ハイレゾ時代のコモンセンス ラズパイ・オーディオの勘どころ②

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ラズパイ・オーディオの勘どころ②
〜サンプリング周波数変換編〜
新連載
第
1回
ダウンサンプリング時に発生するひずみ信号
オーデイオ入出力用API ALSA
を利用してハイレゾ音源を再生する
大津 秀紀
アナログ波形を
WaveSpectra V.1.51
で観測
サンプリング周波数192kHzまで対応の
AS372
(aim)
または48kHzまで対応の
PL-US35AP
(プラネックス)
Tera Term V4.82で
ラズベリー・パイを操作
オーディオ・
プレーヤ
USB
ラズベリー・パイ
D-Aコンバータ
アナログ
波形確認
パソコン
USBオーディオ・
デバイス
80kHzと400Hzの
正弦波を再生
LAN
ハブ
LAN
図 1 ダウンサンプリング実験時の構成
サンプリング周波数 192kHz,分解能 16 ビットなど
といったハイレゾ・オーディオに関する記事が本誌で
も何度か紹介されてきました.ちまたの D-A コンバー
タにも,このような周波数,分解能に対応する品もあ
りますが,サンプリング周波数が 48kHz までしか対
応していない D-A コンバータもまだまだあります.
そのような D-A コンバータを利用する際には,デー
タを間引く処理が必要になります.
データ量を減らす「間引き」の方法には,ダウンサ
ンプリング処理があります.ダウンサンプリング処理
を適切に行わないと,波形ひずみや,思いもしない周
波数帯域への折り返しノイズなど,思わぬ「ニセ信号」
が生じます.
本連載ではラズベリー・パイを利用して,ダウンサ
ンプリングを適切に行うための基礎知識やプログラム
の作り方を解説します.
ダウンサンプリングの失敗例
Linux で動作するラズベリー・パイには,オーディ
オ入出力用の API に ALSA があります.ALSA のソ
フト・リサンプリングは,出力デバイスを「plughw」
と指定した場合に有効化でき,出力デバイス(ここで
128
(a)400Hz(0.5V/div, 2ms/div)
(b)80kHz(0.5V/div, 20μs/div)
図 2 OK:サンプリング周波数 192kHz 時の正弦波再生波形
は外付けの USB オーディオ・デバイス= D-A コンバー
タ)がサポートするサンプリング条件のうち,一番近
いものに条件を合わせて信号をリサンプリングして出
力します.実験時の装置構成を図 1 に示します.
● OK…192kHz サンプリング
サンプリング周波数 192kHz まで対応したハイレゾ
対応の USB オーディオ・デバイスを使って,ALSA
の出力デバイス指定を「hw」として実験を行いまし
た.サンプリング周波数 192kHz の 400Hz と 80kHz の
正弦波 WAVE ファイルの再生波形を図 2 に示します.
図 2(b)は 80kHz の再生結果が正しく観測できてい
ます.
● NG…48kHz サンプリング
ハイレゾ対応でないサンプリング周波数 48kHz ま
で 対 応 の USB オ ー デ ィ オ・ デ バ イ ス を 使 っ て,
ALSA の出力デバイスを「plughw:1,0」,ソフト・
リサンプリング ON で同じ WAVE ファイルを再生し
た波形を図 3 に示します.
図 3(b)では 80kHz のはずの信号が,周期を見ると
約 16kHz として再生されています.
関連記事:ラズパイ・オーディオの勘どころ〜クロック&データ同期編〜
第 1 回 ディジタル非同期がアナログ出力波形に与える影響(2016 年 3 月号)
第 2 回 I2S 接続 D-A コンバータの選び方(2016 年 4 月号)
2017 年 2 月号