台湾リトリートに参加して 鎌田仁美 私にとって中国・朝鮮と並び、近くて遠い国だった台湾でしたが、この一週間の交わり で、悲しみ苦しみの中にある人に寄り添う心と、真っ直ぐな思いでおおらかにどんな人に も向き合う姿勢は、同じ信仰を持つ友人であることが実感され喜び多いものでした。 私は石巻のみのパートスタッフです。初めの頃は、皆がワークに出ている間に拠点で夕 食の準備をし、戻って来られる前にはまた鍵をかけて帰るというものでしたので、ワーカ ーの皆さんにお会いすることはほとんどありませんでした。いつの頃からか、スタッフが 備えてくれたノートに私からその日のメニューを書き込み、その日のワーカーも感想を書 いてくれるようになりました。もちろん、台湾の方からも日本語や英語でのメッセージも ありました。今回お目にかかった方々の中にもメッセージを下さった方もおられたのでし ょうが、実際には再会というものではなく全くの初対面であったのです。にもかかわらず、 どこに行っても皆さん、あふれるばかりの喜びをもって接してくださいました。 台東から花蓮に車で向かう途中に昼食をご準備して下さった教会の方々の中に伝道師の 先生のお母様がご一緒されました。まだ信仰に導かれていないご婦人ですが、 「四年生、10 才まで私は“ヒデコ”で日本の勉強をしておりました」と言われ、60 才になる息子が初め て耳にし驚くほどの日本語で私と話されたのでした。行く先々の教会で日本に留学された 経験のある方や高等教育である女学校まで日本でした、といわれる高齢の方々にはお会い いたしましたが、特別でないごく普通の方の間にも見られる日本の影に複雑な思いを感じ ずにはいられませんでした。 時の強国に翻弄され続けている台湾の皆さんの誇り高く真摯な生き様に、神様に連なる 枝々としての実感と、常に隣り人のために自分は何ができるのか、感謝をもって祈り、神 様が備えてくださる道の大切さを改めて学んだ一週間でした。
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