転換畑における野菜栽培技術の確立

東北農業研究 (ToLoku ΔgHc
Res)29,238-234(1981)
-233-
転 換 畑 に お け る 野 菜 栽 培 技 術 の 確 立
一
鈴 木 信 隆・ 高 橋
野菜の種類別作付体系 一
伸 ・ 庄 子 孝 一 。佐 々木 丈夫・ 横 山 達 平
(宮 城県園芸試験場 )
Studies On Vegetable Culture in the Field Oonvertcd from Lo71and Field
――
Cropping system Of veget8bleS
――
NObutaka SUZuKI, N808hi TAttШ uSII, Kbichi S HCIJl,
Takeo SASAK1 3nd Tatuhei YoKoYAMA
(Miy3gi PreFectur81 HOrticultur81 Experiment StatiOn)
1
は
し
力ゞ き
水田利用再編対策 に対応 し,土 地生産性の高 い野菜を転
換畑 に導入 し,こ れを定着 させ ,農 家経営の安 定 と野菜 の
県内自給率の向上 をはか るために現地 に即応 した 14品 目で
7体 系 を設定 し,作 付け並 びに栽培 上の問題点 を検討 した
結果 ,実 用性が認め られたので報告す る。
2
試 験 方 法 及 び結 果
1
実施場所 岩沼市下野郷
立地 条件 : 岩沼市東部 の海岸に近 く,東 は松林で海岸
に追 り,近 くにはアシの茂 った 旧入江 と西 200∼ 3002に
は貞山堀がある。海抜 は 12以 下で 2088以 上の大 雨が降
ると冠水 しやすい。また地 下水位 も40"で 高 い圃場 であ
る。土壌堆積様式は海成沖積 と河成沖積か らなっている。
2 作付体系
連 によ り,茎 や雄穂の被害 に比較 して被害果率 は低か った
が ,最 終的には10%の 被害果が認 め られた。鳥虫防除 とあ
わせて既成畑同様の防除対策が必要である。
体系 2:ハ クサィ品種はやみ ど り,オ リンピアの 2品 種
を供試 し,1978年 8月 1日 播種 :畦 幅 210 Cπ ,ベ ット幅 110
Cπ ,条 間 ,株 間 40鍬 の 2条 植で検討 した。
高畦 ,乾 燥期 の播種 と砕土の不均一のため,初 期生 育 に
個体差が生 じ,そ れが後半 まで影響 した 。品種間では早生
種 のはやみ ど りが ,そ の影響 を強 く受け未結球 ,不 結球株
が多か った 。球重では,は やみど り2,880′ , オ リン ピア
3,310′ で良好 であった。 軟腐病 は発生少 で品種間差はみ
られなかった。
表
2
体系 2結 球ハクサイの収穫株 と収量 (a当 た り)
( )は 全体 数に対す る比事
品
3
体系毎の試験方法 と結果
体系 1: ス イー トコー ン品種 ハニーバ ンタ ム極早生 を
供試 し,1978年 4月 1日 播種 ,畦 幅 200C2,ベ ット幅 100
。
2,条 間 40C2,株 間 35C22条 植 え,黒 ポ リマルチ とポ リ
トンネル を使用 し, トンネル は 5月 20日 に除去 した 。
マル チ栽培 で土壌水分 が均 ―に保たれたためか ,比 較的
生育が良 く,欠 株 ,不 良株が少 な く,砕 土が不十分 であっ
たが良 結果 を得 た。熟 期 とア ワノメイガの発生時期 との関
表
:
体系 1ス イー トコーンの規格別収量 と
烏虫害 の発生 (3当 た り)
`当
種
=や
検
み ど ,は
1,月 1,日
窪
収
た,
崚
調査 .`当 た
オ リンピァは ‖月
`口
体系 3: エダ マ メ品種極早生 自毛洞爺 ,早 生 自鳥 の 2
品種 を供試 し,1980年 4月 5日 にペーパーポ ット(5× 5×
5)に 播種,パ イプハ ウス内で育苗, 5月 25日 定植 ,畦 幅
170C2,ベ ット幅 100ι 2,条 間 40 Cη ,株 間 15mの 2条 植
2本 仕立て黒ポ リマル チとポ リトンネル使用で検討 した 。
熱期 は極早生 自毛洞爺が ,播 種後 89日 ,早 生 自鳥が 96日
で極早生自毛洞爺 が約 1週 間程度早 まった。総葵数では早
生自鳥が極早 生自毛洞爺 よ りもやや勝 り, 2粒 葵 , 3粒 爽
の割合 も多 く,不 稔葵は極早生 自毛洞爺に多 か った。
表
3
体系 3エ ダマ メの株当た り収量
-234-
数 ,重 量 において勝 った。また ,M級 以上 の割合 で もマル
チ区が勝 り,オ オジロの肥大率が高 く,ま た 50,以 下 の小
さい ものの割合 は男爵が 高 か った。
したが って ,オ オン ロは男爵 に比較 して い も数 は少ない
が肥大 ,揃 い もよ く,早 掘 り用 として適する もの と思われ
以上 2品 種 とも使用可能 と思 われるが ,収 量 ,品 質 では
早生 自鳥が やや勝 った 。
体系 5: バ レイシ ョ品種男爵 ,オ オジ ロの 2品 種 を供
試 し,1979年 3月 20日 播種 ,露 ■l区 は畦幅 75`2,株 間 35
π,株 間 35C2の 2条 植 で検討 した。
鍬 ,マ ルチ区は畦幅 150 θ
収量 は 6月 2b日 の掘取 りで ,マ ルチ区が両品種 ともい も
表4
る。
体系 5バ レイシ ョの収量
” ”
`ん
3
︲
︲
9
︲
2
5
9
∞6
4
7
6
3
4
1,143
1,143
(a当 た り)
た
時 期 別
計
3
︲
0
12
0
6
2
0
12
3
︲
3
︲
12
12
0
0
0
0
3
︲
0
3
︲
12
一
3
︲
12
6
2
36
︲4
2︲
37
55
27
︲0
48
︲5
38
8 3
︲7
8
4
7
56
66
7
8
︲2
3姉5
︲
83︲
472522
33■5 47ω
707368,
0
05
56780︲3595
︲22”
22223
222
2 0 13 2
22■5■22
22
︲3
5
2
22
2
月 日
12
注 S-410′ 以 上 ,M… 450′ 以 上 ,L…
重 477夕 ,S以 上 1果 平均 重 4987
体 系 6:
5507以 上
2L¨
,
条播 で検 .● した 。
6
体系 6シ ュンギクの収量
株
数
′
数
(株 )
(株 )
日
17日
3
播 さは 11月 25日
ま
と
10 0
102
111
119
130
140
,2S-360′ 以上 , 2S以 上 1果 平均
,9月
15C2以 _L
株
数
(株 )
1,300
1,840
3,550
2,850
収穫 期 9月
以上
量>
株
20 Cπ
重<
収穫 まで
の 日 数
〈日)
日
月 月
播種期
目
12
30
42
64
75
88
95
当た
30。 π以 上
量>
′
重<
項
650′ 以上
個)
17日 播種 区が 51切 , 9月 30日 播
″当た り収量 では
'月 ,収 穫 までの所要 日数 は前者で 70
種 が 49″ と差 はないが
日,後 者 が 90日 であった。
シ ェンギ ク品種 東京株張 りを供試 し,1980年
100 Cπ ,条 間 15で 7の
9月 17日 , 9月 31日 播種 で ベ ッ ト幅
表
劉観
8
5%
7
5”
9o62,整 枝 は 3本 仕 立 て で検討 した 。
体 系 6,7プ リンス メ ロ ンの収量
計
重
8月 末 までの 収穫 を予定 したが , うどん こ病の多発 によ
り,つ るの枯れ上 りが早 く,7月 30日 で収穫調査 を打 ち切
った。株当た り収量 は 14個 で平均果重は 2S以 上で4777,
S以 上 498′ となったが品質 は良好であった。
パ イプハ ウスを示1用 した体 系 で ,プ リン
体 系 6 7:
ス メ ロ ンを供試 し,1979年 2月 15日 播 種 , 接 木 2月 28日
(台 木 ,新 土佐 ),定 植 4月 1日 ,ベ ッ ト幅 120。 2,株 間
5
7
7
3ω ∞ 6
1,067
338
総
(個 )
oヽ
419
以下
1 524
7“
3
地
31
一
7月 6日
露
2
5
地
露
`た
50′
個数
重量
(個 )
(個 )
oヽ
個数
8
”3
(個 )
オオジ ロ
男
爵
オオン ロ
爵
男
オオジ ロ
爵
男
オオ ン ロ
男
爵
6月 26日
個数
重量
腋⑩
個数
S50′ 以上
重ω
種
腋輸
区 別
M75,以 上
量の
重α
品
量の
重↑
2L 190′ 以上 L120′ 以上
蜃
表
29号 (1981)
第
東 北 農 業 研 究
130
140
重
計
量
(′ )
株
数
(株 )
95 0
102 0
重
量
(7)
5,180
4,990
30日 播 きは 12月 15日
め
3カ 年 間 の試験 結 果 か ら,露 地 につ いて は,ス イー トコ
ー ン他 9種 類 で 5体 系 ′施設 につ いて は プ リンス メ ロン
,
他 3種 で 2体 系 で検討 した結果 ,排 水対策 を充分 に行 った
肥培管理 をすることで ,転 換畑 において も普通畑 の栽培 と
同様 の生育 ,収 量 を確保 し得 ることが認め られた 。