年頭所感

年 頭 所 感
国民に支持される
強い老健施設をめざして
全老健会長
東 憲太郎
新年明けましておめでとうございます。
昨年は、4 月に熊本地震、8 月に東北 ・ 北
海道における豪雨被害、さらに 10 月には鳥
取地震と災害の多い年となりました。特に熊
本では被害が甚大となりましたが、それぞれ
の地域で被災された皆様にお見舞いを申し上
げるとともに、1 日も早い復興をお祈りした
いと思います。
このようななか、昨年 6 月に行われました
は、消費税率 10%を前提としていましたの
で、かろうじてわずかながらプラス改定とな
りました。しかし、消費税引き上げが平成
31 年まで延期された以上、次期同時改定は、
たいへん厳しい逆風のなかで行われると覚悟
しなくてはなりません。
私は、2 期目の会長職をお引き受けする際
に、「社会保障制度財源確保」を重点項目に
あげさせていただきました。この点について
第 5 回定時社員総会、理事会におきまして、
第 4 期の全老健会長として、私が選任される
はぶれることなく、他団体との協力や老健連
盟との連携を強力に推し進めていく所存です。
ことになりました。私としては会長職 2 期目
となります。同時に、平成 30 年の診療報酬・
介護報酬の同時改定を任されたこととなり、
職責の重さに身が引き締まる思いです。
もう 1 つの重点項目として、「国民に支持
される強い老健施設をめざす」こともあげさ
せていただきました。平成 30 年の同時改定
といいましても、実質的には今年が勝負の年
また、6 月 1 日には安倍晋三首相が消費税
率 10%への引き上げの延期を正式に表明し、
となります。新年を迎えるにあたり会員の皆
様には、国民に支持される老健施設をめざし
十分な社会保障財源の確保が危ぶまれる事態
となりました。直前に行われた診療報酬改定
ていただきたいと切にお願い申し上げる次第
です。
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国民に支持される老健施設とは
(1)医療機関からの受け皿機能
高齢者が入院した場合、障害が重度化した
にあると考えます。
事実、ターミナルケア加算の算定状況にお
いては、従来型で 19%、在宅強化型で 34%
り認知症の合併・悪化を招くことが、高い確
率で生じるといえるでしょう。にもかかわら
ず、医療機関には在院日数の短縮・早期の在
というデータが出ており、在宅復帰・在宅支
援機能が高いほど看取りに取り組んでいるこ
とになります。また、老健施設における看取
宅復帰が求められています。昨年来急増して
いる地域包括ケア病棟も、その受け皿の一翼
を担う機関として存在感を発揮しようとして
りに対する家族満足度は 90%近くあり、今
後高齢者多死社会を迎えようとしているわが
国において、国民の老健施設での看取りの
います。
しかし本来、認知症を合併していることの
多い障害をもつ高齢者の受け皿は、老健施設
が担うべきだと考えています。中学校区ごと
に計 36 万床も配置されている老健施設が、退
院時の受け皿や、在宅介護の支援を担うとな
れば、国民の安心感は増すと思われます。
(2)リハビリ機能
医療保険から介護保険へ、リハビリ機能の
スムーズな移行が提言されています。そして、
介護保険におけるリハビリ機能の多くは、老
健施設が提供するしかありません。通所リハ
ビリ事業所の 60%は老健施設が運営してお
り、ショートステイで個別リハビリを提供し
たり、入所で短期集中リハビリや認知症短期
集中リハビリを提供できるのは老健施設だけ
です。さらに訪問リハビリも提供可能です。
しかし、老健施設の多くがこのようなリハビ
リ機能を十分に提供しているとはいい難い現
状があります。
平成 27 年の介護報酬改定においては、リ
ハビリテーションマネジメント加算(Ⅱ)や
生活行為向上リハビリ等、デイケアとデイ
サービスの差別化が明確に示されました。介
護保険においても老健施設で充実したリハビ
リが受けられるとなれば、国民の老健施設へ
の期待・支持は大きくなるに違いありません。
(3)看取り機能
在宅復帰・在宅支援機能と看取り機能は、
一見矛盾しているかのようにみえます。しか
し私は、老健施設の看取りは在宅支援の延長
ニーズはさらに高まると思われます。
今こそ原点に返り、考えるとき
消費税率引き上げの延期、深刻な人材不足、
サービス付き高齢者向け住宅の急増に伴う老
健施設の入所待機者の減少等々、私たちを取
り巻く社会環境は、以前と比べて非常に厳し
くなっています。
しかしこのようなときこそ、国民や社会か
ら何が求められているのかという視点をもつ
ことが、この環境を生き抜いていくために重
要なのではないでしょうか。地域差などを言
い訳にするのではなく、おのおのの地域で老
健施設に求められている機能を、原点に立ち
返り、考えるときだと感じています。汗を流
し、工夫を重ね、時には血を流すことも求め
られてくるでしょう。
年頭所感において、会員の皆様に明るく希
望のもてる話題を提供できないことをお詫び
申し上げます。しかし、汗を流し歯をくいし
ばって老健施設の使命を果たそうとする会員
の皆様を全力で支えていくことが、全老健の
会長としての私の使命であると信じています。
繰り返しになりますが、老健施設を取り巻
く環境は、今後さらに厳しくなると予想され
ます。このようなときこそ、支部をはじめ、
会員の皆様とともに、執行部一同全力で困難
に立ち向かっていきたいと存じます。
最後に、本年が「国民に支持される強い老
健施設」への飛躍の年となりますよう祈念し、
新年の挨拶とさせていただきます。
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