけに、ドル円は一時 90 円台後半まで
上げ幅を拡大した。ただ 90 円台後半でドル買いの勢いは続かず、ドルの戻り待
ち売りに押されて 90 円台前半へ値を下げた。30 日、東京市場においては、クロ
ス円で円買い圧力が強まったことや、金融機関の不良債権を買い取る「バッド・
バンク」に対しての不透明感が強まったことを背景に、89 円台後半から 89 円台
前半に値を下げて取引された。 NYK 時間において発表された米第 4 ・四半期
GDP 速報値が懸念されていたほど悪化していなかったことや、ユーロ圏の追加利
下げ観測を背景にユーロドルが下落したことで、ドル円は 89 円台半ばから 89 円
台後半に水準を切り上げて推移した。 NYK 時間の午後に入ると、ドル円は一時
90 円 00 銭を小幅上回る水準まで上昇する場面もあった。しかし米 CNBC は、米
政府は「バッド・バンク」を設立しない可能性があり、どう機能するか合意していな
いと報じたことから、米株式は軟調に推移した。この結果、ドル円は 90 円 00 銭
近辺から一時 89 円６5−70 銭水準まで値を下げた。ただ週末ということもあって
下値を追う動きは限られ、やや値を戻して推移し結局 89 円 90−00 銭で今月の
取引を終えた。
財務省の発表した 1 月外国為替平衡操作額（1／5∼1／31）は、2004 年 4 月
以降 58 ヶ月連続して介入額ゼロ円となった。
ユーロドル≪市場・相場の動き≫
レンジ 1.2763（1/30 NY）~ 1.3988（1/2 NY）
1.39 台で始まったユーロドルは若干の戻りをこなしながらも売られ続けて 1.27
台まで下落するユーロ弱含み、ドル買い相場となった。
月初 1.39 台後半で始まったユーロドルは 2 日に今月最高値となる 1.3988 をつ
けたあとは、5 日イタリアのミラノ市が発行したデリバティブ関連の債券をめぐり欧
州の大手銀行に対し損害賠償訴訟を起こす可能性があるとの英報道からユー
ロが売られ 1.36 台まで下落、またユーロ圏経済指標の悪化から利下げ観測が
再浮上し、1.32 代前半まで続落した。
月中にかけては、米雇用統計の悪化で一旦 1.37 台まで反発したが、NY ダウ
の下落や S&P 社によるギリシャソブリン債の格下げを受け 1.30 台まで下落した。
ECB 理事会はマーケットの予想通り 0.5％利下げを行い、またトリシェ総裁が 3 月
までの追加利下げ休止の可能性を否定したことでユーロ売りの流れは変わらな
かった。
月末にかけても英 RBS の巨額損失の見通し、アイルランドのユーロ離脱の報
道など欧州金融不安が高まる中、 S$P 社がポルトガルを始め欧州国のソブリン
債を引き下げたことでユーロ売りのまま 1.28 台前半まで続落した。その後ポンド
の急反発につられユーロも 1.32 台まで値を戻す展開もあったが、月末の NY でダ
ウの下落からきたユーロ円の売りにつられて、ユーロドルも今月最安値となる
1.2763 をつけ、ユーロドルは弱含みのまま今月の取引を終えた。
今後は 5 日の ECB 理事会では追加利下げはないと思われるが、そこでのトリシ
ェ発言に、また 13 日からのＧ7 ではポンドがらみのユーロの動きに注目したい。
ユーロ円 ≪市場・相場の動き≫
レンジ 112.08（1/21 NY）~ 128.52 (1/5 SYD)
126 円台で始まったユーロ円は一旦 128 円台をつけたあとは弱含みのまま 112
円台まで売られ、若干の買戻しで 115 円まで戻る展開だった。
月初 126 円台で始まったユーロ円は年明けの NY ダウが上昇したことで一旦円
売りとなり 5 日の早朝に今月最高値となる 128.52 をつけた。ただ米雇用統計の
悪化からダウが下落すると 121 円台まで売られた。
月中にかけてはアジア株の急落からくる円買いでユーロ円は下落し、米 S$P 社
が欧州国のソブリン債を格下げしたことでユーロ売りとなり、 118 円台まで続落し
た。その後も ECB 理事会が政策金利を 0.5％引き下げ、トリシェ総裁が利下げ休
止の可能性を否定したことでユーロ売りは続き、21 日 NY では 2002 年以来の安
値となる今月最安値 112.08 をつけた。
月末にかけては、これまで下落しすぎの感がありマーケットにショートカバーの機
運がただよっていたポンドが、2 月のＧ7 でポンド安が話し合われるとの観測にポ
ンドが急反発、それにつられてユーロ買いとなりユーロ円は 119 円台まで値を戻し
た。ただユーロ売り基調は変わらず、月末は米 NY ダウの下落にともないユーロ
円は下落し 115 円近辺で今月の取引を終えた。
今後の動きとしては、米、ユーロ圏の経済情勢が数字として回復が見られない
限り、円高基調の展開が続くと思われる。
他通貨 ≪市場・相場の動き≫
対ドル高値
イギリスポンド
1.5374（1/8・LDN/NY）−1.3500（1/23・LDN/NY）
スイスフラン
1.0615 (1/2・LDN)
豪ドル
カナダドル
0.7270 (1/7・NY)
1.1761 (1/6・NY)
シンガポールドル
タイバーツ
対ドル安値
−1.1717 (1/23・LDN/NY)
−0.6345 (1/30・NY)
−1.2765（1/21・NY)
1.4380（1/2・ASIA） −1.5120 (1/30・NY)
34.70（1/2・ASIA)
−35.09 (1/6・ASIA)
韓国ウォン（SPOT）1284.10（1/7・ SOUEL)−13990.00（1/23・SOUEL)
中国人民元
6.8220 (1/5・SHANHAI)−6.8560 (1/23・SHANHAI)
AUD・CAD・STG
年明けから激しく動いたのはやはり英国ポンドとなった、昨年末にかけて対ユー
ロでの下落が著しかったが、結局パリティには届かなかったことから逆にポンド買
戻しとなった模様で堅調地合いをみせた。しかし 8 日に金利引き下げが予想通り
行われると、それと時を同じくして対円で急落を始め、19 日には対円で史上最高
値の 119 円割れ、対ドルでも 23 年ぶりの安値更新となった。金融機関支援策も
打ち出されてはいるが、それに対する厳しい見方が市場では根強いようだ。この
安値更新の後は、一服を見せて越月した。12 月にリスク回避から対ドル、対ユー
ロで買い進まれたスイスフランは、反落をみせる 1 ヶ月となった。カナダ中銀はそ
の政策金利を 0.5％引き下げ 1.00％と、創設以来の低金利とし、さらに原油価格
の低迷もあってカナダドルは弱含みで越月となった。年末年始に、オバマ新大統
領に対する期待感と思われる一時的なリスク許容回復から持ち直していた豪ド
ルであったが、悪化する企業決算、2 月に予想される更なる金利引き下げなどか
ら地合いは悪化し安値圏へと下落し越月した。
SIN$,THB,KRW,人民元
1 月のアジア各国市場は月末に迎える旧正月の休みを控えてのこともあり、月
末にかけて膠着した。昨年末にかけての継続的な当局の介入にウォン高で年越
しをした韓国ウォンは、通貨オプションでの為替交換停止報道でドル買いが強ま
る形で年明けした。その後も国内外の株式相場の下落に外国人投資資金の国
外流出を受けてウォン安の展開、しかしながら 1400 ウォンの水準では当局の介
入懸念が強く安値圏で越月。タイバーツは 34.90 水準で膠着した展開。シンガポ
ールドルは自国経済の悪化の懸念が強まり、じり安の展開となった。人民元相
場は 6.83 を挟んでの小動きながら、経済環境の厳しさを懸念してじり安の展開と
なった。
以上

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