県内スギ雄花の着花料調査 [PDFファイル/332KB]

<参考資料>
県内スギ雄花の着花量調査について
○ 雄花の着花量調査について
スギは、2月から4月にかけて花粉を多く飛散させますが、花粉を飛散する雄花は、前年
の7月から 10 月にかけて形成されます。この調査は、スギの雄花が 11 月中旬頃になると
黄色味を帯び針葉の緑色と区別しやすくなるため、この時期に行います。調査方法は、林
野庁が定めたものです。
本県では、この調査を平成9年度から実施し、平成 28 年度は 20 回目となります。なお、
本調査は、平成 15 年度から林野庁の調査事業として実施しています。
○ 雄花の花芽形成と気象との関係
一般にスギ雄花の花芽形成は、花粉が飛散する前年の夏(7月~8月)の気象条件との
相関が高いとされています。高温少雨で、日照時間が多い気象条件であると花芽形成が
促進され、雄花が多く着く傾向がみられます。
平成 28 年夏の気象(横浜地方気象台「海老名観測所」)を見ますと、7月の平均気温は
平年の 100%で平年並み、降水量は 96%と平年より少ないものの、日照時間は平年の
98%と雄花がやや少なくなる気象条件となりました。一方、8月の平均気温は平年の 102%
と平年並みですが、降水量は平年の 167%と多く、日照時間は平年の 94%と雄花が少なく
なる気象条件となりました。この結果、図3の通り回帰直線に近く日照時間に対応した着花
点数となりました。
なお図2の通り、地域別の着花点数は、県央部、県北部がいずれも 43 点台と県内平均
値よりやや高く、県北西部が27.6点と低くなり、全体として県の西部が低く県央から県北方
面で雄花が多く着花して地域的な差が認められました。この原因としては、県西部で前年
の着花による結実が多く観察されており、そのために花芽が形成されなかったことが考えら
れます。
○ 花粉発生源対策について
当センターでは、花粉の発生源対策として「花粉の少ないスギ・ヒノキの品種」の選抜と
実用化を行っています。現在、県内で生産されているスギ・ヒノキの苗木は、全て「花粉の
少ないスギ・ヒノキ」となっています。さらに、全く花粉を飛散させない「無花粉スギ・ヒノキ」
の開発も進めており、無花粉スギは、平成 29 年春には約 5,000 本程度の苗木を出荷でき
る見込みです。
○ 花粉飛散量の計測について
当センターでは、雄花の着花調査以外にも平成 13 年度から当センター施設内のスギ林
において花粉飛散量を計測しています。このスギ林内の花粉飛散量と 30 箇所での雄花の
着花点数の間には図4に示した関係がみられることから、着花点数を調べることにより花粉
飛散量の予測が可能となります。
平成 20 年度から当センターのホームページでスギ・ヒノキの花粉飛散量を公開していま
す。平成 29 年春の花粉飛散量は、平成 29 年1月から公開する予定です。
http://www.agri-kanagawa.jp/sinrinken/index.asp
(研究企画部トップページからリンクいたします。)
○ 国立科学博物館及び当センターでの展示について
雄花の着花量調査の概要と全国で初めて神奈川県で選抜した無花粉ヒノキについて、
平成 28 年 12 月 23 日から平成 29 年 3 月 20 日まで国立科学博物館(東京都)で実施さ
れる企画展「花粉と花粉症の科学」で展示される予定です。
また、当センターの花粉に関する取り組みについて、平成 29 年3月7日から平成 29 年4
月 28 日まで当センター本館の展示室で企画展を実施する予定です。