ラズパイ・オーディオの 勘どころ

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目指せ高性能! I2S & USB のクロック&データ同期入門
ラズパイ・オーディオの
勘どころ
第
2回
I2S 接続 D-A コンバータの選び方
岡村 喜博
不連続点
図 1 同期を考慮せずにオーディオ用 D-A コンバータを接続した
場合…出力に不連続な部分が発生する(2V/div,100μs/div)
図 2 きちんと使った場合…システム・クロックと I2S が同期して
データの取りこぼしなく再生できる(2V/div,100μs/div)
fS=96kHz, フルスケール,正弦波(20kHz)
fS=96kHz,フルスケール,正弦波(20kHz)
クロック
(発振器/振動子)
直接またはPLLなどを介して
共通のクロック源が使われる
BCK
マイコン
SD(Data)
LRCK
D-A
コンバータ
図 3 市販のオーディオ装置はたいていマイコンと D-A
コンバータのクロック源が同じ…ユーザはクロック源
を気にしなくても使える
ラズベリー・パイ2
クロック
(発振器/振動子)
D-Aコンバータ基板
別々に
ならざる
を得ない
クロック
(発振器/振動子)
BCK
プロセッサ
SD
(Data)
LRCK
D-A
コンバータ
図 4 ラズベリー・パイに D-A コンバータを外付けしたときはシ
ステム・クロック源が異なる…ユーザはクロック構成と D-A コン
バータの特徴を理解していないと使えない
前回(第 1 回,2016 年 3 月号)の実験では,ラズベ
リー・パイ 2 とオーディオ用 D-A コンバータを I2S で
接続しましたが,同期を考慮しなければ出力がひずむ
ことを示しました(図 1)
.
今回は前回の実験で出力がひずんだ原因とその対策
を解説し,きちんと使えば実際にオーディオ用 D-A コ
ンバータからひずみのない出力が得られることを実験
で確認します(図 2)
.
● ラズパイ・オーディオの宿命…クロック源が
別々になってしまう
一般に市販されているディジタル・オーディオ・プ
レーヤでは,マイコンや DSP,オーディオ用 D-A コ
ンバータは同一基板上に搭載されて一体として設計さ
れます.データの受け渡しについても共通のクロック
を使用するなど一体で設計されます(図 3).
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ところが,今回はすでに完成しているラズベリー・
パイ 2 にオーディオ用 D-A コンバータを後から外付け
しています(図 4)
.ラズベリー・パイ 2 と外付けの
オーディオ用 D-A コンバータが独立しているので,
データの受け渡しのタイミングを正しく設計しない
と,前回の実験のような同期ずれを起こして出力波形
がひずんでしまいます(図 1)
.
前回のおさらい
● CPU と D-A コンバータのクロックが非同期だ
とアナログ出力がひずむ
オーディオ用 D-A コンバータにデータを渡す方法
は,前回説明したようにいくつかの方法が定義されて
第 1 回 ディジタル非同期がアナログ出力波形に与える影響(2016 年 3 月号)
2016 年 4 月号