美しいもの、美しいままに

山 田 省 吾 選 甲府
桑原
博子
望み抱き少年春の風となり
玉砂利をざくりざくりと厳かに踏みゆく我ら心無にして
甲州
秋野
正彰
富士吉田
加々美清子
甲府
遠藤
俊子
甲府
原
崇
甲府
望月貴美子
床の間にでんと座りし鏡餅わが一年の息災願う
一夜明け富士のお山に雪積もり間近く庭に置くごとく見ゆ
一瀬
文男
市川三郷
甲府
小林信二郎
われ
長 瀬 和 美 選 「2017年 新春文芸佳作集」
初売りに今年も買った十二色
坂 田 よ し 江 選 金婚を迎へし年の初日かな
甲府
伊藤
隆雄
る
は
表札にひとつ書き足す初春の色
甲府
横森千代乃
あ だ な
久々に出会いし友と語らえば恩師の癖と渾名浮かび来
うれ
健やかに目覚めて嬉し迎春の庭の植木に若水をやる
市川三郷
平川
義春
甲府
星
はるみ
ゆっくりとオレンジ色に染まりゆく元日の朝の窓のカーテン
中央
小林真由美
くりや
甲府
大村
麻子
厨よりハミングの声聞こえ来る妻の体調今朝は良いらし
人前で話さない子が友のため今日はしっかり事情を語る
こ
巡り来し新しき年夢多き娘の幸せを遠く見守る
甲府
水上
瑛子
松田
健嗣
甲斐
甲府
菊嶋
清子
開運の「くの字」
「しの字」のおみくじを子らと結びぬ鉄幹の枝に
縁起良き初夢願い宝船折って枕にしのばせし夜
ち そ う
正月の膳を囲みて集いたる家族楽しもこれこそ馳走
昭和
細田
松美
中央
鈴木
節子
市川三郷
立川
亮子
ぎんなん
銀杏を炊き込みご飯に混ぜいれて新春祝うちょっと豪華に
まぶ
軽々と石段登る若者のわれを抜き行く背中の眩し
★
スポーツニッポン新聞社
•
す み か
富士吉田
青柳
時子
甲州
武井
透江
金丸
典男
笛吹
甲府
仲沢
弁膜
甲府
若林寿美子
甲斐
石井
章
甲斐
松田
健嗣
つま
夫の背を見ながら歩く散歩道丸き背中に老いを感じて
南
深沢
幸子
アルプス
富士吉田
萱沼
勝由
笛吹
土屋
悦子
北杜
小沢千鶴子
井 上 信 太 朗 選 川口工場
つい
もら
雑魚なりに小さな夢をふくらませ
正座して誓いも新た筆始め
望月
芦川
市川三郷
群馬
高橋
空
市川三郷
岡部
登
岡山
久宗
明子
追い風を味方に夫婦初詣で
とり
微力でも善意の汗は美しい
や
復興へ羽ばたき止めぬ酉の年
三世帯それぞれの窓春を呼び
くじ
年新た老虎挫けず夢を追う
す
る
慈母めいて孫妹の髪を梳き
は
子供らの元気な声で初春が明け
かなくぎ
甲府
大村
麻子
好物のマロングラッセしみじみと亡きわが夫と二人の茶会
南アルプス
駒井
春美
きょくじつ
富士山の新雪赤く染めあげて旭日のぼる日本の空に
き
甲州
坂野
喜子
こ
古稀ちかき同級生の女子会は少女のような笑顔はじける
甲府
望月
貞江
けては、日本全国で養蚕が盛
笛吹
土屋悦子
南ア
安藤孝
甲府
若林寿美子
甲府
内藤勝人
★
•
初笑ひ赤子抱かせて貰ひけり
茨城
山田
栄仁
こ だ ま
けいたん
鶏旦や筑波二峰に木霊せり
都留
谷内
京子
甲府
中村
彰
富士吉田
渡辺
章子
富士吉田
小林
祥子
富
奥脇栄美子
士吉田
身延
小林
利典
市
三枝
稔
川三郷
甲斐
松田ひろ恵
甲府
長瀬みち子
金釘の肉筆賀状少し増え
甲府
矢沢
和子
甲府
宮川ともお
芽吹く日を陰から支え夢を追う
年賀状受ける喜び友の顔
また
又一歩強く踏み出す初日の出
甲府
橘
正樹
生まれ月の割引サービスある宿で夫の迎える七十三歳
こ
風呂があり遊具も並ぶ福祉センター童心となりブランコを漕ぐ
んに行われましたが、なかで
自衛隊タガを緩めて軍となり 傲慢に拍車がかかる自民エゴ 復帰した後も変らぬ怖い基地
ロボットが世に出て人が使われる 南
大森一男
ア
中国が東シナ海
波を立て
一 句、 駆 け つ け 警 護。 二 句、 数 さ え あ れ ば。 三 句、
沖縄…。四句、浸透。五句、大半失う。
い
………………
◆
……………………
◆
………………
選者吟
金と云う漢字へ吹いた不況風
作 品 募 集
さ い。宛先は 短
歌 〒
40
0 0
―222 南アルプス市
飯野4168 ―
長瀬和
美、 俳
1
句 〒
409 み3
―
ち
14 南巨摩郡身延町道11
45 山田省吾、 川
柳 〒
400 0807 甲府市東
―
光寺2丁目
7 坂田よ
―
し 江 、時 事 川 柳 〒
4 0 0
0
―502 南巨摩郡富士川
町最勝寺828 ―
4 井上
信太朗の各先生まで。
福島工場
福島県福島市
佐倉下字二本榎前 10-5
TEL 024-593-6480
埼玉県川口市緑町 8-24
TEL 048-259-1234
初山河終の住処と決めし町
一齢を迎へる重み初明かり
膝に来て胸張ってゐる春着の子
しめかざり
小さきこと屋敷稲荷の注連飾
す
日本の富士裾うる街初日の出
市川三郷
河西五十鈴
東京
望月
正子
富士吉田
渡辺悠美子
甲府
石川
昭三
山梨
鮫田
律子
過疎の町幼な子駆ける三が日
北杜
五味
今夫
自分流五七五を友として
も山梨県が有数の養蚕県とい
中央
前田
良一
大月
和田
国基
う原種と「鐘月」という原種、 証明されたメンデル遺伝の法
ハイブリッドで、「春嶺」とい
則が、動物
(昆虫)
でも成り立
われたのは、繭の生産量が多
九条に守られて来し平和なり守り通してゆかねばならぬ
七十年守りくれにし憲法を学び直さむ年の初めに
神殿に新藁納め年明けの幸を願いて回廊めぐる
しんわら
甲府
遠藤
武文
富士吉田
宮下
泰代
初詣で絵馬にいっぱい願い事
代のみで、これをF1=エフ
つことを、蚕を使って証明し
かったばかりでなく、同じ品
あ ま た
わが庭に数多埋めたる球根を誰も知らない春になるまで
ワン=といいます)はその両
あるいは「同栄」という原種と
ま し た。黄 色 い 繭 を 作 る 品 種
種の蚕を飼ってもどこより品
件 が 大 き く 関 わ っ て い ま す。
ごうまん
甲府
横森千代乃
つ 例 が 多 い。雑 種 強 勢 と 呼 ば 「 紅 白 」と い う 原 種 を 掛 け 合
親(AやB)より優れた面を持
わせて生まれた交雑種F1の
と白い繭を作る品種を掛け合
ら出た雌雄の蛾を
果物や野菜や米が美味しい理
味しかったことでしょう。
短歌、俳句、川柳、時事川
柳 と も、 は が き に 5 首、5
句 以 内。未 発 表 作 品 に 限 り
ま す。二 重 投 稿 は し な い で
下 さ い。作 品 は 小 紙 ホ ー ム
ペ ー ジ に も 掲 載 し ま す。は
がきには
「しんぽう歌壇 俳・
壇・柳壇・時事川柳」とそ
れぞれ朱書きし、氏名・住
所・電話番号を明記して下
「もったいない」
「地域との共生」
認証取得
「環境に優しい」
美しいもの、美しいままに
元旦や富士に魅せられ住み古りぬ
くわはじめ
土起こす黒く光れる鍬始
ら
ごと
甲斐
長田かつ子
松過ぎて変はらぬ日々の始まりぬ
こ
ま
万歳の後追ふ子等の声弾む
としがみ
歳神の灯明父母の在す如し
く
若水を父と汲みしを懐かしむ
初詣里人集ふ郷社かな
松立てし家並に富士の初景色
わ
初日の出国旗きらめく我が狭庭
はつみそら
甲府
長沢
キエ
だんらん
そ
不死鳥と呼ばれてみたい年女
と
今年こそ足腰きたえ富士登山
屠蘇を酌み一家団欒初笑い
甲府
村松
幸治
屠蘇祝う家族の笑顔揃う初春
れるこの現象は蚕の実験で明
蚕ですよ、という表記なので
質の良い繭を生産できたから
前、
外山博士は、
エンドウ豆で
らかになり、養蚕業の画期的
わせて生まれた蚕はすべてが
交配させて生まれ
由と同じで、昼間の豊富な日
い
た約120頭の蚕
照と夜間の冷え込みは、蚕の
お
が作った繭は、黄
餌である桑も高品質に仕上げ
色が約 個、白い繭が約
個
が
な 実 用 技 術 と し て 活 用 さ れ、 す。
この雑種強勢、すなわち交
です。
これには、
本県の気象条
その後、多くの作物でも応用
されるようになりました。
かつて山梨県は全国有数の
養蚕県でしたから、年配の方
車と蚕
黄色い繭をつくり、この繭か
そろ
中央
佐野
久則
甲斐
高橋
正
甲斐
松田
健嗣
甲府
宮崎
和江
白銀の富士のきは立つ初御空
市川三郷
依田
久子
じ
そ
穏やかな日和となりし初山河
や
健やかに初日を拝む八十路かな
はつすずめ
寄り添ひて枝分け合ひて初雀
老ゆるとも息災なりし賀状書く
はつあかね
めでたさや心うき立つ初茜
りょうせん
稜線に富士の姿や初御空
正月飾りの一つに繭玉飾り
が あ り ま す。作 物 の 豊 作 を 祈
願 し て、 繭 玉 を 木 の 枝 に 結 び
付 け て 飾 る も の で す。か つ て
養蚕 が盛 んであ った 山梨 県で
は、 何 よ り 蚕 の 作 柄 安 定 を 願
っ て 飾 っ た こ と で し ょ う。こ
の蚕 が車 ととて も縁 が深 いと
ならどなたも、幼少の頃、農
雑種第1世代が両親より優れ
でその比が3
家の庭先で、あるいは寝床の
た 形 質( 幼 虫 の 大 き さ、 丈 夫
です。
ました。
蚕にとって、
山梨の桑
さ、繭の大きさ、繭糸の長さな
メンデル遺伝の法則が蚕で
山梨県をはじめ、関東地域
こうはく
王子を経由して横浜から海外
1になったの
隣で蚕をご覧になったことで
ど)を表すという現象を発見
も当てはまることと雑種強勢
周辺で生産された生糸は、八
はどこの桑よりもさぞかし美
し ょ う。そ し て、 蚕 の 品 種 名
したのは、当時東京帝国大学
現象とが相次いで発見された
どうえい
が「春嶺×鐘月」とか「同栄×
世
ことが契機となり、
植物、
動物
紀 初 頭 の こ と で す。そ の 数 年
へ輸出され、当時日本の外貨
機を自動化した
「自動織機」
を
を問わず品種改良が飛躍的に
そういえば、トヨタ自動車
発明して財を成した人で、蚕
獲得の旗頭となっていまし
す。八 王 子 郊 外 に は 日 本 の シ
の 前 身 は 豊 田 織 機。創 業 者 の
進み、作柄の安定や収量の増
ルクロード
「絹の道」
が今も残
と縁の深い人だったのです。
まうら・まさのり
年ころにか
F1でない作物は珍しいくら
いです。
昭和 年から
15
豊田佐吉氏は絹織物の機織り
加をもたらしました。
今では、 た。今 の 自 動 車 産 業 と 同 じ で
県庁入庁。県総合理工学研究機構特別研究員な
ど歴任。山梨科学アカデミー理事、2014年
から県果樹園芸会事務局長。農学博士。
20
っているようです。
1949年東京生まれ。東京農工大農学部卒。
で し ょ う か。ま さ し く こ れ が
しょうげつ
紅白」などと書かれていたの
教授の外山亀太郎博士で
しゅんれい
を覚えておられるのではない
30
いうお話をしたいと思いま
す。
近ごろは多くの車が「ハイ
うた
ブリッド」を唱っています。こ
の「ハイブリッド」は「雑種」と
いう意味の英語ですが、車で
はエネルギー源として、ガソ
リンと電気の両方を使う「混
成」の意味で使われているよ
うです。
生物学の世界では100年
以上前から使っている言葉
対
50
真浦正徳
山梨科学アカデミー理事
株式会社毎日新聞首都圏センター
URL http://www.mainichisc.jp/
本社 海老名工場
90
40
で、 純 系 A と 純 系 B を 交 配 し
て 得 ら れ た 子( た だ し 第 1 世
20
(第三種郵便物認可)
2017年(平成 29 年) 1 月 1 日(日曜日)
それが私たちの思いです。
•
毎日新聞社
本社・海老名工場
神奈川県海老名市本郷 2700-1
TEL 046-238-5611