No.0207 2017 年 1月1日 発行 http://www.nsouzai-kyoukai.or.jp イケダ食品㈱(熊本県) 九州のごちそうを、 全国の食卓へ。 創業以来50余年、こだわりつづけた味 九州あまくち「しそ昆布」 イケダ食品㈱は1963年(昭和38年)、昆布、椎茸など乾物製品の製造、販売からスター ト。創業から半世紀余り、一貫して「ふるさと九州の味」にこだわり、昔ながらの味を守りなが ら時代に合った業務用食品を提供する イケショク ブランドで親しまれてきた。そして、創業 50年を迎えた2011年に家庭用食品を扱う企業を吸収、企業理念『九州のごちそうを、全国 の食卓へ。』を制定し、熊本の食を全国に広めることで地域の活性化を目指す第二創業を スタートしている。 九州ならではの味わい、 地元で愛され続ける「いけだ巻」 創業時に開発した業務用ロングセラー商品「いけ だ巻」は、昆布を味付けしてかんぴょうで巻いた乾 イケダ食品は、熊本の有力食品問屋・亀井通産 物昆布巻きで、数分水に戻してそのまま煮詰める ㈱の食品加工部門が独立した企業である。同社が だけという簡単さと九州ならではの甘口の味つけ が地域に愛されてきた。 いけだ巻をはじめ、主力製品の佃煮類は、九州 独特の甘くてトロっとした醤油が味付けのベース で、 「 甘い佃煮=イケダ食品=九州の味」 と定着し 代表取締役社長 亀井創太郎 てきた。また、熊本は阿蘇を源とする地下水に恵 惣菜ホットニュース まれ 、世界でも珍しく、地域の上水道の全てを地 下水でまかなっている。厚生労働省のおいしい水 指 定を受 けたこの阿 蘇の伏 流 水を、佃 煮 類の製 造において100%使用している。 亀井創太郎代表取締役社長は50年の節目に「激 1 佃煮 惣菜 寿司具材 おせち具材 変する時代をビジネスチャンスと捉える視点が不 自慢のうま味を加え、長年かけて改良に改良を重 可欠。果敢に挑戦を始めた創業の魂を取り戻す時 ねた。味と実績では九州トップクラスを誇る。「末 が来た」、 「経営資源は ヒト・モノ・カネ と言われ 永くお客様に愛されるように」と塩分は5%前後 ているが、それらに 情 報・時 間・社 風 を加えた と控えめにし、甘みとうま味を最大限にひきだす い。今日、ビッグデータ時代といわれる潮流を迎 ことで、子どもから年配の方々まで幅広い年齢層 え、イケダ食品も第二創業をスタートさせなけれ に親しみやすい味に仕上げている。 ばならない」 と、第二創業を宣言、挑戦を続ける企 イケダ食品自慢の、黒く美しく艶(あで)やかな 業として動き出した。 昆布の照りは、自社の炊き上げ方式がその秘訣。 蒸気回転釜を使って一釜一釜じっくりと煮込み昆 九州のごちそうを、 全国の食卓へ。 布のうま味を引き出し、混ぜる・和えるといった工 程は攪拌機を使わず、長年の経験を積んだ熟練し た職人たちが、自らの手で混ぜるなど、丹念に丁 第二創業の取り組みの一つである「九州のごち 寧に昆布のうま味を引き出している。出来上がっ そうを、全国の食卓へ。」プロジェクトでは、九州の た昆布はまろやかな食感で味わいに角が無い。 食 材を使 用した佃 煮・惣 菜・寿 司 具 材・煮 豆・漬 その他、惣菜商品のたたきごぼうも人の手で和 物・乾物などをそろえ、 「 九州のごちそう」をブラン えている。ごぼうを傷付けず、優しく調味料でコー ドとして育てている。ブランドを全国に発信すると ディングする事が可能だ。昆布を浸した時の水分 いう経営戦略の一環である。 チェックやかつおのふんわり感も手で引き出して こだわりの商品は、家族が笑顔で食卓を囲む姿 いる。このように 熟 練した 職 人 の 手 作 業 にこだ を想定して作られている。 しそ昆布をはじめとした わった、小ロット生産が同社の強みである。 佃煮類商品は、九州の味・甘口を生かしつつ同社 ご当地カレーシリーズ 惣菜ホットニュース 太平燕(タイピーエン) 2 「熊本城 復興祈念カレー」の発売 世界へ、未来へ飛躍 業務用製品の営業は東京と大阪に駐在員を置 同社では海外戦略の足がかりとして、業務用製 き、家庭用はネット通販「ひごもん家」から情報を 品の生産増に対応するため、1992年には熊本県 発信、少しずつ全国へ広まっている。県のアンテナ 内の食品メーカーとして初めて中国のメーカーに ショップである熊本銀座館の売り上げは順調であ 製造委託を開始。後に現地法人との提携会社を る。佃煮、ご当地カレー、熊本名物の太平燕(タイ 興し、国内生産以上の商品作りを目指すなど、今 ピーエン=春雨スープ)などを展開し、その中で 日の海外生産基地の基礎を築いた。この間、中国 も、レトルトカレーは特に人気商品である。ご当地 から大勢の現地従業員を迎えてイケダ食品の生 カレーシリーズには「赤牛カレー」 「赤のトマトカ 産技術を学んでもらうなど、人材育成にも注力し レー」 「 黄 の れ んこんカレ ー 」 「 黒 の 海 苔 胡 麻カ てきた。現在では、熊本本社に常駐する中国担当 レー」 「阿蘇の赤牛カレー」 と様々なラインアップ 者との連携により、イケダ食品仕様の商品を発注 がそろう。一番人気の「赤牛カレー」は、熊本県産 通りに製造できる海外生産システムが完成してい 赤牛をじっくり煮込んでコクを出し、赤酒、朱次郎 る。 唐辛子の熊本県産素材にこだわった本格ビーフ 外食に加え、中食においても日進月歩で変わる カレーである。 消費者ニーズの変化を飛躍するチャンスと捉え、 同社では大地震にて深刻な被害を受けた熊本 多彩な製品を開発・改良して全国に発信するハー 城の復興に、地元メーカーとして何かできないだ ド面のバックボーンとなっている。 ろうかと考え、昨年12月に「熊本城 復興祈念カ レー」 (税抜500円)を発売した。熊本産肥後のう イケダ食品㈱ まか赤鶏の手羽元を丸ごと使用し、カレールーに 代 表 者:代表取締役社長 亀井 創太郎 本社所在地:熊本県熊本市南区護藤町 861 番地 8 工 場:本社・工場 (熊本市内=フーズタウン内) 第2工場 (熊本市内=フードパル内) 年 商:12 億円 (前年比5%増) 従 業 員:60 名 電 話:096-227-2222 主 要 事 業:食料品製造業 (佃煮・惣菜・寿司具材・煮豆・漬物・ 乾物など) は地元酒造の赤酒を加えた、熊本ならではの味わ いあるカレーに仕上げた。パッケージには、地震 後すぐに城郭を訪れ、涙を流した亀井創太郎社長 による熊本城のイラスト。カレーの売上金1個に つき50円が、熊本城復興再建の支援金として寄 付される。現在熊本のスーパー、デパートなどで 販売している。 原材料・製法にこだわり昔ながらの味を守り品質を追求している 惣菜ホットニュース 3
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