行政書士法施行規則(総務省令)

No.406
行 政 書 士 し が
平成28年(2016年)12月10日/月刊(1)
発行所 滋 賀 県 行 政 書 士 会
発行人 盛 武 隆 / 編集 広 報 部
所在地 滋 賀 県 行 政 書 士 会 館
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行政書士法施行規則
(総務省令)の規制緩和を容認
滋賀県行政書士会 会長
理事会の議決
平成28年11月16日の日行連理事会当日に突然、「第三
号議案 OSS対象手続の拡大に係る対応について」が提
出された。提案説明は「継続検査手続について、日本自
動車販売協会連合会と日本自動車整備振興会連合会を行
政書士法の適用除外とすること。」について承認を求め
るとするもので、質疑応答の結果、出席理事52人のうち
賛成43人で可決承認された。(資料①②)
会長会・理事会・総会の議決
規制改革推進会議等が求める「行政書士法第19条、同
施行規則第 20 条の規制緩和」問題は、日行連において
「規制緩和要求に反対する決議」が会長会において採択
され、続いて理事会の決議、そして総会における決議
(資料③)が順次採択されてきた。
総会は、日行連の最高意思決定機関である。総会で選
任された役員は、総会で議決された事業計画や予算計
画、特別決議等について誠実に執行する責任を付託され
ている。
今回の理事会議案が急を要するものであれば、臨時総
会を開催して代議員の議決を求めなければならない。総
会は全国の会員から選任された代議員により構成されて
いる。その代議員による「反対決議」を執行しないとい
うことは、全国会員の意思に反するものである。
また、たとえ理事会議案が採択されたことを正当とす
る場合であっても、総会の事業報告においてその理事会
決議を含む事業報告が、代議員の決議に背くものとして
否決されれば、理事会決議は無効となり得る。それは組
織運営における統治能力と代議員に対する責任を大きく
損なうものである。
ガバナンス(組織統治)の欠落
日行連には、変化する環境に対応し、揺るぎない制度
構築のため、業務部と行政書士制度あり方検討委員会、
規制改革委員会、電子申請推進委員会、そして道路運送
車両法及び行政書士法施行規則改正反対特別委員会、法
改正推進本部、その他の部や委員会等が置かれている。
今回の理事会決議は、これらの統合的な組織統治から導
き出されたものではない。それぞれの部門が機能して得
られた結論ではない、日行連が統治能力なき組織となっ
たことを内外に示したことになるのである。
各党議員連盟等への日行連および政治連盟の反対要望
日行連および日政連は一体となって11月の理事会直前
まで、「運用拡大が予定されている自動車保有関係手続
きのワンストップサービス(OSS)において、行政書士
の積極的な活用を求めるとともに、行政書士法施行規則
の不当な緩和がなされないことを要望します。」とする
要望書を作成し、各党議員連盟や関係機関に配布して反
対運動を展開してきた。当然に全国の行政書士会や政治
連盟も地元の国会議員や地方議員に要望してきたところ
であった。
日行連と日政連の反目
今回の日行連理事会決議は、国会議員や地方議員等す
盛武 隆
なわち国民に要請した行動を自ら否定したものとなっ
た。日政連の反対活動に賛意を表し行動していただいた
議員等のハシゴを一方的に外してしまったのである。
しかも日政連にはなんら通告なき決議であったことか
ら、幹事会では日行連理事会決議に反対意見が続出し、
今後の対応について日政連常任幹事会一任とされた。
行政書士法は議員立法である。その成立過程や改正の
過程を踏まえれば、行政書士法の改正は、各党議員連盟
の承諾を得ずして、国会の場での審議やその他の支援な
くして改正を成し得ない。すなわち行政書士会の役員が
理事会や総会でいかなる決議をしようとも、議員の提案
なくして国会の審議の場は与えられない。社会に影響を
及ぼす行政書士法の改正は、行政書士会の役員がどのよ
うな外的圧力を受けたとしても、日行連組織が軽々に応
じられるものではない。
まして日政連が蚊帳の外に置かれ、規制緩和要求反対
決議を守ろうとすれば、二つの組織が反目しあう結果を
招いており、日行連・日政連ともにその社会的信頼性は
大きく揺らぐこととなった。
行政書士法施行規則の改正は、総務省令改正であるか
ら議員等との了承は不要とする意見がある。しかし日行
連と総務省が省令改正だから各党議員連盟のご理解は不
要だとすることは大きな間違いである。
議員立法に立脚した行政書士制度に関する法令改正
は、各党議員連盟の支援なくして進まない。日行連・日
政連は、一人行政書士法人、ADR代理権、司法参入等の
法改正の実現を目指して各党議員連盟に要請している。
対外的信頼性を失った行政書士法改正の今後の運動の展
開は容易ではないことが予想される。
情報公開と平場の議論
日行連理事会が恐れた平場の議論(資料①下5行部分)
とは、規制改革推進会議等である。これについて日政連
では、行政書士法の規制緩和不要論を発信する場であ
り、国民の注視の中で行われる主張の正当性を争う場で
あると認識している。正当な論点の整理の中から最も国
民の利便に資する者が勝ち残るのであるが、それを恐
れ、議論に臨まないということは、業界同士が談合した
とのそしりを招く国民不在の取引となったのである。 おわりに
すでに自動車業界は、行政書士法施行規則の規制緩和
を待たずして、平成29年4月からの稼働を目指した、「共
同利用システム」を開発している。(資料④)
これは自動車業界全体が自動車保有関係手続きを内製
化すなわち独占化する仕組みである。国民の利便性はな
くなり、国民負担は増大する。これに手を貸した日行連
の責任が問われることになろう。
そして自動車関係業務を専業とする会員の多くが、こ
の分野からの撤退を余儀なくされる。組織が会員を守ら
ないという選択をしたのである。
12月6日と7日の2日間にわたって、日行連は全国単位会
の運輸交通担当者会議を開催する。業務を切り捨てられる
会員に対して、どのような日行連政策が提示されるのか。
新たな救済策が求められている。
作成した書類には、記名して職印を押すことが義務付けられています。
行 政 書 士 し が
平成28年12月10日
(
(2)
資料①
資料②
使用した職務上請求書の番号は事件簿に必ず記録しなければなりません。
No.406
行 政 書 士 し が
No.406
平成28年12月10日(3)
資料③
資料④
戸籍・住民票の請求のみを目的として職務上請求書を使用することはできません。