(第385号) 行政アクセスと行政テラス 滋賀県行政書士会 会長 盛武 隆

No.385
行 政 書 士 し が
平成27年
(2015年)
3月10日/月刊(1)
発行所 滋 賀 県 行 政 書 士 会
発行人 盛 武 隆 / 編集人 古 川 諭
所在地 滋 賀 県 行 政 書 士 会 館
〒520−0056 大津市末広町2−1(JR大津駅前徒歩1分)
TEL(077)
525−0360・FAX(077)528−5606
E-mail:[email protected]
URL:http://www.gyosei-shiga.or.jp/
行政アクセスと行政テラス
滋賀県行政書士会 会長
先般、平成27年度の事業計画および予算案の策定を議
題とする理事会が開催されました。理事会では、二度の
法改正により聴聞・弁明の代理権、不服申立代理権を取
得した行政書士と市民の接点の場(アクセスポイント)とし
て利活用するため、本会および各支部が市町等の庁舎内
に設置している無料相談所を「行政テラス」と呼称する
ことを決定しました。27 年度は各支部の要望を踏まえな
がらその充実化を図ることとしましたので、その目的と概
要を以下にお知らせいたします。
行政テラス
滋賀県行政書士会の行政テラス(行政手続無料相談所)
設置構想とは、①名称を滋賀県行政書士会(支部)の無料
相談所を「行政テラス」と呼称する。②同テラスを、法
改正により行政書士に付与された「聴聞・弁明代理権」
と「不服申立代理権」を有効に活用するためのアクセス
ポイントとする。
アクセス連携
行政テラスでは、くらしの相談に加えて「行政手続無料
相談」を取り扱い、相談事案のうち、①聴聞・弁明の代理
に関することは全会員に、②不服申立・審査請求に関する
ことは特定行政書士に、③裁判外紛争関係事案は行政書
士ADRセンターに、④争訟に関することは法テラスや顧
問弁護士にそれぞれ振り分けて対応することとする。
支援策 支部によってはその管轄に多くの市町があり、個々の
対応に人的・費用的負担が大きいことから、①本会から
支部の管轄する市町に設置する行政テラスに対して支援
金を交付する。②支援金額は理事会で決定する。③新た
に設置しようとする市町に対する要請には政治連盟所属
の地方議員の支援を受ける。
報告・集計・利活用
各支部は、①受託相談事案について一定様式により本
会に報告する。②本会は報告書に基づき各機関とアクセ
ス連携して必要な対応を行う。
アクセス連携組織とは
前述したアクセス連携組織の他、総務省行政評価局滋
賀行政評価事務所、総務省行政評価局、日本行政書士会
連合会等との連携により、行政テラス(行政手続無料相談
所)に対する組織的かつ適法適切な問題解決を行うことが
求められている。
これからの行政手続とくらしの相談
国家新戦略本部の施策、地方創世施策の推進により、
盛武 隆
法人および個人に付与されるマイナンバーの利活用が進
むため、行政手続面においては本人確認の方法や添付書
類等の負担軽減が図られる。また生活上のいろいろな場
面でもマイナンバーの利活用による新たなサービスが、行
政および民間事業者によって提供されることが予想され
ている。
行政書士にあっては、個人情報保護法による罰則よりも
さらに厳格な罰則を伴うマイナンバー管理が要求される。
もちろん行政書士会も個人会員、法人会員、職員等のマイ
ナンバー管理に組織的・法的な対応が求められる。
さらに行政機関のバックオフィス化により本人確認が
マイナンバー確認を通じて容易になれば、職務上請求書
の使用頻度や使用目的等にもおのずと量的・質的変化が
生じることが予測されている。
行政書士のマイナンバーと資格者ナンバーによる識別
マイナンバーは個人と法人の全てに付番されるため、
行政書士は個人としてのマイナンバーが付与される。さら
にマイナンバー活用の行政手続の電子化をより加速する
ために、資格者識別マイナンバーも検討されている。そう
なると行政書士は行政書士電子資格証明書とあわせて3個
の電子的証明書と、紙ベースの登録証票と所属単位会の
会員証 2 枚の証明書を保有することになる。使用目的に
沿った使い分けの時代が到来することになろう。
行政テラスは司法アクセスの入り口
日行連が加入する司法アクセス学会による、司法アクセ
ス学会第8回学術大会が「リーガル・サーヴィスの挑戦と
革新」をテーマとして昨年末に弁護士会館で開催された。
議論の中心となったリーガル・サーヴィスの対応とは、
民事裁判における弁護士の活用が少なくなり、市民の本人
訴訟率が高まる傾向を示している現状をどうするか、すな
わち市民が弁護士へアクセスせず、直接に司法アクセスす
ることを危機感として問題視するものであった。
私はパネリストとして「弁護士アクセス」をより拡大す
るには、市民に寄り添う行政書士の利活用を提唱し、そ
の接点は「行政テラスは司法アクセスポイント」であるこ
とを報告したところ、参加者から「行政テラス」に対する
質疑等が寄せられるとともに、その必要性を認める発言
が寄せられた。このように行政書士が準司法から司法の
一翼を担うスタート地点が「行政テラス」となり得るので
あり、その重要性は今後ますます市民生活の場に溶け込
んでいくに違いない。
このような将来展望が、会員各位の行政テラスの積極
的な参加と利活用によって実現していくことを希望する
次第である。なお説明図をホームページにも掲載したので
参照されたい。
作成した書類には、記名して職印を押すことが義務付けられています。