心不全による再入院および心血管死に対する 長期的ベネフィットを新た

ノバルティス ファーマ株式会社
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虎ノ門ヒルズ森タワー
https://www.novartis.co.jp
MEDIA RELEASE • COMMUNIQUE AUX MEDIAS • MEDIENMITTEILUNG
2016 年 12 月 13 日
報道関係各位
ノバルティス ファーマ株式会社
この資料は、ノバルティス(スイス・バーゼル)が 2016 年 11 月 15 日(現地時間)に発表したものを
日本語に翻訳(要約)したもので、参考資料として提供するものです。資料の内容および解釈について
は英語が優先されます。英語版は https://www.novartis.com をご参照ください。
ノバルティスの LCZ696、心不全による再入院および心血管死に対する
長期的ベネフィットを新たな解析で示す
•
LCZ696 は、心不全による初回および再発イベントリスク、ならびに心不全入院
後の心血管死のリスクを、エナラプリルに比べ 20~24%低下させた 1
•
本結果は、PARADIGM-HF 試験で示された LCZ696 による初回イベントリスク
の低下(主要評価項目)という有用性と一貫した結果である 2
•
別の解析では、LCZ696 はエナラプリルに比べ、利尿薬の減量、MRA を使用し
ている患者における重度の高カリウム血症のリスク軽減、ならびに最も重症度の
高い HFrEF 患者におけるリスク低下に繋がることが示された 3,4,5
2016年11月15日、スイス・バーゼル発 –ノバルティスは本日、左室駆出率の低下し
た心不全(HFrEF)患者において、LCZ696がエナラプリルと比較してすべてのイベ
ント(心不全による初回および再入院、心不全による入院後の心血管死)でリスク
低下を示したという新たな解析結果を発表しました1。これらの結果は、心不全にお
ける過去最大規模の臨床試験であるPARADIGM-HF試験の事後解析に基づいており6、
ニューオリンズで開催された2016年米国心臓協会(AHA)学術集会で発表されまし
た。
グ ラ ス ゴ ー 大 学 の 教 授 で PARADIGM-HF 試 験 の 共 同 研 究 責 任 者 で あ る John
McMurrayは次のように述べています。「PARADIGM-HF試験では初回イベントを
経験した心不全患者さんの約3分の1で再発イベントが認められており、患者さんが
生命を脅かされた状態で重大な危機に直面していることが明示されています。
LCZ696が初回イベントのみならず、再発イベント(重篤で高額な医療費を伴いかつ
非常に高頻度のイベント)のリスクも低下させた事実は極めて重要で、本薬による
治療が現在ガイドラインで推奨されている根拠をさらに強化するものです」
本研究ではPARADIGM-HF試験で認められたすべての心不全入院および心血管死が
包括的に解析されました。PARADIGM-HF試験では、中央値27カ月間の二重盲検追
跡調査期間中に計3,181件の主要評価項目該当イベント(1,251件の心血管死を含む)
が観察され、初回イベントを経験した患者の約3分の1で再発イベント(心不全によ
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る再入院または心不全入院後の心血管死)が認められました。複数の統計解析モデ
ルを用いた解析の結果、LCZ696がエナラプリルと比較してすべてのイベント(初回
および再発イベント)で20~24%のリスク低下が示されました1。これらの結果は、
PARADIGM-HF試験で既に示されたLCZ696による初回イベントリスク低下という
有益性(心血管死または心不全による初回入院までの時間を複合エンドポイントと
した主要評価項目でエナラプリルと比較して20%のリスク低下)と一貫していま
す1,2。
ノバルティス社の開発部門統括責任者兼チーフメディカルオフィサーであるヴァサ
ント・ナラシンハン(Vasant Narasimhan)は次のように述べています。「今回の解
析結果は、LCZ696が多くのHFrEF患者の生存を助け、長期に渡り入院を回避させ得
るという知見をさらに裏付けるものです。PARADIGM-HF試験結果の解析が進むに
したがい、LCZ696による患者さんへのベネフィットや、医療制度における治療費軽
減に貢献できる可能性がより大きくなるものと確信しています」
AHA学術集会では、PARADIGM-HF試験における別の事後解析も発表され、様々な
HFrEF患者におけるエナラプリルと比較したLCZ696の有効性および安全性に関する
有用性がさらに示されました3,4,5。これらの解析では以下が示されました。
• LCZ696投与群では、エナラプリル投与群と比較して利尿薬の増量を必要と
した患者の割合が低下し、また利尿薬を減量した患者の割合が増加した3
• LCZ696とミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(MRA)を投与された患者に
おける重度の高カリウム血症(カリウム濃度>6mEq/Lと定義)のリスクは、
エナラプリルとMRAを投与された患者よりも低かった4
• 心 不 全 の 重 症 度 が 高 い ( NYHA 心 機 能 分 類 IV ) 患 者 に お い て も 、
PARADIGM-HF試験の全患者集団での結果と同様に、LCZ696による一貫し
た有用性が示された5
心不全について
心不全とは、生命を脅かす消耗性の病態で、世界で6千万人以上が罹患し7、65歳以
上の入院の主な原因となっています8,9。心不全患者の約半数がHFrEF患者です10。駆
出率の低下とは、心臓が十分な力で収縮できないために送り出す血液が減少するこ
とを意味しています11。心不全の医療経済上の負担は大きくかつ増え続けており、世
界経済に対する現在のコストは、直接費用と間接費用で毎年1,080億ドルを占めてい
ます8,12。
なお、このたびノバルティスは、心不全疾患領域で過去最大となるグローバル臨床
プログラム「FortiHFy」について発表しました。「FortiHFy」は、40以上の実施中
または計画中の臨床試験で構成されており、LCZ696による症状軽減、有効性、
QOL改善、実臨床に基づくエビデンスについての数々の更なるデータを創出し、心
不全についての理解を深められるようデザインされています。
LCZ696について
LCZ696は1日2回投与する薬剤で、機能不全に陥った心臓の負荷を軽減します。
LCZ696は、心臓に対する防御的な神経ホルモン機構(NPシステム、ナトリウム利
尿ペプチドシステム)を促進すると同時に、過剰に活性化したレニン・アンジオテ
ンシン・アルドステロン系(RAAS)による有害な影響を抑制することで作用しま
す13,14。他の心不全治療薬は、過剰に活性化したRAASによる有害な影響を抑制する
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にとどまります15。LCZ696は、新規化合物であるネプリライシン阻害薬サクビトリ
ル、およびアンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)であるバルサルタンを含有して
います13。
欧州では、LCZ696は、左室駆出率が低下した症候性慢性心不全の成人患者を適応と
しています。米国では、LCZ696は、収縮不全を伴う心不全(NYHAクラスII~IV)
の治療を適応としています13。LCZ696は、エナラプリルと比較して心血管死と心不
全による入院リスクを減少させ、全死亡リスクを低下させることも示されています。
LCZ696は通常、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬またはARBに替えて、他
の心不全治療薬と併用投与します。承認された適応症は、各国により異なる場合が
あります。
なお、現在日本では日本人の慢性心不全患者を対象としたLCZ696の第III相臨床試験
を実施中です。
免責事項
本リリースには、現時点における将来の予想と期待が含まれています。したがって、
その内容に関して、また、将来の結果については、不確実な要素や予見できないリ
スクなどにより、現在の予想と異なる場合があることをご了解ください。なお、詳
細につきましては、ノバルティスが米国証券取引委員会に届けております Form20-F
をご参照ください。
ノバルティスについて
ノバルティスは、ヘルスケアにおける世界的リーダーです。革新的な新薬、アイケ
ア(眼科用医療機器、コンタクトレンズなど)、高品質かつ安価なジェネリック医
薬品など、幅広い分野の製品を提供しています。ノバルティス グループ全体の 2015
年の売上高は 494 億米ドル、研究開発費は 89 億米ドル(減損・償却費用を除くと
87 億米ドル)でした。スイス・バーゼル市に本拠を置くノバルティスは約 118,000
人の社員を擁しており、世界 180 カ国以上で製品が使われています。詳細はホーム
ページをご覧ください。https://www.novartis.com
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以上