案 - 群馬県

(案)
群馬県卸売市場整備計画
(第 10 次)
平成
年
月
群馬県農政部ぐんまブランド推進課
目
第1 策定の基本的な考え方
次
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
1頁
1 生鮮食料品等の需要の現状と見通し ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
2頁
(1)人口の現状と見通し
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
2頁
(2)品目別需要量の現状と見通し ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
2頁
2 生鮮食料品等の流通の現状と見通し ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
3頁
(1)卸売市場流通等の現状 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
3頁
(2)卸売市場流通量(取扱量)の見通し ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
4頁
(3)生鮮食料品の流通をめぐる動き ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
5頁
(4)今後の課題 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
5頁
第2 卸売市場の適正な配置の方針 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
7頁
1 品目別流通圏の設定 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
7頁
2 卸売市場配置計画
7頁
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
第3 近代的な卸売市場の立地並びに施設の種類、規模、配置
及び構造に関する指標 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
10 頁
第4 卸売市場における取引及び物品の積卸し、荷さばき、保管等の合理化
並びに物品の品質管理の高度化に関する事項 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
13 頁
第5 卸売業者及び仲卸業者の経営の近代化の目標 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
15 頁
第6 その他 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
17 頁
第1 策定の基本的な考え方
卸売市場は、生鮮食料品等の流通を担う基幹的な社会インフラとして、生産者が生産し
た生鮮食料品等を消費者に安定的かつ効率的に届ける重要な役割を有しており、今後とも
健全に発展し、また、関係者の要請に応えていくことが求められている。
食品流通を取り巻く情勢は、少子高齢化に伴う人口減少の進展による食料消費の量的変
化、社会構造の変化に伴う消費者・実需者ニーズの多様化、農林水産物の国内生産・流通
構造の変化、生鮮食料品等流通の国際化など、大きく変化している。
一方で、市場外流通の増加などにより卸売市場経由率は低下し、取扱金額もピーク時の
5~6割程度に減少するなど、卸売業者等の経営は非常に厳しい状況にある。
これらのことを踏まえ、農林水産大臣が定める「第 10 次卸売市場整備基本方針」におい
ては、今後の卸売市場について、生産者・実需者との共存・共栄を図る視点の下、川上・
川下をつなぐ架け橋として、その求められる機能・役割の強化・高度化していくこととし、
それぞれの卸売市場の多様性を踏まえた経営戦略を確立することを強く打ち出している。
群馬県では、農業農村振興計画を策定し、経営体質の強化と販売力を高め、力強い農業
経営を育成するとともに、農業・農村が有する資源や文化の継承、地域の多様な担い手の
活躍を促進することにより「元気で魅力あふれる農業・農村の実現」を目指している。
農業の振興のためには、生産段階のみならず、生産から流通を経て消費に至るまでの全
過程に向けた施策が重要であるが、同計画では、ぐんまブランドの確立と戦略的な流通・
販売の強化、6次産業化による付加価値向上の取組を推進していくこととしている。
このような観点から、消費と生産をつなぐ卸売市場の役割は、非常に重要である。特に
市場には、生産者、小売店、消費者の間に位置する立場をこれまで以上に活かし、産地の
情報を小売店に提供し効果的な売り場作りを支援するほか、消費者の需要を生産者に伝え
生産者による6次産業化につながる商品開発の促進など、生産から販売までをコーディネ
ートする機能の充実が求められている。
県内の卸売市場の整備や健全な発展に向けた指導の指針として、群馬県では、昭和 47 年
に第1次群馬県卸売市場整備計画を策定して以降、概ね5年毎に新たな計画を策定してき
たが、第9次群馬県卸売市場整備計画の成果及び卸売市場を取り巻く情勢を踏まえ、今後
4年間の卸売市場の進むべき方向や運営の指針として本計画を策定するものである。
なお、本計画の基準年度、開始年度及び目標年度は、次のとおりとする。
○基準年度
○開始年度
○目標年度
平成 25 年度
平成 29 年度
平成 32 年度
1
1 生鮮食料品等の需要の現状と見通し
(1)人口の現状と見通し
基準年度(平成 25 年度)における総人口は、1,990 千人である。目標年度(平成 32 年
度)における基準人口は 1,920 千人と見込まれ、基準年度に比べて 3.5%減少すると予測さ
れる。
表1 県人口の推移と見通し
区分
平成 13 年
16 年
19 年
22 年
25 年
28 年
32 年
県人口
2,027
2,034
2,016
2,005
1,990
1,972
1,920
指数
101.8
102.2
101.3
100.7
100.0
99.1
96.5
・基準年度は群馬県企画部統計課調べ、目標年度は国立社会保障・人口問題研究所『日本の都道府県別将
来推計人口』による。
(2)品目別需要量の現状と見通し
基準年度における需要量の推計にあたっては、各品目における1人あたり需要量の変化
を踏まえ、人口減少による変動を考慮して試算を行った。
各品目における1人あたり需要量の増減の見込みは以下の通りである。
ア 野菜
高齢化や食生活の多様化等により需要量がやや減少することから、基準年の2%減
と見込んだ。
イ 果実
高齢化や他の嗜好品との競合等により需要量がやや減少することから、基準年の
4%減と見込んだ。
ウ 水産物
ライフスタイルの変化や高齢化等により需要量が減少することから、基準年の3%
減と見込んだ。
エ 食肉
引き続き中食・外食を中心に需要量の増加が見込まれることから、基準年の2%増
と見込んだ。
オ 花き
ライフスタイルの変化等で需要量の減少が見込まれる一方で、東京オリンピック・
パラリンピックの開催等により需要量の増加が見込まれることから、基準年より増減
なしと見込んだ。
2
表2 群馬県における生鮮食料品等の需要見通し
年間総需要量
基準年度
目標年度
(25 年度)
(32 年度)
1 人あたり年間総需要量
増減率
基準年度
目標年度
増減
(25 年度)
(32 年度)
率
野
菜
211 千 t
200 千 t
-5.4%
106kg
104kg
-2.0%
果
実
100 千 t
92 千 t
-7.4%
50kg
48kg
-4.0%
計
311 千 t
292 千 t
-6.1%
156kg
152kg
-2.6%
水 産 物
97 千 t
91 千 t
-6.4%
49kg
47kg
-3.0%
食
肉
91 千 t
89 千 t
-1.6%
46kg
47kg
2.0%
花
き
62112 千本
59927 千本
-3.5%
31.2 本
31.2 本
0.0%
青
果
・基準年度の1人当たり年間需要量は農林水産省「食料需給表」による。
「花き」は県内の取扱数量推計値
を基準人口で除したもの。
・年間総需要量は、1人当たり年間需要量に表1の基準人口を乗じて得た。
2 生鮮食料品等の流通の現状と見通し
(1)卸売市場流通等の現状
ア
県内卸売市場の取扱金額の推移
県内卸売市場の取扱金額は、20~30 年前をピークに減少傾向にあり、基準年度の取扱金
額をピーク時と比較すると、50~60%台まで落ち込んでいる。
表3 年度別の県内卸売市場の取扱金額の推移
昭和 58 年
63 年
平成 5 年
(単位:百万円)
10 年
15 年
20 年
25 年
青 果
56,844
62,077
67,695
65,823
50,680
42,574
34,945
水 産
34,386
37,950
45,226
39,852
32,415
28,412
23,767
食 肉
35,854
29,750
23,223
26,915
23,141
23,737
24,056
花 き
3,626
4,586
5,801
5,443
4,107
3,525
3,154
イ
卸売市場の経由率の推移と見通し
近年の市場経由率の推移を見ると、全体として低下傾向にあるが、主な要因として量販
店・外食産業による市場外仕入れの拡大、出荷者団体・生産者による直売施設やインター
ネット販売、輸入青果物・水産物の増加などの市場外流通の拡大が考えられる。
なお、過去の市場経由率の推移から目標年度の市場経由率を推計すると、表4のとおり
減少が予測される。
3
(単位:%)
表4 市場経由率の推移
平成 15 年
20 年
25 年
26 年
32 年
青 果
69.2
63
58.8
57.9
52.8
水 産
63.2
58.4
53.1
52
45.5
食 肉
12.2
9.8
9.1
8.9
7.5
花 き
80.9
84
82.9
82.9
82.7
・資料:農林水産省「卸売市場データ集」
。平成 25 年度以降は回帰推計により算出。
図1 市場経由率の推移
(2)卸売市場流通量(取扱量)の見通し
目標年度における市場流通量を1の(2)において推計した需要量見通しと、2の(1)のイに
おいて推計した市場経由率との積により推計すると、表8のとおりである。
表5
青
果
基準年度における県内卸売市場流通量(取扱量)の見通し
年間需要量
卸売市場経由率
市場流通量
(32 年度)
(32 年度)
(32 年度)
野菜
200 千 t
果実
92 千 t
計
292 千 t
105.4 千 t
52.8%
48.7 千 t
154.1 千 t
水産
91 千 t
45.5%
41.4 千 t
食肉
89 千 t
7.5%
6.7 千 t
花き
59927 千本
82.7%
49559.8 千本
4
(3)生鮮食料品の流通をめぐる動き
ア 少子高齢化に伴う人口減少等による食料消費の量的変化
少子高齢化に伴い、人口は長期的な減少過程に入っているとされている一方で、65 歳
以上の高齢者の割合は、大きく上昇すると推計されている。
現状でも、高齢化を背景に国民 1 人当たりの食料消費は近年減少傾向にあり、今後も
食料消費の量的な減少が進むとみられている。
イ 社会構造の変化に伴う消費者・実需者ニーズの多様化
単身・高齢者の単独世帯が増加傾向にあり、また、女性の労働参加が進展する中、食
の外部化や加工品の消費等が進展するとともに、インターネットによる食料品の購買も
増加傾向にある。また、カット野菜等の少量パック商品への需要増など、ニーズが多様
化しており、これを受けて小売店、外食、加工業者等の実需者においても需要に応える
商品が展開されている。
ウ 農林水産物の国内生産、流通構造の変化
生鮮食料品等の供給基盤となる国内農水産業においては、従事者の減少・高齢化等に
伴い、生産量・生産額は減少傾向にある。その一方、農業協同組合は、合併等により 1 組
合当たりの販売取扱高が増加し産地の大型化・集約化が進展している地域も見られる。
小売段階においても、食料品専門店・中心店における商品販売額が減少している一方、
大手による寡占化が進む食料品スーパー・コンビニエンスストアでは増加するなど、そ
の構造が変化している。
エ バリューチェーンの構築に向けた農林水産業の新たな動き
海外の需要の取込を目指した国産農林水産物の輸出や、農林漁業者が主体となって生
産だけでなく 2 次産業及び 3 次産業の加工・販売等を行う 6 次産業化の取組が、意欲あ
る農林水産業者により各地で展開されている。
オ 社会的な要請の高まり
災害等の緊急事態発生時に、県民に対する生鮮食料品の供給基地としての役割が期待
される他、その役割や機能を可能な限り維持または早期にその機能を回復するなど、対
応力の強化が求められている。
(4)今後の課題
ア 各卸売市場における経営戦略の確立
経営展望の策定により、各市場のあり方や競争力を高める上で優先的に実施する施設
整備及び取組を明確にし、開設者と市場関係業者が相互に連携・協力して遂行するなど、
各卸売市場において経営戦略を確立し、関係者が着実に遂行することで、卸売市場の機
能、役割を更に発揮していくことが必要である。
イ 立地、機能に応じた市場間での役割分担と連携強化
立地条件や機能等を踏まえつつ、各市場がそれぞれの経営戦略を明確化し、市場間で
5
の役割分担や連携強化等を進め、地域全体として求められる機能の強化を図ることが必
要である。
ウ 産地との連携強化と 消費者、実需者等の多様化するニーズへの的確な対応
コールドチェーンの確立を含めた品質管理の高度化を図るとともに、積極的な情報の
受発信や加工・調製等の付加機能等により、製配販連携を進めていくことが必要である。
エ 市場の活性化に向けた流通・販売に向けた新たな取組の推進
農林水産物の輸出促進や、6次産業化のパートナーとしての機能発揮などの新たな取
組を積極的に推進し、農林水産業の活性化に寄与することが必要である。
オ 公正かつ効率的な売買取引の確保
各市場における売買取引の状況について検証を行い、事務手続きの簡素化、市場内の
情報化等を推進し、生産者、実需者等のニーズに適切、迅速に対応可能で、かつ、公正、
効率的な取引を確保することが必要である。
カ 卸売業者の経営体質の強化
生産者や実需者との連携強化による集荷・販売力の強化や、経営改善に資するコスト
低減取組の実施などにより、卸売業者の経営体質の強化を図ることで、各卸売市場の機
能強化とともに、産地や実需者の信頼を引き続き得ることが必要である。
キ 卸売市場に対する社会的要請への適切な対応
生鮮食料品等の安全と消費者の信頼確保、市場運営に伴う環境負荷の計画的な低減、
さらには、災害等の緊急事態発生時における対応機能の強化など、卸売市場に対する社
会的要請に適切に対応し、信頼を高めていくことが必要である。
図2 経営展望について
経
営 展 望
基本戦略
行動計画
各市場が目指すべき姿・方向
基本戦略の遂行のため、開設
性(ビジネスモデル)等を定
者、市場関係業者等がそれぞ
めたもの
れ取り組む具体的な内容
即して
市場として経営戦略を確立し、取組を実施
6
第2 卸売市場の適正な配置の方針
1 品目別流通圏の設定
(1)青果物流通圏・水産物流通圏
○県内全域とする。
県内における青果物及び水産物の流通については、県央軸、東毛軸、西毛軸、吾妻軸、
三国軸、尾瀬軸、渡良瀬軸の「7つの交通軸」の整備により流通の広域化は更に進展す
るものと考えられるため、県下全域を流通圏として設定し、市場の連携を図っていく。
(2)食肉流通圏
○県内全域とする。
群馬県食肉卸売市場が県内及び県外にも流通範囲を持っているため、流通圏は県下全
域を流通圏として設定する。
(3)花き流通圏
○県内全域とする。
花きについては、切花類、鉢物類、花木類、その他観賞用植物に大別することができる
が、それぞれ生産、流通及び消費の形態に大きな差異が見られ、買受人の分布状況や鉢物
(花木)類を取扱う市場の産地市場的性格により県外にも買受人が分布していること等を
考慮すると、花きについては地域ごとに流通圏を設定することは困難であるため、県下全
域を流通圏として設定する。
2 卸売市場配置計画
(1) 地域拠点市場の配置計画
広域に流通する商品の集荷力の強化を図りつつ、流通圏における生鮮食料品流通の拠点
を確保するため、次のとおり地域拠点市場を配置する。
地域拠点市場は、市場が定める経営展望に基づき、市場間の連携を推進するよう努める
ものとする。なお、地域拠点市場同士の統合や連携も否定されるものではない。
地域拠点市場
① 前橋生鮮食料品総合卸売市場(青果・水産)
② 伊勢崎地方卸売市場(青果・水産)
③ 高崎市総合地方卸売市場(青果・水産・花き)
④
桐生地方卸売市場(青果・水産)
7
「地域拠点市場」とは
1 原則として目標年度における主たる取扱品目の取扱量の条件が、
青果は 15,000 トン以上、水産物は 7,000 トン以上、花きは 2,000 万本以上
2 経営展望の策定
3
次に掲げる措置のいずれかに取り組む
①他の地方卸売市場との統合
②他の卸売市場と連携した集荷・販売活動
(2)卸売市場の配置計画
生鮮食料品等の流通の広域化及び情報化の進展状況を考慮した卸売市場の再編につい
て配慮しつつ、市場流通量の見通し、人口の動向、消費の質的変化、輸送条件の変化等の
経済・財政状況を勘案し、当面、以下のとおり卸売市場の配置を計画する。
なお、配置計画は、県内における卸売市場の望ましい姿を示したものであり、個々の卸
売市場の事業活動や特徴ある市場づくりを制限するものではない。
※○印は地域拠点市場
※区分欄の(小)は小規模市場
8
図3 卸売市場の配置計画
凡
例
地域拠点市場(青果、水産、花き):2
地域拠点市場(青果、水産):2
総合市場(青果、水産):5
青果市場:2
花き市場:1
食肉市場:1
小規模市場:5
9
第3 近代的な卸売市場の立地並びに施設の種類、規模、配置及び構
造に関する指標
1 立地に関する事項
卸売市場の立地については、生鮮食料品等流通の広域化等を勘案し、開設者及び卸売業
者等の円滑かつ安定的な業務運営が確保されるよう十分な見通しを踏まえて行う。この場
合、特に次の事項について留意する。
(1)都市計画等との整合性の確保
(2)良好な交通事情
(3)施設利用の効率性の確保
(4)衛生上適切な環境地域
2 施設の種類に関する事項
施設の種類は、次に示すとおりとし、商品・小売の形態や取引方法の変化・多様化、情
報化の進展、物流技術の進歩、食の安全や環境問題に対する社会的要請の高まり等に対応
して必要となる施設を計画的に整備するとともに、整備された施設の効率的な利用及び維
持管理の適正化に十分配慮する。
施
設
売場施設
例示
卸売場、低温卸売場、仲卸売場、配送センター、買荷
保管・積込所、低温販売設備、活魚販売設備
駐車施設
駐車場
貯蔵・保管施設
倉庫、自動倉庫、冷蔵庫、ラック
輸送・搬送施設
自動荷さばき施設、自動搬送設備、フォークリフト、
エレベーター、コンベア
衛生施設
発泡スチロール処理設備、じんあい処理設備、汚水処
理設備、食品検査室
情報・事務処理施設
入荷量・卸売価格表示設備、せり機械設備、情報処理
センター、コンピューター、見学研修設備
管理施設
管理事務所、業者事務所
加工処理施設
バナナ熟成加工室、小分・包装設備、と畜施設等
福利厚生施設
医療設備、休養室、更衣室
関連事業施設
関連商品売場
以上の施設に付帯する施設
受電設備、給電設備、給油所、空調設備、計量設備
10
3 施設の規模に関する事項
農林水産省「第 10 次卸売市場整備基本方針」に規定する基準を参考に適正な施設規模
を確保する。
4 施設の配置、運営及び構造に関する事項
卸売市場施設の配置、運営及び構造については、生産者及び実需者のニーズや社会的要
請に的確に対応する必要があることを踏まえ、卸売市場で取り扱う生鮮食料品等の品質管
理の向上や加工処理等の機能の強化、さらには環境問題への積極的な取組や災害時等の緊
急事態への対応機能の強化等に向けて、特に次の事項に留意する。
(1)卸売市場施設については、費用対効果や市場経営に及ぼす影響等を考慮しつつ、当
該卸売市場の経営戦略に即した計画的な整備・配置を推進すること。
(2)魅力的かつ特色ある商品の品揃えを充実させ、それらに係る集荷・販売力を強化す
るため、高品質な生鮮食料品等の円滑かつ効率的な集荷、選果・選別等に対応可能な
貯蔵・保管施設、輸送・搬送施設等の整備・配置を計画的に推進すること。
(3)よりきめ細かなサービスを求める大規模小売業者、専門小売業者、外食産業事業者
等のニーズへの対応を強化するため、提供する多様なサービスに応じた加工処理施設、
貯蔵・保管施設、輸送・搬送施設等の整備・配置を計画的に推進すること。
(4)コールドチェーンの確立を含めた卸売市場における品質管理に対する生産者及び実
需者のニーズに対応するため、低温の卸売場や荷さばき場、温度帯別冷蔵庫等の低温
(定温)管理・多温度帯管理施設や、衛生施設等の品質管理の高度化に資する施設の
整備・配置を計画的に推進すること。また、施設運営に当たっては、コールドチェー
ンシステムの確立を含めた取扱物品の品質管理を徹底する観点から、適切な温度管理
の徹底に十分配慮すること。
(5)新規需要の創出を通じた市場関係業者の経営体質の強化、さらには市場取引の活性
化を図る観点から、立地条件等を踏まえつつ、卸売市場が国産農林水産物の輸出に係
る拠点としての機能を発揮するため、必要に応じて、輸出先が求める品質管理、小分
け・包装、多品目混載等に対応可能な施設を整備・配置すること。
(6)太陽光発電等による新たなエネルギーの産出とその活用、省電力設備の導入のほか、
食品廃棄物、容器包装等のリサイクルに資する施設や塵埃及び汚水の処理施設の整備・
配置、さらには通い容器の導入等による物流業務の効率化に努めること。
(7)取扱数量の増大が見込まれる卸売市場にあっては、各種施設の増設余地の確保、施
設の立体化等に努めること。
(8)大規模増改築等卸売市場施設の新設に当たっては、原則として外気の影響を極力遮
断する閉鎖型の施設とすること。
(9)施設配置に当たっては、場内搬送経路の最適化を十分考慮するとともに、必要に応
11
じて自動搬送施設の導入等を行うこと。また、場外における交通渋滞等を緩和するた
め、車両誘導の効率化等を図ること。
(10)卸売市場の運営の効率化と卸売市場における物流業務の効率化を図るため、
①生産者や実需者とのデータ連携や取引の効率化に資する情報通信技術の活用
②環境負荷の軽減に資する通い容器等の導入
に積極的に取り組むこととし、必要に応じて市場内における LAN(構内情報通信網)
や通い容器に対応した搬送施設の整備と通い容器の一時保管場所の確保に努めるこ
と。
(11)卸売市場施設の構造については、流通事情の変化や情報通信技術の進展に柔軟に対
応できるものとすること。
-
12
第4 卸売市場における取引及び物品の積卸し、荷さばき、保管等の
合理化並びに物品の品質管理の高度化に関する事項
1 取引の合理化に関する事項
卸売市場における公正な取引と透明性をもった適切な価格形成を引き続き確保する。そ
の際、卸売市場における取引規制の基本原則は維持しつつ、特に次の事項に留意して、効
率的な取引の確保や卸売業者、仲卸業者等の負担軽減のための措置を講じ、卸売市場にお
ける取引を生産者及び実需者のニーズに的確に対応させるとともに、その活性化を図る。
(1)バリューチェーンの構築等による市場流通の効率化
(2)市場間または産地や実需者との連携による、市場取引の活性化
(3)卸売市場及び品目ごとの特性に応じた合理的な売買取引の方法の設定
(4)生産者や実需者のニーズに対応した迅速かつ的確な取引の推進
(5)法令の範囲内でより迅速かつ簡易な売買取引に係る事務手続の採用
(6)取引情報の提供による価格形成における透明性の維持、向上及び公正な取引の推進
(7)適正な取引環境の形成
(8)売買取引における円滑・確実な決済の確保
(9)取扱物品に対する消費者等の信頼の確保
(10)コンプライアンス(法令遵守)の徹底
2 物品の積卸し、荷さばき、保管等の合理化に関する事項
商品管理の適正化、食品衛生の確保、ロジスティクス(戦略的物流管理システム)の展
開方向、市場労働の省力化等に配慮し、特に次の事項に留意する。
(1)商品の特性に応じた荷さばき、保管
(2)取引方法や小売形態の変化に対応した荷さばき、保管、搬送等の効率化
(3)荷役労働の省力化
3 物品の品質管理の高度化に関する事項
施設の整備と併せて、生鮮食料品等の鮮度保持のための温度管理、市場内の施設や用具
等の洗浄・殺菌等の品質管理の高度化のための措置に取り組むとともに、当該措置を内容
とする品質管理高度化規範の策定、同規範の内容及び遵守状況についての不断の検証並び
に社内遵守体制の強化を推進することにより、荷受けから卸売、仲卸、配送に至るまでの
各段階において品質管理の高度化に取り組む。
この場合、水産物及び食肉を取り扱う卸売市場においては、食品衛生法(昭和 22 年法律
第 233 号)に基づく公衆衛生の見地から必要な施設の基準や公衆衛生上講ずべき措置の基
13
準を遵守するとともに、食肉におけると畜段階においては、と畜場法(昭和 28 年法律第 114
号)等に基づく構造設備の基準や衛生管理の基準の遵守、食道や直腸の結紮(さつ)やナイ
フの消毒等に取り組む。
また HACCP の考え方を採り入れた品質管理や外部監査を伴う品質管理認証の取得等を
通じた、より組織的・体系的な品質管理体制の構築を図る。特に、輸出に取り組む卸売市
場にあっては、輸出先の法令で求められる HACCP に基づく衛生管理の導入等の品質管理
の高度化に取り組む。
14
第5 卸売業者及び仲卸業者の経営の近代化の目標
1 卸売市場の適切な運営に関する事項
卸売業者及び仲卸業者については、市場ごとの経営戦略に即した機能強化、卸売市場
に対する信頼の確保等に向けて、特に次の事項に留意し、その経営体質の強化等を図る。
(1) 卸売業者及び仲卸業者に共通する事項
ア 現状における経営上の強み・弱み等を分析の上、以下に積極的に取り組む。
①産地に対する営農指導、出荷支援、地域特産物のブランド化、品揃えの強化、新商
品の開発、小売や加工・業務用需要とのマッチング等に関する産地との連携強化
②ニーズに対応した加工処理、貯蔵・保管、輸送・搬送、リテイルサポート等の機能強
化による実需者との連携強化
イ 川上・川下双方に対するコーディネート機能の発揮に努める。
ウ
関係業者間における提携関係の強化を図りつつ、大型産地・大型ユーザーとの対等
な取引関係の構築に努めるとともに、予約相対取引の活用等により、生産者及び実
需者双方のニーズへの積極的な対応を図る。
エ 生産者が行う6次産業化への取組に対する積極的な参画に努める。
オ 人的資源の強化に取り組むとともに、責任体制の確立に努める。
(2)卸売業者
ア
経営規模の拡大及び経営体質の強化を図ることとし、特に資本の充実、従業員の資
質の向上、省力化システムの導入等による生産性の向上に努める。その際、市場内
外等の競争実態や情報システムの整備状況等を踏まえつつ、統合大型化や株式上場
による資本強化、さらには卸売市場を越えた卸売業者間の資本関係の構築等による
連携関係の強化を図る。
イ
経営の健全性を確保し信頼性を高めるため、増資等により財務体質の強化を図ると
ともに、経営再編によるコストの低減や経営多角化による経営改善に取り組む。
ウ
管理部門について、計画的な経営管理システムの整備、責任体制の確立等を図り、
事業の計画的かつ一体的な運営の確保と経営コストの縮減に努める。
エ
提供する機能・サービスの充実に努め、それに見合った手数料収入を通じて経営体
質の強化に努める。
オ
地方卸売市場の卸売業者にあっては、以下に定める基準を参考に経営の健全性の確
保に努める。
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【地方卸売市場に入場する卸売業者の経営の健全性の基準】
①流動資産の合計金額の流動負債の合計金額に対する比率が1を下らないこと
②資本の合計金額の資本及び負債の合計金額に対する比率が 0.1 を下らないこと
③連続する3以上の事業年度において経常損失が生じないこと
(3) 仲卸業者
ア
仲卸業務の適正かつ健全な運営を確保し、十分な仲卸機能を果たしていくため、経
営規模の拡大及び経営体質の強化を図ることとし、各卸売市場や取り扱う商品の実
態、従業員の高齢化、後継者の有無等を踏まえ、統合大型化を図るとともに、必要
に応じて廃業する仲卸業者の営業権の取得等に取り組む。
イ
経営の健全性を確保し信頼性を高めるため、財務体質の強化を図るとともに、経営
改善に取り組む。
ウ
仕入ニーズの適切な把握に努め、これに対応した商品の小分けや事前処理、保管・
配送等の販売業者機能を強化することにより、小売業者への支援を図る。
エ
情報通信機器の活用等による経営管理システムの確立や、経営再編等による経営合
理化、共同配送等により、コストの削減を進める。
2 卸売市場の機能の充実に関する事項
県産農林水産物の消費拡大や農林水産業の振興の観点から、特に次の事項に留意し、卸
売市場の活性化や消費と生産をつなぐ機能の充実を図る。
(1)消費者の求める新鮮な地場農林水産物を供給するため、地場産品の域内流通の拡大
や、規格外品等を活用した新商品の開発、小売や加工・業務用需要とのマッチング等
により地産地消の推進に努める。
(2)消費者、実需者等の需要動向を踏まえ、生産者と連携して地域の在来野菜や高品質
な品目などの全国に販売しうる地場産品の産地を育成するとともに、集荷機能や販売
先に関する情報受発信機能等を活かし、県外・海外の市場等への販路開拓を行うなど、
ブランド化に努める。
(3)県産食材を使用する飲食店と生産者の連携の促進に努める。
(4)農林水産物等の消費拡大を図るため、こだわりの生産方法など特長ある産地情報の
小売店への提供を通じて、効果的なポップ作成など売場作りの支援に努める。また、
家庭において旬の生鮮食品をよりおいしく食べられる料理法などの情報発信を行う。
(5)地場産物の学校給食利用を促進するため、生産者や学校給食関係者など関係機関と
連携し、地場産物の学校給食利用の促進に努める。
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第6 その他
以上のほか、卸売市場の運営等については次の事項に留意して行うものとする。
(1)情報化は、取引の公開性を高め、多様な取引方法の導入に資するなど、迅速かつ的
確な取引を推進する前提となることに加えて、取引事務のペーパーレス化、物流の省
力化等市場運営及び関係業者の経営の合理化に直結することから、早急にその推進を
図ること。
(2)最新の物流システムの導入、福利厚生施設の充実等卸売市場の労働環境の改善を通
じた魅力ある職場づくりに努めること。
(3)関連事業者については、卸売市場が食料品総合卸売センターとしての機能や、加工、
配送、保管等のニーズに対応した機能の充実を図る上でも重要なことから、その体質
改善と経営の活性化を図ること。
(4)災害時等の緊急事態に際し卸売市場が果たす機能の重要性に鑑み、防災性に配慮し
た施設整備を行うとともに、県と卸売市場連合会が締結している「災害時における応
急生活物資供給等に関する協定」に則り、緊急事態に際しても、卸売市場の物流拠点
としての役割を可能な限り果たすよう努めること。
また、食の安全に係る事件、事故等が発生した場合でも、客観的事実や科学的根拠
に基づき、公正な取引の確保及び適切な価格形成に努めること。
(5)卸売市場への理解を醸成し、
「食」や「日本食文化」に関する卸売市場の知見を消費
者に効果的に提供する観点から、食のイベント、学校教育のための市場見学会等の市
民と卸売市場との交流を深める機会の確保や消費者を対象とした表示等に関する講習
会、料理教室等の機会の提供等の取組を推進すること。
(6)取引結果及び卸売業者の財務を適切に公表するとともに、広く消費者に対し卸売市
場の役割、生鮮食料品等に対する知識、消費者の信頼向上に向けた市場関係者の取組
状況等について発信・普及するため、インターネット等を活用し、卸売市場に関する
様々な情報を効果的・効率的に広く公開・提供するよう努めること。
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