食と栄養のアフリカ・イニシアチブ(IFNA)に係る モデル事業案

「食と栄養のアフリカ・イニシアチブ(IFNA)に係る
モデル事業案
IFNA で実施すべき具体的活動は、対象国における現時点の栄養状況、関連政策、社
会・経済制度、既存の介入状況等に関するベースラインの把握、ギャップ分析等を踏
まえて特定される。
以下の「IFNA で促進する典型的な政策、プログラム、プロジェクト及び制度化等の
例」により、国家レベル又は地方レベルの政策、プログラム、プロジェクトの例示的
な類型を示し、IFNA に参加する各ステークホルダーの間で、IFNA の原則を踏まえて推
進される各種活動のイメージを共有する。ただし、実際の活動は、これらに限定され
るものではない。
なお、以下は、IFNA の原則を踏まえ、複数のプロジェクト、スキーム、セクター、組
織等の連携によって効率性、効果及び持続性の観点でシナジーを生み出しながら実施
されることが想定されている。
また、IFNA で推進する栄養改善は、すべての形態の栄養改善、すなわちカロリー不
足、蛋白質不足、鉄分、ビタミン等の微量栄養素不足、栄養過多に対応するものであ
る。
1 モデル事業例
(1)IFNA で促進する典型的な政策、プログラム、プロジェクト及び制度化等の例
【栄養センシティブ性の向上】
各種政策、プログラム又はプロジェクトの中に、総合的な栄養目標又は指標を組み込
み、栄養センティブな農業、教育、地域開発、貧困削減、所得政策、社会政策、学校
給食、緊急支援策(金銭、食料、バウチャー)等を推進。
【アグロベース(地域食材、食育、地域学校給食)】
栄養価の高い地域食材の生産・加工・消費(鉄分、ビタミン等高栄養作物の摂取促進、
食育活動を含む。)及び地産地消型学校給食のための政策の策定、プログラム又はプ
ロジェクトの設計・実施・モニタリング・評価。
【アグロベース(食事摂取多様化)】
低利用伝統作物を含めた、豆類、養殖、畜産及び園芸・果樹(裏庭、学校農園)等高
栄養農産物の生産・加工・調理と食事摂取による多様化(適切な補助食品
(Complementary Food)の生産・流通を含む)のための政策の策定、プログラム・プ
ロジェクトの設計・実施・モニタリング・評価。
【アグロベース(灌漑導入地域における多様化)】
灌漑導入地域域における栄養価の高い食材の生産・加工のための政策の策定、プログ
ラム又はプロジェクトの設計・実施・モニタリング・評価。
【バイオ栄養強化、食品栄養強化、サプリ】
必要に応じ、栄養強化作物(Biofortification)、栄養強化食品(Food Fortification)、サ
プリメンテーション物資の生産・加工・流通・適正摂取のための政策の策定、プログ
ラム・プロジェクトの設計・実施・モニタリング・評価。
【栄養価の高い食料の保存、喪失・無駄の防止】
季節的食料不足、食料や栄養価の喪失・無駄を防止するための食品の保存、加工、輸
送及び販売技術の普及やインフラの整備とそれらのモニタリング・評価。
【脆弱地域における食料供給の強化】
栄養危機に対して脆弱な地域、又は、地球温暖化の影響を受ける(た)地域における
食料供給を強化するための政策の策定、プログラム、プロジェクトの設計・実施・モ
ニタリング・評価。
【各パートナー間の連携】
国際機関、CSOs、研究機関の栄養改善介入の成果を基礎としながら、相互の連携を
強化することにより、更に、地域の栄養改善を持続化させ、又は、アップスケールを
促進するような政策又は制度の策定、プログラム又はプロジェクトの設計・実施・モ
ニタリング・評価。
【民間との連携】
民間企業との連携により、民間の技術や開発手法を活用して、地域の栄養改善を持続
化させ、又は、アップスケールを促進するプログラム又はプロジェクトの設計・実
施・モニタリング・評価。
【人道的支援と開発支援の連続性の確立】
各国際機関の成果を基礎として、短期的な食料・栄養に関する人道的介入の成果とよ
り長期的な開発介入の成果をバランスよく組み合わせ、効率的で持続性の高い栄養改
善へと繋げ、又は、それをアップスケールするのに貢献するような、政策又は制度の
策定、プログラム又はプロジェクトの設計・実施・モニタリング・評価。
【食事指針、栄養指針、最初の1000日等】
食品成分表、国民食事指針、栄養指針、最初の1000日(母子保健、妊娠期から授乳期
の女性の保健、完全母乳保育、適切な補助食品等)等、食品・栄養・健康に関する一
体的な情報の提供、教育、実践活動等を推進するための、政策、指針又はツールの策
定、プログラム又はプロジェクトの設計・実施。
【情報提供、教育の機会】
学校のカリキュラムの改善及び保健・農業・教育・社会サービス組織の現場の職員
(社会指導員、農業普及員、教員等)、政府職員の能力向上を図るとともに、学校の
カリキュラム、保健・農業・社会サービス、コミュニティー活動等を通じて食品・栄
養・健康に関する国民への正しい情報の提供と教育を推進。
【コミュニティー栄養・健康管理センター】
コミュニティー栄養健康管理センター等コミュニティーベースでの栄養関連データの
収集、急性栄養不良の治療、栄養改善物資の配給、栄養・食事改善指導、栄養価の高
い農産物の生産・保存加工指導及び市場の形成、給食調理指導・実施、学童教育の実
施等を推進するための、政策又は制度の策定、プログラム又はプロジェクトの設計・
実施・モニタリング・評価。
(2)より上位の政策介入(1で例示した事業モデルの促進と併せて行う)
【栄養問題に対する政治的コミットメント、社会参画の強化】
1で例示した事業モデルの実施に併せて、栄養問題に対する政治的コミットメント、
社会参画の強化、国民啓発に繋がる政治ダイアログ、アドボカシーを推進。
【国家栄養計画等】
1で例示した事業モデルの実施に併せて、より上位の国家栄養計画、栄養政策、栄養
関連法体系等に対するインプットを実施。
2 共通の横断的クライテリア(IFNA原則を踏まえ)
(1) 女性や小規模農家の能力強化に十分配慮した、人間中心でインクルーシブ
な栄養フィールド行動の加速化と、その成果のアップスケールを重視した
政策、プログラム又はプログラムであること。
(2) 保健、農業、教育等のセクター間でのシナジーを生み出す効果の高い取組
であること。
(3) 各パートナーの有する成果を基礎にしつつ、その間で新たなシナジーを生
み出す効果の高い取組みであること。
(4) 短期的人道的な食糧・栄養介入や中長期的な食料・栄養介入の成果を基礎
にしつつ、持続性で強靭な栄養改善が図られることに貢献する取組である
こと。
(5) 科学的エビデンスの強化に繋がる、政策、プログラム、プロジェクトの設
計・実施・モニタリング・評価を行う取り組みであること。
以上